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小泉純一郎氏独白全文公開 「安倍さん、とっくに辞めてなきゃいけないはず」  週刊朝日  4月27日号

2018-04-20 13:14:06 | 政治 選挙 

小泉純一郎氏独白全文公開 「安倍さん、とっくに辞めてなきゃいけないはず」

AERAdot. https://dot.asahi.com/wa/2018041900014.html?page=1

2018.4.19 10:31

週刊朝日の独占インタビューに応じた小泉純一郎元首相(撮影/写真部・東川哲也)
週刊朝日の独占インタビューに応じた小泉純一郎元首相(撮影/写真部・東川哲也)

 

 自民党の二階俊博幹事長、山崎拓元副総裁、小池百合子東京都知事らと18日夜、東京都内で会食した小泉純一郎元首相。森友、加計疑惑疑惑、財務事務次官セクハラ問題などで火だるまになっている安倍晋三首相の政権運営、9月の総裁選について意見が交わされたという。小泉氏は11日、週刊朝日の独占取材に応じ、安倍首相について「もう引き際」、「3選はないね」「バレてる嘘をぬけぬけと…」「国民はあきれてんだよ」と言及。ついに引導を渡した。55分に及んだ独白の全文を掲載する。

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──森友学園への国有地売却問題をどうお考えですか。

 根本の嘘の始まりは、国会で「私や妻が関わっていたのなら、総理大臣も国会議員も辞めます」だね。昭恵さんは森友学園の元名誉校長でしょう。森友学園へ行き、挨拶までし、関係しているのに、なぜ、あんな嘘を言い続けるのか、わかんないね。「私たちが関係していた」って正直に言えばいいのに。おかしなことをしてないなら、嘘つく必要ないんだから。嘘の上塗りをするからおかしくなる。総理も国会議員も辞めると言ったので、本当ならとっくに辞めてなきゃいけないはず。なのに、バレている嘘をぬけぬけと今も言ってるなぁとあきれているんだよ、国民は。

──昭恵夫人と面識はありますか?

 安倍さんが幹事長の時代かな。山口県へ行ったとき、昭恵さんとも一緒に食事をしました。昭恵さんからは「首相って、そんなに大変なんですか」と質問されたので、「なってみればわかるから」と答えた。いま、本当に大変だ(笑)。

──森友問題では財務省の決裁文書改ざんが発覚し、近畿財務局では自殺者も出ました。「記録はない」と言い続けた佐川宣寿前国税庁長官は、国会の証人喚問で改ざんを認めたものの、「刑事訴追の恐れがある」と証言を拒否しました。

 あきれたね。彼は書類や記録がないと国会で嘘を言ってバレた。改ざんまでして嘘をついた。安倍首相、麻生(太郎)財務相は国会で「(佐川氏は)適材適所」と言い切ったが、それならどうして懲戒処分にするのか。どうしてこういう嘘を全員で言い続けるのかね。おかしいんじゃないか。

──森友問題の発覚直後の昨年2月、8億円の値引きの根拠となった地下ゴミの撤去費をめぐり、財務省理財局が学園側に口裏合わせを要請したり、虚偽を記した文書に署名を求めたものの、拒否されたことを、太田充財務省理財局長が国会で白状しました。

 嘘を重ね、隠しきれなくなり、疑問はますます深まっている。

──沈静化していた安倍首相の友人、加計孝太郎氏が理事長の「加計学園」の獣医学部新設問題が再び国会で議論されています。2015年4月2日、官邸で愛媛県、今治市、加計学園の職員らが柳瀬唯夫・首相秘書官(当時)と面会した際、首相秘書官が「本件は首相案件」と伝えたとされる記録(備忘録)が出てきました。

(首相案件は)安倍さんは否定しているけどね。首相が一生懸命になっているのがわかったから、官邸、官僚らみんなが協力したんでしょう。

──首相は愛媛県の記録より柳瀬元首相秘書官の記憶を信じると明言しました。

 逃げ切れると思っているからいろいろ言っているんだろうね。

──小泉氏の首相時代、「首相案件」というものは存在しましたか?

