以前書いた皮膚がんと皮膚常在菌のこと「それよりも」と話が似ていると思う。
近年、皮膚常在菌が健康や病気に大きな影響を与えていることが明らかになってきている。
記事にあるように、アトピー性皮膚炎とも関連していることだろう。
ここまではとてもすんなり納得できる。
だが、なぜ「細菌移植」ということになるのだろうか?
「皮膚常在菌のバランスを正常に戻すこと」
が健常者からの特定の細菌の移植という一時的な処置で恒常的にできるとは自分にはとても思えない。
皮膚常在菌は感情や生活習慣など多岐に渡って関係していることだろう。
記事にあるように遺伝も関係しているかも知れない。
だからこそ、その人個人の土壌を少しずつ変えていくしかないと思っている。
これがもし畑であり、乱れた土壌に対して、
「一時的に大きな作物が採れればいい」
ということなら外から肥料と農薬だろう。
しかし本質的に土壌を改善するには時間と手間ひまをかけて、微生物やらミミズやらの生態系が整ってくるのを待つしかない。
たとえ外から特定の種類の微生物を入れても、他の要素がそのままなら淘汰されてしまうことだろう。
皮膚の環境を整えるなら、記事にあるような防腐剤など有害な化学物質をできるだけ排除して、食生活をはじめ生活習慣を改めることがまず大切だと思われる。
そして体表(皮膚)へ適切な刺激(接触)をすることは、たとえ自覚できなくても皮膚常在菌に影響すると考えている。
東洋医学では体表を巡る気を「衛気」(えき)と呼んでいるが、その機能には皮膚常在菌のこと(機能)も経験的に含まれていることだろう。
だからこそ古くから体表への刺さない鍼が行われているのだと自分は思っている。
(ただし、あまりに広範囲に皮膚に炎症が起きていると鍼はできないけれど)
腸内細菌に関するビジネスが食品や医薬品などで拡大しているように、これから皮膚常在菌に関するビジネスも急拡大していくことだろう。
しかし即効性を求めず、少しずつ手間ひまかけて改善していくのがよい分野だと思う。
安易に即効性を求めると、薬でも鍼灸などの刺激治療でも、おかしな方向へ行ってしまいがちだから。