みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

メガバンクに50億円以上借りている自民がまたカネを要求、金権政党の本性露呈 - まさに「国家のシロアリ」

2015-12-21 | いとすぎから見るこの社会-全般
所謂アベノミクスなどという低次元の政策が不発に終わり、
エコノミストは不承不承ながら「期待外れ」を認め始めている。
最初から失敗が分かり切った話なのに、どうしてここまで時間がかかるのだろう。

ただ消費税増税に責任転嫁する、更にレヴェルの低い連中が
相手にされなくなっているのだけは不幸中の幸いではある。

我が国より間接税が遥かに重いスウェーデンは今年、
経済成長率見通しを上方修正して3%台後半を見込んでいる。
次元の低い安倍政権は2%にすら届かない体たらくなのに全く反省せず、
経済界にカツアゲを始める始末である。厚顔無恥とはこのことであろう。

メガバンクから50億円以上の大金を借りて返さない上に、
更なる献金を強要している自民党はこれで「金権政党」認定は間違いないと言える。
(今に始まった話ではないのだが、旧態依然の「口だけ改革」政党でしかない訳だ)

傲慢不遜で増長している金権政党は、成長率でも労働生産性でも1人当たりGDPでも
スウェーデンに「全敗」している低能ぶりにも関わらず、
議員報酬だけはスウェーデンより明らかに高額である。
このような政党をのさばらせていては、日本経済が沈滞しているのも当たり前である。

そして、金権政党と癒着し歪んだ政策による利益誘導ばかりに熱心な
我が国の富裕層は、貧困率の上昇た経済停滞を無視し自らの利益の増大ばかり図っている。

▽ 我が国の経済経済成率が一貫して低落しているのに、日本の富裕層は政策を利用して蓄財していた

『「新富裕層」が日本を滅ぼす』(武田知弘/森永卓郎,中央公論新社)


公開された政治資金関連情報からも、
当ウェブログの警告が正しかったことが証明されたと言えよう。

「日本社会の醜悪な歪みは、ここ20年で最大の域にまで達したと言える。
 東証一部上場企業の利益はリーマンショックの年を上回り、
 上場企業の株主還元が13兆円と過去最高を記録したと報道されている」

「企業収益と株主還元だけは「バブル」になっている。
 勤勉とイノベーションを生む苦闘によって儲かったのであれば良かろう。
 だが、この収益や株主還元は殆どが円安効果と市場操作によるものであり、
 日本企業の経営革新や体質強化によるものではない。
 (中小企業の収益と比較すれば明らかである)」

「前々から当ウェブログがはっきり書いているように、
 我が国では企業収益と国民所得はディカップリングしている。
 そしてその経済劣化を、自民党政権の次元の低さが更に深刻化させている」

「おまけに、株主還元の急増にはGPIFの日本株買い(=国民のカネで株主利益を増やす)と
 企業の自社株買い(=賃金を上げるのではなく株主を潤す)が大きく寄与している」
 
「異次元緩和に端を発する円安によって一般国民の賃金を切り下げて株価が上昇し
 大企業の収益が大幅改善した訳だから、株主は国民の富を盗んだのである」

「利益誘導が増える腐敗した経済では、格差が急速に拡大し
 OECDが言うように成長が阻害されるのである」

「当ウェブログが予言したように、2015年も日本の成長率の下方修正は確定したと言えよう」

「日経新聞の調査では景気回復を実感している層はたった18%で、
 アベノミクス「自滅策」の次元の低さは明白である」

「リフレ派や財界の太鼓持ちどもは「あと数年待てば」などと大嘘をつくが、
 絶対に信用してはならない。我が国の成長率低迷が
 安倍政権になっても全く改善していないのは歴然たる事実である」

「金融市場も上海と同様のバブルに過ぎないから、
 安倍政権は体質のよく似た中共と仲良く没落するしか道はない」

「GPIFが株をいくら買っても消費が増える理由にはならない。
 投資家は消費性向が著しく低い上に数が少ないので、成長率を改善する力などない」

「成長率の低迷はそうした意味で完璧に予想通りである。
 実体経済と株式市場の乖離幅の異常な拡大は、
 あと数年で崩壊が起きることを示唆している」

「円安で水膨れした企業収益も操作された株価も「実力」などではない。
 追い風を「実力」と勘違いしていた2006年の再来でしかないのだ」

「役員報酬を増やしているのが円安恩恵の大きい電機や自動車であることから、
 彼らの報酬増が、実力よりも政策誘導(円安)によるものであることは明白だ。
 日本の経済成長率や国民所得の伸びとは、完全にディカップリングしている」

