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我が国の大手メディアは韓国政府より劣る -「FTAがあるのでTPP参加のメリットはない」

2011-11-16 | いとすぎから見るこの社会-対アジア・世界
日本の大手メディアは根本的に経済政策に弱く、
どこかから仕入れた話を検証せず受け売りするから
後から見ると大山鳴動して鼠一匹という例が多い。

予言しておくが、今回のTPPも同じ結末を辿るだろう。

たかがGDP0.05%増、輸出0.4%増程度の試算しか出てこないTPPに
社を挙げてプロモーションする愚かしさは
後になってからより一層明確になる。

三角合併にあれほど強硬に反対していた経済界が
TPPで掌を返して「国際社会からの信頼を失う」と吹聴するに至っては
驚きを通り越して滑稽ですらある。


野口悠紀雄氏は貿易への影響度の大きい要因として
為替レート・輸出先の経済成長率・価格競争力の3つを挙げている。
TPPのような関税同盟の影響は遥かに小さい。
だからいくら頑張って計算しても大して輸出増の数字が出ないのだ。

『週刊ダイヤモンド』2011年 11/12号


一度書いたが、為替水準の方が遥かに貿易を左右する。
先月の週刊ダイヤモンド(P20)を見れば明白。
ドル安、ユーロ安で欧米の輸出がぐいぐい伸びている。

『週刊ダイヤモンド』2011年 10/15号


日本にとって本当に効果のある輸出支援策は、
何度も当ウェブログで書いたように
日本円を韓国ウォンにペッグすると宣言し、
ウォン買い円売り介入を行うことである。
ドル介入より遥かに少額で効果が出る。

金融市場関係者が一瞬で顔色を変えて
ドル円が急落するのは間違いない。

韓国は今、ウォン安で原材料コストが急騰し苦しんでいる。
日本が「為替安定のため」と称して介入すれば抗議できない。

対外貿易での日本の強敵はウォン安を武器とする韓国である。
日本が国内での多少のインフレに耐えれば輸出は回復できる。

▽ ウォンペッグは大和総研の原田泰氏の提案

『なぜ日本経済はうまくいかないのか』(原田泰,新潮社)


大手メディアの報道で最も問題であるのは、
国を開くとか粗雑でいい加減な情緒論を振り回して
詳細に影響度を考えていない点である。

TPPとFTAでどれほどの違いが出るのか、
どのような内容であることが日本にとって望ましいのか。
これらを具体的に個別分野で分析しないメディアは信用に値しない。


韓国、TPP参加を否定 通商交渉調整官が明言(共同通信)
http://www.47news.jp/news/2011/11/post_20111116235300.html

”【ソウル共同】韓国外交通商省の李是衡通商交渉調整官は16日、記者会見で、
 日本が交渉参加を決めた環太平洋連携協定(TPP)に韓国が加わる意向はない
 と明言した。現時点で韓国の国益に寄与するとは考えていないとした。韓国はT
 PPの拡大交渉に参加している9カ国全てと2国間の自由貿易協定(FTA)を
 締結するか交渉を進めており、政府当局者はTPP参加のメリットはない
と以前
 から指摘している。”

 → このコメントを見れば明白である。
   内容をよく理解せずTPPの提灯持ちを務める日本のメディアより、
   韓国政府の方が遥かに賢い。


自民党 TPP推進は政権担う条件だ(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20111005-OYT1T01444.htm

”自由貿易の拡大による成長戦略は、自民党政権が長年取り組んできたことではない
 か。
 環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加問題を巡る自民党の姿勢には、疑問
 符を付けざるを得ない。
 谷垣総裁は16日、全国の町村議会議長を前に、野田首相のアジア太平洋経済協力
 会議(APEC)での交渉参加表明に絶対反対すると主張してきたと強調した。そ
 の上で「民主党政権に国益を守る交渉が出来るのか」と批判した。
 この期に及んで何を言っているのか。参加を表明しなかったらカナダ、メキシコに
 も後れを取り、深刻な状況を招いただろう。
 経団連の米倉弘昌会長は「日本だけが取り残され、国際社会からの信頼を失いかね
 なかった」と指摘した。自民党の主張が、政権に復帰した場合には政権運営の「足
 かせ」になるだろうと苦言を呈したのも、もっともである。
 政権党として経験を積んだ自民党だからこそ、日米同盟と自由貿易体制の重要性に
 ついて民主党より深く理解しているはずだ。
 それなのに、党幹部からは「TPPはアジアの成長を取り込むツールではない。
 はり中国、韓国、インドを巻き込む新たな枠組みが必要ではないか」といった非現
 実的な発言さえ出ている。
 野田首相のTPP参加表明は拙速として、参院の問責決議も視野に追及するという。
 米国をはじめ、関係国との厳しい交渉に入ろうというのに、自民党は政府の交渉力
 を弱めたいのか。TPPを政争の具にしてはなるまい。
 石破茂・前政調会長は、「首相が交渉に参加すると表明した以上、我が党が離脱す
 ると言ったら日米関係はもたない」と語り、自民党がむしろ、政府に政策を要求す
 べきだと主張している。
 日本の輸出産業の競争力をどう強化し、農業をいかに再生するのか、自民党の政策
 を聞きたい。〔以下略〕”

毎度のことながら経済政策に関して内容が薄いので
読んでいて勉強になる箇所が本当に少ない。

カナダやメキシコは一次産品の輸出増を望んでいるだけの話。
日本経済にとっての利益とは全く別である。

自由貿易体制が重要だと考えるなら、アメリカの農業保護政策と
貿易を歪めるアメリカの企業ロビイストを批判すべきだ。

「自由貿易の拡大による成長戦略」は、輸出が増えなければ無意味。
牛肉やオレンジの自由化で日本経済は成長したとでも言うのか。

また、TPP程度で日米関係がもたないという戯言を真に受けるのは
国際関係論の素人だけである。

アメリカは膨張する中国を抑止する要として日本を必要としている。
尖閣諸島問題の際のアメリカの対応をもう忘れたのか。

この論で当たっているのは自民党の支持率が下回っていることだけで
(自民支持率は前から低迷している)他はほとんど参考にならない。
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