「郵政民営化」かな。首相の私がやると言ったからできた。自民党も野党もほとんど反対だったのを押し切った。参議院で否決され、万歳やって衆院を解散した。いま思うと非常識だったが、衆院選で勝って法案を通した。それだけ首相の権限というのは大きい。だからもし、安倍さんが「原発ゼロ」をやろうと言えば、できたはず。原発ゼロは与野党で協力できる政策で歴史的な偉業だったのに。原発ゼロは首相任期中にできるけど、安倍さんが目指す憲法改正はできない。国会で3分の2、そして国民投票で過半数を取らないと、そもそも無理だもの。できることをどうしてやらなかったのか。

──安倍首相に直接、話したことはありますか?

 去年、山梨県の笹川(陽平・日本財団会長)さんの別荘であった懇親会で会ったときにも忠告した。経済産業省が掲げる原発推進の三つのスローガン、「安全」「コストが安い」「クリーンエネルギー」は全部、嘘だとね。それで「経産省に騙されるなよ」と言うと安倍さん、黙って苦笑いしていたけどね。

──安倍政権はこの先、どうなりますか。

 危なくなってきたね。安倍さんの引き際、今国会が終わる頃(6月20日)じゃないか。(9月の)総裁選で3選はないね。これだけ、森友・加計問題に深入りしちゃったんだから。来年の参議院選挙への影響が出る。国会が終わると、1年前から選挙運動の準備をするのでそろそろ公認を決めなきゃいけない。参院候補者が浮足立つ。安倍さんで選挙はまずいなと。

──総裁選となれば、誰がふさわしいですか?

 原発ゼロというのは、河野太郎外務相が私より先に言いだした。もし、河野さんが原発ゼロを主張して総裁選に出たら、どうなるかわかりませんよ。外相としての仕事を乗り切って、実績を上げていけば、大化けする可能性はなきにしもあらず。(次の総理に名前が挙がっている)岸田(文雄)政調会長、石破(茂)元幹事長は原発には言及していないね。

──ただ河野外相は入閣後、脱原発は封印しています。

(第2次橋本内閣で1996年に)3度目の厚生大臣に就任する前、橋本龍太郎首相(当時)から内示があったとき、私は「郵政民営化を主張してますから、党内反発がありますよ」と話した。橋本さんは「内閣の方針に従ってもらえば、持論として言ってもらっていい。だから受けてくれ」と言っていた。河野さんだって原発ゼロは内閣の方針ではなくても、持論は持論。その立場でいればいい。

──小泉氏らが1月に発表した「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」をたたき台に、野党の立憲民主、自由など4党が3月9日、「原発ゼロ基本法案」を衆院に共同提出しました。

 私は政党と連携するつもりはない。国会で議論してもらうことに意義がある。法案を出したって、国会で通りっこないのはわかっている。(最大勢力の)自民党が反対してるんだから。原発再稼働を推進する安倍首相が交代しないと原発ゼロに舵は切れないだろう。

──東日本大震災で、福島第一原発で事故があったとき、近海を通りかかっていたアメリカ軍の原子力空母「ロナルド・レーガン」の乗組員、兵士たちが、救援物資の輸送や被災者の救助など、「トモダチ作戦」に参加。終了後、兵士らの一部が健康状態の悪化を訴え、福島県沖で放射線に被曝したと主張し、東京電力などに対して損害賠償を求めて米カリフォルニア州の連邦地裁などに裁判を起こしました。小泉氏は16年5月15日から17日の3日間、訪米し、被曝した元兵士ら10人と面会されました。

