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電力自由化と風力に勝てない原子力は衰退しかない、アメリカの現実 -「経済性がない」からこそ廃炉が進む

2015-02-19 | いとすぎの見るこの社会-地球環境を考える
今でも多くの日本国民が誤解していることであるが、
原発再稼働は「経済か安全(人命)か」の問題では全くない。

もし原子力が経済成長に寄与するのであれば、
原子力大国フランスの成長率はもっと高い筈であり、
合理主義のアメリカで原発の廃炉が進む訳がない。

アメリカではシェール革命でコストに劣る原子力は存続できなくなり、
風力発電の伸長で夜間に電力を売る道も閉ざされて存在価値が暴落している。
「電力自由化」と「風力発電の普及」が原子力の天敵なのだ。

だからこそ利権勢力は電力自由化と風力発電に狂ったように抵抗し、
「自由化で電気代が高くなる」「風力は不安定」と見え透いた情報操作を行い、
何とか改革を骨抜きにしようと見苦しい策動に奔走するののである。
アメリカの現実を見れば彼らの欺瞞と利己主義の本性が分かる。

つまり原発再稼働を巡る対立の本質は「利権 vs 反利権」の戦いであり、
原子力でエネルギーを垂れ流して利権構造を温存するか、それとも
再生エネ省エネで賢く投資を増やして経済成長を選ぶかの二者択一
なのである。

前者を選べば原子力利権勢力にばかり湯水の如くカネが流れて日本経済は停滞し、
後者を選べば日本のエネルギー効率は向上して輸入燃料は大幅削減、成長率は改善する。
日本経済のために、どちらを選ぶのが正しいかは自明であろう。

若杉冽氏は、「都合のいい情報しか語らない」利権勢力の習性を暴いている。
氏が指摘するように、「そうしないと予算もカネも回ってこない」のである。

▽ 原子力利権勢力は「公益」と偽称して仲間内の利益ばかり図っている

『原発ホワイトアウト』(若杉冽,講談社)


▽ しかも原油安により電気料金の低下は確実で、もうすぐ利権勢力が嘘つきであるとバレる

『週刊ダイヤモンド』2015年2/7号特集1世界の政治・経済が分かる! 原油安 超入門/超図解 まずは学ぼう! 石油の「常識」/緊急アンケート 専門家8人が相場を徹底予測 なぜ下がる・底値は何ドル・反転タイミングは/原油安 明暗ランキング 儲かる業界・株価急落/特集2 復活 ニッポンの電子部品


大幅な原油安により、国民を欺こうとした連中の詐術が隠せなくなる。

「安倍首相は「原発停止で4兆円近い国富流出」と言っていたのが、
 最近は口にしなくなった。円安の悪影響の方が大きいと指摘されたからだ。
 自分が嘘をついていたことを、事実上認めた訳である」

「原子力利権勢力が必死に再稼働を唱え、陰でこそこそ策動する理由は
 意想外の原油安で彼らの「嘘」がバレると慌てているからである」

「このままで推移すれば、原発再稼働がなくても電力料金の低下は間違いない。
 原発利権勢力が国民を欺いて「原発停止で電力料金高騰」と情報操作を行っていたのが
 結局は業界のカネのために過ぎないことが発覚してしまうのである」

「本来はこの「天佑」を受けて省エネ投資を断行し、
 燃料輸入を大幅削減して投資増と雇用増、エネルギーコスト低下を実現すべきだったが、
 利権勢力の恥を知らないレントシーキングにより妨害されている。
 日本経済の成長率はまた低迷するだろう」

「原子力の本性は特定層だけを潤すレント(利権)だ。
 あらゆる証拠が経済効果を否定している」

「「原子力は優れた電源」である理由は、「環境面などを考え」では全くない。
 「業界が安定して楽勝で稼げ、過酷事故の賠償も国民にツケ回しできる」からだ。
 原発稼働率と電力大手の収益変動を比較すれば余りにも明白である」

「本当に安全保障や温暖化対策を言うならまずコージェネで省エネ、
 (我が国の大型発電所は、無駄なエネルギーを垂れ流しているからだ)
 そして純国産の木質バイオマスと風力発電に注力するのが理の当然で、
 半永久的かつ安全に大幅な電気代カットができる地中熱も優秀だ。
 「準国産」などとほざく欺瞞的かつ投機的な原子力など二の次である」