「家計金融資産を見ても、法人金融資産を見ても、
 カネを持っている個人や法人を政策で儲けさせることが
 日本経済全体に恩恵が及ばない愚策であるのは明白である」

「報道によれば日本企業の申告所得額は58兆円を超え、
 「記録のある1967年度以降で最高となった」と言う。
 しかし経済成長率は当時の数字に遠く及ばず、
 厚生労働省の調査では「生活が苦しい」は六割を超え過去最高となっている」

「アベノミクスは「国民から企業や投資家への所得移転」だと
 当ウェブログは前々から警告してきたが、予想通りの展開と言えよう」

「真に経済を成長させるためには、財界バラ撒きのアベノミクスではなく、
 給付付き税額控除と現役世代への現物給付で労働投入を増やすこと、
 企業にエネルギー効率を引き上げる投資を強要すること、
 投資庁を設立して対内投資を促進し、保守退嬰の劣等経営層を市場から淘汰することが重要である」

「しかし安倍政権はこうした確実に効果の出る方法を選ばず、
 予算バラ撒きによる官僚への懐柔策(=公的部門の非効率に直結)や
 法人減税やTPP、企業サイドが儲かる規制緩和でまた財界バラ撒きを図っている。
 財界の政治献金にたかるシロアリ政党の本性は、不治の病と見える」

「有権者がもっと早く、アベノミクスの腐った本性を見抜いていれば、
 日本経済もこれほど歪んだ状況に陥らなかったのだ」

「基本的に、経済団体の言う「経済対策」「経済政策」は自社への利益誘導であり、
 必ずしも日本経済全体の利益をもたらすものではない。
 日本経済への好影響と称して儲けるためのものである」

「安倍政権以来、大企業は過去最高益続出で東証は一時ITバブルを超えたが、
 実体経済は当時に遠く及ばす2四半期連続でマイナス成長となる始末。
 実質賃金はいまだに民主党政権時の水準にすら届いていない」

「国内市場が伸びていないのだから、
 日本企業が国内に積極投資する筈がない。 
 大企業を儲けさせても日本経済が低迷するのは当たり前である」

「それも至極当然の話で、大企業は経営努力以外の要因で高水準の利益を得て
 株価を上げるための株主還元や、より成長の見込める海外展開に注力しているのだ。
 海外M&Aの資金が過去最高を記録しているのがその証左である」

「つまり、日本企業は日本国民を貧しくして得たカネで
 海外企業を過去最高の勢いで「爆買い」しているのだ。
 2015年だけで総額10兆円を超えるとの観測もあり、
 円安による燃料費増加よりも遥かに巨額の富が海外に流出しているのである。
 株主しか儲からず、日本国民が相対的に貧しくなるのは当たり前であろう」

「これでまたアベノミクスの「次元の低さ」が立証されたと言える。
 日本経済新聞調査によれば景気が改善すると考えているのはたった25%で
 2期連続マイナス成長は世論も「織り込み済み」だったのである」

「また、アメリカ経済回復という恩恵を受けてもこの惨状なのだから、
 アベノミクスはマイナス成長ですら「上げ底」だと言えよう。
 米経済がリセッションに陥っていれば、大幅なマイナス成長になっていた筈だ」

現下の日本の低成長は、輸出減等の外来要因では全くない。
3%以上の成長率を保つスウェーデンとの格差を見れば、
日本の政治と政策が劣っているための低迷であるのは明白だ。

▽ 企業献金は、政策を操って儲けるための「レントシーキング」として使われているのが実態

『グローバル・スーパーリッチ: 超格差の時代』(クリスティア・フリーランド,早川書房)


経済界が本当に「民主主義のコスト」と考えているなら
どうして自民党にばかりカネを出すのか。見え透いた嘘もいい加減にすべきである。

「経済団体の言説は、テレビCMに実によく似ている。
 消費者にとってのメリットやベネフィットを強調し、
 快く愉快な、或いは好感が持てるイメージを振りまいているが
 その実態は企業収益の向上を狙った思惑の偽装である」

「つまりリターンを求めた投資活動に過ぎない訳で、
 このマス広告の構図を経済団体の主張に当てはめると全ての謎が解ける」

「①国民にとっての利益を強調し、②イメージ向上を図っているが、③実態は企業収益のため、
 という三層構造から成り立つ論理である。だからCMに騙された消費者と同じく、
 いつもいつも失望や不信を招くのは自業自得なのである」

