時遊人~La liberte de l'esprit~

優游涵泳 不羈奔放 by椋柊

硝子の葦 8

2015-02-08 | 読書
十二月二十日
道東・釧路
愛場病院で
『ホテルローヤル』を営む
幸田喜一郎が死んだ
八月二日の事故から
昏睡状態が続いていた
年の離れた夫を看病する
妻・節子の平穏な日常にも亀裂が入り
闇が溢れ出した

愛人関係にある
澤木昌弘と一緒に
彼女は
家出している夫の一人娘
梢を探し始めた
短歌仲間
佐野倫子の家庭に潜む秘密
その娘・まゆみ誘拐事件
長らく夫
喜一郎の愛人だった
母・律子の失踪

次々と
謎が節子を襲う
驚愕の結末を迎える傑作ミステリー



2月21日土曜夜10時
WOWOWプライム
相武紗季主演でドラマ化される
硝子の葦
何となく
読んでみました

直木賞作家
桜木紫乃作品
初の
ドラマ化だそうです

幸田節子なる人物は
母の愛人だった事を承知で
年の離れた男と結婚し
自らもまた
勤めていた
会計事務所の上司・澤木昌弘と
不倫関係を続けています
夫が
直腸がんの末期で
今回の事故は
自殺だったのではないか?
との疑問が…
また
事故をきっかけに
夫婦となってからも
実の母と夫が
愛人関係を続けていた事が
明らかに…

サビタ短歌会で知り合った
佐野倫子から
娘のまゆみを
暫く預かって欲しいと頼まれるも
倫子の夫・渉の
姑息な罠にはまり
誘拐犯として
警察に突き出されたくなければ
五百万用意しろ
と脅迫され…
結局
渉殺害の偽装耕作に
手を貸すこととなります

感情の起伏がすくなく
周囲に
流されるまま
何事にも
希薄的な
人生を歩んできた
ように思える節子ですが
継子の梢や
小学生の
まゆみに対する
ストレートなモノ言い
冷静沈着な思考回路と判断力
只者ではない!

全体的に
だらだらとした感じで
話が流れていくので
焦点が定まらず
最後の最後まで
オブラートに包まれたような
展開なのですが
それだけに
澤木が
真相に辿り着く
ラストシーンの
どんでん返しが
インパクトありました

この作品での
ヒロインは
あくまでも
幸田節子なのですが

後半で

何もかも
この子(まゆみ)の言うとおりになりました

私(節子)
まゆみちゃんに
もっと狡い子にならなくちゃ駄目って言ったの
覚えてる?

…これからも
お母さんのこと
しっかり見ていてあげて
私ね
あなたのこと大好きよ


と言う
会話から読み取るに
キーパーソンは
何を隠そう
小学二年の佐野まゆみなる
少女なのであります
すえ恐ろしい
小娘です

生前
夫である喜一郎が
歌集出版に際し
生きているのか
死んでいるのか分らない状態が続くより
一度お墓に入れてあげた方が
お互いのためでしょう
あなたは
これからも生きていくのだし

一冊にまとめることについて
喜一郎は
「葬る」という表現を使い
もう手直しできないというところまで
持っていかねば
新しいものも
生まれないのだと言った


節子は
それを自ら
実行したんです…

厚岸署の私服警官
都築の必要な追跡から
節子は
逃れることが出来るのか
佐野渉殺害の真相が
今後
明らかにされる日が
来てしまうのだろうか…
すべては
これからはじまるのでは?

そうなんです
『硝子の葦』は
単なる序章に過ぎないのでは?
そんな
一冊でございました

Amazon他
諸々のレビューでは
結構高い評価を受けているようです
そこまで
過大評価せんでもねぇ~
と思いながら
時間の経過と共に
余韻が…
あれれ??