と当ウェブログは主張してきた。
この原油安で安心することなく、着実に省エネと風力発電の伸長を図るべきだ。
それが内需主導の経済成長のため、絶対必要である。

 ↓ 参考

原油安に焦って再稼働を叫び始めた利権勢力の欺瞞、恒例の情報操作開始 - 電力料金上昇の真因は「円安」
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/1c28abef4d31a9a4f1fbe2b522f95b78

原発のおかげで「毎日遊んでいられた」- 民意に敵対して再稼働を進め、リプレースを狙うのはカネのため
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/8aa569efe7d53715a6422b243bc82688

電力各社「事故の賠償は無理、原発費用は消費者に転嫁させろ」-証明された「原子力は高リスクでコスト高」
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/d121c9b7403f1918e88f81a7dfd7cf43

▽ もし本当に原子力に経済性があるなら、どうしてこのように自民党へカネをバラ撒くのか

『原発利権を追う 電力をめぐるカネと権力の構造』(朝日新聞出版)


原発廃炉:米国で相次ぐ 安いシェールの火力拡大(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20150215k0000m020065000c.html
”【ワシントン清水憲司】世界で最も多く原発を保有する米国で、原発の廃炉が続いている。電力自由化に伴う価格競争が激しくなる中、シェール革命で火力発電のコストが安くなり、原発の優位性が低下。風力発電にも押されているためだ。電力規制が残って比較的安定した料金収入を得られる地域では新設の動きもあるが、米国の電力需要の約2割をまかなう原発の存在感は低下するとの見方が根強い。
 昨年末、北東部バーモント州のバーモント・ヤンキー原発が運転を終了した。米国では、2013年春、約15年ぶりにキウォーニー原発(ウィスコンシン州)が廃炉になって以来、4発電所5基が運転を終了、100基超あった米国内の原発は99基に減った。19年にもさらに1基が停止する。
〔中略〕
 廃炉に追い込まれたのは、原発が利益を出しにくくなったからだ。同原発を運営してきた米電力大手エンタジーのビル・モール社長は「経済的要因が第一の理由だ」と説明する。シェール革命によるガス火力のコストが低下し、電力価格が下がる一方、原発は安全対策などのコストが増えた。
 米国では、電力市場の仕組みが地域ごとに異なる。電力販売が自由化された北東部や中西部では価格競争が激化。安価なシェールガスを使えるガス火力の発電比率が08年の約2割から12年には約3割に拡大、州政府などから補助金や税制優遇を受けた風力発電など再生可能エネルギーも普及し、原発は押され気味になった。
 従来、需要が少ない夜間の電力は、昼夜を問わず一定出力で運転する原発を中心にまかなっていたが、風力発電が増えて夜間電力が余るようになった。事業者間で売買される電力価格が「0ドル」になるケースもあり、原発の利益を押し下げた。原発は建設費が巨額でも、発電コストが安く、火力発電などに比べ優位とされてきたが、電力価格が大幅に値下がりすると、投資回収のリスクが高まる。
 米シンクタンク資本形成協議会(ACCF)のデビッド・バンクス氏は「原子炉が1基しかないような小規模発電所ほど競争力が低下する。現行制度では、少なくともあと6基が閉鎖の危機にさらされる」と指摘。30年までに原発の発電規模は2割減る可能性があると分析する。
 一方、オバマ政権は地球温暖化対策の強化に向け、再生可能エネルギーとともに原発を推進する方針を掲げ、建設中の原発も3カ所ある。いずれも電力販売の規制が残り、安定した収益を期待できる地域だ。ただ、今後も新増設が続くかは「補助金など政府がどの程度の推進策を新たに出すか次第」(日系原子炉メーカー幹部)。原発の“うまみ”が減る中、新増設の方は事業者の期待ほど進まないとの見方が根強い。”

原子力利権勢力は全く口にしないが、アメリカではシェール革命で
経済性に劣る原子力の弱点が露呈して廃炉が相次いでいる。

この毎日新聞の報道が重要なのは、原子力の安全コストが重くなっているだけでなく、
アメリカでの事例が実証しているように原子力の「天敵」が電力自由化と風力発電であり、
両者の攻勢によって敗北せざるを得ない
ことが分かる点だ。

勿論、我が国はシェール革命の恩恵を容易に得られる位置にはないが、
コージェネレーションと地中熱、木質バイオマスで同様の効果を得られる。
電力自由化と豊富にある潜在風力資源の活用により原子力は不要になる。


