ごっとさんのブログ

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   薬と猫と時々時事

アルツハイマー病の脳内から鉄と銅を発見

2021-07-31 10:33:24 | 健康・医療
このところ認知症関連が多くなっていますが、前回アルツハイマー病の治療薬がアメリカで承認されたことを書きました。

このアヂュカヌマブは抗体医薬で、アミロイドβの除去作用はあるようですが、治療薬となるかどうかは疑っています。病気の進行を止める程度の効果と考えた方が良さそうです。

今回アルツハイマー病患者の脳内から、異常なかたちの鉄と銅を発見したという報告を見ました。

ここではアミロイドβが脳内に溜まって、アミロイドプラークを作り、異常リン酸化されたタウタンパク質がもつれ(神経原繊維変化)を形成することにより、脳の正常な働きが阻害されるとしています。

ここではイメージ画像が示されていますが、プラークは茶色の塊に、もつれは神経細胞に絡みついた形で表されていました。しかしプラークやもつれがどのように脳にダメージを与えているのかはまだはっきり分かっていません。

イギリス、ドイツ、アメリカの研究者が共同で発表した論文によると、アルツハイマー病の患者の脳内のアミロイドプラーク内に、本来あるべき姿ではない分子構造をした鉄と銅が見つかりました。

この鉄と銅はいずれも酸化されていない不安定な状態にあり、周囲と容易に反応を起こすと考えられます。この化学反応が脳細胞にダメージを与えるのかもしれません。

この異常な状態の鉄と銅が、どういう酸化状態かはよくわかりませんが、3価の鉄でないとするとどういう形なのかは難しい問題です。鉄と銅は体内に普通に存在し、酵素を形成するなど重要な役割を担っていますが、酸化状態によっては細胞を傷つけたりするため、体は常に管理しています。

アルツハイマー病患者の脳内では、この管理ができていないと推測されるようです。このような鉄と銅は、人間の細胞組織内では初めて見つかったもののようです。確かに酸化途中の鉄や銅などの金属は非常に反応性が高く、アルコールやアミンと簡単に反応します。

こういった性質が脳細胞にダメージを与えている可能性は十分考えられます。これらの鉄と銅がどのように生成され、どこからきているのかすら分かっていないようです。

研究グループは、アミロイドプラークそれ自身が鉄と銅をより危険な酸化状態に変化させるきっかけになっていると推定しています。

今回の報告は単に鉄と銅の存在を確認しただけですが、こういった金属が脳細胞にダメージを与えているとすれば、それを妨げるような薬剤が治療薬となる可能性もあり、さらなる進展を期待しています。

日本人が新型コロナに強い「ファクターX」は?

2021-07-30 10:25:07 | 時事
オリンピックが開催されているのに、新型コロナの感染者数が急増してくるという最悪の展開となっています。

観客のいないオリンピックを皆がテレビで見ていれば、人流が抑えられ感染者も減少するかもしれません。

昨年パンデミックが始まったころからいわれていたことですが、日本を含むアジアは欧米に比べて圧倒的に感染者、重傷者、死者数が少なく、この要因を山中先生が「ファクターX」と名付けました。

これについてはこのブログでも昨年何回か取り上げましたが、1年以上経過して少し変わってきたような気がします。昨年はファクターXのひとつがBCGではないかという説がありましたが、ここでは最新のファクターX仮説を紹介します。

今年に入ってから、日本人の多くは新型コロナに感染しており、既に集団免疫が成立しているという仮説が出てきました。しかしPCR検査の陽性率は10%以下と低く、免疫学的にもこの仮説は無理があるようです。

そこで出てきたのが「交差免疫」という概念です。新型コロナではないがそれに近いウイルスにかかった経験があり、それにより新型コロナがあまり重症化せずに済んでいるという可能性です。

何か似たウイルスが自然免疫(生まれつき自然に備わっている免疫機構)を訓練してくれて、感染しにくい・重症化しにくい状況を作り出している可能性があるという説です。私もこの説は納得性が高いような気がします。

現在コロナウイルスの中で(新型ではありません)、風邪を引き起こすタイプが4種あるとされています。風邪の10〜15%(流行期では35%)はこういった4種のコロナウイルスが原因とされています。

コロナウイルスはインフルエンザウイルスほどではないものの、かなり変異が生じやすいウイルスとされており(新型コロナでも出ていますが)、無数の変異株によって風邪が流行っていると考えられます。

