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世界共同体通覧―未来世界地図―[補訂版](連載第18回)

2024-03-26 | 世界共同体通覧―未来世界地図―[補訂版]

三 汎アメリカ‐カリブ域圏

汎アメリカ‐カリブ域圏は、現在デンマーク領のグリーンランドを含めた北極圏に、今日の南北アメリカ両大陸、さらに中央アメリカ地域、カリブ海域の島嶼を加えた領圏域を包摂する汎域圏。カリブ海域に残存していた西欧諸国領土はすべて独立する。また、メキシコとの国境四州を除いたアメリカ本土と極北地域及びケベック州(ニューブランズウィック州の一部を含む)を除いたカナダが統合されて新たな領域圏を形成する。汎域圏全体の政治代表都市は北アメリカ領域圏のマイアミに置かれる。

包摂領域圏:
極北、ケベック、北アメリカ、ボーダーズアメリカメキシコ、中央アメリカキューバ、ハイチ、ドミニカ・リコ環カリブ合同ベネズエラ、ブラジル、パラグアイ、アンデス合同、チリ、ラプラタの各領域圏から成る。

 

(1)極北

(ア)成立経緯
カナダ北部のノースウェスト、ユーコン、ヌナブートの各準州が準領域圏となり、現アメリカのアラスカ州、現デンマーク領のグリーンランド(カラーリットヌナート)が加わって形成される連合領域圏

(イ)社会経済状況
イヌイットをはじめとする先住民族が主体となる人口構成で、伝統的な生活様式が維持される。持続可的な漁業が主産業となる。他方、アラスカを含む北米極北地域に豊富であった天然資源の管理は世界共同体に移される。温暖化の指標となる北極圏の氷床及び氷河を常時観測するため、世界共同体地球環境観測センターの北極圏観測所が設置される。

(ウ)政治制度
上掲5つの準領域圏から均等に抽選された代議員から成る連合民衆会議が設置される。それ以外に、各先住民族の代表も代議員に加わり、先住民族が主体性を持った政治制度となる。エスペラント語のほか、英語、デンマーク語が公用語となる。政治代表都市は、ノースウェスト州のイエローナイフ。

(エ)特記
旧版では、北米極北地域も北アメリカ領域圏に包摂していたが、北極圏としての特性に加え、長く迫害されてきた先住民族の主体性を回復する目的からも、北アメリカから分離して、独立の領域圏とした。

☆別の可能性
グリーンランドが独立したうえ、汎ヨーロッパ‐シベリア域圏のノルディック‐バルティック合同領域圏に参加する可能性もある。

(2)ケベック

(ア)成立経緯
カナダのケベック州時代からのフランス語圏として、総体的に英語圏に属する連邦国家カナダから分離したうえ、隣接するニューブランズウィック州のフランス語圏地域を編入して成立する統合領域圏

(イ)経済社会状況
カナダ領時代から発達したが、独立領域圏となった後も継承される。一方で、メープルシロップに代表される農業も盛んで、ハイテク産業と農業が組み合わさったユニークな複合経済が継続される。隣接する極北領域圏及び北アメリカ領域圏とは経済協力協定を締結し、緊密な経済関係を保持する。

(ウ)政治制度
民衆会議には、先住民自治体も代議員を送る。政治代表都市は、現州都ケベックシティから最大都市モントリオールに移転。なお、北アメリカとの密接な関わりからも、北アメリカ連合民衆会議に議決権を持たないオブザーバーを送る。

(エ)特記
編入される旧ニューブランズウィック州の地域では、少数派となる英語系住民のため、英語も公用語とされる。

☆別の可能性
かねてからのケベック州の独立運動がやや低調化してきているため、自立化することなく、上掲北アメリカ領域圏に包摂される可能性、あるいは、カナダがアメリカと統合されない場合にはカナダ領域圏に留まる可能性もある。


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