時遊人~La liberte de l'esprit~

優游涵泳 不羈奔放 by椋柊

The Mist(霧)

2008-10-21 | 映画
激しい嵐が街を襲った翌日
湖の向こう岸から
霧が発生していた

デイヴィッドは
妙な胸騒ぎに駆られながらも
息子のビリーを連れ
隣人の弁護士ノートンと街へ買い出しに向かう

3人がスーパーマーケットで
レジの順番をしていると
数名の軍人が店にやってくる
通りを軍の車や消防士車が頻繁に往来
そして
サイレンが鳴り響いた



何?

人々が不安を募らせていると
ひとりの中年男が
血を滴らせながら駈け込んで来た
「霧の中に何かいる!ドアを閉めるんだ!ドアを閉めろ!」

で店内はパニック



岸の対岸にあった霧が
音もなく
しかし
雪崩のようなスピードでスーパーマーケットを覆います

霧に包まれた男の絶叫が響き渡る



ミセス・カーモディが呟いた
「死神だわ・・・」

突如
町は地震に見舞われる

パニック・ミステリーの始まりです



スーパーマーケットから出られなくなった主婦が
「8歳子供がお家にいるの 誰か私を家に送って」
と頼みますが
外に出たら危険な訳で
誰も彼女をエスコートしてくれません
彼女は
「みんな最低だわ!」
と非難するんですけど

見ているこっちにしてみれば
『独りで行けよ!』ですわ(笑)

時間の経過とともに
霧の中に生息する異生物たちの存在



超苦手な‘蜘蛛’が出てきたときは
流石に引いた~



スーパーマーケットの店内に閉じ込められた人間たちが
恐怖とパニックに陥る

ひたすら‘神’の導きを信じ
信じるのは勝手だけど
パニックを煽るかのように
黙示録を唱え始めるミセス・カーモディ

独りで祈ってろっつーの

やがて彼女は
霊能力者と崇められていく…
集団心理の恐怖



カルトのループに身をゆだね
生贄を誰にするか思案し始める人間
正常な判断能力を保とうとする人間
ただ流されるまま動かない人間

人間に対する信頼が
見事に失われていきます
人間の基本は‘善’‘悪’

しかし
何を基準に‘善’とし
何を境に‘悪’とみなすのか



壊れていく人間の人格過程が
なかなかリアル

軍の関係者は
な~んもしてくれません
それどころか
さっさと自殺しちゃいました
災害時には
率先して一般人の安全を守るんじゃないのか?



カルト教団と化した
スーパーマーケットの集団の中から
脱出を図ったデイヴィッドたちであったが
車の燃料が底をつき
外にも出ることが出来ない


地響き…

霧の中を行脚する
あまりにも巨大すぎる異形の生物を目の当たりにし

この世界の滅亡を予感したのか
デイヴィッドは拳銃を取り出した

バンの中には5人
弾は4発

デイヴィッドは
バンの外に出た

自ら異形の生物に食われるために

「来いよ!来て見ろよ!」

だが
無常にも
現れたのは軍の装甲車と
全身を防御服で武装した兵士達だった

デイヴィッドの横を

スーパーマーケットに残っていた人々を乗せた
軍のトラックが通過して行く



幻想の世界から
引き戻されたかのように
霧が
晴れていく…

デイヴィッドの行為も
所詮
理性を失った人間の
浅はかな行為でしかなかったのか

最後まで
頑張った主人公が
救われない結末

何と言う
不条理な結末なのでしょう!

異次元に通じる扉の開放により
この世界に飛来した異生物

不気味で
気持ち悪いのではありますが
霧の中を
ゆったりと歩む巨大な造形物の動きが
妙に優美なのでありました

スティーヴン・キングの中編小説
『The Mist(霧)』の映画化と言うことで
見てみました
ちなみに
スティーヴン・キングの
「ショーシャンクの空に」は
『薔薇の名前』と並び
σ(^^;) の好きな映画です

ラストは
原作と違うそうです
主人公たちのショッキングな‘決断’は
全米公開時、さまざまな議論を呼んだ
らしいけど

確かに
後味の悪い映画…



大昔
町に大量発生した蜘蛛が
人間を襲うと言う映画がありました
最後は
主人公と他数名が
車で町から脱出すると言う結末なのですが
そのラストに雰囲気が似ていました

もし
この状況に自分が置かれたら…

想像しつつ
見るのも一興かと…


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