こういった変異は現在問題となっているように、国、地域によって変異が変わることが多いようです。日本やアジアにはこういったコロナ風邪変異株に、現在の新型コロナにも交差免疫が生じるような型が流行したことがあるというのは、大いにあり得ることのような気がします。

その他生活習慣や血液型、HLA型(白血球の型)の違いがファクターXではないかという説もありました。キスやハグをあまりしない、家の中には土足で上がらないなどの生活習慣の違いは重要なポイントかもしれません。

しかしアジアの国で一様に同じ生活習慣ではないことから、ファクターXとするにはやや弱い気がします。現在のところでは、ここに紹介した交差免疫説が、ファクターXに最も近いような気がしています。


コロナワクチン2回目を接種

2021-07-29 10:25:40 | 日記
今月初旬新型コロナのワクチンの1回目を接種しましたが、ちょうど3週間後に無事2回目の接種が終わりました。

現在首都圏ではコロナ感染者が急増しており、私の予想より早く東京は2000人を超えてしまいました。どうも政府や自治体は、これといった感染対策がなく緊急事態宣言が出ていますので、もうこれ以上何かすることはないのでしょう。

私は人流が多くなれば自然に感染者は増えると思っていますので、対策として酒と飲食店を目の敵にするだけでは抑えられるはずがありません。こういった時期に2回目のワクチン接種ができたことは一安心と言えます。

感染者の中でもワクチン接種が進んでいる65歳以上は2%ほどしかいないということで、ワクチンの効果は期待できるようです。2回目の接種の方が副反応が出やすいという話を聞いており、知人も熱が出たりしたようですので若干心配していました。

私は接種した日の夜から注射した腕が痛くなり始めましたが、それほどひどくはなく1回目と同じ感じでした。その他の症状は出ずほっとしていました。

ただかみさんは1回目の後痛みと共に、吐き気がするといっていましたがこれが副反応かはよく分かりませんでした。2回目は接種した日の夕方から腕が痛いといいだし、夜には37度台の熱が出てきました。

かみさんは1回目の接種の時に念のためと言って解熱剤を処方してもらっていましたので、それを飲み何とか抑えていました。それでも次の日も微熱が続いていましたが、夜には何とか引き食欲も出てきたようです。

これで私の麻雀仲間も全員2回の接種が終わりましたので、延期していた麻雀もやっとできるようになると思っていましたが、ここに来ての感染者の急増です。

私はどんなに感染者が増えてもオリンピックは継続しているので、麻雀ぐらいやっても良いのではないかと思っていますが、仲間とのメールでは皆やや消極的になっています。

私は感染者のピークを越え、減少傾向になったらやろうといっていますが、いつになるかは難しいところです。囲碁の仲間からも全員のワクチン接種が終わったら、囲碁会を開催しようといっていましたが、やはりこの感染者数ではできないと判断しているようです。

政府の対応がワクチン頼みであるならば、別に厳しい規制をかける必要はないような気がします。イギリスのようにワクチン接種が進めば、感染者数が増加していてもほとんど規制を撤廃している国もあるので、日本も新規感染者数に一喜一憂する方向は変えるべきでしょう。

マスクなどの感染対策は続けても、そろそろ飲食店などへの規制は外すべきではないでしょうか。

「酒は飲むほど強くなる」は都市伝説か

2021-07-28 10:24:11 | その他
私は風呂から出ると寝酒代わりに軽く飲むのを習慣にしていますが、若いころはほとんど酒が飲めませんでした。

缶ビール1本で真っ赤になり、心臓がドキドキしそれ以上飲む気にもなりませんでした。研究所まで車で通勤していましたので、飲む機会も少なく私自身もそれほど酒が好きではありませんでした。

それが40代になり、いわゆる接待で飲む機会が増えてきました。多分このため徐々に飲めるようになり、50代にはビールならジョッキ数杯ぐらいまで飲むこともありました。するとだんだん酒が好きになり、現在に至るわけです。

最近ネットにタイトルのような「酒は飲むほど強くなる」は単なる都市伝説であるという記事が出ていました。私はこれに納得していないのですが紹介します。

酒を飲むとアルコール(エタノール)は小腸から吸収され、主に肝臓で分解されます。酒に強いかどうかは、この肝臓で分解されるスピードが速いかどうかに大きく左右されます。

