ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
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コレステロール値と脳梗塞・心筋梗塞の関係

2024-03-31 10:36:24 | 健康・医療
このところ健康診断での血液検査の数値を取り上げていますが、基本的には一喜一憂するほどのものではないと思っています。

ここではHDLコレステロールとLDLコレステロールを取り上げますが、職場検診や特定検診などの必須項目になっています。これら2つと中性脂肪が高いと「脂質異常症」といわれますが、すぐに何かの危険が迫っているというわけではありません。

しかし動脈硬化が進みやすくなるため、徐々に脳梗塞や心筋梗塞のリスクが上昇します。HDLコレステロールは「善玉」、LDLコレステロールは「悪玉」と覚えている人も多いと思いますが、基本的には間違っていません。

悪玉は低い方が良く、善玉コレステロールは高い方が良いと押さえておけば、健康管理の上で特に問題はありません。コレステロールという物質は科学的には1種類で、HDLやLDLといった区別はありません。

中性脂肪はタンパク質などと結合しいて、リポプロテインと呼ばれる粒子を形成していますが、この粒子は複雑な構造をしています。

中性脂肪などの塊を核とし、その周りをリン脂質とコレステロールの層が囲い、さらにその外側をアポリポプロテインというタンパク質が覆うという、3重構造をしています。リポプロテインの比重は、コレステロールの含有量によって異なっています。

含有量が少ないと高比重、多いと低比重となります。そして高比重の物をHDL、低比重の物をLDLと呼んでいます。LDLの比重は水の1.02〜1.06倍、HDLのほうは1.06〜1.20倍で、遠心分離機によって分けることができます。

LDL粒子に使われているのをLDLコレステロール、HDL粒子に使われているものをHDLコレステロールと呼んでいるにすぎません。コレステロールはリン脂質とともに、細胞膜の材料として使われます。

また各種ホルモンやビタミンDの原料になったり、脂肪の消化吸収を助ける胆汁酸に使われたり、人体になくてはならない物質です。しかしHDLとLDLのバランスが崩れると、健康上の問題が生じ、とくに脳梗塞や心筋梗塞が問題です。

脳関連では脳出血と脳梗塞が、コレステロールと深く関係しています。コレステロールが不足すると、血管が弱く破れやすくなり脳出血を起こしやすくなるのです。

LDLコレステロールが過剰でHDLが少ないと、動脈硬化を起こしやすくなり、それが脳梗塞の主な原因であることが明らかになってきました。

ここでは何故LDLが悪玉でHDLが善玉になるのかは分かりませんが、ヒトの身体はこういった物質の微妙なバランスの上になり立っていることは確かなようです。

糸状菌や放線菌など人類と菌類の関係

2024-03-30 10:35:38 | 自然
最近紅麹のサプリメントによる健康被害が大きく取りあげられています。

この原因はまだはっきりしていないようですが、紅麹は糸状菌ですので、突然変異で有害物質を作ってしまう可能性はあるような気もします。

こういった菌類と人類の関係はうまく利用していると言えるような気がします。まず大きな発見はペニシリンなどの抗生物質でしょう。ペニシリンは、パンなどに繁殖するアオカビ(糸状菌)が作り出す物質で強い抗菌作用があります。

このように微生物が作り出す抗生物質は、多くの医薬品のもとになっています。特に結核に対しては、1943年に放線菌が作り出すストレプトマイシンが発見されたことで、多くの結核患者の命が救われることになりました。

またカビの糸状菌は、衣類や建物に生育して汚染することから嫌われていますが、洋の東西を問わず古くから味噌、醤油、チーズなどの発酵食品を作る際に活用されてきました。発酵過程から得られる多種多様なアミノ酸や酵素が、医薬品や健康食品などに使われるようになっています。

逆に人類にとって有害なものが、糸状菌が二次的に作り出すカビ毒(マイコトキシン、真菌毒)で、これは数百種類もあり厚生労働省はその主なものに規制値を設定しています。こういった抗生物質やカビ毒を何故作るかはいろいろと考察されています。

ひとつには抗生物質を作ると他の菌類を殺すことができるため、自身の繁栄に有利という説もあります。しかしこれは結果論であり、単に突然変異によって作り出されていると思われます。突然変異はその名の通り偶然の変異であり、目的を持った変異はあり得ません。

