経済団体の言説は、テレビCMに実によく似ている。
消費者にとってのメリットやベネフィットを強調し、
快く愉快な、或いは好感が持てるイメージを振りまいているが
その実態は企業収益の向上を狙った思惑の偽装である。
(知られていない情報を知って貰いたい、という動機でも本質的には同じ)
つまりリターンを求めた投資活動に過ぎない訳で、
このマス広告の構図を経済団体の主張に当てはめると全ての謎が解ける。
①国民にとっての利益を強調し、②イメージ向上を図っているが、③実態は企業収益のため、
という三層構造から成り立つ論理である。だからCMに騙された消費者と同じく、
いつもいつも失望や不信を招くのは自業自得なのである。
財界が、下野した自民党には献金を減らし、政権復帰したらカネを増やしていることから、
政治献金の実態が「打算と取引の塊」であるのは明白である。
例えば経団連は政治献金の増額と引き換えに法人税減税・効用規制改革・原発再稼働と、
会員企業の経営努力がなくとも大いに儲かる政策を安倍政権に求めている。
これらは経営合理性から見ればごく自然な行動であり、
経済団体が政治献金で事実上「政策を買収」するのは当然である。
多くの経営者は株主利益の最大化に務めるのが最重要任務であり、
そのためには公益を騙りつつ、その裏で業界益を図るのは不思議ではない。
いかに美辞麗句で飾っても所詮、レントシーキングでしかないのだ。
だから、批判されるべきはこうした財界の思惑を見抜けないで
アベノミクスの太鼓持ちを務めた御用メディアの醜態であり、
そして財界癒着政党に大量の票を与えて腐敗を深刻化させた
程度の低い有権者の衆愚的な投票行動にあると言えよう。
▽ 「レントシーカー」は企業献金で政策を操り、自らが儲けようとする
何度も繰り返すが、次元の低いアベノミクスが始まった当初から、
当ウェブログは警告してきた通りのショボい結果になっているのが現実だ。
「日本社会の醜悪な歪みは、ここ20年で最大の域にまで達したと言える。
東証一部上場企業の利益はリーマンショックの年を上回り、
上場企業の株主還元が13兆円と過去最高を記録したと報道されている」
「実質賃金はリーマンショックの年を更に下回る急落で、
国民が刻々と貧しくなっていく一方で企業と株主だけが儲かっている構図である」
「企業収益と株主還元だけは「バブル」になっている。
勤勉とイノベーションを生む苦闘によって儲かったのであれば良かろう。
だが、この収益や株主還元は殆どが円安効果と市場操作によるものであり、
日本企業の経営革新や体質強化によるものではない。
(中小企業の収益と比較すれば明らかである)」
「前々から当ウェブログがはっきり書いているように、
我が国では企業収益と国民所得はディカップリングしている。
そしてその経済劣化を、自民党政権の次元の低さが更に深刻化させている」
「おまけに、株主還元の急増にはGPIFの日本株買い(=国民のカネで株主利益を増やす)と
企業の自社株買い(=賃金を上げるのではなく株主を潤す)が大きく寄与している」
「異次元緩和に端を発する円安によって一般国民の賃金を切り下げて株価が上昇し
大企業の収益が大幅改善した訳だから、株主は国民の富を盗んだのである」
「利益誘導が増える腐敗した経済では、格差が急速に拡大し
OECDが言うように成長が阻害されるのである」
「当ウェブログが予言したように、2015年も日本の成長率の下方修正は確定したと言えよう」
「日経新聞の調査では景気回復を実感している層はたった18%で、
アベノミクス「自滅策」の次元の低さは明白である」
「リフレ派や財界の太鼓持ちどもは「あと数年待てば」などと大嘘をつくが、
絶対に信用してはならない。我が国の成長率低迷が
安倍政権になっても全く改善していないのは歴然たる事実である」
「金融市場も上海と同様のバブルに過ぎないから、
安倍政権は体質のよく似た中共と仲良く没落するしか道はない」
「GPIFが株をいくら買っても消費が増える理由にはならない。
投資家は消費性向が著しく低い上に数が少ないので、成長率を改善する力などない」
「成長率の低迷はそうした意味で完璧に予想通りである。
実体経済と株式市場の乖離幅の異常な拡大は、
あと数年で崩壊が起きることを示唆している」
「円安で水膨れした企業収益も操作された株価も「実力」などではない。
追い風を「実力」と勘違いしていた2006年の再来でしかないのだ」
