北海道美術ネット別館

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■New Point Vol.4(1月30日まで)

2007年01月30日 05時09分54秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 恒例の、ジャンルを越えたグループ展。
 前身は、彫刻家の畑野天秋さんが主宰する「お正月展」でしたが、2004年から若手に運営を引き継ぎ、展覧会名も変わりました。
 グループとしての主張とか、作風の共通性などはなく、良い意味のいい加減さが、この展覧会の心地よさだと思います。
 仲間が仲間を呼んで-というぐあいに参加人数も年を追うごとに増えて、ことしは過去最多の38人。2フロアとはいえ、入りきれるんかいな、といぶかしく思っていましたが、いざ作品が搬入されてみると、大作も小品もあって、会場にうまいぐあいにおさまっています。

 出品作はつぎのとおり。
中村修一「Take root」
伴翼「狩人へ.#3」「狩人へ.#2」
 彫刻。古代の釣り針やもりを大きくしたようなフォルム。見る人のイマジネーションをひろげる題材ですね。

前澤良彰「SHASHIN SOCHI」
 New Pointに写真初登場。紋別市の風景が、なんだか人工の箱庭みたいに見えるのがふしぎ。

田中伊久里「まま」
渡邉ひろ子「ドレミ」
高野理栄子「rule」
八子晋嗣「木霊が聞こえる」
 八子さん得意の、打楽器兼用の木彫。ばちが2本ついていて、鑑賞者が自由に演奏できます。

本田詩織「猫(きみ)と眠る ぬくぬく」「雪に光る」「Heaven」
藤沢レオ「尚」
奥山三彩「Blue sun」
Emily Mayer「喜び-Mayu」「異才-kubo san」
前川アキ「戻ってきた 冬」
 いろんな色をつかっているようなのですが、それは白系統の絵の具で塗りこめ、前面では寒色が主調となって、統一感があります。水色の太い線のリズムも心地よいです。

かかずいさち「いいたいこと」
橘内美貴子「ユラグ」
石川亨信「ただよお、」
川上加奈「あたためる人」
 彫刻。大きな卵のようなものを抱いている女性の、瞑目した表情が美しく、見ていて心の底からいやされる佳作だと思います。

ダム・ダン・ライ「風画」「山の雲」
 「風画」は、激しいタッチの抽象画を60枚つなげた大作。3階から4階にのぼる階段の踊り場の壁をかざっています。「山の雲」は彫刻。
 
菅定「石運搬船」「FOOT PROOF」
金子辰哉「ART HEAD No.2」
宮崎亨「使い道の分からない力」
 絵画。あいかわらず、得体の知れないパワーとエネルギーに満ちた快作(怪作?)です。腕が触手のようになった男の背中から角のようなものが何本も生え、苦しんでいる様子がうかがえます。

韮沢淳一「水の上を歩く」「無機質な種」
橘井裕「ムジ鳥」「休息」
川上勉「夢は月あかりの中で」
 彫刻。横たわる女性と、建築とが一体になったふしぎな作品。女性の腹のあたりに階段がついていたりするのですが、ふしぎと違和感がなく、幻想的な雰囲気がただよいます。

水戸麻記子「海上睡眠」
藤山由香「untitled」
鳴海伸一「知」
伊藤幸子「土の泪」
 彫刻。女性の首。両目から涙が流れ、下に小さな水たまりもふたつできています。

伊藤明彦「hanna」
山田恭代美「水面-静かに待つ」
會田千夏「momoco's」
 絵画。近年の代表的シリーズ「katari-jima」の世界に似ていますが、あちこちから木が生えており、変化の兆しがはっきり出ています。現実にはありえないスケール感が快感です。

阿部有未「leon」「abrir」
小林光人「不条理の錠」
国松希根太「Shining From Heaven」「NIGHTMARE」
吉田あや(蔵書票12点)
友野直実「ゆうかげ」「しらつゆ」
 版画。夜の空気感みたいな雰囲気のただよう抽象作品が多い人でしたが、今回は葉などのかたちが大きくあしらわれた作品。

澁谷美求「海底の閃光」
渡邊慶子「水中花」
佐々木雅子「漆チョコ」

 ところで、さいきんご本人も作品もとんとお見かけしなくなった畑野さんですが、この展覧会には足を運ばれたそうです。いまはなにをしてらっしゃるんでしょうか。お仕事がいそがしいのかな。

1月18日(木)-30日(火)10:00-18:00(最終日-17:00)、水曜休み
大同ギャラリー(中央区北3西3、大同生命ビル3階 地図A

■第1回のNew Point
2002年のお正月展


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2 コメント

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私のこの一点 (川上@個展deスカイ)
2007-01-31 00:30:33
菅定さんの「石運搬船」
実際に小石を木柵の中に満載した状態の船。
しかも船は木型に鉛箔葺き製らしい。
このままでは海上を走れないのは分かって居るし
作者の意図は重い石を満載した状態で喫水まで水につかって居る姿を現実の矛盾と格闘しながら航海している船の姿を借りて重い現実というものを観る者に突きつけているように見える。

大型作品へのエスキースかも知れないが、胸を打つ佳作だ。


他には會田千夏さん「momoco's」。
さすがです。
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Unknown (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2007-01-31 21:17:31
 川上さん、いつもどうもです。
 菅さんの作品に共感なさったのですね。
 たしかに、前回大同ギャラリーでひらいた個展のときとは、一味も二味もちがう作品でした。
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