かっぱblog

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反対側

2019年01月22日 | 鍼治療

 

この仕事(鍼)をしていると、自分が以前より上達しているのかどうかよく分からなくなることがある。

しかし、たまに過去に書いたことを読み返すと、以前は分かっていなかったんだなと気づくことがある。

なのでこのblogに書くことは少ないけれど、鍼の臨床で気づいたことを書きとめるようにしている。

 

 

最近になって再び興味が出てきたのが反対側。

鍼の技術に巨刺(コシ)、繆刺(ビュウシ)という方法がある。

症状がでている反対側に鍼をすること。

鍼灸学生のときはその名前と手法を知識として知った。

 

学校を卒業して、南谷先生から刺さない鍼を学び始めるとともに施術を定期的に受けるようになり、実際に反対側に刺さない鍼を受けて効果(主に筋緊張の変化)を実感するようになった。

体表の意識できない部分を意識していくことで筋緊張が変化するということは、ボディワークでも経験していたのだがやはりとても興味深かった。

 

 それで自分も首や肩のコリや突っ張り感(筋緊張)に対して反対側の手のツボを使い始めるようになった。

もちろん場合によっては同じ側のツボを使うこともある。

その頃はまだ体表のツボを今ほど感じ取れていなかったので、先生に教えていただいたいくつかの基本的なルールにそって反対側のツボに鍼をしていた。

そして、

 ・反対側のツボに鍼をする

  ↓

・脈が変化したことを自分で確認する

  ↓

・鍼を受けた方に施術前に感じた動きのひっかかりやつっぱり感などをチェックしてもらう

 

といった流れで行い、変化を実感してもらうと「アレ?」と驚かれることが多かった。

特に、あまりこちら(自分のことや鍼治療、特に刺さない鍼)を信用していない人へのとっかかり(信頼関係の構築)に有用だった。

 

脈が変化していないと筋緊張もあまり変化していないことが多い。

逆に脈が変化していたら、たとえその場で筋緊張の変化が少なくても(3~5割ぐらいでも)その後変化していくことが多い。

だから深追いはしない。
(やり過ぎになるから)

 

 

自分で反対側を使い始めるとともに、なぜそういったことが起きるのか自分なりに調べたり考えたりもした。

それでおそらく脳と現実(身体)の情報がうまく合っていないことから起きる問題だろうと思った。

慢性的(習慣的)となった筋緊張は認識されなくなる。

脳の中の過去の(緊張した)情報のまま更新されない状態は緊張に気づくことで解消される。

その取っ掛かりが体表への微細な刺激で、反対側(症状のない側、よい方の側)に鍼をすることで、反対側の皮膚が働きを再開するのだろうと。

 

その後変化が起きることは自分にとっては当たり前になり、特に筋緊張の変化をその場ですぐに確認してもらうということは少なくなっていった。

そして体表のツボを以前よりも感じ取れるようになると、ツボかどうかだけに注意してそれが同側だろうと反対側だろうとあまり意識しなくなっていった。

 

 

そんな中、最近鍼をしていて、受けている方がうつらうつらしている状態で、鍼が触れている反対側の手(だけ)がピクピクっと動きはじめ、その後うねうねと大きく動きはじめた時は驚いた。

多分何か反応が出るだろうなという手応えはあったので、同側の筋肉がピクピク動くか、おなかが動くかと思っていた。
反対側が大きく動くのは経験したことがなかった。


後でその方に確認すると、前日久しぶりに楽器を長く練習をしたとのことで、あの手の動きは多分それだったようだ。

そして両手で練習していたけれど、片側の手の動きが難しくてそれをよく練習したとのこと。

それは動いた側と反対側だった。


まだ症例が少ないのでよく分からないけれど、片側(たとえば右手の動き)を強く意識して練習していたということなので、意識していた側の疲れや緊張は気づきやすいが反対側(左手)のそれには気づかないままのことが多い。

特に日が経ってない場合。

そして意識が強い側にツボが現れて、そこに鍼をしたことでそういったアンバランスを解消する無意識の動きがでたのかな、と推測している。

 

これから経験を積んでいくことでより理解が深まると思う。







 

 

 

 

 

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