高浜原発、新基準合格 「一日も早い再稼働を」住民ら地元経済回復に期待(産経新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150212-00000094-san-soci
”再稼働を目指している関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)が12日、新規制基準の審査に正式に合格した。再稼働までには認可審査や地元同意も必要となる。原発の長期停止は地元経済を直撃し、電気料金の値上げも招いただけに、地元住民や大阪の中小企業関係者からは、早期の再稼働を求める声が相次いだ。
 「原発が止まって作業員のお客さんは半分以下に減った。町の経済や雇用にも大きく影響している」。高浜原発が立地する高浜町で旅館と食堂を営む西出啓子さん(65)は一日も早い再稼働を望んでいる。原発の定期検査に従事する作業員らが宿泊してきた旅館や民宿は、長期停止のあおりを直接受けてきた。
〔中略〕
 町の建設業関係者は「民主党が迷走の始まり。地元の住民を悩ませてきた。一日も早く再稼働してほしいが本当に再稼働するのか」と不信感を募らせる。
 再稼働しても、町が以前の状態に戻るかどうか定かではない。高浜町商工会の中嶋基貴会長(49)は「また政権交代したら原発はどうなるか分からない。このまま原発関係の仕事をしていっていいのか」と率直な思いを明かした。
 ただ、原発事故に対する心配がないわけではない。中嶋会長は「経済的には再稼働してもらった方が助かるが、半面リスクも背負う。動くのはありがたいが、(東京電力福島第1原発事故が起きた)震災前に戻ることは百パーセントない」と複雑な心境も吐露する。
 原発停止の影響は、地域経済の原発依存度が高い立地自治体のみならず、周辺自治体にも及んでいる。
 産経新聞が昨年12月から今年1月にかけて高浜原発を含む福井県内4原発の各50キロ圏計42自治体の首長を対象に実施した調査でも、3人に1人(33・3%)の首長が原発停止で地域経済や住民の暮らしが「悪くなったように感じる」と回答した。高浜原発から100キロ以上離れた同県勝山市の山岸正裕市長は「地域の経済や雇用はすべて原発に頼ってきたことから停止による地域の衰退は不幸ながら当然の帰結」との考えを示した。
 原発停止の長期化で、関電は4期連続赤字に陥る見通し。今年4月からは電気料金の再値上げも申請している。電気代を上積みされる製造業などの中小企業にとっては死活問題だ。
 町工場が密集する大阪府東大阪市。大阪金属工業協同組合の幹部はこう訴えた。
 「電気料金はかなりの部分で製造原価に反映されている。急いで原発を再稼働していただきたいのが現実。これ以上、火力発電を使って電気料金を値上げされたら、耐えられない」
■集中立地の問題 全く触れられず
 関西電力高浜原発3、4号機が審査申請から1年半以上を経て、ようやく新規制基準への適合を認められた。いち早く合格を得た九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)では、火山の予測に対する審査に批判が集中したことに比べ、高浜の審査に異論は少ない。しかし福井県に原発が集中している「集中立地の問題」や、ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の使用など、審査で十分に議論されていない課題も残る。
〔中略〕
 MOX燃料は、川内原発などで使う通常のウラン燃料と性質が異なり、強い放射線を出すため、取り扱いに注意が必要だ。核分裂を抑える制御棒の能力も若干落ちるほか、使用後のMOX燃料を処理する「第二再処理工場」の設置も全く見込みが立っていない。
 これに対し、原子力規制庁は「審査はMOX燃料の使用を前提としており、重大事故に関して、MOX燃料に特定した基準・審査ガイドは必要ない」との見解を示している。
 審査で全く触れられていないのは集中立地の問題。福井県は原発が集中する「原発銀座」とも呼ばれる。高浜は大飯原発と直線距離にして10キロ程度しか離れておらず、県内にはさらに美浜原発や敦賀原発、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」がある。大地震などでこれらの原発が同時被災することも考えられる。
 原子力規制委員会の田中俊一委員長は「新基準を満たしていれば各号機で対応できる」と強調する。
 ただ、東日本大震災では、福島第1原発と、南に10キロ離れた福島第2原発が被災し、第1原発の所員らが一時、第2原発へ退避するなど総合的な対策に追われた経緯がある。田中委員長は「議論は残っている」とも述べ、集中立地の課題を今後検討することを視野に入れている。(原子力取材班)”

