ごっとさんのブログ

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「人体」第3集 若さを生み出す骨

2018-01-12 10:43:03 | 自然
楽しみにしていたNHKスペシャルがやっと放映されました。本来12月の予定が遅くなったようですが、タモリと山中先生の司会もなかなか面白いものです。

この「人体」のシリーズは、今まで脳から指令が出て各臓器が働くという常識ではなく、各臓器が色々なメッセージを出してコミュニケーションをとっているというのが基本のようです。最新の研究結果のようですが、山中先生も初めて聞いたということもあり、若干誇張されているのかもしれません。

今回はその3回目で、若さを生み出す「骨」がテーマでした。人体には約200本の骨があるようで、単なる体を支える棒のようなイメージがありましたが、実際は色々なメッセージ物質を出し重要な役割を担っているようです。

この骨量が低下すると、メッセージ物質が放出されなくなり、老化が進むことが分かってきました。

まずその第一が記憶に関わる物質です。骨はカルシウムの塊で、その硬さともろさを補うためタンパク質であるコラーゲンよりできていますが、それ以外にも多くのタンパク質が見つかっていました。

その代表がオステオカルシンで、その役割はよく分かっていませんでした。最近これが記憶に関わる重要な働きをしていることが示されました。

オステオカルシンがないと記憶に関わる脳の海馬が縮小し、マウスの実験では通常ある行動をするのに学習し4秒程度でできるようになるものが、オステオカルシンがないマウスでは全く学習できず、何回やっても90秒程度の時間が縮まないという結果が出ていました。

次が免疫にかかわる物質で、肺炎やガンになるとオステオポエチンという物質が放出され、免疫細胞に働きかけるようです。やはりマウスの実験では、オステオポエチンにより免疫細胞が倍以上に増加することが示されました。

またスクレロスチンという物質が、骨の量をコントロールしています。骨は破骨細胞が破壊し、骨芽細胞が新しく骨を作るという活動を続けており、3~5年で新しい骨に入れ替わっているようです。硬結性硬化症という病気の患者が紹介されましたが、これは骨の量が増え続ける病気でした。これはスクレロスチンによるブレーキ作用が効かないことが原因のようです。

このように骨を活性化することで若さが保たれており、そのためには骨に適度な刺激を与えることが必要のようです。番組では自転車とランニングを比較していましたが、自転車では骨に刺激が伝わらないようです。簡単な運動としてはジャンプすることが有効で、骨量の増加が認められるようです。

この番組はCGなどを駆使して、難しいところをわかりやすくしていますので、面白く理解できるような気がします。
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体内時計と肝臓疾患との関わり

2018-01-06 11:07:37 | 自然
京都大学などの研究グループが、睡眠や目覚めなど約24時間で体が変化する「体内時計」をつかさどる時計遺伝子が、肝臓の細胞分裂に不可欠であることが分かったと発表しました。

この研究成果は肝炎や肝硬変などの予防や治療に役立つ可能性があるようです。研究グループは、肝臓の働きにも24時間のリズムがあることに着目しました。

時計遺伝子を働かなくしたマウスを作製して肝細胞を調べると、大きさが通常の2~8倍もある細胞が増え、中には複数の核を持つものも出てきました。細胞分裂がうまく進まず、途中まで分裂した細胞が融合してしまったようです。

この辺りを少し詳しく書きますと、哺乳類の時計遺伝子は3種類存在します。今回の研究ではこの3つの時計遺伝子が欠損したマウスを作製しました。一般に体細胞の各層は2n(父母から1ゲノムずつ受け継ぐ)ですが、正常の肝臓の細胞は一部の細胞が多倍体(4n)になっています。

欠損マウス全身の臓器の組織変化を調べたところ、肝臓の構成単位である肝小葉の中心静脈付近にある肝細胞の多倍体化が著しく進んでいることが分かりました。また肝細胞の増殖をつかさどるインスリンを介する細胞内シグナル伝達系を調べたところ、分裂促進因子活性化タンパク質の活性が顕著に減少していました。

これは時計遺伝子によって抑制されているタンパク質の影響で、娘細胞が親細胞と別れられず、再結合しその結果として多倍体化した核の大きな巨大細胞となることが明らかになりました。

今回の研究では、細胞分裂の最後の段階である細胞質分裂をも時計遺伝子が制御していることが分かりました。細胞の分裂は、開始から終了まで体内時計の強い影響下にあることが示されました。

