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【経営四字熟語で目から鱗が落ちる】1-5 起死回生 手遅れになる前に企業の健康診断 ~ 死に体を、生に復活する ~

2024-05-04 12:03:00 | 【心 de 経営】 経営四字熟語・名言

  【経営四字熟語で目から鱗が落ちる】1-5 起死回生   手遅れになる前に企業の健康診断 ~ 死に体を、生に復活する ~ 

 

 
  四字熟語というのは、漢字四文字で構成された熟語であることはよく知られています。お恥ずかしいながら、その四字熟語というのは、すべてが中国の故事に基づくものとばかり思っていましたが、実はそうではないことを発見しました。
 経営コンサルタントという仕事をしていますが、その立場や経営という視点で四字熟語を”診る”と、今までとは異なった点で示唆を得られることが多のです。「目から鱗が落ちる」という言葉がありますが、四字熟語を講演や研修の場で用いたり、自分の仕事や日常会話に活かしたりするようにしましたら、他の人が私を尊敬といいますとオーバーですが、自分を見てくれる目が変わってきたように思えたことがあります。
 四字熟語の含蓄を、またそこから得られる意味合いを噛みしめますと、示唆が多いですので、企業経営に活かせるのではないかと考えるようにもなりました。これを「目鱗経営」と勝手に造語し、命名しました。
 以前にも四字熟語をご紹介していましたが、一般的な意味合いを中心にお話しました。このシリーズでは、四字熟語を経営の視点で診て、つぶやいてみます。以前の四字熟語ブログもよろしくお願いします。

