ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

エイズのHIVを完全に消去?

2016-11-11 10:31:09 | 健康・医療
エイズの原因ウイルスであるHIVを完全に体内から消すことができたというニュースがありました。

このニュースは色々なメディアでは報道されておらず、ネットのニュースだけですが内容は別におかしいところはないようです。イギリスのケンブリッジ大学など5つの大学の共同研究グループが、患者の血液からHIVを完全に消滅させることに成功したと発表しました。

HIVは人間の体の免疫系であるT細胞やマクロファージに感染するため、普段は感染してもほとんど影響がないような病原菌でも、重大な症状を引き起こしてしまいます。こういう状態になった時がエイズと呼ばれています。

通常ウイルスに対してはあまり良い薬がありませんので、人間の持つ免疫系が働いて殺したり体外に排除して直すわけですが、その免疫系がやられてしまうため排除できないという厄介なウイルスです。

HIVはレトロウイルスの仲間で、核酸としてRNAを持っています。ウイルスは感染すると、宿主細胞の機能を使って増殖するのですが、通常の細胞はRNAをコピーして増やす機能を持っていません。そこでウイルスのRNAを一旦DNAに変換する必要が出てくるわけです。

この働きをするのが逆転写酵素というもので、レトロウイルス類は必ずこの酵素を持っています。この逆転写酵素を働かなくすれば、ウイルスの増殖を抑えることはできるわけで、抗エイズ薬はこの逆転写酵素阻害剤が有効とされるわけです。こういった薬剤は年々進歩しており、現在ではかなり副作用が抑えられているようですが、それでもまだ副作用が問題のようです。

もう一つがHIVは細胞の中に潜伏してしまうという問題です。ガンなどで書いたように、薬は増殖するときに作用してやっつけるというメカニズムですので、潜伏しているウイルスに対しては効果が出ないわけです。

今回の研究グループがとった方法は次の2段階です。1)まずワクチンを使い、体内のHIVが感染した細胞を除去する。2)次に新開発のボリノスタットという薬剤を使い、HIVに感染したT細胞を活性化させ、体内に潜んでいるHIVを攻撃し消滅させるとしています。この具体的方法については、やや理解できない部分もありますが、こういった手法により血液から完全に消滅させたようです。

当然まだ基礎研究ですので、実用化までにはかなり時間がかかるとは思いますが、ウイルスを完全に除去できたという具体的な事項ですので、早い開発を期待しています。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