今回、時計遺伝子の新しい機能が明らかとなり、長らく不明であった肝細胞の多倍体化の分子機構が解明されました。高齢者や肝炎などの患者では、肝臓に巨大な細胞が増えることが知られており、研究グループは、「生活習慣が原因で起きる肝臓病には時計遺伝子が関わっている可能性がある」と話しています。

体内時計というのは、時差ボケなどの原因であまり良いものではないのかと思っていましたが、単に体内の睡眠に関連するだけではなく、こういった細胞分裂の基本的な部分にもかかわっているかなり重要な機能があるようです。

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最小ゲノムの生物を発見

2017-12-15 10:51:34 | 自然
これまで培養可能な最も小さい自立生命はマイコプラズマと思われた来ました。ゲノムの大きさは約60万塩基で(ちなみに人は30億塩基)500近い遺伝子が存在します。

17年前、マイコプラズマの遺伝子を片端からノックアウトし、自立生命の維持に必要な遺伝子は300近くまで減らせることを報告しています。300種類のタンパク質の組み合わせで自立生命が可能であり、人工生命が21世紀中に可能になるのではと期待を持たせる論文でした。

しかし今回発見された微生物は、カメノコハムシの消化管に共生している細菌の一種は、なんと最初から27万塩基のゲノムしかないという論文がエモリー大学の研究グループから発表されました。

植物を主食にしている昆虫は、固い細胞壁を壊すために様々な細菌と共生していることが多くなっています。カメノコハムシも同じで、消化管で植物を分解している共生細菌を調べるうちに、スタメラと呼ばれる細菌が存在して植物のペクチンを分解していることが分かりました。

このカメノコハムシとスタメラの共生は米国、日本、ドイツなどから採取したカメノコハムシでも確認され、ほぼ世界共通のようです。この共生関係を子孫に伝える仕組みを調べるうちに、驚くべき巧妙な仕組みがあることが分かってきました。

ペクチンは昆虫の消化管内に存在していることから。当然スタメラは消化管に存在しています、しかし次の世代は卵として産み落とされるため次の世代に伝わらないことになります。この問題を解決するためにカメノコハムシはメスの生殖器官にもスタメラを維持し、卵の周りのカプセルに閉じこめられ、次世代の消化管に住み着くことになるわけです。

そして最も驚くのが、DNA配列から明らかになったゲノムの大きさです。なんと27万塩基しかなく、遺伝子も251個しか特定できませんでした。植物の細胞壁のペクチンを分解する酵素はしっかり存在しますが、独立生命の維持に関わる遺伝子の多くを捨ててしまって、昆虫から得られる栄養分でまかなっています。

卵の中でスタメラが維持できるということは、卵からも必要な栄養分を供給していることになります。昆虫から何が栄養として供給されているかが突き止められれば、世界最小のゲノムを持つ生物の培養が可能になるかもしれません。そして培養が可能になれば、251種類の分子を分離して、もう一度人工的に組み立ててみようとする試みなされると思われます。

これがいわゆる人工生命に当たるかは微妙なところですし、251種類というのもかなり多いものですのでかなり難しい研究になりますが、こういった小さな生命から再構築するというのは面白い進展がありそうな気もします。
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血管の老化と動脈硬化

2017-12-06 10:43:54 | 自然
今年は私の友人のうち2人が脳梗塞で入院しました。幸い2人ともそれほどひどい症状ではなく、短期間の入院後リハビリも順調にすみほとんど後遺症もなく退院しています。

そこで血管の老化と動脈硬化などについて書いてみます。まず血管は全身に酸素や栄養を送る動脈と、全身から老廃物を回収する静脈に分かれます。

動脈は、血液を心臓から全身に行きわたらせるほどの強い圧力に耐えられるように、内膜、中膜(筋肉層)、外膜の3層構造になっています。このうち、血流に接している内膜と、血管の硬さのもとになる筋肉層である中膜が動脈硬化に大きな影響を与えます。血管の老化が進むかどうかは、これら2層の状態にかかっています。

これに対して静脈は、筋肉層である中膜がない2層構造ですが、逆流防止のための弁がいくつもついています。主に膝から下に、青黒い血管が浮き上がって蛇行したりこぶを作ったりする下肢静脈瘤は、この弁の故障などで発症します。静脈は中膜がないために、動脈硬化が起こりません。