「役員報酬を増やしているのが円安恩恵の大きい電機や自動車であることから、
彼らの報酬増が、実力よりも政策誘導(円安)によるものであることは明白だ。
日本の経済成長率や国民所得の伸びとは、完全にディカップリングしている」
「家計金融資産を見ても、法人金融資産を見ても、
カネを持っている個人や法人を政策で儲けさせることが
日本経済全体に恩恵が及ばない愚策であるのは明白である」
「報道によれば日本企業の申告所得額は58兆円を超え、
「記録のある1967年度以降で最高となった」と言う。
しかし経済成長率は当時の数字に遠く及ばず、
厚生労働省の調査では「生活が苦しい」は六割を超え過去最高となっている」
「アベノミクスは「国民から企業や投資家への所得移転」だと
当ウェブログは前々から警告してきたが、予想通りの展開と言えよう」
「真に経済を成長させるためには、財界バラ撒きのアベノミクスではなく、
給付付き税額控除と現役世代への現物給付で労働投入を増やすこと、
企業にエネルギー効率を引き上げる投資を強要すること、
投資庁を設立して対内投資を促進し、保守退嬰の劣等経営層を市場から淘汰することが重要である」
「しかし安倍政権はこうした確実に効果の出る方法を選ばず、
予算バラ撒きによる官僚への懐柔策(=公的部門の非効率に直結)や
法人減税やTPP、企業サイドが儲かる規制緩和でまた財界バラ撒きを図っている。
財界の政治献金にたかるシロアリ政党の本性は、不治の病と見える」
「有権者がもっと早く、アベノミクスの腐った本性を見抜いていれば、
日本経済もこれほど歪んだ状況に陥らなかったのだ」
「最も愚かで、最も鈍い者が事態の急速な悪化を認めた時、
日本経済は既に「手遅れ」の状態となるであろう」
漸く多くのメディアも有権者も安倍政権の程度の低さを察知しつつあるが、
まだまだ認識が足りない。今起きているのは、10数年前から繰り返されてきた
陳腐なモラルハザード問題の再来に過ぎない。
▽ 「失われた20年」の間にも、日本の富裕層は政策を利用して富を増やしていた
公表された政治資金報告書の内容は、当ウェブログの指摘と完全に一致している。
「基本的に、経済団体の言う「経済対策」「経済政策」は自社への利益誘導であり、
必ずしも日本経済全体の利益をもたらすものではない。
日本経済への好影響と称して儲けるためのものである」
「安倍政権以来、大企業は過去最高益続出で東証は一時ITバブルを超えたが、
実体経済は当時に遠く及ばす2四半期連続でマイナス成長となる始末。
実質賃金はいまだに民主党政権時の水準にすら届いていない」
「国内市場が伸びていないのだから、
日本企業が国内に積極投資する筈がない。
大企業を儲けさせても日本経済が低迷するのは当たり前である」
「それも至極当然の話で、大企業は経営努力以外の要因で高水準の利益を得て
株価を上げるための株主還元や、より成長の見込める海外展開に注力しているのだ。
海外M&Aの資金が過去最高を記録しているのがその証左である」
「つまり、日本企業は日本国民を貧しくして得たカネで
海外企業を過去最高の勢いで「爆買い」しているのだ。
2015年だけで総額10兆円を超えるとの観測もあり、
円安による燃料費増加よりも遥かに巨額の富が海外に流出しているのである。
株主しか儲からず、日本国民が相対的に貧しくなるのは当たり前であろう」
「これでまたアベノミクスの「次元の低さ」が立証されたと言える。
日本経済新聞調査によれば景気が改善すると考えているのはたった25%で
2期連続マイナス成長は世論も「織り込み済み」だったのである」
「また、アメリカ経済回復という恩恵を受けてもこの惨状なのだから、
アベノミクスはマイナス成長ですら「上げ底」だと言えよう。
米経済がリセッションに陥っていれば、大幅なマイナス成長になっていた筈だ」
賢い有権者が多数派であれば、財界癒着政権に事実上のフリーハンドを渡さなかったであろう。
しかし実際には必ずしもそうではなく、もはや手遅れになりつつある。
↓ 参考
2期連続マイナス成長の元凶は「日本企業」、海外M&Aだけが過去最高 - 設備投資も賃上げも後ろ向き
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/3229f6befd88f507405ed1b1fcb7bcc9
「景気よくなると思う」がたった25%、日本国民もアベノミクスに死刑宣告 -「生活が苦しい」は過去最高
