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不況の中で正規公務員の階層意識が上昇、消費水準も以前と変わらず - 民間労働者の「没落」が明確に

2015-10-21 | いとすぎから見るこの社会-格差の拡大
最大の理由が民主党の失政であることは言う迄もないとしても、
貧相な成果しかない安倍政権が続いている理由の一つは「行政改革の手抜き」である。

本当に行政改革を行おうとすると情報リーク等を駆使する官僚から「刺される」ので
安倍政権は権力維持のため真の改革を封印した怯懦を選んだのである。

成長率が立証しているようにアベノミクスにはほぼ効果がなかったのだが、
(株主・経営層には効果があったが、それはただの所得移転でしかない)
それでも次元の低い政権への追及が厳しくならない理由は姑息なメディア対策の上手さと、
公務員制度改革をサボり政権に不都合な情報が流出しにくくした「懐柔策」のお蔭である。

その象徴が、政府系金融機関民営化の事実上の「撤回」と業務拡大であり、
社外取締役という新手の「天下り」先の創出という訳だ。

決して日本の官僚や公務員の能力が低いのではないのだが、
問題は「正しいインセンティブ」が働いていないことである。

事実、日本経済の低成長・実質賃金低迷・貧困率上昇がはっきりしているにも関わらず、
その責を負うべき官僚や公務員はどのような責任を取ったと言うのだろうか。
勿論のこと最大の責任は政権与党にあるが、政策立案の結果検証は全く為されていない。

また、日本経済が低迷し貧困率が上昇していても正規公務員の生活にはほぼ打撃がない。
人材確保を口実として意図的に大企業の賃金水準に合わせているからだ。
しかも大企業なら意想外の業績悪化や不祥事で賃金が突然切り下げられることはあるが、
正規公務員の場合はよく知られているように相対的に「ローリスク・安定収入」である。

どのような意識でどのような仕事をしても待遇は悪平等で、
これでは正しいインセンティブが働く訳がない。
(司法や国防・治安関連など、平等性が重要な分野はあるが、全てではない)
「公益のために貢献」の筈が「公益を口実に安定収入」にすり替わっている。

その結果が、国民(特に現役世代)の生活意識と官僚・公務員のそれとの「逆相関」である。
つまり今の官僚制度・公務員制度そのものが公益との利益相反を生み出しつつあるのだ。
このゼロ成長の時代において公務員に「上流」意識が強まっているのがその証左である。

我が国の未来を真摯に憂うのなら、能力ではない「特権」としての高収入を得ている層には課税し、
未来を担う子供達や一生懸命働く労働者に所得移転すべきである。
日本経済は「特権」に甘く、税制で彼らの行動を正さないから停滞が続くのである。

「公務員・医師・看護師・弁護士といった安定職に就いた大人は、
 その安定高収入をよく知っており、その厚待遇を子供に受け継がせたいと願っているのだ。
 (この中で看護師は賃金水準でやや不利だが、公立病院であれば話は違ってくる)」

「自称庶民でありながら、税負担の重い欧州人より
 明らかに可処分所得の高い中高所得層こそ、
 現下の日本の雇用問題を悪化させ「家族格差」を拡大させる利己主義の根源である」

と指摘した当ウェブログの指摘は、残念ながら当たっていたようだ。

 ↓ 参考

「子は公務員にしたい」「自分と同じ医師・公務員になって欲しい」- 安定志向は若者ではなく、大人が元凶
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/9bc9282983d90a3bd51e8bc50dbfe0d6

▽ 日本の正規公務員の年功賃金カーブは世界最高水準、実はあのトヨタより公務員の方が高給





『公務員の給与はなぜ民間より4割高いのか』(北見昌朗,幻冬舎)


官公労の主張は、裏に「自己利益の追求」を隠す経済団体と極めてよく似ている。

「基本的に組合は社会正義の追求者でもなければ、社会正義の実現者でもない。
 露骨に言えば所謂「三百代言」であり、
 組合費を払ってくれる特定集団の利害のために働く代弁者に過ぎず、
 本質的には雇われたエージェントである」

