みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

急増する医療費は「高齢者のたかり」- 日本は韓国と並んで世界最悪か、多過ぎる受診回数に病床数

2014-07-22 | いとすぎから見るこの社会-格差の拡大
日本は異様なほど高齢層に金融資産が集中する国であり、
その根源は自民党政権が選挙目当てで高齢者三経費をバラ撒いたこと、
愚劣極まりない所得税減税で税収を個人金融資産に移転したことにある。

最近ブルームバーグが、日本の保守退嬰メディアが触れないタブーを破り、
「高齢者のたかり」と題して日本医療の構造的なモラルハザードを取り上げている。

年金でも医療でも介護でも、高齢者三経費においては
現役世代から高齢世代へと壮大な所得移転がなされている。

加藤出氏が指摘しているように、日本の生産年齢世代の生産性向上は
先進国でトップの年平均1.5%を記録しているにも関わらず、
国全体の成長率においては先進国中で最低水準に転落してしまう。

労働投入の減少だけでなく、巨額の所得移転と高齢層の資産退蔵により、
日本の成長率が停滞に追い込まれている疑いが極めて強い。

▽ 成長率の比較についてはこちらを参照のこと

『日銀、「出口」なし! 異次元緩和の次に来る危機』(加藤出,朝日新聞出版)


▽ 世代間格差は、我が国の成長率を低下させている

『世代間格差:人口減少社会を問いなおす』(加藤久和,筑摩書房)


勿論、今日の事態を招いた責任は自民党の迎合政策にある。

「麻生氏がまた傑作迷言を残した。
 880兆円もの現預金を貯め込んでいる日本経済の現状は
 「ふざけている」と罵倒したのである」

「これは事実上、自民党のこれまでの経済失政を認めたものだ。
 何故なら、自民党は富裕高齢層に盛大なバラマキを行ってきたからである。
 資金死蔵を招く愚かな施策の元を辿れば全て自民党に行き着く」

「現在のような選挙目当ての高齢者三経費バラマキによる「買票」行為は
 田中角栄が始めたものである。その後の自民党政見は小手先の改革しかしていない。
 例えばマクロ経済スライドが全く機能していないなど、お話にならない状態である」

「また、自民党政権は90年代後半以降に所得税減税を行ったが
 何ら経済対策にはならず、家計金融資産が増大しただけで終わった。
 国内経済は停滞が続いていたから、この時期に資産を殖やした者の多くは 
 自分の力量ではなく政府のカネで私腹を肥やしたのである」

同時に、餌に釣られてバラマキ社会保障を喜び甘えてきた
多くの有権者も「財政的幼児虐待」との批判を免れることはできない。

 ↓ 参考

ふざけた「880兆円」は自民党の責任、天に唾する麻生発言 - 減税と高齢者バマラキの必然の帰結
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/5ce7fc54f011339037b342f2be748248

 ↓ 65歳以上の層が所有する資産総額は平均で4743万円にも達する

貧しい若者から搾取したカネを高齢者に回す日本、現役世代の格差は急拡大 - 厚労省は自画自賛ばかり
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/f8ec208ad41a248b7550a5fc26fd9a7f‎‎

▽ あの村上医師は、意識が低く医療コストを増大させる患者側の問題を厳しく批判

『医療にたかるな』(村上智彦,新潮社)


「元気の秘訣」病院通い、医療費1割負担の功罪ー国が夕張に(Bloomberg)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140718-00000001-bloom_st-bus_all
”7月18日(ブルームバーグ):川崎市の住宅街の一角。早朝から20人くらいの高齢者が、整形外科の前で持参した折りたたみ椅子に座り、楽しげな様子で会話をしている。その中の一人、元タクシー運転手の石山馨(かおる)さん(82)は休診日の日曜日以外、毎日ここに通い、こうして診療所が開くのを待っている。
 石山さんは、7年前に交通事故で悪くした腰を診てもらっており、1回の診察料は110円だという。石山さんはたばこを吸いながら、「ここに来ているみんなは友達のようなもの」と笑顔を見せる。
〔中略〕
 経済協力開発機構(OECD)によると、日本は国民1人当たりの受診回数が年13回と、韓国と並んで加盟国で突出して多い。公的医療保険制度が充実し、 70歳以上の高齢者の自己負担率が1割に抑えられていることが要因の一つだ。2060年には人口の3分の1以上が70歳を超える超高齢化社会に突入する中、膨張する医療費の抑制は政府が財政再建を果たす上で喫緊の課題となっている。
 大和総研の鈴木準・主席研究員は、「このままでは政府の医療負担は持続不可能な水準まで膨張し、医療保険制度は立ち行かなくなる」と予想。「自己負担の低さは問題で、コスト意識の低下を助長し、今の状況につながっている」と指摘する。  厚生労働省によると、11年度の70歳以上の国民1人当たりの医療費は80万6800円と、自己負担率が3割となっている70歳未満の約4倍。同年度に 38兆5900億円だった医療費の財源では、国と地方を合わせた公費が38%、保険料が49%、患者負担が12%となっている。