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/30a941ef4c04bab879a27adbf39dc69e
東証ITバブル越えでも「景気回復を実感していない」75%、実質賃金も24ヵ月下落-株価操作に未来なし
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/0c8509e8a335d82986df4fd21c416b4a
▽ 安倍政権が始まって以来、現役世代の貧困率は間違いなく悪化している
経団連:「今年上回る賃上げ」表明 設投10兆円増の試算(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20151127k0000m020108000c.html
はっきり言えることは、フェイスブックやアマゾンのように
急成長を遂げたアメリカ企業はこのような政策依存の発言はしない、ということだ。
(脱法的な税務戦略はあるが、政治献金でコストを下げようとはしない)
断言してもいいが、「国際競争力が向上し、経済成長以上のペースで設備投資を増やせる」という言葉は
実行されない。「経営努力がなくとも、経済成長以上のペースで企業収益を増やせる」が正しい。
設備投資は、言い訳程度に行われるだけである。
企業には所詮、高齢化と人口減少が進む国内で市場を成長させる力などないからだ。
自民への企業献金22億円 13%増、下野前水準に戻る(毎日新聞)
http://www.asahi.com/articles/ASHCV52P1HCVUTFK00Q.html
財界からたっぷり政治献金を受け取っている自民党が、
更に政党交付金を貰うなどとんでもない話だ。
政治献金を受け取るなら、その分の交付金は返上すべきである。
それができないと言うのなら、「金権政党」であることを自ら証明したことになる。
政治献金:自民へ13%増 14年、5年ぶり20億円台(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20151128k0000m040127000c.html
このように、日本国民の所得増加よりも遥かに自民党の献金増額の方が大きく伸びている。
実質的な政策買収により、国民が貧しくなって自民党と大企業にカネが入る図式だ。
政治献金:ゼネコン最大手5社、自民団体に各1600万円(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20151128k0000m040059000c.html
ゼネコンは昔からそうだが、非常に分かり易い「横並び」である。
このどこが「民主政治を維持するコスト」なのか。
「安定収益を維持するコスト」以外の何ものでもない。
野口悠紀雄氏 「法人税率下げ、成長には影響せず」 税金考(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO91706950U5A910C1I00000/
学術的には、法人税引き下げは「成長政策」などではない。
政治献金とのバーター取引による「企業収益の成長政策」でしかない。
政治献金で資源配分を歪める企業に減税など、とんでもない話だ。
法人税率と経済成長率を比較すれば、両者に相関性がないのは明白である。
消費者にとってのメリットやベネフィットを強調し、
快く愉快な、或いは好感が持てるイメージを振りまいているが
その実態は企業収益の向上を狙った思惑の偽装である。
(知られていない情報を知って貰いたい、という動機でも本質的には同じ)
つまりリターンを求めた投資活動に過ぎない訳で、
このマス広告の構図を経済団体の主張に当てはめると全ての謎が解ける。
①国民にとっての利益を強調し、②イメージ向上を図っているが、③実態は企業収益のため、
という三層構造から成り立つ論理である。だからCMに騙された消費者と同じく、
いつもいつも失望や不信を招くのは自業自得なのである。
財界が、下野した自民党には献金を減らし、政権復帰したらカネを増やしていることから、
政治献金の実態が「打算と取引の塊」であるのは明白である。
例えば経団連は政治献金の増額と引き換えに法人税減税・効用規制改革・原発再稼働と、