 元兵士たちは、足を切断したり、目が見えなくなったり、下血をしたりと被曝の後遺症が出ている。福島原発のメルトダウンが起こっているのに、上官から放射性物質の危険性が伝えられなかった。兵士たちは防護服もなしで作業させられたり、海水を飲んだり、空母に積んであるヨウ素剤も足りず、飲んでいない元兵士もいた。

──元兵士らは裁判で「ヨウ素剤を飲んでいないのに、上官から『飲んだことにしてサインしてくれ』と命令された」と証言しています。

 米国にとっても不都合な真実が多い、難しい裁判だ。でも、助けてもらった米国兵にこれだけの症状が出ている事実は当初、わからなかった。数年経過し、おかしいなとだんだんと症状が出てきたんだ。甲状腺がんにもなった。それでも、裁判では被曝が原因とは断定できないとなってしまう。私も何かできないかと思った。

──細川護煕氏、吉原毅・城南信用金庫顧問らと16年、「トモダチ作戦被害者支援基金」を設立し、当初の目標額は1億円だったが、今では3億円も集まったそうですね。しかし、安倍政権下で原発ゼロを訴えると、風当たりが強いのではないですか?

 米国の元兵士たちを取材した民放のドキュメンタリー番組(昨年10月放送)は、私の登場シーンをすべてカットした。「トモダチ作戦」を追いかけているエィミ・ツジモト氏に紹介され、元兵士らに会いに米国へ行き、取材も現地で受けたが、放送直前、ツジモト氏から連絡があり、「小泉さんの場面は全部カットされた。上層部の意向でやむを得ず、現場スタッフが指示に従った」と聞かされた。米兵の被曝のことが放送されたことはよかったけど、ひどいなと思ったね。

──安倍政権に対するメディアの忖度でしょうか?

 別の民放で今年3月にインタビューを受けたときも約束を破られた。収録は50分ぐらいで「全部放送するんですか」と聞いたら、「15分ぐらいに編集する」と説明された。「経産省が訴える原発の3大スローガンである安全、コストが安い、クリーンエネルギーは全部嘘だ、と話した部分だけはカットしないでね」とお願いすると、「わかりました」とスタッフらは言っていたのに、放送された番組を見たら、カットされていたよ。

──経産省は3月、国のエネルギー政策の基本方針を定める「エネルギー基本計画」の見直しを協議する有識者会議を開き、30年度の電源構成(エネルギーミックス)は原発20~22%を維持する方針を固めています。新増設や建て替えも検討されています。

 安倍政権も経産省も時代遅れだ。国会の事故調査委員会は、福島第一原発の事故は「自然災害ではなく、人災である」と結論づけている。原発推進派は3・11の前、「(あのクラスの)大きな地震は来ない。高い津波は来ない」とタカをくくり、対策をおろそかにした。また過ちを繰り返すつもりか?

──電力会社、原発関連メーカーなど原子力ムラは健在ということでしょうか?

 経産省は恥ずかしいと思わないのかな。規制する側の旧原子力安全・保安院と規制される側の東電の立場が崩壊した。規制する立場なのに、電力会社は経産省幹部の天下り先だから、立場が逆転してしまっていたんだ。その結果、規制される立場の虜になっていた。

──安倍首相の側近、今井尚哉首相秘書官は経産省出身で資源エネルギー庁次長を歴任した原発推進派です。

 秘書官なんて安倍さんにその気があれば、代えられたはず。安倍さんが経産省に乗っかって推進し、誰も闘わなかったからこうなった。だが、原発も嘘の上塗りに過ぎない。いずれ、挫折するよ。頭のいい人たちがどうしてわからないのか理解できないね。来年の参院選で野党がまとまって原発ゼロを争点にしたらまずい。自民党も安穏としていられなくなる。だが、首相が代われば、大きく変わる。次の総裁選で誰がそこへ踏み込むか。期待したいね。

(聞き手 本誌・上田耕司、森下香枝)

週刊朝日  4月27日号

 

 

 

 

 


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