「財界が、下野した自民党には献金を減らし、政権復帰したらカネを増やしていることから、
 政治献金の実態が「打算と取引の塊」であるのは明白である」

「例えば経団連は政治献金の増額と引き換えに法人税減税・効用規制改革・原発再稼働と、
 会員企業の経営努力がなくとも大いに儲かる政策を安倍政権に求めている」

「多くの経営者は株主利益の最大化に務めるのが最重要任務であり、
 そのためには公益を騙りつつ、その裏で業界益を図るのは不思議ではない。
 いかに美辞麗句で飾っても所詮、レントシーキングでしかないのだ」

「財界からたっぷり政治献金を受け取っている自民党が、
 更に政党交付金を貰うなどとんでもない話だ。
 政治献金を受け取るなら、その分の交付金は返上すべきである。
 それができないと言うのなら、「金権政党」であることを自ら証明したことになる」

「日本国民の所得増加よりも遥かに自民党の献金増額の方が大きく伸びている。
 実質的な政策買収により、国民が貧しくなって自民党と大企業にカネが入る図式だ」

「学術的には、法人税引き下げは「成長政策」などではない。
 政治献金とのバーター取引による「企業収益の成長政策」でしかない」

「政治献金で資源配分を歪める企業に減税など、とんでもない話だ。
 法人税率と経済成長率を比較すれば、両者に相関性がないのは明白である」

と当ウェブログが指摘したように、
日本それ自体の経済合理性と企業の経営合理性には明白な利害相反がある。

 ↓ 参考

企業・団体政治献金の98%を自民党が独占、経済低迷の元凶は「政策の買収」- 政党交付金を返上させよ
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/6367ef1d0f7b190d79665f3416e4ba7b

2期連続マイナス成長の元凶は「日本企業」、海外M&Aだけが過去最高 - 設備投資も賃上げも後ろ向き
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/3229f6befd88f507405ed1b1fcb7bcc9‎

「景気よくなると思う」がたった25%、日本国民もアベノミクスに死刑宣告 -「生活が苦しい」は過去最高
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/30a941ef4c04bab879a27adbf39dc69e‎

東証ITバブル越えでも「景気回復を実感していない」75%、実質賃金も24ヵ月下落-株価操作に未来なし
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/0c8509e8a335d82986df4fd21c416b4a

▽ 安倍政権が成立して以来、現役世代の貧困率は悪化している

『中間層消滅』(駒村康平,KADOKAWA/角川マガジンズ)


内部留保「M&Aに」44% 社長100人アンケート(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ19H3J_Q5A221C1MM8000/
日本経済新聞社が21日まとめた「社長100人アンケート」で、過去最大規模に膨らんだ内部留保の活用先について、M&A(合併・買収)と株主還元との回答がいずれも44.8%に達した。好業績を背景にグローバル化や株主対応に積極的な経営者が増えている。一方、賃上げなど従業員還元は14.5%にとどまった
 政府は官民対話などを通じて企業に賃上げを求めているが、資金の使い道について両者の意向が必ずしも一致して…〔以下略〕”

法人減税を行ったら、カネが海外に流出するか
消費性向の低い株主にばかり回り、
日本経済の成長や内需振興に寄与しないのは明白である。


銀行が自民党に献金再開か 本当は「乗り気じゃない」事情も(AERA)
http://dot.asahi.com/aera/2015120900072.html‎
”巨額の政党交付金をもらう自民党に、銀行が献金を再開するらしい。本当は乗り気ではないようだが、背に腹代えられぬ事情があった。
 全国銀行協会の佐藤康博会長(みずほフィナンシャルグループ社長)は10月の記者会見で「自民党へ政治献金を再開するのか」と問われ、「見返りを求めて行うものではなく、企業の社会貢献の一環として重要性を有している」と答えた。
 金融界では「年内に献金再開に踏み切る」との観測がもっぱら。政党の会計帳簿は年末に閉じる。それに間に合うよう「社会貢献」を打ち上げ世論の反応を見た、と関係者は指摘する。
 銀行に問い合わせると「対応方針は決まっていない。総合的に判断する」と判で押した公式回答が返ってくるが、本音は、
「経団連からも献金再開を求められている。銀行は行政と関わりが深い規制業種。権力の意向に逆らうのは難しい」(大手銀行関係者)