会員企業の経営努力がなくとも大いに儲かる政策を安倍政権に求めている。
これらは経営合理性から見ればごく自然な行動であり、
経済団体が政治献金で事実上「政策を買収」するのは当然である。
多くの経営者は株主利益の最大化に務めるのが最重要任務であり、
そのためには公益を騙りつつ、その裏で業界益を図るのは不思議ではない。
いかに美辞麗句で飾っても所詮、レントシーキングでしかないのだ。
だから、批判されるべきはこうした財界の思惑を見抜けないで
アベノミクスの太鼓持ちを務めた御用メディアの醜態であり、
そして財界癒着政党に大量の票を与えて腐敗を深刻化させた
程度の低い有権者の衆愚的な投票行動にあると言えよう。
▽ 「レントシーカー」は企業献金で政策を操り、自らが儲けようとする
『グローバル・スーパーリッチ: 超格差の時代』(クリスティア・フリーランド,早川書房) | |
何度も繰り返すが、次元の低いアベノミクスが始まった当初から、
当ウェブログは警告してきた通りのショボい結果になっているのが現実だ。
「日本社会の醜悪な歪みは、ここ20年で最大の域にまで達したと言える。
東証一部上場企業の利益はリーマンショックの年を上回り、
上場企業の株主還元が13兆円と過去最高を記録したと報道されている」
「実質賃金はリーマンショックの年を更に下回る急落で、
国民が刻々と貧しくなっていく一方で企業と株主だけが儲かっている構図である」
「企業収益と株主還元だけは「バブル」になっている。
勤勉とイノベーションを生む苦闘によって儲かったのであれば良かろう。
だが、この収益や株主還元は殆どが円安効果と市場操作によるものであり、
日本企業の経営革新や体質強化によるものではない。
(中小企業の収益と比較すれば明らかである)」
「前々から当ウェブログがはっきり書いているように、
我が国では企業収益と国民所得はディカップリングしている。
そしてその経済劣化を、自民党政権の次元の低さが更に深刻化させている」
「おまけに、株主還元の急増にはGPIFの日本株買い(=国民のカネで株主利益を増やす)と
企業の自社株買い(=賃金を上げるのではなく株主を潤す)が大きく寄与している」
「異次元緩和に端を発する円安によって一般国民の賃金を切り下げて株価が上昇し
大企業の収益が大幅改善した訳だから、株主は国民の富を盗んだのである」
「利益誘導が増える腐敗した経済では、格差が急速に拡大し
OECDが言うように成長が阻害されるのである」
「当ウェブログが予言したように、2015年も日本の成長率の下方修正は確定したと言えよう」
「日経新聞の調査では景気回復を実感している層はたった18%で、
アベノミクス「自滅策」の次元の低さは明白である」
「リフレ派や財界の太鼓持ちどもは「あと数年待てば」などと大嘘をつくが、
絶対に信用してはならない。我が国の成長率低迷が
安倍政権になっても全く改善していないのは歴然たる事実である」
「金融市場も上海と同様のバブルに過ぎないから、
安倍政権は体質のよく似た中共と仲良く没落するしか道はない」
「GPIFが株をいくら買っても消費が増える理由にはならない。
投資家は消費性向が著しく低い上に数が少ないので、成長率を改善する力などない」
「成長率の低迷はそうした意味で完璧に予想通りである。
実体経済と株式市場の乖離幅の異常な拡大は、
あと数年で崩壊が起きることを示唆している」
「円安で水膨れした企業収益も操作された株価も「実力」などではない。
追い風を「実力」と勘違いしていた2006年の再来でしかないのだ」
「役員報酬を増やしているのが円安恩恵の大きい電機や自動車であることから、
彼らの報酬増が、実力よりも政策誘導(円安)によるものであることは明白だ。
日本の経済成長率や国民所得の伸びとは、完全にディカップリングしている」
「家計金融資産を見ても、法人金融資産を見ても、
カネを持っている個人や法人を政策で儲けさせることが
日本経済全体に恩恵が及ばない愚策であるのは明白である」
「報道によれば日本企業の申告所得額は58兆円を超え、
「記録のある1967年度以降で最高となった」と言う。
しかし経済成長率は当時の数字に遠く及ばず、
厚生労働省の調査では「生活が苦しい」は六割を超え過去最高となっている」
「アベノミクスは「国民から企業や投資家への所得移転」だと
当ウェブログは前々から警告してきたが、予想通りの展開と言えよう」
「真に経済を成長させるためには、財界バラ撒きのアベノミクスではなく、
