ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

医師は医療の専門家なのか 続

2020-11-30 10:29:50 | その他
前回医師は、全ての医療について学び国家試験を通って資格を取得していますが、実際の診療科目を進むうちに自分の得意分野以外は、ほとんど知らないのではないかということを書きました。

少し前まで総合臨床医(ドクターG)というテレビ番組がありました。これは患者を診察した総合臨床医がどうやって正しい病名にたどり着くのかを、医師の卵である研修医と共に進めていくという内容でした。

ここに出てくる患者の病名は聞いたこともないようなものが多かったのですが、その過程はなかなか面白く楽しみにして見ていました。ここに出てくる総合臨床医は医療の専門家といえると思いますが、ほんの一握りのような気がします。

多くの医師は患者からの症状を聴き、非常に多くの検査をしてその結果から診断します。その状態が重篤であると判断すれば、専門病院や大きな病院に紹介状を書くという流れになり、自分で診断する必要がないわけです。

軽症の場合は、診断が確定できない場合、薬によって診断するという手法が使われるようです。これには2つのケースがあり、そのひとつが検査結果の異常値に対処する方法です。

現在は非常に多くの検査項目がありますので、健康な人でもすべてが正常値という人は少ないでしょう。何らかの症状が出て病院に来るような人はどこかに異常値があり、それが症状に結びつくかは別にして薬を処方するわけです。

もうひとつ検査結果が出るまでに時間がかかるような場合は、とりあえずよく使う薬を処方しておくというものです。

このような処置でも病院に行って薬をもらって飲んだという安心感から、プラセボ効果(偽薬でも効果が出る)以上の結果が出て、20~30%程度の患者は症状が良くなるまたは消えてしまうという効果が出ます。

またこの薬がたまたまあっている場合も20%程度はありそうです。つまり医師が正確な診断をしなくても半数程度の患者は改善してしまうわけで、これが医師が専門家でなくともやっていける要因となっています。

近年は1年に数十種類の新薬が承認されていますが、こういった情報がどこまで医師(薬剤師も含めて)に伝わっているのかも疑問です。

大学病院や拠点病院のような大病院には、製薬会社のMRが詳しく説明(売り込み)していますが、一般の病院まではとても手が回りません。そのため昔ながらの薬をいつまでも使う医師が多くなってしまいます。

何となく医師の悪口のようになってしまいましたが、医師が医療の専門家ではないことを強調しました。むしろ何かを相談した場合に、医師というだけでその答えを無条件に信じてしまう我々の方に問題があるのかもしれません。

何か病気になった場合は、常にセカンドオピニオンを聞くくらいの意識が重要と思っています。

新型コロナと「日本脳炎ワクチン」

2020-11-29 10:25:51 | その他
日本では新型コロナウイルスの感染者数が累計で13万人を超え、このところ増加し続けています。

しかし死亡者数は2000人を超えてはいますが、人口100万人あたり15.7人と世界的に見て極めて少なくなっています。

累計患者数が1250万人を超え世界1位の米国では25万人以上が死亡していて、人口100万人あたり778.5人となっており、日本の死亡率は米国の50分の1ということになります。

なぜ日本では新型コロナによる死亡者が少ないのか、その要因は「ファクターX」といわれ、これまでBCGワクチン接種の影響、血圧を調整しているACE遺伝子のタイプの違いなどいくつも候補が上がっていますが、まだはっきりとは分かっていません。

そんな中新たな要素して、「フラビウイルス」が関わっているのではないかという説が出てきました。フラビウイルスはあまり聞いたことがありませんが、日本脳炎の病原体で蚊(主にコガタアカイエカ)によって媒介されます。

このウイルスに感染して日本脳炎を発症すると、45〜70%に重篤な後遺症が残り、20~40%が死亡するといわれています。日本では1960年代までに何度も流行したことから、ワクチン接種が普及しました。

この日本脳炎ワクチンが新型コロナにも有効な可能性があると説明しています。フラビウイルスはコロナウイルスと同じ「+鎖のRNAウイルス」です。

日本脳炎ワクチンによってフラビウイルスに対する免疫ができていると、新型コロナウイルスに対しても交差免疫が働き、重症化や死亡率を低減させるのではないかと考えられるようです。

日本と同じように日本脳炎ワクチンの予防接種が広く実施されている中国、韓国、ラオス、スリランカ、タイ、ベトナムなどは、実施していない国々とと比べて死亡率が低くなっています。

