ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

突然死を招く狭心症のはなし

2021-10-31 10:15:04 | 健康・医療
半年以上前になりますが、友人の一人が「狭心症」と診断され入院しました。

特に手術などしなかったようですが、ひどい胸の痛みにおそわれたようです。心筋梗塞とは違うのか聞いてみましたが、どこが違うか本人も分かっていませんでした。そこで狭心症について調べ見ましたが、なかなか恐ろしい病気のようです。

狭心症とは心臓に栄養や酸素を供給する冠動脈が狭くなり、心臓を動かす筋肉に酸素や栄養分が届かなくなる病気とされています。心筋梗塞との違いは、狭心症は冠動脈が狭まった状態で血流がある状態をいい、通常15分程度で復活することが多い病気です。

心筋梗塞は冠動脈が完全に塞がり、血流が無くなるため自然回復は難しいというところが違うようです。狭心症には大きく3つの種類があります。

まず安定狭心症ですが、力仕事や運動をしたりすると、たくさんの血液を送り出そうと心筋が活発に動きますが、血管が細って血液供給が追いつかず胸の痛みなどの症状が出ます。毎回同じ程度の運動や、場合によってはストレスでも生じます。

次が不安定狭心症ですが、痛みが強くなったり発作の回数が増え、少しの動作や安静状態でも発作が起きるという痛みのパターンが変化します。これは冠動脈が急速に狭まりつつある可能性があり、救急車が必要なケースと言えます。

最後が異型狭心症で寝ている時や昼間の安静にしているときに胸痛発作を起こすものです。これは冠動脈が一時的に痙攣をおこして収縮し、血流が止まることによって起こるようです。このタイプはあまり動脈硬化がないのに起こることがあります。

狭心症の原因はほとんどが動脈硬化で、糖尿病、高血圧、高コレステロール血症などの要因で柔軟性を失い、硬くなることで発症します。

血管壁にコレステロールなどが溜まって、血管壁の内側にできた瘤が破れ、血栓ができて血管が塞がれてしまう状態が心筋梗塞です。

狭心症のリスク因子は、高コレステロール血症、高血圧、高尿酸血症、糖尿病、喫煙、肥満、ストレス、家族歴と言われています。つまり狭心症の予防は、動脈硬化を起こさないための生活習慣の改善が一番ということになります。

これは若い人の話で、高齢者になれば皆生活習慣病的な状態になります。従って狭心症を発症するかどうかは、その人の運のようなものだと私は考えています。

狭心症の症状は繰り返しになりますが、主に胸の痛みや締め付けられるような圧迫感です。痛む場所は主に胸の中央から胸全体にかけてで、重圧感、圧迫感、締め付けられるような感じを伴います。

ときには背中や上腹部、左腕の内側などが痛むことがあり、頸や顎に痛みが出ることもあります。この痛みは死を感じるほど厳しいようですので、発作が出たら速やかに受診することが必要と言えます。

なぜ日本で女性議員が増えないのか

2021-10-30 10:25:13 | 時事
衆議院議員選挙も大詰めを迎え選挙運動も熱が入っていますが、どうもいまいち盛り上がらないような気がします。

今回の総選挙は、2018年に「候補者均等法」が成立してから初めて行われる衆議院選挙です。この法律は、政党に男女の候補者をできる限り均等にするよう努力義務を課しています。

さらに2020年には男女共同参画社会基本計画が閣議決定され、2025年までに国政選挙の候補者に占める女性の割合を35%にする目標を設定しています。今回解散された衆議院では女性議員の割合は約10%でしたが、これを増やすような女性候補者数にはなっていません。

今回の総選挙に立候補した1051人の候補者のうち、女性は186人で比率としては17.7%に留まっています。この比率は前回2017年の衆議院選挙から変わっていません。

ここで政党ごとの女性候補者の比率を見ると、自民党が9.8%、公明党7.5%、立憲民主党18.3%、共産党35.4%、維新14.6%、国民民主党29.6%となっており、政権与党の女性比率が低くなっています。

自民党は公認候補も多いので、自民党が女性候補者の擁立に消極的であることが平均値を下げるとともに、女性議員が増えない原因となっています。自分たちで法律まで作っておきながら、その趣旨を生かそうとする態度が全く見えないことは、与党を攻めるべき状況といえるでしょう。

ただこれにはある程度やむを得ない部分があるといってしまうと実も蓋もないのですが、現実問題としては推進できない事情もあります。当然ですが、与野党問わず前職の議員を候補者に推薦します。