社会保障関係費
 国の予算ベースでみると、社会保障関係費は過去5年間(09-14年度)で23%増と主要経費の中で最大の伸びを示している。医療への支出は、社会保障関係費の中で4割弱(11兆1990億円)と最大のシェアを占め、過去5年間の伸びも24%増と9%増にとどまる年金を大きく上回っている。
 OECDによると、日本は1人当たりの入院日数も18日と加盟国の中で最長だ。政府の社会保障審議会医療保険部会の会長を務める学習院大学の遠藤久夫教授は、自己負担の少なさに加え、介護の仕組みが十分でないことや在宅医療が充実していないことが入院日数が長くなる要因と説明する。
 遠藤教授は、「高齢者の医療は公費の割合が高く、高齢者の割合が上がるため公費が大きくなる」と指摘。医療の自己負担については、「年齢ではなく所得で分けるべきだ。所得が高い人は高齢者でも応分の負担をしてもらう必要がある」と話す
〔中略〕
消費税17%
 モルガンスタンレーMUFG証券チーフエコノミストのロバート・フェルドマン氏は、債務残高の対GDP比を20年までに安定させるためには消費税を現状の8%から17%へ、65歳以上の社会保障歳出を27%削減する必要があると試算する。
 遠藤教授は、病床数の多さや安価な後発医薬品の使用頻度の少なさも医療費の増加を助長していると話す。OECDによると、1000人当たりのベッド数では日本は13.4と加盟国中で最も多い。厚労省によると、特許切れ医薬品市場における後発医薬品のシェア(10年、数量ベース)は米国の9割、ドイツの8割に対して、日本はおよそ4割にとどまる。
 高齢者の自己負担に関しては、06年に成立した医療制度改革関連法で70-74歳の負担は08年度から2割に引き上げられることが決まった。ただ、特例措置で昨年度まで引き上げは凍結され、今年度から始まる引き上げも、4月2日以降に70歳になる高齢者に限られる。つまり、すでに70-74歳の高齢者は1割負担のままだ。
 6月に発表された経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)では、保険料負担については世代間・世代内での公平を図る必要があるとし、高齢者の患者負担は負担能力に応じた負担とすることを検討する、としている。今月17日には、持続可能な社会保障制度の確立を議論する社会保障制度改革推進会議の第1回会合が開催された。
 ただ、SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは、「国民が危機感を共有していない中で、医療費の自己負担引き上げを公約に掲げるのは、選挙での負けに直結する」と指摘。「医療の政策は人の命に直接影響するため、抜本的に変えることが難しい」と話す。

高齢者によるたかり  
 現在、北海道でNOP法人理事長として病気の予防と在宅医療に取り組む村上智彦医師は、07年に財政再建団体に指定された夕張市で医師として5年間働いた。高齢者の割合や借金の規模から見て同市は約40年後の日本の縮図で、既存の医療保険制度を維持した場合、日本の財政破綻は目に見えていると話す。〔以下略〕”

このブルームバーグの勇敢な記事を熟読されたい。
日本の高齢者医療が破局へ向かっていることがすぐに分かる。
財政危機を迎えるまで、利己的で強欲な自称「庶民」が目が覚めないのであろう。

遠藤教授は介護の仕組みや在宅医療が充分でないことも長い入院日数の要因としているが、
それはそもそも国民負担が軽いことが根本にある。
負担を嫌がってばかりで真のコストを無視している有権者の姿勢にも重大な問題がある。

相応の資産を持つ高齢層の負担を現役並みにするだけでなく、
医療予算の効率化のため生活習慣病へのペナルティを強化し、
予防医療に注力するとともに高齢者雇用を創出し税・社会保険料収入を増やさなければならない。
Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« S&P500のシラーPERは警... | TOP | 「大家族の評価を」「第3子... »
最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Recent Entries | いとすぎから見るこの社会-格差の拡大