 なぜ大銀行は自民党に融資をするのか。返済の当てはあるのか。全銀協の佐藤会長は会見で「通常の融資です。個別の取引についてはお答えできない」と述べるにとどめた。
 銀行は事業にカネを貸し、利益の一部を金利として受け取る。利益を生まない公益法人や個人への融資もあるが、収入や所得を調べ、返済能力があると分かれば物件を担保にとって融資する。
 自民党は収益を生まない。主な収入は政党交付金。2015年は170億円配分される。衆参とも与党として過半数の議席を持ち現状は交付金も潤沢だが、政治は「一寸先は闇」。小選挙区制は議席数のブレが大きい。
〔中略〕
 リスクある融資には担保を求めるのが通常のルールである。ところが自民党への融資74億円は無担保で実行されている。金融ルールからの逸脱ではないか。
「不透明」な自民党への融資が始まったのは今から25年前、小沢一郎氏が幹事長を務めていたときだ。90年の衆院選を前に、自動車、電機、建設など産業界に献金を割り当てた。そのうえで「献金が実行されるまでのつなぎ資金」として総額150億円の融資を銀行に求めた。政治献金の前借りである。
 前代未聞の要請を受け、金融界は戸惑ったが、全銀協会長だった宮崎邦次・第一勧業銀行(当時)頭取が業界をまとめた。企業献金で返済する、という口約束をもとに大手9行に割り振ったのである。ところが返済は滞る。小沢氏は自民党を離党し、93 年には細川政権が誕生。経団連は政治献金のあっせんをやめ、「後払い」の算段は狂った。
 後日、経緯を宮崎氏にただしたところ「永田町の自民党本部を担保に取った、と聞いている」という答えが返ってきた。登記簿を調べると自民党本部に抵当権は付いていない。それもそのはず、敷地は国有地である。
〔中略〕
 自民党本部の建物の資産価値は政治資金収支報告書に載っている。15億5230万円。150億円の借金に釣り合う金額ではない。ほかの主だった資産を調べると、自動車が8台。借金の担保になるような資産が自民党にはない。
「献金は借金棒引きに等しい」という指摘を佐藤会長にぶつけると「融資と献金は別物。見解の相違です」と答えた。
 献金は「企業の社会的責任」と言い、融資は「企業秘密」と逃げるのはなぜか。
「自民党に気を使わなければならない要因がもう一つある。郵便貯金の限度額です」
 金融関係者は打ち明ける。自民党では今、ゆうちょ銀行の預金限度額の引き上げが議論されている。6月に党総務会が「現行1千万円までの限度額を3千万円に引き上げる」という方向を打ち出し、金融界に衝撃が走った。
 銀行は長らく、政府をバックに全国に展開する郵便貯金と火花を散らしてきた。全銀協などは「絶対に認められない」とする共同声明を出した。

 限度額をどこまで拡大するかは、政府の委員会で検討されているが、最終的に政治判断になる。集票マシンとして強力なゆうちょを相手に、限度額を抑えたい銀行は押され気味。献金を断れない事情は、そのあたりにもあるという。

アエラは、メガバンクが渋々ながら献金に応じるのは
政治力のあるゆうちょへの規制が自分達の不利益変更にならないためとしている。
業界体質としても横並びなので、とにかくリスク回避性向が根底にあると見て間違いない。