「例えば日本の正規公務員1人当たりの年功賃金の高額さを無視して
 「日本の公務員数は少ない」「日本は小さな政府」と喚いているのは醜悪だ」

「正規の厚待遇のしわ寄せを受けている非正規公務員への差別待遇も大して気にせず
 挙げ句の果ては復興のための特例法による給与削減に怒って提訴し、完敗している始末。
 彼らの退職金の税控除を即時全廃して非正規労働者への給付付き税額控除や現物給付に充当すべきだろう。
 彼ら自身がそうした社会正義に叶う行動を自ら選択することは考え難いから」

「マイナビ調査によれば、子供を持つ公務員は
 我が子を「公務員にしたい」とする意見が60%を超えており、
 医師や弁護士と同じような高率になっている。こちらの方が「本音」なのである。
 官公労のプロパガンダは利害関係を裏に隠した「建て前」に過ぎない」

「官公労から発せられるプロパガンダは、
 「国富流出を防ぐために原発再稼働を」とほざく
 腐敗した原子力ムラの利己的な情報操作と実によく似ている」

「北欧諸国と比較して、日本の公共部門は明らかに「効率性」「透明性」の評価が低い。
 国際評価や世界ランキングを継続的に見ていれば明らかである。
 1人当たり所得が高いのに非効率的で透明性に欠けるのでは話にならない」

「「先進国」北欧に倣って平等でフラットな賃金体系に改め、
 公共部門でも合理的なビルド&スクラップを断行すべきである。
 (成長率も労働生産性も高い北欧では、公務員でもリストラ・転職が常識)」

「フランスの公務員は日本の正規公務員より全般的に賃金水準が低いし、
 税負担・社会保険料負担が非常に重くその分を育児政策や貧困対策に拠出している。
 税負担が著しく低い日本の正規公務員よりも明確に手取りは低いのである。
 そうした「不都合な事実」を隠蔽して姑息な情報操作に必死になっているから
 国民から冷淡な目で見られるのである」

「組合のプロパガンダよりも、実際の行動を見れば「本音」が分かる。
 彼らは自分の待遇のために法律を「利用」しようとする行動様式なのである」

としてきた当ウェブログの指摘は、不幸にも完璧に的中している。

 ↓ 参考

官公労がまた顰蹙発言、フランスを範とするなら年功賃金の削減を-1人当たり純所得にも触れないご都合主義
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/b67588867d518c46bcdd41a46aa56818

公務員の賃金フラット化は当然である - 退職金2000万円超でも不満顔、「質」も北欧に遠く及ばない
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/404569ae1c83f2ca18a6294dfeafc868

地方公務員に毎年3兆円超の退職金給付、なぜ課税強化しないのか - 今後20年間で62兆円以上に達する
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/ae4eaf97d3de716d5616acc0aacc8d8c

▽ 日本より成長率も生産性も高いスウェーデンは、公務員の賃金がフラットで退職金も手当も殆どない





『スウェーデン・パラドックス』(湯元健治/佐藤吉宗,日本経済新聞出版社)


