ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

ガン化学療法剤の副作用とその兆候

2022-06-30 10:29:19 | 
かみさんの友人に胃ガンが発見され、胃の3分の2を切除した手術が終わった後抗ガン剤治療をすることになりました。

現在の抗ガン剤は分子標的薬など色々なメカニズムのものが開発されていますが、まだ主流はガン細胞の分裂時に作用して殺すものです。残念ながらこのタイプの抗ガン剤はガン細胞と正常細胞をあまり区別しているわけではありません。

ガン細胞は非常に速やかに分裂しますので、その時に作用しますが正常細胞も遅いものの分裂する細胞も存在しています。そのため細胞分裂が比較的活発な毛母細胞や免疫細胞にも作用し、抜け毛や血小板減少などの副作用が出てしまうことになります。

もう30年も昔のことですが、私の所属するグループで当時使用されている抗ガン剤の副作用を抑えるように、化学修飾するという研究がスタートしました。この時どのくらいの毒性かを調べてもらったところ、非常に強いという結果が出ました。

そこでその抗ガン剤を扱うときは換気の良い場所での専用の秤を使い、マスクと手袋するということになりました。この研究は実験後の処理も非常に煩雑になるため、短時間で中止になってしまいましたが、この時以来抗ガン剤は恐ろしいものという感覚が付いてしまいました。

さて最近標準的に使用され乳ガンなどに適用になっている「アントラサイクリン系」の抗ガン剤に心不全などの心臓病が引き起こされる副作用があるという記事を見ました。

この抗ガン剤は50年以上前から使われてきた実績があり、ガン治療に欠かせない重要な薬のひとつです。また心臓の筋肉細胞にダメージを与える副作用も知られており、症状が表れるタイミングは1年以内が多いですが何年もたってから発症することもあるようです。

アントラサイクリン系の場合、薬の投与量が増えるほどリスクが高まるため累積投与量の上限も決まっていますが、この値以下で発症する場合もあります。

血液循環が悪くなり息切れやだるさなど、全身症状が出る心不全に至ることも稀ではなく、その後の経過も非常に悪いことが知られています。早期発見には超音波検査や血液検査で心臓の機能に異常がないかを確認することが重要になります。

検査のタイミングや頻度は、ガン治療の内容や高血圧、放射線治療歴の有無によって異なります。こういった症状は現在注目されている「分子標的薬」と呼ばれるタイプなど、他の抗ガン剤でも同じような副作用が出ることが知られています。

やはり患者側もこういった副作用があることを理解し、息切れやむくみ、体重増加などがあればすぐに検査をすることで早く見つけられる可能性があると指摘されています。

ガン細胞も同じヒトの細胞ですので、これを抑える薬には副作用がつきものですが、どう対処するかは難しい問題といえそうです。

新型コロナワクチンの4回目接種はあるのか

2022-06-29 10:27:05 | 健康・医療
新型コロナの感染者数は、先週同日比を若干上回る日が続いており、これが増加の前触れかまたはこの程度の数がずっと続くのか気になるところです。

海外ではマスクもつけず感染対策は無くなったようですが、日本でもマスコミの取り上げ方は低調であり、コロナが普通の風邪と認識する方向に動いているのかもしれません。

先週欧州医薬品局(EMA)から、頻繁にブースター接種を繰り返すと、かえって免疫が低下するという報道がされました。これについて日本の免疫にも詳しい専門家が解説していますが、その真意は若干異なっているようです。

重要な点として、EMAはワクチン接種を推奨しており、ワクチンが危険であるといいたいわけではなさそうです。海外のメディアも繰り返しワクチンを接種することについては、ワクチン戦略として持続性に懸念があると報道しています。

つまり国民全員にワクチンを接種するための費用や時間、手間を考えると、とても継続してできるようなものではないということのようです。また感染症対策としてワクチンだけでよいのかという根源的な疑問もあります。

私はワクチンは2回接種すれば、そのウイルスに対しては一生続く免疫が確立できるものであるということを、このブログでも何回か書いています。

免疫は身体が繰り返しウイルスやワクチンの成分にさらされると、免疫は洗練される効果があり、感染やワクチンによって体内に作られる抗体は「成熟」します。抗体はスパイクタンパク質に馴染みのいい形に体内で変わり、抗体以外の免疫も同様の変化が考えられます。

ただし繰り返すと免疫が「過剰な誘導」、つまり多く誘導されてしまうことによって免疫に異常が生じる可能性があります。質の異常は誘導された免疫が、自分の身体を攻撃してしまうようになる可能性があります。

