ごっとさんのブログ

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新型コロナ感染爆発のニューヨーク

2020-03-31 10:22:21 | 時事
東京都で新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されていますが、既に大規模な感染が起こっているのがアメリカニューヨークです。

まずアメリカの現状ですが、3月29日時点で全米の感染者は約14万人と中国やイタリアを上回っており、死者も2,500人近くに上っています。

感染の中心となっているニューヨーク州では、感染者約6万人、死者約千人と全米の半数近くを占めており、その半数以上がニューヨーク市内で発生しています。

感染の経緯を見てみると、CDCの発表では最初の確認が1月21日の武漢からの帰国者でした。その後多くの州で武漢からの帰国者の感染を複数確認し、1月末には国内の人から人への感染が確認され、2月13日までに感染者数は15人に増えました。

2月28日に経路不明な感染が4件確認されてから急速に感染数が増えはじめ、3月3日に60人、9日には500人を超えました。ニューヨーク州では3月1日に最初の感染が市内で確認され、4日には11人、5日に22人、6日に44人と倍増しましたが、この辺りまでは日本の傾向と大して変わっていません。

ところが3月17日には1,000人を超え、29日には1日の感染者数が約7,000人となり死者数も200人以上となっています。同州では現在州内の全市民に対して外出禁止令が出されています。

3月22日以降、市民は食材の買い出しなど不可欠な場合を除き自宅で待機し、食料品店やガソリンスタンド、病院、警察など生活に不可欠な業種を除くすべての労働者に在宅勤務が義務付けられており、公立学校も閉鎖しています。

人数を問わず複数人の集まりは禁止されており、警察が巡回し解散を命じていますが、今のところ違反者への罰則は科されていません。市は今後500ドル程度の罰金を検討しています。

政府は3月13日に国家非常事態宣言を発動し、現在はカナダとメキシコの国境を一時閉鎖し、中国などからの入国を禁止しています。

新型コロナウイルスによるリスクは年齢により大きく異なり、CDCが米国感染者のデータを分析したところ、65歳以上のリスクが非常に高く、死亡したケースの80%、集中治療室を利用したケースの53%を占めています。

中でも85歳以上のリスクが高く、致死率も10.4%となっています。この様に感染防止対策は日本よりはるかに厳しいものとなっていますが、感染拡大は止まっていないようです。

日本では2月以来の感染者数をみますと、徐々に増加しているものの急激な拡大は今のところなく、封じ込めに成功しているようです。

欧米各国で急激に拡大し、感染症としてはそちらが普通のような気がしますが、なぜ日本は抑えられているのかの良い解説は無いようです。欧米からは「日本の奇跡」と呼ばれているようですが、何とかこの状況を維持したいものです。

肝臓ガンの切らない選択肢

2020-03-30 10:21:25 | 健康・医療
健康診断や人間ドックで異常ありと判定されると、大病院や専門病院などで精密検査が行われます。

その結果重大疾患が見つかれば、医師と治療方針について話し合い、第一選択肢として提案されることが多いのが手術です。

典型的な例が「ガン」で、CTなどでガンが発見されると、医師からすぐに切った方が良いと提案されることがが多いようです。しかし最近は必ずしも切るだけが正解ではないという指摘が増えています。

近年は生存率だけでなく、患者のQOL(生活の質)を見据えた治療が求められるようになり、部位やステージに応じて手術以外の治療法も組み合わせるケースが多いといいます。

例えば腹部のCTやエコー検査を見てみます。腹部に超音波を当て、表面をなでるように動かす腹部エコー検査は、沈黙の臓器と称される肝臓の異変を発見できます。肝臓ガンの疑いがある場合、造影剤を用いて連続して画像を撮影するダイナミック造影CT検査などを経て確定診断し、治療方針を決定します。

転移でできたものではない肝臓ガンの94%を占める肝細胞ガンでは、腫瘤の個数や大きさ、肝機能の数値によって適切な治療法が異なります。

腫瘤が3つ以下で肝機能がよく、術後も十分に肝臓が残せる場合には手術によってガンを取りきることが最も根治の可能性が高いと考えられます。一方肝機能が低下している状態で外科手術をすると肝臓が負担に耐え切れず、肝不全を起こしたり腹水が溜まってしまうリスクが高くなります。

3個以下でもすべて3センチ以下なら、ラジオ波焼灼療法も選択肢になります。体内に針を刺して先端に電流を流し、ガンを焼く治療法で、外科手術より身体の負担が少なくて済みます。