給付付き税額控除と現役世代への現物給付で労働投入を増やすこと、
企業にエネルギー効率を引き上げる投資を強要すること、
投資庁を設立して対内投資を促進し、保守退嬰の劣等経営層を市場から淘汰することが重要である」
「しかし安倍政権はこうした確実に効果の出る方法を選ばず、
予算バラ撒きによる官僚への懐柔策(=公的部門の非効率に直結)や
法人減税やTPP、企業サイドが儲かる規制緩和でまた財界バラ撒きを図っている。
財界の政治献金にたかるシロアリ政党の本性は、不治の病と見える」
「有権者がもっと早く、アベノミクスの腐った本性を見抜いていれば、
日本経済もこれほど歪んだ状況に陥らなかったのだ」
「最も愚かで、最も鈍い者が事態の急速な悪化を認めた時、
日本経済は既に「手遅れ」の状態となるであろう」
漸く多くのメディアも有権者も安倍政権の程度の低さを察知しつつあるが、
まだまだ認識が足りない。今起きているのは、10数年前から繰り返されてきた
陳腐なモラルハザード問題の再来に過ぎない。
▽ 「失われた20年」の間にも、日本の富裕層は政策を利用して富を増やしていた
『「新富裕層」が日本を滅ぼす』(武田知弘/森永卓郎,中央公論新社) | |
公表された政治資金報告書の内容は、当ウェブログの指摘と完全に一致している。
「基本的に、経済団体の言う「経済対策」「経済政策」は自社への利益誘導であり、
必ずしも日本経済全体の利益をもたらすものではない。
日本経済への好影響と称して儲けるためのものである」
「安倍政権以来、大企業は過去最高益続出で東証は一時ITバブルを超えたが、
実体経済は当時に遠く及ばす2四半期連続でマイナス成長となる始末。
実質賃金はいまだに民主党政権時の水準にすら届いていない」
「国内市場が伸びていないのだから、
日本企業が国内に積極投資する筈がない。
大企業を儲けさせても日本経済が低迷するのは当たり前である」
「それも至極当然の話で、大企業は経営努力以外の要因で高水準の利益を得て
株価を上げるための株主還元や、より成長の見込める海外展開に注力しているのだ。
海外M&Aの資金が過去最高を記録しているのがその証左である」
「つまり、日本企業は日本国民を貧しくして得たカネで
海外企業を過去最高の勢いで「爆買い」しているのだ。
2015年だけで総額10兆円を超えるとの観測もあり、
円安による燃料費増加よりも遥かに巨額の富が海外に流出しているのである。
株主しか儲からず、日本国民が相対的に貧しくなるのは当たり前であろう」
「これでまたアベノミクスの「次元の低さ」が立証されたと言える。
日本経済新聞調査によれば景気が改善すると考えているのはたった25%で
2期連続マイナス成長は世論も「織り込み済み」だったのである」
「また、アメリカ経済回復という恩恵を受けてもこの惨状なのだから、
アベノミクスはマイナス成長ですら「上げ底」だと言えよう。
米経済がリセッションに陥っていれば、大幅なマイナス成長になっていた筈だ」
賢い有権者が多数派であれば、財界癒着政権に事実上のフリーハンドを渡さなかったであろう。
しかし実際には必ずしもそうではなく、もはや手遅れになりつつある。
↓ 参考
2期連続マイナス成長の元凶は「日本企業」、海外M&Aだけが過去最高 - 設備投資も賃上げも後ろ向き
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/3229f6befd88f507405ed1b1fcb7bcc9
「景気よくなると思う」がたった25%、日本国民もアベノミクスに死刑宣告 -「生活が苦しい」は過去最高
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/30a941ef4c04bab879a27adbf39dc69e
東証ITバブル越えでも「景気回復を実感していない」75%、実質賃金も24ヵ月下落-株価操作に未来なし
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/0c8509e8a335d82986df4fd21c416b4a
▽ 安倍政権が始まって以来、現役世代の貧困率は間違いなく悪化している
『中間層消滅』(駒村康平,KADOKAWA/角川マガジンズ) | |