動脈3層構造のうち、内膜は血流の圧力や異物の侵入から血管壁を守るバリヤーとして重要な役割を果しています。内膜にある内皮細胞から放出されるNO(一酸化窒素)には動脈硬化を抑え、血管を広げる作用があります。中膜が十分に活動すると、内皮細胞が刺激されてNO量が増加するといわれています。

人間の体は、血管網が全身に張り巡らされ、毛細血管まで合わせて1本につなぐと、地球2周半ほどの長さになるようです。その血管網で動脈硬化が進むと、さまざまな生活習慣病の引き金となり、さらに血管の病気を引き起こすという悪循環に陥ります。

主な血管の病気には、狭心症、脳梗塞、脳出血、大動脈瘤、大動脈解離などがあります。また血液の化学処理を行う肝臓や、血液の汚れを取って排泄する腎臓の機能低下も起こります。

高血圧や高血糖、脂質異常などにさらされ続けた血管壁(内膜)には、小さな傷ができやすくなります。するとこの傷口から血液中の余分なLDLコレステロールが血管壁に入り込みます。これは血管壁にとって異物の侵入とみなされ、免疫システムが働いて攻撃するわけです。

すると血管壁の中には攻撃の残骸がたまり、血管を狭くしてしまいます。また傷を修復するために、血小板が集まり血液の塊である血栓を作ります。この血栓が何重にも重なったり、別の場所でできた血栓がはがれて流れてきたりすると、血管が詰まってしまうのです。

以上が動脈硬化から血管梗塞がおこるメカニズムですが、歳をとるとこういった変化はやむを得ない気もします。何に気を付ければよいかなどかなり難しい問題のようです。
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アリの行動を支配する寄生菌

2017-11-24 10:43:10 | 自然
スイスバーゼル大学の研究グループが、アリの体内を乗っ取り「ゾンビアリ」とするメカニズムを発表しました。

熱帯雨林に住むオオアリは、ある菌類に肉体を乗っ取られその命令のままに動くという不可解な行動をとることが知られていました。通称「ゾンビアリ」と呼ばれるこの行動の謎が新たな研究によって解明されつつあります。

この寄生性の菌類は、アリの体内に侵入すると宿主を支配し、やたらに動き回る無為な生活を送らせた後、葉や小枝の下側にかみついたまま死を迎えさせるのです。最後には死んだアリの頭部からこの菌類の子実体を伸ばし、地面に向かって胞子を放出します。下では何も知らないアリたちがこれを浴びて、同じようにゾンビアリになっていくのです。

アリのマインドコントロールのようなことを、菌類がどのように行っているのかは正確にはわかっていませんでした。研究者はこれまで、菌類がアリの脳に直接入り込むと考えられていました。

今回スキャンした標本をコンピューターで3Dモデル化し、さらに人工知能(深層学習機能)を用いた画像識別技術を使って分析しました。

その結果、このアリに寄生するタイワンアリタケと呼ばれる菌の仲間は、アリの全身に侵入しているものの、脳には全く手を付けていないことが分かりました。この菌は脳に直接働きかけるのではなく、筋肉に微調整を加えアリを人形のように操るものの脳は無傷で残しているようです。

脳をそのままにしておくのは、宿主を死の間際にほかのアリを感染させる場所まで連れていくのに、脳が必要だからではないかと推測しています。このように脳からの正しい指令をブロックし、筋肉に別な指令を出すというのは、まるでSFの世界のようで恐ろしい気もします。

アリの巣内の環境はこの菌の生育に適していないため、アリの巣に直接この菌が入り込むことはできないようです。これは巣の中に入り込むと、それが全滅してしまう恐れがありますので、適度に繁殖するという菌の知恵なのかもしれません。

別な研究者は、今回の発見がアリの体内で何が起こっているのかを解明するヒントになるかもしれないと期待を寄せています。おそらくこの菌には、アリが奇妙な行動を起こさせる化合物が隠されているのではないかとしています。

今回の調査が将来ほかの菌性の病気や予防の研究に役立つかもしれません。ヒトと菌類は大きく違っているようでも、共通点もかなり多いので、色々な可能性が考えられるようです。

しかしこんな分野にも人工知能による画像分析が役に立つというのは非常に面白く、多方面に広がりそうな気もします。

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