その菌にとって必要な生体物質を作り出す酵素遺伝子に変異が起こり、若干変わってできたものが抗生物質でありカビ毒となったにすぎないと思っています。

さて最初の紅麹菌は、発酵すると二次的にカビ毒のシトリニンを作り出すことが知られているようです。日本を含むアジア諸国で食品の着色料や肉の保存、発酵食品などに活用され、最近ではコレステロール値を下げる機能があることでサプリメントなどにも使われるようになっています。

シトリニンは加熱しても毒素は亡くならないため、これまでも健康被害が多く起き、その制御が問題になっているようです。

今回の紅麹の死亡を含む健康被害が、この物質によるものかは分かっていませんが(たぶん違うような気がします)、所詮自然の微生物製剤ですので、予想外の現象が起きてもおかしくないような気がします。

人類はカビや放線菌を使い活用してきましたが、これらの菌類が作り出す物質にはメリットとデメリットがあることを認識しておく必要がありそうです。

これだけ惑星があるのになぜ水は地球にだけ多いのか

2024-03-29 10:36:44 | その他
このブログでも何度も書いていますが、私は宇宙にはほとんど興味がありません。

ただ地球という惑星は異様に水の量が多いのですが、なぜこんな現象が起きたかには興味があります。生命の誕生にはたぶん水が必須だったと思われますが、そういった点でも面白い現象と言えます。

実際に太陽系の惑星の中でも、地球以外には水はほとんど存在していません。これは各惑星の温度や質量など微妙な問題のようです。地球は地表の71%は海水で覆われており、その平均の水深は3729mにもなります。

この海水が地表にある水の96.5%を占めています。そして地下水として1.7%、氷河として1.74%の水があり、その他に湖水や河川水や大気中の水蒸気などがあります。

地球近傍の宇宙空間では、水は氷ではなく気体となっています。氷であれば凝集して大きくなるので地球の引力で引きつけることができますが、地球の重力では気体の水を引き付けることはできません。

地球に水が集まった理由についての最も有力な説は、隕石中の粘土鉱物中にある水が地球の水の起源になっているというものです。実際に地球に落下した隕石を観察すると、たくさんの水を含む粘土鉱物(邪紋石、滑石、サポナイトなど)があります。

これらは低温で水と反応してできた鉱物です。ナノ粒子の粒間にある水が地球の水の起源になった可能性もあります。宇宙空間での気相から個体が凝集することを模した実験では、ナノ粒子ができています。

現在の地表にたくさんあるナノ粒子は、粒間に多量の水を含んでいます。ナノ粒子は、数ナノメートルほどの粒状の物質で、ナノ粒子とナノ粒子の間に水が入っています。このナノ粒子は非晶質のために分析が困難であり、最近になって地球の表面にも多量に存在することが分かってきました。

この様なナノ粒子が地球に降り注ぎ、多量の水を地球にもたらした可能性もあります。あるいは、スノーラインの外側でできた氷が地球に飛んできたという説もありますが、地球近傍では温度がマイナス80℃よりも高いので気体に変化してしまい、地球の重力では気体の水を引き付けることはできないと考えられます。

以上のように地球の大量の水は、宇宙空間から飛来したというのが主な説になっているようです。しかし前述のように、これだけ大量の水が鉱物などに付着していたものとするにはあまりにも多いような気がします。

素人考えですが、地球になぜこれだけの水があるのかは、まだまだ謎の域を出ていないような気もしています。

「脳へ転移」したガンを治療する方法

2024-03-28 10:37:28 | 健康・医療
ガンは色々な臓器に転移することが知られていますが、肺ガンは脳に転移することが多いようです。

金沢大学の研究グループが、肺ガンが脳に転移するメカニズムを解明し、治療法などの開発につながる成果を発表しました。

肺ガンは診断時に脳への転移が見つかることが多く、脳へ転移したケースの約半数が肺ガンと考えられています。

肺ガン以外では、前立腺ガン、乳ガン、腎臓ガン、メラノーマなどが脳へ転移することが多く、ガンの治療法が進化発達し、生存期間が長くなるにつれて脳転移の発生率が増加しています。

化学療法に使われる抗ガン剤は血液脳関門を通過しにくいため、脳へ転移したガンに対しては外科的な手術や放射線治療が行われますが、これらの治療には手術の困難さや副作用の等の危険性があり、患者に大きな負担を強いることになります。

