北海道美術ネット別館

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■New Point Vol.11 (2014年1月16~21日、札幌)

2014年01月21日 01時21分21秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 1月恒例のグループ展「New Point」も11回目。
 前身は、畑野天秋さんが知り合いに声を掛けて開いていた「お正月展」。1997年の「お正月展」の出品者は6人だったようだから、知り合いが知り合いを誘うかたちで、少しずつ拡大してきたようだ。画風も、分野も、ばらばらなのが、かえっておもしろい。
(ちなみに97年の出品者は、渡辺慶子、友野直実、鈴木涼子、伊藤ひろ子、小石巧の6氏。この数年は誰も「New Point」には出していない。まるで、オリジナルメンバーのいないジェファーソン・エアプレインみたいだ。98年、石川亨信、八子晋嗣の両氏が加わっている)

 ことしの最大の特徴は、やっぱり、昨年11月15日に亡くなった彫刻家、橘井裕さんの遺作が展示されていたことだろう。

 「チェルノブイリからの送り物」(送は、原文のママ)
 2011年3月以降の情況を無言で撃つような作品だと思った。同時に、どこかユーモアもたたえている。
 横には、通夜の席で参列者に配布していたリーフレットが置かれ、持ち帰れるようになっていた。 

 上のフロアでは、最古参メンバーの八子さんが木彫3点を並べている。裸婦、抽象という取り合わせ。古い木の質感がおもしろい。
 石川さんの銅版画は、ぼんやりした霧のような図柄が多いのだが、今回は本人が「色を明るくしてみました」と言うとおり、鮮やかな色調。板の触感のようなものが感じられる作品もある。
 中村修一さんの陶芸作品「emerge」は、三つずつの突起をはやした形状が愉快。

 絵画。清野有香さん「insomnia」は、昨春、東京で之個展で見た作品よりも好きだなあ。人の顔を大きく、90度横倒しにして描いている。
 水戸麻記子さん「吐」は、頭骨から、タコ人間やアンモナイト人間、木の根の形をした脚の人間など、奇妙な生き物がどっさり飛び出している。

 下のフロアで、まず目に入ってくるのが、最年長メンバー野村裕之さんの「絶対に人を殺さないイエロー・サブマリン ―逝ってしまった2人のアーティストへのオマージュ」。
 2人とは、橘井裕さんと、年末に亡くなったミュージシャンの大瀧詠一さんである。

 高野理栄子さんの版画「Ame」。青い机上に、小さな雲から斜線が何本も下がっていて、ほんの狭い場所に雨が降っているようにみえるのがおもしろい。微細な空気の流れや動きがつたわってくるようだ。

 とにかく、作風が多種多様なので、見ていて飽きない展覧会だった。

 出品作は次のとおり。

會田千夏 “portrait 2014.1.15”
阿部有未 pomme damow -v-  pomme damow -R-  bouquet de jaune  “comete”
(アクサンテギュは機種依存文字のため、eやaで代用しています)
石川亨信 TOU  MEI  HAN
糸井崇史 無題(2点)
上嶋秀俊 mellow
菅 定   正午の影  片目をつぶった自画像  菅定の頭の中2014 I  菅定の頭の中2014 II  カレンダー
鴻上宏子 雨の名前
小林光人 Rondo
清野有香 Insomnia
高野理栄子 Ame(同題2点)  Kouke
多田和史 モシカシテモシカシテ  ドウシタノ?
中村修一 emerge
野村裕之 絶対に人を殺さないイエロー・サブマリン―逝ってしまった2人のアーティストへのオマージュ
藤山由香 untitled
前川アキ 雨の帰り道  氷点  夜色(同題2点)
牧野秀昭 風見#1  風見#2
三浦恵美子 2013油彩(同題2点)  シオン
水戸麻記子 誰もおこしてはいけない  吐
宮崎亨  生きる
八子晋嗣 女  時の門  羽衣の欠片
山形牧子 ソラ・カラ no.1  ソラ・カラ no.2

 なんか、メモを間違えてとっているような気もするので、指摘してください(弱気)。


2014年1月16日(木)~21日(火)午前10:00~午後6:00(最終日~午後5:00)
大同ギャラリー(中央区北3西3、大同生命ビル3、4階)


フェイスブックページ https://www.facebook.com/events/538410676254129/

過去の記事へのリンク
予告記事
vol.7 (2010)
New Point vol.6
New Point Vol.4 (2007年)
第1回のNew Point (2004年)
2002年のお正月展




※チ・カ・ホから直結。地下からエレベーターで3階に上がるとラクです(4階は止まりません)。


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