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米谷雄平さん死去

2008年02月22日 21時05分23秒 | 情報・おしらせ
 どういうわけか、月曜の朝刊で見落としていました。
 69歳、食道癌でした。

1947年に台湾から引き揚げ、道学芸大(現道教大)札幌分校特別教科教員養成課程(美術・工芸)を卒業。道展事務局長を務めたほか、「組織」「TODAY」など数々のグループ展を拠点に抽象画を中心とする先鋭的な作品を発表、道内の現代美術のけん引役となった。98年に札幌市民芸術賞を受賞。
(北海道新聞)

 現代の道内を代表する美術家のひとりであったことはまちがいありません。
 作品もさることながら、道内の戦後美術史にのこるグループ展を数多くつくり、活性化に寄与した功績と組織力は大きいものがあります。
 2005年には、この世代でははじめて、道立近代美術館で回顧展がひらかれています。
 筆者は、この個展を拝見していないので、とても米谷さんの全体像についてなにか書くということはできません。
晩年の作品「さうすぽいんと」シリーズは、エナメルのような光沢の絵の具をふんだんにつかった、生命の力みなぎる絵画でした。

 最後に作品を拝見したのは、昨年暮れからことし正月にかけての、さいとうギャラリーでの小品グループ展でした。
 画面にあいた黒い穴が、米谷さんの死への恐怖を表象しているように感じられて、痛々しくて正視できない思いがしました。


 米谷さんが癌であったことは道内の美術界には広く知れわたっていました。
 だから、ふいっとギャラリーなどに姿を見せて、つらそうな声で、しかし笑顔をまじえて話をすると、ほんとうにびっくりしたものです。
 しかし「こうして展覧会に足を運んでいるのなら、もしかしたら快方に向かうのかも」などとひそかな期待を抱いたりもしたのですが…。


 個人的には、米谷さん、阿部典英さん、渡會純价さんのトリオで、北海道新聞主催の「北の文化会議」などで活躍し、ススキノの「みのや」に行くと一杯やっている…という印象があります。

 97年ごろだったと思いますが、札幌大谷短大にうかがったら(米谷さんは教授でした)、授業はそっちのけで
「ああ、いいんだ、いいんだ」
と笑いながら、話に応じていただきました。

 ご本人としては、まだまだやりたいことがあったでしょう。口惜しさと無念さはいかばかりだったか…。



 3月におわかれの会が開かれるそうです。
 ご冥福をお祈りします。

企画展「07→08」
夏まつり「風」パートII(07年7月)
06→07展
WAVE NOW 06
米谷雄平展(2006年)
WAVE NOW(02年)


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