ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
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子宮体ガンに新しい診断法

2021-02-28 10:29:22 | 健康・医療
福井大学医学部の研究チームが、子宮体ガンの進行度を正確に予測できる可能性がある診断法を開発したと発表しました。

この研究によってどの程度までの手術を行うべきかや、抗がん剤投与の必要性などを見極められるため、患者に応じた適正な治療の選択に繋げられるようです。

こういった女性特有の臓器についてはあまり良く分かりませんが、かみさんによればテニス仲間のおばさんたちは3人も子宮を切除している人がいるとのことでした。

子宮体ガンのような重篤な疾患ではなく、子宮筋腫などによっての処置のようですが、子宮は切除してしまっても問題の無い臓器なのかもしれません。

子宮体ガンは子宮の内膜に悪性腫瘍が発生する病気で、患者の年齢層は幅広く、中でも中年の女性がかかりやすいとされています。晩婚化や食生活の欧米化などの影響で、ここ20年で国内の患者は約5倍に増加し、年間約1万6千人が診断されています。

こういった病気の増加原因に「食生活の欧米化」という言葉が使われますが、あまり科学的根拠はないような気がします。

従来のやり方は、子宮体ガンと診断されると病巣から一部の組織を採取し、病理検査で悪性度を調べます。しかしこのやり方では腫瘍の全体像は把握できず、転移や再発の可能性を正確に判断するのは難しい事でした。

そのため手術では転移の可能性を考慮し、早期の進行度でも子宮全摘出に加え、子宮周りのリンパ節までを行うケースが約7割でした。

リンパ節の切除は歩行困難になるまで足が腫れるなど体に重い負担がかかりますが、リンパ節に転移していたケースは数%程度であり、患者の術後の生活を守るためにも手術の内容を見極めることが重要です。

研究チームは子宮体ガンのリンパ節転移や予後に関係するとされるタンパク質の一種に着目しました。患者67人に特殊な薬剤を投与し、細胞の活動状況が分かる画像診断「PET検査」でタンパク質の動きを調べました。

その結果このタンパク質の働きが悪いと再発や転移の可能性が高いという傾向が分かりました。PET検査を取り入れることで一部の細胞で診断する病理検査よりも、腫瘍の全体像を調べやすくなったようです。

治療前にPET検査を行えば、手術はリンパ節の切除まで行う必要があるのかや、術後の抗がん剤投与は必要かなど、患者に適正な治療を行える可能性が出てきました。開発した診断法の信頼性を高めるため、今後もさらに症例数を増やしていくとしています。

この診断法はPET検査の応用であり、それほど新規なものとは言えませんが、単なる病理検査よりははるかに多くの情報が得られるようです。

特に開発といった手順は必要ないものですので、比較的早期に一般化する診断法と言えるのかもしれません。

酒のみなら気になる「γ-GTP」

2021-02-27 10:28:13 | 健康・医療
例年だと忘年会・新年会などで酒を飲む機会が多くなる時期ですが、今年は自粛でほとんどの忘年会は中止になっているようです。

私も忘年会は中止になりましたが、代わりにオンライン飲み会をやりますので、結局酒を飲むことになりそうです。

酒好きが気にする肝機能検査の項目に「γ-GTP」があります。これは飲酒や脂肪肝、胆石や胆管の病気で上がるとされています。

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるように、肝機能が悪くなっても自覚症状が出ず、放置することによって肝硬変から肝臓ガンに至ることもあります。肝臓専門医も「γ-GTP」は肝臓の解毒作用に関係する酵素で、飲酒により上がります」としています。

私はこういった認識が常識的になっていることに違和感を感じています。まずγ-GTPは正式にはガンマグルタミルトランスペプチダーゼという酵素で、グルタチオンなどを加水分解して他のペプチドにグルタミンを移す働きをしています。

これがいつから解毒作用に関係するといわれ、飲酒によって増加するになったのか不思議な気がします。これが肝臓のマーカーとして使われて長いので、統計的に飲酒によって上がるという数字が出ているのかもしれません。

このγ-GTPという酵素は内包的という原則的に細胞内にとどまっている酵素です。また肝臓だけで作られるわけではなく、他の臓器でも普通に見られる酵素ですが、やはり細胞外に出ることはありません。

これがなぜ細胞外である血液中に出るかというと、細胞が壊れて中に入っている酵素などが流れ出てしまうからです。肝臓は薬物代謝の機能がありますので、比較的簡単に壊れ新しい細胞に置き換わっています。