今回のワクチンの副反応としてみられる心筋炎は、おそらくこの様な自己に対する免疫によるものです。ワクチンによって誘導された免疫が心臓の筋肉を攻撃してしまうわけです。その他血栓症や脳脊髄炎も同様に、自己の成分に対する免疫ができることが原因と考えられます。

もうひとつは量の問題で、発熱や頭痛、全身倦怠感など何回も繰り返せば身体に負担がかかり、だんだん反応がひどくなる可能性もあるようです。

ワクチンの繰り返し摂取によって、免疫の機能全体がおかしくなる、免疫機能が低下するといった可能性についてはまだはっきりとした証拠はないといえるようです。

たぶん日本が今後4回目接種をすることはないと思いますが、こうした接種が絶対に安全であるとは言えないのではないでしょうか。

南極大陸の新雪からマイクロプラスチックを検出

2022-06-28 10:27:33 | 化学
マイクロプラスチックの海洋汚染問題はこのブログでも取り上げましたが、私は基本的にプラスチックは生活に根付いた必要な物質であると考えています。

従ってプラスチックの削減というのはあまり意味のない方向であり、プラゴミの廃棄方法を徹底すべきと考えています。

最近南極大陸の新雪の中からマイクロプラスチックが発見されたという記事を見ました。南極はいわば地球上で最も清浄な地域であり、ここが汚染されているということは世界全体が汚染されていることの証明のようになっています。

こういった話で思い出されるのがずいぶん昔なりますが、殺虫剤のDDTの事件です。DDTは戦前に発見され、その強い殺虫活性と安全性からノーベル賞も受賞した化合物です。これは世界中に広まったのですが、安価でよく効くということで大量にひどい使われ方をしていました。

いつ頃か分かりませんが、その後環境科学者から地球が化学物質で汚染されているという指摘が出てきました。その極めつけが南極の氷からもDDTが検出されたという報道でした。

これが原因かどうかわかりませんが、ほとんどの国でDDTの使用禁止を含む規制が強化されました。面白いのはDDTは安全性の高い農薬だったはずが、非常に危険な毒物のような話しが広まっていきました。

規制する上ではこの方がやり易いのか、これが修正されることはなく、現在でもDDTは危険な化合物と認識されているようです。

ニュージーランドのカンタベリー大学の研究チームは、西南極のロス棚氷に積った新雪の上部2センチから採取した19のサンプルを分析したところ、全てのサンプルからマイクロプラスチックが見つかったと発表しました。

研究チームはサンプルを解凍後顕微鏡を使って発見したマイクロプラスチックの組成を、赤外線分光計によって測定しました。その結果13種類のマイクロプラスチックが109個見つかったそうです。

雪解け水1リットル当たりの平均は29.4個で、最も多かったものはポリエチレンフタレート(PET)で、ペットボトルや合成繊維によく使われています。

この主な発生源は、観測基地の近くで採取されたサンプルから最も多く見つかったことから、プラスチックは旗や調査機器、ジャケットのような合成衣料、あるいはゴミに由来する可能性があるとしています。

研究チームは、世界で最も隔離された遠い地域までプラスチック汚染が広がっていることを浮き彫りにしたと述べています。この結果により、DDTの時のようにプラスチック規制はますます強化されていくのでしょうか。

衣類や梱包材など安価で丈夫で軽く、完全に身近なものとなっているプラスチックですので、たぶん何の意味もないものから脱プラスチックが進むのかもしれません。

小惑星リュウグウの試料からアミノ酸を発見

2022-06-27 10:26:11 | 自然
探査機はやぶさ2が持ち帰った小惑星リュウグウの試料から、アミノ酸など複数の有機化合物が見つかったことが報道されました。

このブログでも何回か触れていますが、私は宇宙というものにほとんど興味がありません。宇宙ステーションや各種の人工衛星などの記事はありますが、それほど熱心には見ていません。

どんなに宇宙を調べても、地球上にない新しい物質があるわけでもなく、物理学的にも新しい発見はなさそうだというのが私が興味がない理由です。

宇宙探査には莫大な金をかけていますが、単に軍事転用のための贅沢な実験という気がしています。むしろ地球の深海探査の方が、生命が存在している以上新しい発見があるような気がしています。

多分宇宙には地球上にない面白い有機化合物があるのかもしれませんが、あまりにも量が少ないため現在の技術では同定することはできない気がします。つまり現在の微量分析では、地球上にある物質を判定することしかできず、あまり面白いものとは思えません。