アルコールの分解には体内の色々な代謝酵素が関わっていますが、主にエタノールはアルコールデヒドロゲナーゼ(脱水素酵素、ALDH)でアセトアルデヒドに代謝され、最後はアルデヒド脱水素酵素によって酢酸になります。

こういった酵素の「強さ」は基本的に遺伝によって決まるため、酒を飲む習慣や一時的に酒をたくさん飲む訓練などによって変わるものではないとしています。しかしこのALDHという酵素は、「誘導酵素」という性質を持っています。

通常生体内酵素は、それが反応する物質(基質と言います)が来たとき合成されますが、これは基質の量によらず一定の量が作られます。ところがこの基質が増えると酵素の生産量も増える酵素があり、これを誘導酵素と呼んでいます。

ALDHは確かに遺伝子的にほとんどない人もいますが、酒を多く飲めばだんだん生産される量が増えてくるわけです。また2番目の酢酸を作る酵素は誘導酵素ではありませんが、アセトアルデヒドは人体にとってかなり毒性の高い物質ですので、作られるとすぐに酸化されます。

アルデヒドという物質自体が非常に酸化されやすい性質を持っていますので、この段階が遅いということはまずないと思われます。この段階が遅い人はアルデヒドが蓄積するため、あまり酔うことがなく顔が赤くなったり動悸がしたりと不快な症状がすぐに表れるようです。

日本人の75%はALDHが遅いタイプで、25%が次の酸化が遅いタイプで、両方速い欧米人とは大きく異なっているようです。日本人の進化の歴史上、遅いタイプが有利に働いて、遅いタイプを持つ人が徐々に増えてきたという研究結果も発表されています。

こういった情報はあるのですが、私は「酒は飲むほど強くなる」に1票という感じです。


ダーウィンと異なる今西進化論

2021-07-27 10:26:10 | 自然
現在ではダーウィンの進化論は広く認められていますが、これに対抗するものして今西進化論というものがあるという記事を読みました。

これは日本の生態学者である今西錦司が提唱したもので、平和で主体的な進化論と言われているようです。この今西氏は京都大学の霊長類研究所を開設した人として有名ですが、独特の進化論を持っていたようです。

この進化論の中にある「平均への回帰」と呼ばれる現象があります。一般には父親の身長が高いと、息子の身長も高い傾向があります。しかし身長が非常に高い父親の息子は、それほど身長が高くない傾向があるとしています。

同様に身長が非常に低い父親の息子は、それほど身長が低くない傾向があるようで、これを平均への回帰と呼んでいます。

またオリンピックの出場選手の選考でも、最終選考会で成績が良かった選手を選ぶと、本番のオリンピックでは成績が延びない傾向があるようです。本当にこれも「平均への回帰」という現象なのか怪し気もしますし、この二つの例がどうつながるかも難しそうです。

平均への回帰は色々な場面で起きますが、進化に関係するのは遺伝に関して平均の回帰が起こる場合です。この場合遺伝率が100%ではないために生じるとしています。

最初の例である背の高さで言いますと、背丈が完全に遺伝する(遺伝率100%)場合は、背の高い親からは必ず背の高い子供が生まれ、背の低い親からは必ず背の低い子供が生まれます。背丈が完全に環境に左右される(遺伝率0%)場合を考えると、当然何の傾向もないことになります。

実際の遺伝率はさまざまで、親と子の表現型の値(例えば身長)をたくさん測定することによって遺伝率が計算できます。しかしどの表現型を選ぶかによって、その値は0と100のあいだの色々な値を取ることが知られています。

生物の表現型は、遺伝と環境によって決まりますが、その平均からのばらつきを「分散」と言います。この分散を式を用いて説明していますが、そういった計算式からも遺伝率はさまざまな値を取ることが証明されています。

ところがこの今西進化論では、遺伝率が100%でなければ、遺伝の影響がない(遺伝率0%)というのが根本にあるようです。遺伝率が0%だと変異は遺伝しませんので、自然淘汰は働かないということが基本のようです。

どうも最後まで読んでみましたが、今西進化論がどういうものかはよく分かりませんでした。他の情報も調べてみましたが、いわば哲学的要素が多く精神論的な感じもしました。

それでも日本人が自然淘汰を否定する説を提唱していたというのは、なかなか面白いことのような気がします。