つまり血液検査での肝臓のマーカーが上がるということは、肝細胞の壊れ具合を見ているということになり、肝機能とは無関係といえます。

あまり多くの肝細胞が壊れれば(数値が上昇すれば)、肝臓全体に何か異常があるということになり、結果的には肝機能を調べているのと同じことになるわけです。

他のマーカーのALTとASTも全く同じ意味合いですので、どれか一つが高くなることは理論的にはなく(ばらつきは出ますが)、肝臓が悪くなればすべてが上昇します。

これは私の隣の研究室が臨床検査薬を研究しており、そこの室長が何とか肝機能を表すようなマーカーを見つけるのが夢だと語っていましたが、未だに見つかっていないようです。

そういったこともあり、γ-GTPの基準値が医療機関によって異なるというおかしな現象が起きているのかもしれません。

以上のようにγ-GTPが三ケタになったら注意などというのは、単なる医師の都合のような気がしますので、中毒にならない程度に酒を楽しむのは問題ないと思っています。

コンサートに行ってきました

2021-02-26 10:18:29 | 音楽
緊急事態宣言で自粛生活が続いていますが、久しぶりにコンサートに行ってきました。

ジャズピアニストの山下洋輔のスペシャルビッグバンドの公演でしたが、本来昨年7月に予定されていましたがコロナで延期となりやっと開催できました。

コロナの感染者数も減少しており、感染対策をしっかりすれば大丈夫だろうということで、新宿文化センターに出かけました。

普通はコンサートが終わった後軽く飲みながら夕食を摂るのですが、終わるのが8時ぐらいですので飲食店はやっていないということで、パンなどを少し買い会場の近くのラーメン屋で早めの夕食を食べて向かいました。

文化センターに行くと長い列ができており、手の消毒と検温をしてから入場するという対策が取られていました。ホールに入るとかみさんとはかなり離れた席になりましたが、左右は空席で前も空いているというゆったりとした状況で観賞できました。

このビッグバンドは基本的にはジャズですが、数年前からクラシックを取り上げるというのをやっており、前回の公演は「ボレロ」と「展覧会の絵」でした。今回もやはりクラシックを取り上げ、最初の演奏はベートーベンのピアノソナタ「悲壮」でした。

始まってもどんな曲だったか分からない演奏でしたが、バリトンサックスのソロでなじみのある旋律が出てきました。このメロディーを基本として色々なアドリブが入り、当然山下洋輔のピアノソロもありという楽しい曲に仕上がっていました。

2曲目は山下洋輔が初期のころフリージャズとして作曲した曲が3曲「組曲」として出来上がっていました。

休憩後の後半は有名なドボルザークの「新世界」でしたが、1楽章から4楽章まで全部入っていました。「新世界」の有名な旋律は2楽章にあり、アルトサックスのソロが本当にきれいに響いていました。

全体にゆっくりとした流れでしたが、急に激しい演奏が入ったりとジャズらしい面白い編曲になっていました。この編曲はトロンボーンの松本治が担当したようですが、本当に面白い構成となっていました。

第4楽章ではトランペットとトロンボーンの面白いヂュオがあり、クラシックをベースにしても楽しいジャズになっていました。アンコールでは定番の曲をやるということで何になるか楽しみにしていましたが、「A列車で行こう」となりました。

このビッグバンドらしい演奏でしたが、徐々に演奏者が引っ込み、最後に山下洋輔の長いソロで終わるという満足できる演奏となりました。

ちょうど2時間のコンサートでしたが、このビッグバンドは何度聞いても期待を裏切らないすばらしい演奏でした。新宿近辺もほとんど店が閉まっており、特殊な状況であることを実感しながら帰ってきましたが、本当に楽しい時間を過ごすことができました。

「老衰」が日本人の死因3位に浮上

2021-02-25 10:38:35 | その他
年間130万人が死亡する日本の現状ですが、イメージしている日本人の死が変わってきているようです。

65歳以上の高齢者が総人口の28.7%まで増加した超高齢化社会ですが、私も74歳になりその一員となっています。あまり死について考えることはないのですが、多分多くの人と同じにピンピンコロリを願っているような気もします。

厚生労働省が発表する人口動態統計の主な死因別にみた死亡率の年次推移によると、2018年以降は「老衰」が「脳血管疾患」や「肺炎」を押しのけ、「ガン」「心疾患」に続いて死因3位となっています。

2000年には約2万1000人だったものが、2018年には約11万人に、2019年には約12万2000人に達し、全死亡数の9%を占めています。この様に何故老衰死が増えているかは、いくつか考えられるようです。