これはそれまでの実績や知名度など考えれば、当選の確率を上げる意味での確実な選択といえます。前議員が引退でもすれば、その後継者として女性の候補者に変えることは可能ですが、前議員を候補者から降ろし、代わりに女性候補者を立てることは実質的にあり得ないような気がします。

この辺りはまず比例代表候補のほうが可能性があるような気がしますが、今回の自民党の新人比例代表候補者36人のうち、女性は6人しか入っていません。また小選挙区の場合はさらに少なく、35人の新人候補のうち女性はたった3人しかいません。

前議員の推薦となるのはやむを得ないとしても、こういった新人候補者は女性を増やす良い機会であるにもかかわらず、この状況というのは自民党に大いに反省してほしいところです。

この辺りは有権者も積極的に女性を応援すれば少しは変わるのかもしれませんが、政党政策ではなく女性に投票するというのは本末転倒のような気もします。

結局この構図で選挙が行われる限り、女性議員を増やすことはできない気がしますが、国政ではなく地方議員の選挙から変えることが重要なのかもしれません。

睡眠時間の短さは認知症のリスク

2021-10-29 10:27:54 | 健康・医療
寝ている間にも脳はある程度活動し、記憶の整理などをやっていることは知られています。

それと共に脳内に蓄積した老廃物(アミロイドなども含む)も除去していることは推測されていましたが、この通り道であるリンパ管は最近まで見つかりませんでした。

体内では不要になったタンパク質や脂肪、その断片などの老廃物は細胞外に排出されます。老廃物は細胞と細胞の間を満たしている体液(細胞間質液)の中に出ます。細胞間質液は元々血管から染み出た血液成分なので、次から次へと供給されます。

老廃物を含んだ細胞間質液は押し流され、体中に張り巡らされたリンパ管を通って最終的には血管に戻され、腎臓を経て尿や便の中へと排出されます。これが体内の老廃物の除去ですが、脳内でも当然同じようなことが起こっているはずです。

ところが長い間脳内でそれらしきリンパ管は見つかりませんでした。脳には大きく分けて「神経細胞」と「グリア細胞」の2種類の細胞があります。そのうちグリア細胞が脳内の動脈の周囲を包み込み、血管の外側に狭い隙間を作っています。

脳を包む液体(脳脊髄液)がこの隙間を伝って脳の細胞に入り込み、神経細胞の周囲にリンパ液としてしみだして、老廃物を洗い流しています。老廃物を含んだリンパ液は、やはりグリア細胞によって静脈の周囲に作られた隙間に沿って脳外へと流れ出るのです。

2010年になりロチェスター大学の研究チームが、この脳内のリンパ系が主にグリア細胞で作られていることを発見し、「グリンパティックシステム」と命名しました。

さて睡眠と脳内のリンパ系の働きが、密接にかかわっていることも明らかになっています。

脳は神経細胞やグリア細胞、その他の組織などで埋め尽くされているため、なかなかリンパ液が流れにくくなっていますが、睡眠中には神経細胞間の隙間が大きく広がり、脳内リンパ液が流れやすくなることが分かりました。

睡眠中に細胞の体積が縮む様なのですが、このメカニズムはまだ分かっていません。その後の研究で、深く眠った時に脳波活動が遅くなることや心拍数が低下することが、脳内のリンパ液の流れを活発にすることも分かりました。

アルツハイマー病の患者を対象にした臨床研究で、アミロイドの濃度が睡眠時間が長いほど低くなることが分かりました。つまり睡眠によってアミロイドを効率よく洗い流せていることを意味しています。

このようにグリンパティックシステムの発見により、睡眠中にアミロイドなどの老廃物が起きている時よりもよく排出され、認知症の予防にも十分な睡眠に効果があることが分かりました。

若い時から睡眠習慣を正すことが必要なようです。

体内で溶けて消える「ペースメーカー」を開発

2021-10-28 10:27:11 | 健康・医療
不整脈などの心臓疾患がある場合は、ペースメーカーによって心臓の正しい鼓動を助けることは知っていましたが、これは生涯に近い長期間使用するものです。

従って体内で溶けるペースメーカーの用途がよく分かりませんでした。心臓の切開手術後にみられる一過性の機能不全を補う働きをする一時的なペースメーカーも存在するようです。

皮膚を通じてリード線を引き、電極を心臓内に挿入すると心臓の筋肉が電極を包み込んでしまいます。問題は不必要になった時、この電極を取り外す際に、傷を心臓に残してしまうことや、除去手術が出血や感染症を招く恐れもあることです。