フザけるな!公務員だけが「幸福」になっている~下流社会化が進む中、「上流役人」が急増中だと!?(現代ビジネス)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151018-00045780-gendaibiz-bus_all
”自分たちは上流だ
 「正直なところ、ここまで日本の下流社会化が進行しているとは思ってもみませんでした。
 '05年に『下流社会新たな階層集団の出現』という本を書いたときに、一億総中流といわれていた日本社会の均質性はもはや存在しないということを指摘しました。それから10年経って、日本社会の格差が拡大し、下流意識を持つ人がさらに増え続けているのです」
 こう語るのは、社会デザイン研究家の三浦展氏だ。今回、三浦氏は三菱総合研究所の「生活者市場予測システム」という毎年3万人を対象に行われる調査をベースに、日本人の階層意識について調査を行った。
〔中略〕
 「一見すると、日本社会全体で下流化が起こっていると思われるかもしれません。しかし驚くべきことに、このような一億総下流化に見える状況において、『自分の階層が上がった』という意識を持つ人たちがいることがわかりました。それが公務員です
 世間全体が暮らしぶりが悪くなっていると感じる中で、公務員だけが「自分たちは上流だ」と思えるような幸福な暮らしをしているというのだ。
 一体どういうことなのか。今回の調査結果をまとめた、三浦氏の著書『格差固定』(光文社)を詳しく見ていこう。
 自分が「下流」だと考える日本人は全体の43%で、上流の14%と中流の36%を大きく上回った(残りの7%は「わからない」と回答)。
 さらに、職業別に見てみると「会社員(正社員)・団体職員」の階層意識は「上」が16%、「中」が41%、「下」が38%だが、一方で「公務員」の意識は、「上」が29%もおり、「中」が46%、「下」は25%しかいなかった。
 現代の日本社会においては、一部の会社経営者、役員、医師などを除けば、一番強く上流階層意識を持っているのが公務員ということだ

 とりわけ30代男性に限ってみると、正社員の45%が「下」の意識を持っているのに対して、公務員では21%と、その差は歴然としている。
 「たとえば、六大学を出て新卒採用で東京都庁に入ったような男性なら、35歳くらいでパナソニックのような大企業並みの給料がもらえます。同じ庁内の女性と結婚すれば、安定した高収入が2つになり、都内にマンションを持つことだってできるでしょう。
 入社以来、長い不景気を経験し、将来への不安を抱えてきた民間の会社員と比べれば、公務員がいかに安定し、恵まれた立場なのかがわかります」
 雇用形態の変化により、この10年で正社員は大きく減り、非正規雇用の数が増えた。新たに下流意識を持つようになった人の中には、リストラに遭って職を失った人や、出世競争に敗北して年収が大きくダウンした人もいるだろう。
 だが、公務員ではそういう経験をする人が少ない。そんな環境だからか、この10年で暮らしぶりが良くなったと感じる公務員も少なくないという。
 「『階層意識がこの10年でどう変化したか』ということをみてみると、男性正社員は『上』が5ポイント減り、『下』が3ポイント増加。その一方で、男性公務員は『上』が19ポイントも増えて、『下』が10ポイント減少しました。
 また、10年前に『上』の意識を持っていた公務員で現在も『上』の意識を持ち続けている人はなんと100%。正社員ではたった41%の人しかいなかったことを考えると驚くべき数字です。

 公務員は自分たちの給料が民間企業に比べて下がっていないために、社会全体での格差が拡大しているという意識が少ない。実際、所得に関して格差が拡大したと感じる公務員の割合は学生と並ぶ低さでした
 三浦氏によると、民間企業サラリーマンの平均年間給与は、'97年の467万円から'08年以降は410万円前後に落ち込んでいる。しかし、例えば国家公務員の平均給与は月額約41万円(平均年齢43・3歳)で、年収でほぼ500万円と、かなり高水準だ。加えて、公務員は確実に年金をもらえるし、リストラもない。
 「こんなにオイシイ条件がそろっているのですから、公務員が時代劇に登場する不遜な『お代官様』のように上流意識を持つのも当然のことかもしれません。
 今回の調査を通して、公務員の上流化があまりに顕著だったため、初めはこの著書のタイトルを『役人天国』としようかと思ったほどです

世間とずれた金銭感覚
 消費に関するデータにおいても、公務員は「お代官」を通り越して「お大尽」になっている。
 「最近消費を減らした項目」について見てみると、「家での食費」「外食」「普段着」「家電」「映画、音楽、演劇」など、ほとんどの項目で、公務員は正社員より消費を減らしていなかった。
 たとえば、公務員は1回の飲み会での平均費用が5000円程度と答えた人が6割にも及び、正社員の約2倍。昼食代も800円程度かける人が正社員よりも8%も多い