日本における日本脳炎ワクチンは、1954年から推奨接種が行われ、67年から76年には特別対応の予防接種、1995年からは集団接種から個別接種となっています。その後重篤な副作用との関連が指摘されたことで、2005年に接種が一時見合わせとなりましたが、安全性の高い新ワクチンが開発され、2010年からは接種の積極的勧奨が再開されています。

積極的勧奨の見合わせで接種を受けていないケースがあり、1996〜2007年度に生まれた世代は接種が不十分なようです。特徴的なことは、日本国内で北海道だけは長らく日本脳炎ワクチンの定期接種が行われていませんでした。

ウイルスを媒介する蚊が生息していないとされていたからです。北海道で定期接種が始まったのは2016年からで、それ以前の世代はフラビウイルスに対する免疫ができていません。

それでも北海道の新型コロナは若干多い程度ですので、日本脳炎ウイルス説を証明するほどではありません。

ファクターXが何であれ、日本の死亡率が低いことは良い傾向ですので、こういった研究の進展は興味が持たれます。

医師は医療の専門家なのか

2020-11-27 10:25:52 | その他
最近のテレビの情報番組は新型コロナを大きく扱い、どこを見ても同じようなこと言っている印象があります。

そういう時は必ずどこかの感染症専門医という医師が出てコメントしていますが、当たり障りのないことや本当に専門科かと疑うような発言も出ています。

現在は第3波と騒いでいますが、「withコロナ」という言葉があるように、コロナと共存しなければいけない時期になっている気がします。インフルエンザの場合は学校で増えれば学級閉鎖で対応し、社員がかかれば1週間程度の出勤禁止にするといったことで十分なような気がします。

テレビのMCがそういった方向に振ろうとしても、専門医はインフルエンザと新型コロナの差を滔々と述べ、コロナは感染防止を徹底すべき恐ろしい病であることを強調しています。

あくまでも私の意見ですが、インフルエンザの死者数は基礎疾患がありインフルエンザに罹患し悪化して死亡した場合は、基礎疾患を死因とするように徹底されています。ところがコロナは陽性であればすべての人がコロナを死因とされているようです。

噂ではコロナの死者数の80%は高齢で基礎疾患を持った人といわれていますので、インフルエンザと死者数を比較しても何の意味もないような気がします。

ここで医師たちは本当に医療の専門家かという疑問がわいてきます。確かに大学病院などの大病院で診療科目が非常に細かく分かれているようなところの医師は、その診療科については専門といえるでしょう。

例えばお腹が痛くなって眼科に行ったり、呼吸が苦しくなって皮膚科の病院に行ってもたぶん断られるでしょう。また周りの人も断られて当然と思うはずです。医師は自分の診療科については詳しく、他の分野はよくわからなくても当然と思われています。

しかし医学部の学生から研修のころまでは、全員が同じことを学び同じ行動をしています。医師の国家試験は診療科ごとに分かれているわけではなく、全員が同じ問題を解き、同じ医師という資格が与えられるわけです。

専門の診療科は医師が好みで決める物であり、医師になってから専門的なことを学ぶというシステムになっています。

ある程度大きな病院で勤務をしてからクリニックを開業する医師は多いようですが、この時何を専門にするかは開業する医師が決めてよいことになっています。

つまり国家試験ではどの診療科でもできるようになっていますので、極端に言えば整形外科と精神科と出すこともできるわけですが、まあこんな病院には患者が行きそうにありません。

例えば泌尿器科を専門としていた医師が開業するときには、内科という看板も出すはずです。そこに喉が痛い患者が行っても適切な治療が受けられないかもしれません。

長くなりましたので続きはまたの機会に書いてみます。

地球にやさしいバイオプラスチック

2020-11-26 10:27:22 | その他
日本でレジ袋が有料化されて4カ月となりました。私は猫ゴミなどにレジ袋が必須ですので、以前と同様に購入しています。

最近地球にやさしいバイオプラスチックが話題となり、普及し始めているようです。

「バイオプラスチック」は植物などの生物由来のものや、微生物によって分解されるプラスチックの総称です。最新の研究により、エコなはずのバイオプラスチックには、従来のプラスチックと同等の有毒化学物質が含まれていることが判明しました。

プラスチックはいわば環境の悪夢で、作るときに健康を脅かし地球を暖める汚染物質が放出されます。使い終わって処分するにも、その耐久性があだとなって自然分解されないため、非常に厄介なものとなっています。

毎年1000万トンものプラスチックが海洋に投棄され、海洋生物にとって有害な物質がばらまかれることになります。プラスチックはやがて微小なマイクロプラスチックに砕け、それをエサと誤認した生物が食べてしまい、最終的には人間の体内に入ってきます。