金沢大学の研究グループは、肺ガンが脳に転移するために必要なタンパク質を同定し、脳転移のメカニズムを解明することに成功し、その成果を学術誌で発表しました。脳には白血球が入らないため、グリア細胞の一種であるミクログリアが脳内での免疫機構の役割を担っています。

研究グループは、MGS法というグリア細胞の培養法を開発し、ガン細胞とグリア細胞との相互作用を長期間安定して解析することができるようにしました。

この手法を用いることで、ガン細胞を死滅させ、腫瘍細胞に対する強い食作用を持つミクログリアが脳内にあること、脳転移したガンに対しこのミクログリアの制御が重要であることが分かりました。

また研究グループは、肺ガンのガン細胞が脳へ転移する際に重要な役割を担うタンパク質(mGluR1)を同定しました。このタンパク質は、シナプス伝達に関係していることが分かっていましたが、本来肺ガン細胞がこのタンパク質を作り出すことはありません。

しかし脳へ転移した肺ガン細胞は、アストロサイトと相互作用することでこのタンパク質(mGluR1)を作り出せるようになります。

肺ガン細胞はこのタンパク質を利用し、このタンパク質が細胞の増殖に重要な役割を果たす受容体(EGFR)と脳内の神経伝達物質を介して結合し、活性化させることで肺ガン細胞は脳の中で増えていくことができるようになることが分かりました。

オシメルチニブという分子標的薬は、この受容体を阻害し肺ガン細胞の増殖を抑制できる有効な治療薬ですが、耐性ができてしまい治療ができなくなることがあります。

研究グループは、このタンパク質(mGluR1)を阻害することで、オシメルチニブが有効に作用するようになることも明らかにしました。

研究グループは今後、脳へ転移したガン全般の治療に役立つことのできる治療法の開発につなげていきたいとしています。

新型コロナ治療薬に「有用性なし」の評価

2024-03-27 10:32:12 | 
私は新型コロナで間質性肺炎で入院した時は、点滴でコロナ薬を投与されていましたが、3,4日で終息したようです。

最近厚生労働大臣の諮問機関である中医協から衝撃の発表がありました。新型コロナによる重症化(入院や死亡)を防ぐ薬として、国内で既に1600億円以上を売り上げている、「ラゲブリオ」に対し「費用増加」との評価が下されたのです。

この言葉はあまり聞きませんが、このクスリを使っても「新型コロナによる入院や死亡のリスクは一般的な治療と変わらず、余分なお金がかかるだけ」というような意味のようです。つまりコロナ薬としては、ほとんど効果が無いと言えるのかもしれません。

ラゲブリオは、日本で2021年12月に特例承認され、新型コロナ薬としてトップシェアを獲得し、今も診療現場で広く用いられています。目的は、新型コロナが重症化する要因(肥満や糖尿病など)を持つ人に投与することで、入院や死亡を防ぐことです。

それが「費用増加」、つまり解熱剤など一般的な治療に加えて使っても、入院や死亡を減らす有用性はないとされたのです。

ラゲブリオは、ウイルスが体内で増えるのを防ぐ働きがあり、日本を含む世界各国の170以上の施設で行われた臨床試験では、重症化しやすい要因を持つ人が感染してすぐ服用すると、入院や死亡を減らせるという結果が出ていました。

ラゲブリオはカプセル化されて「自宅で飲める」薬だったため、広く診療現場で使われるようになりました。1回の治療の薬価が合計で9万4000円という高価な薬剤ですが、5類に移行するまでは自己負担ゼロ、移行後でもおよそ1割(9000円)の自己負担で入手することができます。

ラゲブリオにはもともと、「現在の状況で本当に効果があるのか」を疑問視する声がありました。当初効果があることを示した試験の際に流行していたのは、デルタ株など毒性の強い変異株が中心でした。

また臨床試験の対象となった患者は、ワクチン接種しておらず、重症化リスクがそもそも高い人たちでした。2021年末から流行したオミクロン株以降の変異株は弱毒化し、入院や死亡率が低くなりました。また人口の大部分がワクチンを2回以上接種したことで、重症化しにくくなりました。

つまりラゲブリオは毒性が強いウイルスに感染し、しかもワクチンによる免疫を持っていない人の重症化は防げるが、重症化しにくい環境では、有効性に違いが出て来るのではないかという可能性が指摘されていたのです。

実際にヨーロッパでは、臨床試験で効果がなく、販売承認は取り下げになっています。それでも私のように重症化してまうこともありますので、どんな薬を使うのかは難しい問題と言えそうです。