■1-5 起死回生    手遅れになる前に企業の健康診断
     ~ 死に体を、生に復活する ~

「起死回生(きしかいせい)」の「起死」は「死を起こす」「死に至る」、「回生」は、「生と取り戻す」という意味です。「回生起死(かいせいきし)」とも「起死再生(きしさいせい)」ともいい、いまにも死にそうな人を生き返らせることです。
 私たち、経営コンサルタントは、お医者さんと同様に健康で何もないときには、見向きもされないことが多いのです。しかし、いざ、手形が落ちない、とか、大手企業からの契約を打ち切られそうだ、といった緊急事態に陥ったときに、駆け込み寺として利用されることがしばしばあります。平素、経営コンサルタントとの付き合いがありますと、そのようなときに事前に手を打ってくれますし、万一、緊急性高い問題が発生しても「一旦緩急(いったんかんきゅう)」、駆けつけてくれるでしょう。
 しかし、残念ながら手遅れのことが多いのです。「満身創痍(まんしんそうい)」の状態になってからでは打つ手もありません。「創」も「痍」も傷のことで、「満身」、すなわち体中が傷だらけのことで、「満身創痍」というのは「傷だらけの状態で打つ手もない」ことをいい、転じて「ひどく非難されて痛めつけられる」という精神的な傷のことも指します。「満身創痍」と同様な意味で「焦眉之急(しょうびのきゅう)」「焼眉之急(しょうびのきゅう)」とも「燃眉之急(ねんびのきゅう)」ともいう四字熟語があります。「眉が焦げるほど火が迫っている」ということから「危険や急務が差し迫っている」という意味です。もともとは仏教語で、「生者必滅」なので、来征の安寧を願うことが何よりも大切なことであるという意味です。
 病人でも企業でも、重大な局面に陥ってしまうと手の打ちようがないことがあります。人間の場合ですと、早期診断、早期発見、早期治療ということの重要性が認識されて来ていますが、企業が健康診断を受けたり、コンサルティング依頼をしたりすることはあまりありません。
 例え、重篤な状況に企業が陥っても、一時的な状況かも知れませんので、諦めるのは速すぎます。「一陽来復(いちようらいふく)」という言葉もあります。この四字熟語は、悪いことというのは、どういうわけか続くことがあります。しかし、そのような後に、ちょっとしたことから、ようやく良い方向に状況が転じることがあります。易経では「陰がきわまって、また陽にに返る」といいます。「石の上にも三年」という諺がありますが、一陽来復という四字熟語には、「一度決意したことを簡単に諦めるな」という教えもあるようです。
 余談になりますが、一陽来復というのは、易経の中に既述されていて、冬至の時に、「冬が去って春がふたたび巡り来る」ということからきています。諦めずに、努力することにより、いずれ春の兆しが見え、起死回生できる可能性があるという、希望の持てる四字熟語ですね。
 仕事で「東奔西走」して、めざましい働きをするという意味で「汗馬之労(かんばのろう)」があります。史記に記述されているのですが、「戦功を得るために馬を走らせ、戦場で功績をあげる」という意味から「物事を成功させるために駆け回る苦労」のことを指します。「汗馬之労」を厭わない社員がいる会社は、それを指揮するリーダーがいることが多く、そのような会社は成長するかもしれません。
 さて、本論に戻りますが、経営が安定しているときに、企業が健康診断を受けることをお薦めします。人間ドックを受けた時にガンが発見されることがあるように、企業経営が順調であるからといって安心していますと、すでに病にかかっている事態にまで至っているということがしばしばあります。健康診断で、数値が悪いと直ぐに問題が発見されるように、企業も健康診断を受けますとと、人間ドックと同様に数値として表れてくることが多いのです。
「危急存亡(ききゅうそんぼう)」は、「生きるか死ぬかの分かれ道に立つ危険な状態」、すなわち、危険が迫り「絶体絶命」な状態を指し、「生死存亡(せいしそんぼう)」ともいいます。「気息奄奄(きそくえんえん)」も同じような意味です。「奄」は、音読みで「おおう」、すなわち「塞ぐ」ということで「呼吸ができない」ということから、類語と言えます。
 企業経営は「運否天賦」な波があります。「手形が落ちない。絶体絶命!!」という状況になる前に手を打っていますと、大過なくその状況を回避することができることがしばしばあります。そのために、手前味噌になってしまいますが、企業も「かかりつけ医」すなわち経営コンサルタントを顧問として持つべきなのです。
 また、われわれが人間ドックに入るように、企業も年に最低一回くらいは健康診断を受けたいものです。健康診断の方法はいろいろありますが、その代表的なのが「ビジネスドック」です。
 経営コンサルタントの業務というのは、企業の健康診断だけではなく、経営戦略を見直したり、問題解決をしたり、経営理念を再構築したりと、用途は広く、効果が大きいのが特徴です。それらの経験を踏まえて企業の健康診断をしますので、その方法を幹部研修や管理職研修などで受講すれば、その手法を社内で利用できるようになります。ビジネスドックに投資した金額以上の、社員研修効果が上げられるわけです。私たちが受ける健康診断のことを「人間ドック」と言いますように、企業の健康診断を、私は「ビジネスドック」と呼んでいます。目的に応じてビジネスドックのやり方が多少異なりますので、それを踏まえて実施すると良いでしょう。
 企業経営者・管理職とお話しているとしばしば「うちは顧問税理士がいるから経営コンサルタントのお世話にならなくても大丈夫です」ということを聞きます。企業経営において税理士が必要であるのは当然なのですが、大半の税理士は、税理士法に基づき、過去の数値を基に業務処理をしてくれます。その段階で出て来る数値が、今後どの様に変化をするかを予測することはほとんどなされていません。
 一方、経営コンサルタントというのは、そのような数値の中に、企業が罹っているかもしれない病気の予測をすることが、同じ数値を診るときにも税理士と経営コンサルタントとの違いが出て来るのです。最近は経営コンサルタント同様に、このような予測までをしてくれる税理士も増えてきましたが、まだまだそれができる先生は少ないと言えます。税理士の先生の中には有能な先生もいますので、そのような顧問の先生がいる企業では経営コンサルタントに依頼しなくても良いのかも知れません。
「一病息災(いちびょうそくさい)」と言います。「無病息災(むびょうそくさい)」というのは病気もせず、息災(禍なく)に生活できるという意味の四字熟語に引っかけてできました。病気をしたことのない人よりも、病気を持っている人の方が健康に注意を払うということから、逆に長生きをするという意味で用いられます。企業もちょっとした問題を抱えていることは、それを軽視せず、その問題に真剣に取り組むことにより「無病息災(むびょうそくさい)」に近づけるのです。
 逆に病気で苦しむ表現として「七転八倒(しちてんばっとう)」があります。「激しい苦痛に、転げ回ってもがき苦しむ」という意味です。「七顛八倒(しちてんばっとう)」と、「転」の代わりに「顛」という漢字を当てることもあります。

 企業経営は「七難八苦(しちなんはっく)」の連続とも言われます。仏教用語の「七つの災難と八つの苦しみ」から来ていて「いろいろな災難や苦難」という意味です。病気にかかったら、かかりつけのお医者さんから専門のお医者さんを紹介してもらうのが良いでしょう。同じように、一口に経営コンサルタントといっても、専門分野がいろいろとあります。脳の病気の時に、整形外科の先生に手術をしてもらうよりは、脳外科専門の先生の手術を選ぶでしょう。士業も同じで、専門分野がそれぞれ異なる、いわゆる「餅は餅屋」という見方が必要なのです。
「経営コンサルタントの顧問料は高い」と思い込んでいる人が多いですが、「投資対効果」を考えると決して顧問料は高くはありません。コンサルティング・フィー以上のメリットは、プロ・コンサルタントであれば産み出す支援をしてくれるものです。手前味噌になりますが、「家庭医」「かかりつけ医」を持つように気軽に経営コンサルタントをビジネスブレインの一人として受け入れるべきと考えます。
「起死回生」という四字熟語はありますが、倒産しかけている、絶望的な絶体絶命の状態から立ち直ることは、奇跡に近いことを知っておき、企業においても平素から健康診断を受けるべきではないでしょうか。
 
 
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