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■5er展 札幌大谷大学短期大学部専攻科美術1年 5人による展示(2月17日で終了)

2008年02月20日 23時34分58秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 札幌大谷短大の専攻科で、おなじアトリエで制作している荒谷真優子さん、大場優子さん、山木尚美さん、林由希菜さん、戸田遥さんの5人によるグループ展。
 1月に札幌市民ギャラリーでひらかれた専攻科1年展で見た作品がかなりありましたが、若々しい絵がならんでいました。
 そこで、写真を大きく掲載しようかと思ったのですが、あまりうまく写っていないので、通常サイズとします。ごめんなさい。


          

 戸田遥さん。
 手前は「Tonight Tonight」です。
 ヴァニタスという概念を現代的な絵にした-というおもむきです。「死の舞踏」ということばを思い出しました。
 じつは、この手前にも数点小品がありました。
 いちばん奥の「記念館」という作品もユニーク。格子窓のたくさん付いた、極端に天井の高い建物の、中央の玄関からひとりの少年が入ってくるのを、多くの少年が迎えているという場面を描いています。妙な現実感のある建物は、実際にある廃墟をモデルにしているんだそうです。
 ほかに「少年電力」「転校生」。
 後者は、左側が教室、右側が地下鉄の駅のホームになっている奇妙な空間を描いています。現実に対する違和感のようなものをにじませた小品です。


          

 山木尚美さん。
 左は「やわらかな目眩」。
 海に浮かんでいる女性をモティーフにした作品ですが、よく見ると丁寧な塗りで、いろいろなものが描かれています。見ているとこちらまで浮かんでいるような、心地よさもあります。
 右は「もうすこしだけ」。
 具体的なことはわからないのですが、大きな鏡にうつった若い女性2人がなにやらドラマ性を感じさせます。
 ほかに「overlap」「warmth」「ゆめうつつ」(これは昨秋の法邑大賞展で優秀賞の作品)。
 

          

 大場優子さん。
 「やっとテーブルから離れることができました。直前まで完成しなくて、なんだかまだ、絵の中の人物がふるえているみたいな感じがします」
と、いちばん大きな「内」について語っていました。
 彼女の絵を見ると筆者は「貧しい」ということばを思い出すのですが、それは絵が貧相だというのではなくて、虚飾をそぎ落としたとき人間存在に残るのはなんだろう-ということを考えさせるのです。
 人間の実存を感じさせる絵といえばジャコメッティの描く細長い顔ですが、大場さんはそれとは違ったアプローチで人間をみつめているのかもしれません。
 左は「家族と共に」、中央上は「2.14」、右は「共感」。いちばん上の肖像画には題がついていません。


            

 荒谷真優子さん。
 画像の絵は「未来には」。
 そのとなりに、花を描いた「贈り物」、その右側には「過去には」が展示されていました。
 「未来には」では、女性が広がる世界を見つめているのに対し、対になっている「過去には」では、おなじ下着姿の女性が床に力なく横たわっています。部屋も似たような様子ですが、これほど窓は大きくあいていません。
 この2枚の題が逆ならば暗いですが、外を見ているほうが「未来には」なので、よしとしたいと思います。
 「贈り物」はアカデミックなタッチ。「古い絵が好きなんです」と荒谷さんは話していました。


            

 林さんだけが版画です。
 画像の手前は「夢想」。奥にもう1点、同題の作品があり、いずれも先の専攻科1年展に出品していたものです。
 キノコの林立する都市を描いたイマジネーションあふれる世界です。
 ほかに「いざない」「なんだかかなしくて」「ブランコ遊泳」。


08年2月9日(土)-17日(日)10:00-18:00 火曜休み
茶廊法邑(東区本町1の1-8-27)

全道展受賞者展(07年11月。大場さん出品)
Peace展 II(07年9月。大場さん出品)
8号室展(07年6月。大場さん出品。画像なし)
学生STEP主催卒業展(07年3月。大場さん、林さん出品)
3人展 361番(07年2月、林さん出品)




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