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世界共同体通覧―未来世界地図―[補訂版](連載第20回)

2024-04-08 | 世界共同体通覧―未来世界地図―[補訂版]

三 汎アメリカ‐カリブ域圏

(5)メキシコ

(ア)成立経緯
 メキシコ合衆国を継承する連合領域圏

(イ)社会経済状況
メキシコ合衆国時代の宿疾であった麻薬組織犯罪とそれに絡む暴力、政治腐敗は共産主義革命による貨幣経済の廃止に伴い、消滅する。また構造的な貧困問題も解消し、かつては貧困最下層を形成した先住民の地位が向上し、連合民衆会議代議員としても進出する。

(ウ)政治制度
北アメリカ連合領域圏に類似し、各準領域圏から抽選された代議員で構成される連合民衆会議が設置されるが、先住民との混血人口が多いため、特に先住民自治体代表制度は設けられない。

(エ)特記
マヤ文明人の末裔民族が多い南東部のチアパス準領域圏には、革命前のチアパス州時代からサパティスタ民族解放軍によって組織された事実上の自治的革命解放区が成立していたが、連合領域圏の成立に際して発展的に解消される。

☆別の可能性
可能性は低いが、アメリカのメキシコ国境四州が分離して、独自の連合領域圏(ボーダーズアメリカ)となるのではなく、メキシコ連合領域圏に編入される可能性もある。

 

(6)中央アメリカ

(ア)成立経緯
南北両大陸の間をつなぐいわゆる中央アメリカに位置するグアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグア、コスタリカ、パナマの6つの主権国家が連合し、それぞれを準領域圏とする一つの領域圏に発展する連合領域圏。ただし、この地域で唯一英語を公用語とするベリーズは連合せず、後述の環カリブ合同領域圏に加入する。

(イ)社会経済状況
世界共同体創設前は、先住民層を中心に貧困が構造化し、白人系富裕層が経済的権益を独占する階級構造が支配的で、北米への大量移民送出地域でもあったが、共産主義革命による貨幣経済の廃止により、そうした不平等な構造は解消される。それに伴い、大量移民も過去のものとなる。また麻薬取引の消滅に伴い、南米方面からの麻薬密輸中継地としての役割も過去のものとなる。

(ウ)政治制度
連合民衆会議は6つの準領域圏から同数ずつ抽選された代議員で構成され、各準領域圏代議員団長が連合代表者会議を構成する。政治代表都市は、コスタリカのサンホセ。なお、かつてはこの地域の各国で白人支配層と結んで政治的な発言力を持ち、しばしばクーデターで軍事独裁政権を樹立しては時に先住民殺戮を伴う凄惨な内戦を主導した軍は、常備軍の廃止を規定する世界共同体憲章に基づきすべて解体される。

(エ)特記
当領域圏の形成に当たっては、かねてより常備軍を廃止し、比較的安定した政情にあったコスタリカが大きな役割を果たす。

☆別の可能性
6つの主権国家がそれぞれ単立の領域圏となったうえで、緩やかな合同領域圏を形成する可能性もある。また、その場合、ベリーズが合同に参加する可能性もある。


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