融資先の自民党に迎合? 3メガバンクが政治献金再開か(週刊朝日)
http://dot.asahi.com/wa/2015121600023.html
”献金再開は社会貢献?
 大手銀行は政治献金を18年ぶりに再開しようと検討している。みずほ、三菱東京UFJ、三井住友の3メガバンクをはじめ、全国の銀行が加盟する全国銀行協会(全銀協)の佐藤康博会長(みずほフィナンシャルグループ社長)は10月の記者会見で、献金は経団連からの呼びかけに応えるものだと語った。再開は「各行が独自に判断する」というが、国民の理解は得られそうにない。
 今、1万円を3メガバンクの定期預金(スーパー定期)に1年間預けても、利子はわずか2.5円だ(12月1日現在)。金利0.025%と、歴史的な超低金利が続いている。
 全銀協の佐藤会長は献金再開について「企業の社会貢献の一環」としているが、一般国民が低金利に苦しんでいるのだから、社会貢献を口にするなら、サービス業としてはまず、金利を上げて預金者に還元すべきとの声は多い。
 3メガバンクの広報担当者は政治献金再開について「まだ何も決めていない」と判で押したように答える。献金がどうして社会貢献になるのかについても聞いた。
「議会制民主主義は、民間との幅広いコミュニケーションを通じて、民意を吸い上げ、政策を立案・実行するものです。政策の立案・実行にかかるコストについて民間も応分の負担をすることが期待されているため」(みずほフィナンシャルグループコーポレート・コミュニケーション部広報室)
「経団連が、企業の社会貢献の一環として重要性を有するとの見解を示していると理解しております」(三井住友銀行広報部)
 みずほの言う「民主主義のコスト」は一見、理屈に合っているようだが、実際のところ献金先は自民党だけだ。
〔中略〕
 国民政治協会は自民党の政治資金団体で、献金の窓口になっている団体。銀行業界は電力や建設業界と並んで、大口の政治献金提供者だった。その銀行業界が献金自粛に追い込まれたのは、1990年代の金融危機のなか、銀行の経営を支えるために巨額の公的資金が投入されたからだ。国から税金を受け取って政治献金すれば、税金が政治家や政党に還流することになるからである。
 3メガバンクはいずれも公的資金を返済し終わっている。とはいえ、公的資金を返したからといって政治献金を再開していいことにはならないだろう。その理由としてはまず、政党交付金との“二重取り”がある。
「政治とカネ」の問題で国民の政治不信が極まった94年、小選挙区比例代表並立制、政党交付金の導入を柱とする政治改革4法が成立した。政党助成法は、国民1人当たり250円負担して、一定の要件を満たす政党に交付するという内容だったが、企業・団体献金の廃止が前提だった。
 よって、企業献金そのものが本来許容されない。だが、そのことを差し置いても、銀行の政治献金には大きな問題がある。自民党が銀行の融資先であるからだ。
 11月27日に総務省が公表した政党の2014年分政治資金収支報告書によると、自民党への融資は、三菱東京UFJが31億6250万円、みずほと三井住友がそれぞれ20億7500万円、りそなが8750万円となっている。
 仮に貸出金利を1%とすると、20億円の融資では年2千万円の利息が発生する。融資先に政治献金するということは事実上、「元本の減額」あるいは「利子の減免」になってしまう。
 新生銀行の社内弁護士を務めていた民主党の階(しな)猛衆議院議員は、融資先への寄付行為について次のように語る。
銀行はまず、貸したお金を回収してから寄付すべき。銀行が融資を決定するにはルールがある。返済能力を審査して適格と判断したら十分な担保を取る。住宅ローンなら自宅が担保になる。政党は収益企業ではないし、融資しても利益を生むことはないので、返済は政党交付金ということになる。融資先への献金は株主に対して説明できるのか疑問だ」
 階氏は過去の経験から融資先への献金を認めるわけにいかないと批判し、民主党のスタンスについても語る。
「企業・団体献金禁止と個人献金促進を定める法律制定を図ることで、維新の党と政策合意したので、銀行の政治献金についても厳しく監視していく」
 献金を受け取る側とされる自民党の丸山和也参議院議員は持論をこう話す。
「一般論として企業が自分の責任で献金するのは自由でいい。確かに、献金で企業と政党が結びついてしまうのは良くないという意見はあるが、政治献金だけでなく、大きな視点で寄付文化を見ると、アメリカでは総額23兆円の規模だ。日本はたった2千億円だ」
 だが、融資先への献金は「おかしい」ときっぱり。
はっきり言って、自民党は銀行から借りたお金を返していない。巨額な借金だ。もし、銀行が全部返せと言ってきたら、自民党は自己破産だ。銀行からすれば、貸したカネを返してもらうための献金ということもあるだろう」
 06年、第1次安倍内閣のときも銀行の政治献金再開が大きな問題となった。3メガバンクはこの年、公的資金の返済を終了し、真っ先に返済を済ませた三菱 UFJフィナンシャル・グループの畔柳信雄社長が全銀協会長として旗振り役を務め、献金再開に積極的だった。しかし、安倍首相は世論の反発を受けて、献金受け取りを断念した。
 旧第一勧業銀行出身の作家、江上剛氏は当時「献金の形で返済の一部を事実上免除するのは、タコが自分の足を食うようなもの。大手行は公的資金や超低金利で巨額の不良債権を処理できた。利益還元で優先すべきは政党ではなく、国民や利用者ではないか」と批判していた。
 今回、06年と大きく異なるのは、銀行側の旗振り役がいないこと。経団連からの要請で再開せざるを得ないという雰囲気だ。銀行側は積極的ではないという。自民党へは中小金融機関なども政治献金しているが、そちらはあまり批判されない。メガバンクであるがゆえに社会的な風当たりは強い。
〔中略〕
 金額が突出して目立つのは嫌だから、みんなで渡れば怖くないという線に落ち着きそうだ。”

週刊朝日は更に深掘りして、自民党への融資の問題点や
自民党にばかり集中する政治献金の問題を衝いている。

金権政党に権力をくれてやるからこのような醜態を見せるのであり、
金権政党を叩き落とさない限り日本経済に未来はない。
そうでなければ非効率と癒着が、黴のようにあらゆる場所ではびこることになる。
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