手が慢性的に疲れている(緊張している)場合、本人は手が疲れていることに気づいていないことが殆ど。
そのため他の不調を訴える。
たとえば、
不眠(眠りの浅さ)
肩こり
頭重感
など。
そういった時に前腕や手のツボに鍼をしていくと、
・肘、手首、手指がピクピク動いて余分な力が抜ける
・お腹がキュルキュル動きはじめる
・肩がブルっと不随意に動いて修正をはじめる
・顔の筋肉や顎の関節がピクピクカクカク動き修正をはじめる
・それまできつく閉じていた口元がゆるみはじめる
・口を開いて口呼吸をはじめる
・イビキをかく
・暫くすると口をゆるやかに閉じて静かに鼻呼吸をはじめる
・そして意識がハッキリしてくる
ここまで多分数分。
本人は途中で瞬間的に寝ていることに気づいていない。
もちろんイビキも。
自覚としてはずっとうつらうつらしていたという感じ。
一連の反応を見ていると、問題が起きた順を辿っているように感じる。
はじめは手の力が抜けなくなったことがきっかけなのだろう。
手首や肘が強張り、肩がこり、顎が固まり、お腹の動きも鈍り、呼吸が浅くなり(口呼吸になり)、睡眠も浅くなる。
それが順に解けていく。
今はもうそういった反応を見ても驚くことはなくなったけれど、やはり身体の治癒力というか回復するはたらきの精妙さに感動する。
特に相手が高齢者の場合は尚更だ。
このような一連の自己調整は意識的にはできないし、起こせない。
そして外から強い力(刺激)を加えたり、自分で身体を動かしたりしても起きない。
自分もこういう反応を起こそうと思って鍼をやっているわけではないし、毎回(誰にでも)起きるわけでもない。
最初から起きる人もいれば、何回も鍼をしてようやく生じ始めるようになる人もいる。
リラックスした状態で端緒のもつれ(緊張)を解くことでドミノ倒しのように自然に起きてくる。
意識的にはできないが、鍼を続けていくとそういう「調整が起きやすい状態」に入りやすくはなっていく。
鍼というきっかけ(サポート)がなくても、落ち込みが大きくなる前に自己調整が自然に行われるようになると、回復が早くなる。