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『週刊東洋経済』1月4日合併号 -「デフレから脱却しても低成長は変わらない」と河野龍太郎氏

2014-01-04 | 『週刊 東洋経済』より
先週は週刊エコノミストとダイヤモンドを取り上げたので今週は東洋経済を。
内容的にはダイヤモンドをより評価しているのだが
東洋経済にも見逃せない記事はある。

それはP9のコラム「賃金低迷の構造要因は何か」、
BNPパリバ・河野龍太郎氏による執筆である。

○2000年代に日本の労働生産性は上昇した
○労働分配率は2000年代に大きな変化が見られない
○この時期の実質賃金の低下は交易条件の悪化(=円安)のため
○資源高で海外に所得が流出し、それに円安が拍車をかけた
○ドイツはハイエンド製品へシフトし輸出価格を引き上げた
○日本の製造業は新興国との価格競争に巻き込まれて敗退した
○構造要因が解消しないのでデフレから脱却しても実質賃金低迷の可能性あり
○デフレから脱却しても低成長は変わらないという可能性あり

全くその通りで、2005年から2008年の日本経済を振り返れば
それ以外の結論が出よう筈がない。吉本佳生氏も同様の主張を行っている。
デフレ脱却で自動的に経済回復すると妄想するのは頭脳の粗雑なリフレ派だけだ。

この河野氏の主張で欠点を挙げるとすれば、
低成長のドイツを比較対象に挙げている点である。

欧州ではスウェーデンの方がドイツより平均成長率が高く、
世界最高レベルの高い女性就労率による労働投入増と
省エネ促進策、対内投資促進策が高成長の決め手であるのは明確だ。

『週刊東洋経済』2014年 1/4号


P18「減反廃止は名ばかり 迷走を続けるコメ農政」も良い記事だ。
飼料米や米粉米に手厚い補助金を付けたため、農協は満足しているとか。

ただ執筆者は安い食の問題点を全く理解していない。
「高いコメを買わされる家計負担」と暢気に言う前に
安い肉や安い魚、中国産の食にどのようなリスクがあるかよくよく調べるべきだ。
安い食べ物が欲しいなら安全性を無視していくらでも外国から輸入するがいい。

少子高齢化と食の嗜好変化でコメ市場の低迷に歯止めがかからない現在、
重要なのは地形的に限度がある効率化ではなく、付加価値を高めることだ。

    ◇     ◇     ◇     ◇

次週は東洋経済に注目、ラサールの協力を仰いだ本格特集であることを望む。

▽ ただ「1%の人になるための読書術」は疑問、所詮は釣り針の餌だろう。

『週刊東洋経済』2014年1/11号


▽ エコノミストは定番の英語特集だが経済と絡めてひねっている

『エコノミスト』2014年 1/14号


▽ ダイヤモンドも英語特集、エコノミストと比較したい

『週刊ダイヤモンド』2014年 1/11号

A.T.カーニーの笹俣氏が電力自由化政策について寄稿されたようだ。注目したい。
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