経団連:「今年上回る賃上げ」表明 設投10兆円増の試算(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20151127k0000m020108000c.html
”経団連の榊原定征会長は26日、政府と経済界の代表が意見交換する「官民対話」で、2018年度の民間設備投資が15年度推計(71.6兆円)より約10兆円多い81.7兆円になるとの試算を示した。会員企業に対し、16年春闘で15年実績を上回る賃上げを求める方針も表明。一方、設備投資を伸ばす前提として法人減税や規制改革を求めた。
20年ごろの名目国内総生産(GDP)600兆円を目指す政府は、経団連に対し「利益を社会に還元すべきだ」とし、賃上げや投資増強の具体策を求めていた。
〔中略〕
榊原氏が求めたのは、法人実効税率を16年度に20%台に引き下げる▽労働規制のさらなる緩和▽原発再稼働などによる電力コストの低減--など9項目。これらを実現して企業活動のコストが減れば、国際競争力が向上し、経済成長以上のペースで設備投資を増やせるとの考えだ。
〔中略〕
安倍晋三首相は「高く評価したい。しっかりと実行していただきたい」と述べ、早期の法人減税に意欲を示した。
また榊原氏は、16年春闘に向け、3年連続のベアを容認し、15年実績を上回る賃上げを求める方針を示した。ただ、基本給を一律で引き上げるベースアップにはこだわらず、年齢や勤続年数に応じて自動的に引き上げる定期昇給や一時金も含めた年収アップを求める見通しだ。【種市房子】”
はっきり言えることは、フェイスブックやアマゾンのように
急成長を遂げたアメリカ企業はこのような政策依存の発言はしない、ということだ。
(脱法的な税務戦略はあるが、政治献金でコストを下げようとはしない)
断言してもいいが、「国際競争力が向上し、経済成長以上のペースで設備投資を増やせる」という言葉は
実行されない。「経営努力がなくとも、経済成長以上のペースで企業収益を増やせる」が正しい。
設備投資は、言い訳程度に行われるだけである。
企業には所詮、高齢化と人口減少が進む国内で市場を成長させる力などないからだ。
自民への企業献金22億円 13%増、下野前水準に戻る(毎日新聞)
http://www.asahi.com/articles/ASHCV52P1HCVUTFK00Q.html
”2014年の自民党への企業・団体献金が前年比13%増の約22億1千万円となり、 09年に民主党に政権を譲る以前の水準に戻ったことが、27日公表の政治資金収支報告書で明らかになった。経団連が5年ぶりに会員企業への政治献金の呼びかけを再開したことが大きい。企業・団体献金を将来なくそうと、税金による政党交付金が導入されたが、制度の趣旨に逆行している。
自民の14年の収入総額は約239億円。このうち企業・団体献金は、12年末の安倍内閣の発足を受け、13年に前年比42%増の約19億円に伸びていたが、14年はさらに増えて約22億円。
〔中略〕
現在、国会に議席を持つ全政党が集めた企業・団体献金のうち自民が98%を占めた。
経団連の榊原定征会長は14年9月、会員約1300社に政治献金再開を呼びかけた。榊原氏が相談役最高顧問を務める東レは、08年を最後に自民に献金していなかったが、14年は4千万円を献金。企業・団体で6番目の額だった。
一方、議員数と国政選挙での得票割合に応じ、税金から配分される政党交付金は約157億円。13年の参院選で議席を増やしたため約7億円増え、借入金をのぞく収入の68%だった。”
財界からたっぷり政治献金を受け取っている自民党が、
更に政党交付金を貰うなどとんでもない話だ。
政治献金を受け取るなら、その分の交付金は返上すべきである。
それができないと言うのなら、「金権政党」であることを自ら証明したことになる。
政治献金:自民へ13%増 14年、5年ぶり20億円台(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20151128k0000m040127000c.html
”2014年の1年間に自民党の政治資金団体「国民政治協会」へ企業・団体が献金した総額が、前年比13.3%増の約22億円で、5年ぶりに20億円を超えたことが、総務省公表の政治資金収支報告書(総務相所管の中央分)で分かった。自民が政権に復帰した12年末以降、安倍政権によるアベノミクスなどを背景に大企業の業績が改善。経団連は14年、会員企業への政治献金呼びかけを5年ぶりに復活させ、アベノミクスの恩恵が自民に還流する傾向が強まっている。