この通り、原発再稼働を待ち望んでいるのは原発で儲かる人々ばかりである。
匿名でコメントしなければならない理由は、彼らの動機が汚れているからに他ならない。
永遠に原子力に寄生し続ける存在にならざるを得なくなると、いまだに自覚できないのだ。

町工場の方も、太陽光発電や省エネに投資できないような状況であれば
雇用創出効果も税収増効果も殆どない筈である。
原発利権を喜ばせるより自力で投資を進めるのが当然であろう。
投資余力もないのであれば、事業存続すること自体に疑義がある。
他力本願の企業は市場に淘汰される。今迄もそうだし、これからそうである。


高浜原発「合格」:住民「見切り発車だ」 拭えぬ不安(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20150212k0000e040196000c.html
”見切り発車ではないのか--。関西電力が再稼働を目指す高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の安全対策が12日、原子力規制委員会から正式に了承された。新基準による審査をクリアしたとはいえ、安全を保証するものではない。住民は事故時の不安を拭えない。
 高浜原発近くでは、事故対策でトンネル道路の建設が進む。原発がある半島部の住民には唯一の避難道路になる可能性があるが、計画では原発の取水路付近を横切り、遮蔽(しゃへい)物が全くない橋が架けられる。半島にある音海(おとみ)地区で釣り船業を営む児玉巧さん(67)は「既存の道でも崖崩れの危険のある急傾斜地を走っている。『避難道路を造った』という言い訳だ」と冷ややかに話す。
 福井県内で原発から30キロ圏に入る若狭町の林業、石地優さん(61)は「自分たちが生き残ることしか考えていない」と関電の経営面優先の姿勢を批判。小浜市の50代主婦は「若狭湾にも大津波の伝承が残っている。人の命と電気代をはかりにかけないで」と話した。
 京都府と関電は新しい安全協定を結ぶ方向だが、焦点だった「同意権」は盛り込まれていない。事故時に即時避難が必要な予防防護措置区域(PAZ、5キロ圏)に入る舞鶴市松尾地区の区長、谷義雄さん(73)は「協定締結は前進」としながら「放射能の除去技術が確立されてから再稼働してほしい。府と市はもっと声を大にして同意権を求めてもよかったのでは」と言う。
 綾部市の服飾作家、山本陽介さん(38)の自宅は原発から14キロ。「病弱な家族もいて田舎暮らしをしようと大阪から移住したが、国や関電の動きを見ると住み続けてよいのか……」。30キロ圏に入る京丹波町の陶芸家、石井直人さん(60)は「福島の事故原因が解明されないままの見切り発車」と憤り、同意権がない新協定案には「生活者を守るという自治体の役割が機能していない」と批判した。
 一方、一部が30キロ圏内の滋賀県は関電と協定を結んでいない。福井県境に近い高島市安曇川町の元高校教師、熊谷直道さん(73)は「放射性物質の拡散に県境はない」と怒る。1979年の米スリーマイル島原発事故で抱いた原子力への不信感は、福島の事故で確信に。高浜原発の再稼働差し止めを求め、他の住民らと大津地裁に仮処分を申し立てている。〔中略〕【松野和生、富永浩三、佐藤孝治、村松洋】”

このように、毎日新聞で再稼働への懸念を示す人々は実名である。
産経報道の匿名の人々と違い、自分がカネを貰う訳ではないので実名を出してコメントできる。
社会正義の観点から言えば、どちらに理があるかは明白だ。

但し、「人の命と電気代をはかりにかける」という認識は誤りである。
省エネと再生可能エネで投資を増やし、エネルギーコストを下げるため再稼働など不要」が正しい。


自民PT、原子力規制委の見直し議論に着手(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS17H2V_Z10C15A2EE8000/
”自民党の原子力規制に関するプロジェクトチーム(吉野正芳座長)は、原子力規制委員会の見直し論議に着手する。政府が重要電源と位置づける原子力発電所の安全審査を迅速に進めながら、信頼性を高めるために専門的な人材の育成策などを詰める。今年夏までに政府に提言する。
 規制委の設置法には、施行から3年以内に見直すという規定がある。党内では地震対策や地盤の評価を念頭に「意見が分かれる場合には、複数の専門家から意…〔中略〕”

原子力利権がこの世に生まれてから一貫してその「守護神」であり、
カネで深く利権と結託している自民党は、正々堂々と世論を説得するのに大失敗し(自業自得である)、
原子力規制委員会へ圧力かけるという姑息な裏工作を始めている。
これこそ原子力によって「政治的に汚染されている」典型的な例だ。
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