函館の金属造形作家で、道内在住者としては史上初めて日本芸術院賞を受賞(1986年)した折原久左エ門(おりはら・きゅうざえもん)さんが2月に86歳で亡くなっていた。筆者はお恥ずかしいことに、新聞で見逃していた。日展の理事を務めるなど、金工の重鎮であり、道内外各地にモニュメントが設置されている。
折原さんは、発足から44年間にわたって日本現代工芸美術展北海道会の会長を務めており、今年の同会展の会場 . . . 本文を読む
山本佳子けい こ さんは兵庫県西宮市さんに工房を構え、ガラス作品づくりに取り組んでいる。
今回は札幌圏では初の個展で、以前、帯広で、札幌拠点のマカオ出身の写真家シーズン・ラオさんと2人展を開いたことがあるという。
会場が、森の中にあり、大きなガラス窓越しに緑が見えるので、植物に近いかたちをした作品を中心に持ってきたという。
窓の手前に、インスタレーションふうに並ぶ作品は「Moon See . . . 本文を読む
木工人もくびとを名乗り、木工に取り組む札幌の屋中秋谷さん。
筆者の記憶する限りでは、ト・オン・カフェでの展示は初めてだ。
木工だから、木からかたちを掘りだすオブジェ(冒頭画像の中央は「朋ト休息」)や、盆などの作品は、当然あるのだが、今回は壁一面に展開された「漂ウ小宇宙」のシリーズ全20点が、屋中さんの真骨頂を示していると思う。
遠目には、横長の板に、二つないし四つの小さな円が点在し . . . 本文を読む
道内の人形作家によるグループ「AiDocca(アイドッカ)」が一昨年に続く2度目の展覧会を札幌で開いている。
「AiDocca」は「愛」とスウェーデン語の「人形」を組み合わせた造語。
北見の道新文化センターで講師を務める皆川優子さんが代表を務め、現在は札幌や道東の8人が所属する。ひとくちに「人形」というが、作風は非常に幅広い。
皆川さんによると、2016年限りで「人形道展」が終了し . . . 本文を読む
「布」は染織の朝田千佳子さん(札幌)、「土」は陶芸の佐合政昭さん(岐阜県美濃加茂市)、「木」は木工の菊地聖さん(上川管内東神楽町)。ユニークな顔ぶれの3人展です。
朝田さんは、3~4月に北区あいの里で開かれた3人展でも出品した大きなタペストリーと新作を出品。
リトアニアリネンを縦糸に、島根県で造られている石州和紙を横糸にして編んだ素材を用いています。
もともとデザインは、シンプルなの . . . 本文を読む
(6月7日、画像を追加しました。)
陶芸展というのは、時としてにわかアートファンにとっては敬遠したくなる対象だ。●●焼とか▲焼とかの区別ができないとしろうとだとさげすまれそうな気がするし、題名は何だろうと思ってパネルを見ると漢字が10個も続いてどう読むのかわからないことも多い。
その点、この陶芸展は気楽である。パネルには「陶器」と書いてあるけれど、皿や花瓶といったいわゆる「うつわ」は全体の2 . . . 本文を読む
江別で白磁の器を作る北川智浩さんが、三越で個展を開いています。
白磁がメインですが、近年取り組んでいる「桃白磁とうはく じ 」の器もあります。
白磁はシャープで、桃白磁はあたたかみが感じられる色調です。
象嵌彩という手法で、幾何学的、あるいは、ドットが集積した文様に桃色を施しています。北川さんによると「これは陶芸では出づらい色なんです。辰砂(真紅の発色をする釉薬で、還元焼成する)も不安定で . . . 本文を読む
勝野さんは、十勝管内音更町にガラス工房フンベを開いています。ロゴマークからは「フンペ」と読めそうですが、「ベ」と濁音になるのが正解です。
いつもは、透明な皿やカップに、オレンジや黄色、緑といった鮮やかな色の斑点を散らした作品をメインに、食器や花器。一輪挿しなどを扱っています。
手前は、緑のカエデの葉をあしらった長皿。ぱっと見過ごしてしまいそうですが、実際に作るのは、かなり手間がかかりそう . . . 本文を読む
驚嘆すべき細密な文様を描く陶磁の作家の個展。
筆者は2007年の「私のベスト5」に挙げたほどである。
陶芸ファンはもちろん、絵画や現代アートの愛好者を含むすべての人におすすめしたい。
今回は、5千年に及ぶユーラシア大陸の文明が、通底するテーマになっている。
古代エジプトに題材を得た香炉は、象形文字や、顔が横向きになっていることで知られる絵画などがデザインされているし、シカが遊ぶ園が描か . . . 本文を読む
地元・江別の土を使い、淡い植物の絵付けのうつわを作る新林しんばやし裕子さんは、毎年この時期に札幌で個展を開いています。
自らの「なな窯土裕陶房」とおなじく、ナナカマドの絵付けをした壺です。
裏側から見ると、雪の季節のナナカマドです。
絵柄は、図案的というより、写実的なのが特徴。
描かれているのはツユクサ、クローバー、ナズナ、アジサイ、ヤマボウシ、ヤマガラシ、ノブドウ、イチバンソウ . . . 本文を読む
(承前)
すみません、4月21日にギャラリーを巡った際の記事が、まだ書き終わっていません。
ただ単に「かわいい」だけではない、むしろグロテスクさを漂わせる虫や動物などのアクセサリーが、数多く展示・販売されていました。
これまでにあまり見たことのなかったモティーフの作品もあります。
この作品はヒトデを模しています。
つぎの画像にあるように、黒いトカゲも会場の隅をひそかに這って . . . 本文を読む
(承前)
大石俊久さんは札幌の陶芸家。
一般的な器も作りますが、個展やグループ展で発表するのは、ダイナミックなインスタレーションなどが中心です。
今回は平面の壁掛け作品が多いです。
土の存在感を生かした「基層」「表層」といった作品。
備前でよく見られる火だすきの技法が用いられています。
もっともご本人は「平面って難しい」と言います。
「立体は何とかなる感じ。平面は反りやすいし、少 . . . 本文を読む
星槎道都大でシルクスクリーンを教えている中島ゼミの学生とOBが毎春開いている小品展示・即売会。
ことしも楽しい小物があれこれとたくさん販売されています。
冒頭画像は、指導教官の中島義博教授の作品。
熱帯の花のようななまめかしさを感じさせる「アーノルドの花」など。
中島先生は小物販売ではなく、ふつうに平面作品です。
以下、取り上げるのは、セレクトにそれほど深い意味はありません。
. . . 本文を読む
染織の朝田千佳子さん、漆芸の堀内亜理子さん、陶磁の本田麻亜沙さんによる3人展です。
本田さんは、メロン灰の釉薬を用いた、さわやかな色合いのうつわ。
ピッチャーやボウル、小鉢、マグカップ、ポット、酒器などがならびます。
こういう器でティータイムがすごせたら、すてきだろうなと思います。
堀内さんは旭川近郊で漆の作品づくりに取り組んでおり、以前はケータイ電話を模した手鏡というケッサク . . . 本文を読む
空知管内由仁町の陶芸家で、うつわは作らずユニークな立体の創作に取り組んでいる相馬康宏さんの個展。
作品は13点。
いずれも、独特のフォルムを持っており、見る向きによって形も変わってきます。
釉薬もかなりの部分を自ら調合し、噴きつけるとのこと。
淡い緑や、ピンクなど、一般的な陶芸ではほとんど見ない色合いです。
次の画像の、左の作品は、案内はがきに写真が載っていたもの。
砂鉄 . . . 本文を読む