さてはやぶさ2が地球へ持ち帰ったリュウグウの試料は、小さい粒子や石など計約5.4グラムあります。顕微鏡などを使った非破壊観察で、炭素や窒素を含む化合物の特徴が見つかっていましたが、どんな物質かは特定できていませんでした。

試料の一部を水や有機溶媒で溶かし、組成や含まれる化合物を詳しく分析しました。その結果試料の組成は炭素4%、水素1.2%、窒素0.17%と有機物に富んでおり、アミノ酸や脂肪酸、アミンなど生命の材料に使われる様々な有機物や化合物が見つかりました。

アミノ酸だけですくなくとも十数種類あったようです。自然界のアミノ酸には左手型(L型)と右手型(D型)が存在しますが、リュウグウの試料に含まれるアミノ酸はDとLが同じ割合でした。

こういった分析結果が出ると、どうしても生命の起源が宇宙由来かというはなしが出てきます。しかし太古の隕石などからも有機化合物の痕跡は見つかっており、新しい星が生まれるような環境では有機化合物ができやすいといえるだけのような気がします。

生命誕生の宇宙由来説は、小惑星や隕石によって運ばれた有機化合物とするものです。地球で見つかる隕石の一種「炭素湿隕石」からは、水を含む鉱物やアミノ酸などの有機物が見つかっており、太古の地球に生命の材料を運んだのではないかと考えられています。

この炭素湿隕石のふるさととされるのが、リュウグウなどの小惑星です。今回の成果は太陽系でどのように分子が進化したのか、また生命の誕生に結びついたのかどうかを知る手掛かりになると期待されています。

ただ私はアミノ酸のDL比が若干でも偏ったりしなければ、その可能性は何とも言えないと感じています。

熱中症予防に有効な「暑熱順化」とは

2022-06-26 10:32:36 | 健康・医療
まだ6月というのに真夏の暑さとなり、梅雨明けをしたかのような猛暑となっています。

一般に歳をとると暑さに鈍感になり、熱中症の危険性が高まるとされていますが、私は昔から暑さには強い気がしています。私の部屋の机の上にデジタルの時計があり、これは温度と湿度が表示されています。

この温度が30℃を超えると暑く感じ、エアコンを入れるのが私の唯一の熱中症対策かもしれません。この熱中症予防法として身体を暑さにならす「暑熱順化」という方法が出ていました。

人間の身体は暑さを感じると自律神経が働いて、末梢血管を広げて皮膚に流れる血流を多くしたり、発汗させたりして体内にこもった熱を放散させ体温を下げます。

しかし高温の環境に長時間置かれると、脱水症状となって皮膚に集まった血液の流れが滞り、熱放散による体温調節ができなくなります。こうした状態が続くとおこる熱痙攣や熱失神、熱射病などをまとめて「熱中症」と呼んでいます。

身体が暑さになれていない時期に気温が上がった日や、急激に暑くなる梅雨開けなどは特に熱中症への注意が必要な時期になります。適度な運動で体温を上げ、身体を暑さにならすことを「暑熱順化」というようです。

暑熱順化を行うと発汗量を増やすなどの効果があり、汗などによって体内の熱を逃しやすくなるため、熱中症に強い体を作ることができます。日本気象協会は2021年「熱中症ゼロへ」プロジェクトの重点項目に暑熱順化を盛り込みました。

この中で健康な人ならば、やや熱い環境でややきついと感じる運動を毎日30分ほど数日から2週間続けると、暑熱順化できると説明しています。

このおすすめはウオーキングで、1回30分を目安に週5回行い、帰宅時に1駅分歩くなど日常生活に組み入れると良いようです。

またジョギングやサイクリングの他、ストレッチや筋トレなども効果的で、入浴時にしっかりと湯船につかったり、買い物や庭仕事をしたりするのでも構わないとしています。

しかし私にとっての大きな問題点は、歩くのが嫌いなことです。やむを得ず最寄り駅まで13分ほど歩くことがありますが、帰りは本当に嫌になるくらい嫌いです。

ここでは速歩きとゆっくり歩きを3分ずつ交互に行う「インターバル速歩」を提唱しており、1日5セット(30分間)を週4日程度行うのが目安としています。こういった暑熱順化は歩くことが基本となるようですので、まあその人に合った運動をすれば熱中症対策になるのかもしれません。

私はとても出来そうにないというより、やる気はないのですがこんなことが実践できる人はそもそも熱中症にならないような気もしています。