さらに4つ以上ガンがあって手術でもラジオ波でも治療が難しい場合には、肝動脈から抗がん剤を投与する冠動脈化学塞栓療法が行うことができます。検査でガンが見つかっても手術が必要かどうかは、他の様々な条件を加味して判断することが必要です。

これは他の部位のガンや、がん以外の重大疾患でも同様です。今までガンが見つかるとまず手術で除去するが最優先で、それが当然の治療法とされてきました。しかし最近は手術ということが、身体に与える負担がかなり大きいということで見直しが進んでいるようです。

特に私のような高齢者になると、傷の治りが遅くなったり、負担による影響が大きくなってしまいます。もちろん状況によって異なりますが、身体にとって異物であるガンについても、共存していく方法が選択肢として出てくる時代となったような気がします。

ガン10年生存率を発表

2020-03-29 10:23:45 | その他
全国ガンセンター協議会は、2003〜06年にガンと診断された人の10年後の生存率を発表しました。

大腸や胃などガン全体で57.2%で、昨年調査した2002〜05年の結果(56.4%)より0.8ポイント改善しました。

部位別では前立腺は100%に近かったのですが、膵臓では5.3%と最も低い値でした。なおこの組織(全がん協会)は国立ガン研究センターを中心に日本の中核的なガン専門医療施設が、ガンの予防・診断・治療などの向上に資することを目指して1973年に設立されました。

現在では全国のガン専門医療機関32施設が加盟するネットワークとして活動しています。10年生存率の公表は今年で5回目で、全がん協会加盟の19施設、約8万人分の患者情報を分析しました。

部位別では前立腺ガン(97.8%)、乳ガン(85.9%)、甲状腺ガン(84.1%)が高く、胆嚢胆道ガン(18.0%)、肝臓ガン(15.6%)、膵臓ガン(5.3%)が低い結果となりました。

10年生存率をめぐっては、初公表した1999〜2002年の53.9%から毎年改善しています。今回分析した千葉県がんセンター研究所は、ガン患者が増えるなか、医療技術の進歩が生存率の延長に着実に結びついていると推察しています。

ただ私は、この程度の伸びはガンの早期発見が進んだためで、完全な治癒率はそれほど上がっていないような気もします。ただガン患者の高齢化も進んでいますので、10年という期間は患者の寿命との関連もありなかなか難しいところです。

また2009〜11年に診断された人の5年生存率について、全国32施設、約14万人分の患者の情報を分析したところ、昨年より0.5ポイント改善して68.4%でした。部位別では前立腺ガンが100%、乳ガンと甲状腺ガンが90%を超えましたが、胆嚢胆道ガン、膵臓ガンは30%未満でした。

ガンの生存率は、ガンと診断された患者が一定期間生存する割合で、治療効果を判定する指標となります。ガン以外の病気や事故によって亡くなる割合を取り除いた「相対生存率」が主に使われています。

治癒の目安とされる5年生存率のほか、治療成績の良いガンでは長期に再発などを見る必要があり、10年生存率が重要な目安となっています。従来5年生存率でいろいろ議論されていましたが、これは手術での取り残しなどの技術的な問題を見る指標といえます。

わずかなガン細胞が残ってしまうと、2,3年で再発しますので、5年生存すれば、最初の治療が成功といえるわけです。

現在ではこの手術によるガン細胞の完全除去がほぼ可能となってきましたので、次の転移・再発を見るために10年生存率が重要となっているようです。

「酔っ払い」の消える日

2020-03-28 10:25:41 | その他
酒類の消費量が減少しており、厚生労働省の調査によれば「ほとんど飲まない・飲めない」人の割合は、2007年と2017年を比べると、20代男性が約4割から約5割、30代男性が約3割から約4割に増えています。

特に若者の酒離れが進み、飲酒習慣も喫煙習慣のようにマイノリティのものになるとも言われ始めています。

私はほぼ毎晩、寝る前に酒を飲んでいますが、飲み会などでもあまり飲めなくなったのは、歳のせいという事のようです。酒を飲んでは他人に迷惑をかけることを繰り返しながら、それでも飲酒の習慣をやめられないという酒好きもおり、依存度の高さも懸念されています。

