尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

参院選の結果を考える①

2013年07月23日 01時08分16秒 |  〃  (選挙)
 参議院選挙が終わり、与党の圧勝と言う、各マスコミが予測し、僕も公示前後に書いておいた通りの結果が出た。

 比例区は自民が18、公明が7で、過半数は超えているが、与党25、野党23で差は2つ。2人区では、民主が共産、みんな、維新に競り負けたところがあるが、それはそれとして自民は一人しか立てていないから差は付かない。3~5人区では、埼玉、千葉、東京で自公合わせると一つ多いので、合計3差。結局は1人区で、29勝2敗という自民の大勝になったということが、今回のすべてだった。その詳しい分析は次回に回す。

 僕はこのような、人口比例に著しく反するような一人区のあり方に根本的な疑問を持っている。参議院の役割から言って、衆議院より多くの議員を出す必要はない。だから各県の選挙区というやり方をする以上は、一票の格差が解決しようがないという問題を抱える。結局、比例区だけにすればいいのである。そういうことを前に書いた。もし、参議院が比例区のみ96議席だったとしたら、以下のような議席配分になる。

 自民30、民主22、公明13、みんな11、共産8、維新7、社民3、生活1、改革1 計96

 つまり、比例だけなら自公では過半数ではなかったということになる。

 しかし、とりあえず自公で大きく過半数は越えた。自民党は115議席、公明は20議席。参議院の半数は121だから、まだ自民は公明を必要としている。(数字上は9議席の維新と連立すれば、公明が離脱しても過半数にはなる。)ところで改選数の半分は61だから、今回は65で4つ超えている。次回2016年参院選で自民は久しぶりに(1986年以来)、参議院の単独過半数獲得が見えている

 さて、今後の政治日程を考えておきたい。衆院選後、僕は「次の総選挙は遠くない」という記事を書いた。その当時はその分析は当たっていたと思う。安倍首相は今回、衆参同日選をやるのではないかという観測がある時点までかなりあったのである。しかし、それはなくなった。来たるべき総選挙は、維新の橋下大阪市長が出馬する可能性が高いと見られている。大阪都構想を掲げる以上、2016年にならないと立候補できないと見られている。しかし、今の時点で自民に代わって維新が大きく伸びると言う可能性は全くなくなった。首相候補のライバルとしての維新、という問題はなくなった。早めに総選挙を仕掛けると、自民は精一杯伸びきっているので、伸びしろが少ない。憲法改正の同志たりうる維新が減って、共産のみ増えるという可能性が高い。従って、安倍首相が早めに総選挙に踏み切る可能性はほとんどない。

 安倍首相の、自民党総裁としての任期は2015年までである。今のまま高支持率を保っていれば、再選も視野に入ってくる。当面はそこに向け、2014年に何をするかという問題に絞られる。高支持率、衆参の過半数と条件はあれど、これがいつまでも続くかどうかは判らない。問題は4つ。消費税、TPP、スキャンダルや失言、首相の健康である。これに後継争いが加わる。すでに2回総理をやった安倍が自民党総裁に再選されれば、もう3年も続く。そうすると、次は一気に若返る可能性が高い。それを快く思わない人もいるだろう。それが消費税やTPPの政策課題の判断という形を取って、党内の政争が起きるわけである。当面は秋に、消費税増税とTPPの条件の最終判断をしなければならない。

 だから秋までは、安倍首相は低姿勢を続けざるを得ない。衆参で大勝したけど、案外安全運転を続けているではないかというムードが求められるのである。しかし、政界は一寸先は闇。何が起きるか判らない以上は、多数を持っている間に思ったことをやってしまおうという誘惑が強くなる。それが2014年。つまり来年こそが真に重大な政治の季節になりそうであると僕は予感する。野党のどこが少し減ろうが増えようが、最後は国家と民衆が直接対峙するという政治の本質は変わらない。いよいよ、来るのではないか。あっちにつくか、こっちにつくか、一人ひとりが決めなくてはならない時が。
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