前回の感覚ゲーティングの話のつづき。
以前もblogで書いたことがあるが、慢性的な筋緊張は自分でそのように力を入れ続けていることには気づかない。
肩や首のこりに対して、
「何か石がのっているような」
という表現をする人は多い。
さらにひどいと「霊のせい・・・」などになり、「させられ体験」に近くなっていく。
そのように力を入れ続けている自覚がない場合、自他の境界も曖昧になっている。
逆に言えば境界や身体イメージが混乱しているから、力を入れ続けていることに気づかない。
それに対して気になったのが今回の研究の以下の部分。
“今回の研究成果は、自他の行動識別(自分の行動と、他人の行動により受け身で起こった運動の識別)に用いられている脳機能を反映している”
“例えば統合失調症など精神疾患の患者さんの一部はこの感覚ゲーティングに異常があることが知られ、それが自他混同などの病態の背景にあるとする考えがありました。”
とのこと。
体表のツボに鍼をすると筋緊張が多かれ少なかれ解除される。
そして続けていくと、慢性的な緊張がだんだん解消していくとともに、自分が力を入れていることを意識していくことになる。
力を入れている理由(記憶)を思い出したりするし、自他境界も明瞭になってくる。
皮膚が自我と関係していることは以前から指摘されているが、体表(皮膚)のツボは自覚や自己認識を賦活する(もしくは障害している)ポイントと自分は考えている。
実際に体表のツボに鍼をしていると、それは扉(門)という感覚に近い。
閉じているのが開く(反応する)ことで、筋緊張など心身全体に変化が及ぶ。
そういった変化の瞬間や長期的なプロセスにおいて、何が起きているのか。
自他境界や識別そして自我などと、皮膚・脳(中枢)・感覚ゲーティングの関連は興味深い。