ひとつは社会全体と医療現場が自然死を受け入れるようになったからと言えそうです。厚生労働省が発行する「死亡診断書記入マニュアル」によると、老衰とは高齢者でほかに記載すべき死亡の原因がない、いわゆる自然死となっています。

日本の医師は死因を診断できない老衰は医療の敗北と考えて、死因を老衰とすることをよしとはしませんでした。

私の母は10年ほど前に病院で亡くなったのですが、徐々に色々な臓器が機能しなくなり老衰と思っていましたが、入院していたのが呼吸器科でしたので死因は肺炎となっていました。

日本は社会全体の高齢化が進んだうえ、医療現場でも無理して治療するよりも自然な死を受け入れようとする考え方が増えてきたようです。ですから母も現在であれば老衰となったのかもしれません。

この傾向は胃ろうをする人の減少にも表れており、NDBの情報によると2011年に比較して2017年の胃ろう造設手術数は半分になっています。もうひとつの理由は他の原因で死ぬ人が減ったためです。

死因トップのガンも2015年以降は増加が止まり、37万人台で推移しています。心疾患の死亡数も最近10年は19万人前後で、ほとんど変化していません。つまり死因の1位と2位は完全に頭打ちになっています。

医療技術の向上や健康診断の普及により病気が早期発見、早期治療されるようになったことも一因と考えられます。この老衰死はなぜ起こるかを考えると、歳をとると全身の細胞が徐々に死を迎え、細胞分裂による再生が行われなくなるためです。

代謝機能も低下し、異常なタンパク質が多く作られ、筋肉や心臓、腎臓など各器官の異常が起きるようになります。やがて食事をしても身体が受け付けなくなり、全身の機能が衰弱していくのが老衰と言えます。

まだ私はこれといった機能が低下したという実感はありませんが、少し動いたときの息切れが出るようになっています。私は基本的にどこかが悪くなっても薬を飲む程度の簡単な治療だけにしようと思っていますので、老衰でも他の原因でもあまり変わりがないのかもしれません。

本当にやせる肥満治療薬が誕生

2021-02-24 10:26:28 | 
健康を維持する上で大きな敵と考えられるのが肥満です。

この肥満を解消するいわゆるやせ薬は色々なものが登場していますが、効果が怪しかったり副作用が出るといった問題があり決め手となるようなものは出ていませんでした。

最近アメリカノースウエスタン大学の研究グループから、糖尿病の治療薬である「セマグルチド」が肥満治療に大きな効果を発揮することが発表され現代ビジネスに掲載されています。

この臨床試験は米国をはじめ16か国の1961名のオーバーウエイトに悩んでいる被験者です。被験者全体の3分の1はプラセボ(偽薬)で、残りの3分の2はセマグルチドを服用し、68週間(1年余り)にわたって実験を継続しました。

両グループとも薬の服用(セマグルチドは週に一度服用)と並んで、定期的な運動や食事の工夫など体重を減らすための取り組みを続けました。この結果セマグルチドを服用したグループでは、一人当たり平均14.9%、15.3キログラムの体重を減らすことができました。

またグループ全体の3分の1では平均20%の体重減少となりました。一方プラセボを服用したグループでは体重減少は2.4%にとどまっています。

アメリカではこれまで肥満治療薬として承認された薬はあるものの、いずれの効果も3〜7%の体重減少にとどまっています。いずれも吐き気や下痢、便秘などかなりの副作用を伴うことから一般に普及していません。

今回のセマグルチドはごく一部の被験者に同じく吐き気や胃腸障害などの副作用は見られたものの、それほど深刻な症状ではありませんでした。今回は被験者全体の約8割が、68週間にわたる臨床試験を最後までやり遂げました。

セマグルチドは人間の体内で自然に分泌されて食欲を制御するホルモンである「GLP-1」を、人工的の合成した化学成分を持つ化合物です。つまり技術的に食欲を抑えることによって体重を減少させる薬剤と考えられます。

問題はこの薬がやや高価なことで、アメリカでは本来の用途である糖尿病治療薬として使用する場合、月額1000ドル(10万円以上)に達するようです。糖尿病治療以外の用途では保険適用外となるため、肥満治療薬として服用する場合は全額患者の自己負担となります。

日本でもセマグルチドは「リベルサス錠」という製品名で今月から発売されていますが、あくまで糖尿病の治療薬という位置付けで、市販薬ではなく医師の処方薬となっています。

日本では肥満の割合が比較的少なく、こういった肥満治療薬の必要性は低いのかもしれません。

肥満の解消という点では、こういった薬に頼るのではなく食生活の改善や定期的な運動によって体重減少を促すことが望ましいような気がします。