同協会の14年分収支報告書によると、企業・団体の献金総額は22億1312万円。野党時代の10~12年は13億円台だったが、政権復帰後の13年は前年比42.5%増の19億5408万円とV字回復を遂げ、14年はさらに増額。09年の野党転落前の水準をほぼ回復した。
大企業約1300社を擁する経団連は、昨年9月に献金呼びかけを再開した。14年の献金額が9位までの11社のうち、7社は現時点で経団連の会長と副会長を出している。現会長で昨年呼びかけを再開した榊原定征(さだゆき)東レ相談役最高顧問は「民主政治を維持するためには相応のコストが不可欠だ」としている。
その東レ(化学・繊維大手、東京都)の場合、民主党政権が誕生した09年から13年まで自民への献金をやめていたが、昨年再開。献金額は2番目に高い4000万円だった。東レは毎日新聞の取材に、「産業政策を提言、実行できる政党や政治家の支援は産業界にとって重要だ。経団連の呼びかけにかかわらず、当社として個別に判断した」(広報室)と説明した。
〔中略〕
企業・団体の政治献金を巡っては、政治との癒着を生み、健全な民主主義をゆがめる恐れがあるとの批判もある。政治資金に詳しい上脇博之・神戸学院大法学部教授は「経団連がひと声かければカネが集まってくると自民党は再認識したのではないか。財界が献金により、必要とする政策を『買収』しているとも言える」と指摘する。【樋岡徹也、飯山太郎】”
このように、日本国民の所得増加よりも遥かに自民党の献金増額の方が大きく伸びている。
実質的な政策買収により、国民が貧しくなって自民党と大企業にカネが入る図式だ。
政治献金:ゼネコン最大手5社、自民団体に各1600万円(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20151128k0000m040059000c.html
”大林組、鹿島、清水建設、大成建設、竹中工務店の国内ゼネコン最大手5社が2014年、自民党の政治資金団体「国民政治協会」に、前年比400万円増の1600万円をそれぞれ献金した。安倍政権による公共事業拡大や2020年東京五輪・パラリンピック関連工事増加が見込まれることが背景にあるとみられる。
〔中略〕
大手5社は13年にもそろって1200万円を献金していた。横並びの増額について、各社は「政策を勘案し、政治資金規正法に基づいて対応している」(清水建設)、「自民党現政権の安定と日本経済の発展、特に自然災害などから国民の命を守る国土強靱(きょうじん)化政策に期待し、当社として判断した」(鹿島)などと書面で回答した。
また、5社に続くゼネコン大手の前田建設工業、安藤ハザマ、五洋建設、西松建設も13年から額を増やし、14年に横並びで900万円を献金している。
政治評論家の伊藤惇夫さんは、建設業界について「政治献金でも『談合』しているのではないか。13年参院選勝利などで自民の長期政権が確実となり、政府の国土強靱化や五輪で仕事が増えることへの期待の表れだろう」と分析している。【樋岡徹也、飯山太郎】”
ゼネコンは昔からそうだが、非常に分かり易い「横並び」である。
このどこが「民主政治を維持するコスト」なのか。
「安定収益を維持するコスト」以外の何ものでもない。
野口悠紀雄氏 「法人税率下げ、成長には影響せず」 税金考(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO91706950U5A910C1I00000/
”――かねて産業構造の転換を目指せと提唱しておられます。税制でそれを促せますか。
「できるが望ましくない。市場メカニズムをゆがめるからだ。投資税額控除は投資に影響を与えるとされているが、 法人税率そのものの引き下げは効果がない、というのが経済学の定説。投資の多くは借り入れによって賄われる。支払利子は法人税を計算する際に損金として扱われるので、法人税を下げれば損金となる金額も減り、税引き後の収益率は変…〔以下略〕”
学術的には、法人税引き下げは「成長政策」などではない。
政治献金とのバーター取引による「企業収益の成長政策」でしかない。
政治献金で資源配分を歪める企業に減税など、とんでもない話だ。
法人税率と経済成長率を比較すれば、両者に相関性がないのは明白である。