ノースウエスタン大学の研究チームは、役目を終えた後に溶けて消える「時限的」ペースメーカーの開発を2021年6月に発表しました。

この装置は小さな金属製のコイルアンテナを介して無線で電力を受け取り、さらに小さな電極へと振動を送って心臓の働きを助けます。電気部品はすべて生体適合性を備えており、3か月以内に患者の体内に吸収されてしまいます。

以前からある種のポリマーや鉄、タングステンといった一部の金属は、無害なまま自然に人体に吸収されることは知られていました。しかし医療用電子機器を作るには、金属やプラスチックの他にプログラム化されてデータの入出力を正しく管理する半導体が必要となります。

研究チームは各種シリコンの薄膜を調べたところ、ある種のシリコン部品は水に浸しておくと姿が見えなくなることに気づきました。この発見から傷ついた組織に電気信号を与えて神経の再生を促す薄いシートを作成しました。

これはラットを使った実験で、正常に作動した後体内に吸収されることを確認しました。これによって研究チームは、一時的なペースメーカーを使わずに心拍の遅れを改善できる可能性を見出しました。

電気接点に使われているのはタングステンとマグネシウムの混合物で、電力は同素材のフラットなコイルアンテナを介してワイヤレスで供給されます。

その他も心臓の拍動に合わせて安定性と柔軟性を併せ持つ装置の開発など多くの問題点がありましたが、シリコンの厚さを調節する、接着性ヒドロゲルを使用するなどで解決することができました。

研究チームはこの装置を心臓のサイズが小さいラットやマウス、中くらいのウサギ、人間とほぼ同じサイズのイヌで試験しましたが、全てで心拍をコントロールでき、その後体内に吸収されました。

このような装置は人間の体内における安全性と有効性を実証するために、他の医療機器より多くの試験を実施する必要がありますが、研究チームは3年後には臨床試験を開始したいとしています。

今回の発表は皮下のさまざまな電子医薬品の土台を築くものとして期待されているようです。

薬の副作用についての考え方

2021-10-27 10:25:06 | 
私は長年医薬品の合成研究を行い、このブログでも「薬」をカテゴリーとして取り上げ多くの記事を掲載してきました。

ここではそういった薬の副作用について例を上げながら考えてみます。ほとんどの薬が、体内の酵素や受容体に結合しその活性を阻害したり活性化することで効果を発揮します。

副作用というのは、多くはその薬剤が目的とする物以外に結合したりして、治療効果以外の作用を出してしまうためと説明されています。

そこでよく使われる薬として、降圧剤の中のACE阻害剤について考えてみます。これはアンジオテンシン変換酵素阻害剤で、生体内物質で血管収縮作用のあるアンジオテンシンを作らなくさせる薬です。

この副作用としては、めまい、頭痛、眠気などが記載されていますが、ごく稀ですがそのほかの重篤な副作用も報告されています。アンジオテンシンは腎臓に作用して、血管中の水分を増加させることでも血圧を上げることが知られています。

この血管収縮作用は、急に寒い所へ出たときやぞっとした時など、寒気を感じたときに発現します。このACE阻害剤を飲むと確実に血圧は下がりますので、アンジオテンシンは常に何らかの作用をしているということになります。

ヒトの身体にとって必要な生理活性物質ですので、長期間服用するとこの酵素を通らないルートで作るようになります。つまりだんだん薬の効果が無くなってくるのです。このように体に必要な物質をなくし、血圧を下げることで何か別な影響は出ないのでしょうか。

もちろん医薬品の開発にあたっては、動物実験で副作用が出ないかは念入りにチェックします。また臨床試験では被験者数はあまり多くありませんが、そこで当然副作用も調べています。

実際に実用化されると何万、何十万の患者に使用されますので、発売開始から副作用情報を集め、それも含めた副作用情報を更新していきます。従って発売後1年以上たてば、ヒトに対しての副作用は大体わかり、重篤なものがないことも証明されています。

つまり安全な医薬品であるといえるわけです。しかし体内の必須の物質をなくしてしまうことで、症状としては出ないような作用が出る可能性は高い気がします。

良く鳥肌が立つといいますが、この鳥肌はアンジオテンシンの作用です。鳥肌が立つことが無くなっても問題なさそうですが、本当にそうなのか疑問が残ります。

アンジオテンシンの作用など調べてもなかなかわかりませんが、医薬品というのは常にそういった危険性があるものと認識する必要があるのではないでしょうか。特に生活習慣病の治療薬は、長期間服用するケースがほとんどです。

その薬が効かなくなるまでの期間、ある必須の物質や必要な受容体の作用を抑えることは本当に体のためになるのか疑っています。