加えてアルコール依存症の自覚のないまま、飲酒を続けているケースも非常に多いようです。アルコール依存症と診断が下される人の内、専門機関を受診するのはほんの5%程度で、潜在的には非常に多くの患者がいるといわれています。

生活が破綻して病院に来る重症の患者もいますが、症状が軽い場合社会生活が十分営めており、自分がアルコール依存症だと自覚していない患者もいるようです。

飲み会でトラブルを起こしたことがあり、酒のコントロールが効かなくなることも分かっているが、自分は大丈夫だと思っていたりする場合も多いといいます。

アルコール依存症には診断基準があり、WHOの「ICD-10」に定められている6つのチェックリストに当てはまるかどうかで診断をします。例えば「アルコールを摂取したいという強い欲望あるいは強迫感」の有無や、「明らかに有害な結果が出ているのに、依然としてアルコールを使用する」といった状態になっていないかという事を診ていくようです。

こうしてアルコール依存症と診断された患者に対しては、酒が抜けるときの不快な離脱症状を和らげるための薬を処方しながら、一旦身体からアルコールを抜き、飲みたいときにも飲まないようにする方法を考えるなどして、段階的な治療を行っていきます。

ただアルコール依存症の患者は、一旦身体から酒を抜いてもやはり飲んでしまうを繰り返すようです。最近では完全に飲酒習慣を断ち切る治療法だけではなく「減酒」という選択もあるといいます。

このようにアルコール依存症に近い人いる一方で、若者の酒離れは進んでいることは確かです。我々のころは先輩などから誘われると断りにくい風潮がありましたが、現在では断ることに抵抗がないようです。

このように若いころから酒を飲む習慣が亡くなれば、その後アルコール依存症になることも減りますので、街中から「酔っ払い」の姿が消える日も近いのかもしれません。それはそれでやや淋しいような気もします。

ガン細胞の免疫のブレーキ

2020-03-27 10:33:45 | 健康・医療
ガン細胞への免疫療法が始まりましたが、なぜガン細胞は免疫にブレーキをかけてしまうのかを述べてみます。

生物の免疫システムは非常に精密なものであり、異物を排除するすばらしい仕組みを持っています。これが何となくわかりにくい理由は、免疫細胞の名前がややこしいというのもあるような気がします。

免疫を担当する細胞のひとつにT細胞があり、中でもキラーT細胞はガン細胞を破壊する能力を持つことが知られています。ところが通常はこのキラー細胞は、ガン細胞を攻撃することができません。

キラーT細胞の表面には、T細胞受容体というタンパク質が突きだしています。このT細胞受容体で非自己の抗原、つまりガン細胞などを認識します。T細胞受容体は遺伝子の再構成によって、抗体のような多様性を持っています。

したがってガン細胞がどんなに変化しても、その細胞を認識するT細胞受容体が必ず存在します。そこでガン細胞は、キラーT細胞から逃げるのではなく、別の手段を使ってキラーT細胞から攻撃されないようにしています。

キラーT細胞の表面には、アクセルやブレーキの役目をするタンパク質があります。そこでキラーT細胞に捕まったガン細胞は、キラーT細胞のブレーキを踏むことになります。

ガン細胞がキラーT細胞に見つかったというのは、キラーT細胞の表面に突きだしているT細胞受容体が、ガン細胞の一部に結合した状態を意味します。そこでガン細胞は、キラーT細胞の表面に突きだしているPD-1というタンパク質に、PD-L1というタンパク質を結合させます。

このPD-L1はガン細胞の表面に突きだしているタンパク質で、ブレーキを踏む足に相当します。PD-1にPD-L1を結合させれば、キラーT細胞の働きは弱まり、ガン細胞を攻撃しなくなります。

つまりガン細胞はキラーT細胞に捕まっても、ブレーキをかけてしまうことになるわけです。このブレーキを踏ませないようにするために、PD-1の抗体を使って蓋をしてしまうのがオプジーボのような免疫療法剤となるわけです。

しかしここで大きな問題があると私は思っています。それはこのPD-1は、ガン細胞に特異的ではなく正常な細胞も持っている、自己と非自己を認識させるためのシステムだからです。

キラーT細胞が正常細胞を認識してしまっても、このシステムによって守られていますが、これがうまく作動しないと自己免疫疾患となってしまうのです。

つまりオプジーボのような免疫療法剤は、重篤な自己免疫疾患を誘発させる可能性という副作用が常に付きまとっています。この辺りをどう解決するかが大きな課題といえるでしょう。