これらの認識が高まるにつれ、大企業は代替手段としてバイオプラスチックの開発に向かっています。最新の研究では、使い捨て食器や包装紙、炭酸飲料ボトル、ワインコルクなど43種類のバイオプラスチック製品を調査しています。

これらは植物や藻類などの有機物から作られたもので、時間に経過とともに生分解されるものおよびその基準を満たすものです。

研究チームはインビトロ・バイオアッセイと分光分析を使って43の製品を調査しました。調査の結果、1000種類以上の化学物質を含む製品が80%に上ることが判明しました。中には2万種もの化学物質が検出されたものもあったようです。

もちろんすべての化学物質が悪というわけではありません。しかし研究チームが素材の毒性をテストしたところ、バイオプラスチックや植物由来の素材にも従来のプラスチック同様の毒性を誘発することが分かりました。

さらにこの中には、内分泌活動を妨害する化学物質を含む恐れがあることも明らかになりました。過去の研究では、堆肥化可能または生分解性として販売されているバイオプラスチックでも、特定の施設でない限り分解が難しいものが多いことが分かっています。

結局この記事では、バイオプラスチックといっても安全ではないと主張したいようです。プラスチックと同等な危険性といっても実感はないのですが、バイオプラスチックはあくまで分解性の問題であり、安全性が同等であることは当然のような気がします。

プラスチック問題は色々取りざたされていますが、バイオプラスチックに代えることでは、プラスチック問題はほとんど解決しないことは分かっていたような気がします。 

新型コロナのワクチンの基礎

2020-11-25 10:45:06 | 
世界で流行が続く新型コロナウイルス感染症ですが、世界中で200以上のワクチン開発プロジェクトが急ピッチで進められています。
ここでは開発中のワクチンがどんなコンセプトで進められているのかの基礎を紹介します。

ワクチンは、病原体(病気を引き起こす細菌やウイルスなど)の特徴を前もって体の免疫システムに覚えさせるためのものです。

うまく免疫システムが病原体を「記憶」することができれば、体内に病原体が侵入した時にその記憶を頼りに、病原体を攻撃する「抗体」を多く作り出すことができます。

風疹ワクチンやインフルエンザなど、現代ですでにヒトに接種されているワクチンのタイプは4種類あります。どれもウイルスそのものやウイルスの構造の一部(タンパク質)を体内に投与することで、免疫システムにウイルスの特徴を覚えさせています。

まず第1が弱毒化ワクチンで、いわゆる「生ワクチン」と呼ばれるもので、生きたウイルスそのものを使う方法です。病気の症状が出ないように、毒性の弱くなったウイルスが使用されます。これは副反応として症状が出てしまう場合があります。

このワクチンは効果が持続しやすいメリットがあり、生涯で1〜2回接種するだけで十分効果が期待できるものもあります。このタイプは風疹や麻疹で実用化され、新型コロナも米国コーダジェニック社などが開発中です。

次が不活化ワクチンで、薬剤処理をして感染・発症する能力を失わせたウイルスを投与する方法です。弱毒化ワクチンに比べて副反応が少ない一方で、免疫が維持される時間は比較的短いとされています。

既にインフルエンザ、日本脳炎などがこのタイプで、新型コロナにもシノバック(中国)などが開発中です。

3番目が組み換えタンパク質ワクチンで、ウイルスの構造の一部(タンパク質)を培養細胞や酵母を使って生産し、そのタンパク質を注入する方法です。副反応は低いものの、ワクチンの効果を高める「アジュバント」という成分が必要となります。

実用例としてはB型肝炎や百日咳があり、新型コロナは塩野義(日本)などがこのタイプを開発中です。

4番目がウイルス様粒子ワクチンというものが開発されています。これは酵母などにウイルスの「殻」となるタンパク質だけを作らせるものです。この手法により子宮頸ガンワクチンが実用化され、新型コロナも英国などで開発が進んでいます。

新たな潮流として出てきたものが、遺伝子を利用した手法です。これはDNAやRNAをワクチンとして投与し、体内でウイルスタンパク質を作らせるという新しいタイプのワクチンです。最近ファイザー社が90%有効としているのは、RNAを使ったものです。

RNAは不安定なため、-80℃で管理する必要があり、輸送を含めたインフラ整備の問題も残ります。

こういった遺伝子ワクチンは開発スピードが速いのですが、初めての試みですのでどんな問題点が出てくるか不明という点が付きまとっています。