 加えて、安定した生活と高収入のため、結婚している数も公務員が多い。公務員の既婚率は70・6%で正社員の60・4%を10ポイントも引き離し、同様に持ち家率も公務員が9ポイント上回っている。
 また、旅行に行く頻度も、公務員は会社・団体の役員に次いで多いという。

〔中略〕
 だが、三浦氏はこの状況に対して疑問を投げかける。
 「公務員の経済的ゆとりは明らかですが、これは由々しき問題だと私は考えています。公務員というのは、基本的に経済活動によって付加価値を生み出す仕事ではありません。
 そういう人たちが上流化していき、新しいビジネスや価値観を創造する民間企業の社員が下流化していくような社会に発展性があるとは思えない
からです。
 優秀な人材が安定を求めて公務員ばかりを目指すようになっては、日本の未来は暗いものになるに違いありません」〔以下略〕”

これは予想を超える深刻な状況だ。
正しくは「公務員」ではなく非正規を除く「正規公務員」であるが、
日本社会の歪みを如実に伝える記事である。

筆致は「公務員叩き」に近いものであるが、
この主張が事実無根なのだと当事者が言いたいなら、
下手な情報操作をせずに洗いざらい情報公開するべきであろう。

当ウェブログは、所得税の累進度を引き上げよ、退職金に課税せよと主張してきたが、
このような「能力と関係のない安定高所得」を確認し、改めてその正しさを確信した。

▽ こちらが三浦氏の著書、簡易的なデータ集として使える

『格差固定 下流社会10年後調査から見える実態』(三浦展,光文社)


「大卒→中小企業」より「高卒→大企業」の方が生涯賃金は2割高い(プレジデントオンライン)
http://president.jp/articles/-/16332
”■基本的には高卒より大卒の方が高い
 厚生労働省は9月18日、2016年3月卒業予定の高校生について、7月末現在の求人倍率が1.54倍となり、過去20年で最高になったと発表しました。高校生にとっては、就職か進学か、迷うところです。大学に進学したとして、4年後の就職環境が分からないからです。
〔中略〕
 高卒で就職するか、大学か大学院まで卒業して就職するか。この両者においては、はっきりと大学に進学した方が高いという結果が出ています。(独)労働政策研究・研修機構が試算した、男性社員の生涯賃金(退職金除く)。高卒の1億9240万円に対して、大学・大学院卒は 2億5440万円。実に、6000万円近くもの違いが出ています。しかも、高卒者は少なくとも4年間余分に働いて、この数字です。
 これに対して、大学に進学した場合の学費は、国公立か私立かによっても大きく異なりますが、250~500万円程度。
4年間下宿したとしても、生活費で月15万円 ×12カ月×4年間=720万円。合わせても1千数百万円の金銭的コストとなり、大学進学は十分に元が取れる選択と言えそうです。「今時、せめて大学くらいは出ておけよ」という親の意見には、それなりの根拠があることになります。
 ところが、この表をよく見ると、就職する企業規模によって、事情が大きく異なっていることが分かります。大学・大学院卒で社員数10-99人の中小企業に就職した人が1億9430万円であるのに対して、高卒でも 1000人以上の大企業に入った人は、2億3300万円。何と、2割ほども高卒者の方が高い、という逆転現象が起こっているのです。
■今年は大企業に入社するチャンス!?
 問題は、高卒でも大企業に就職できるのか、ということです。近年、製造業では工場部門の海外移転が進むなど、高卒者を大量に吸収してきた職場は、減少する傾向にありました。
 ところが、冒頭に述べた、求人倍率の改善。表は、高校新卒者の企業規模別求人数ですが、1000人以上の大企業でも、前年比20%以上の上昇を示しています。求職者総数が18万6000人ですので、単純に見れば、6人に1人は大企業に入社できることになります。成績が比較的優秀で、学力的には大学進学が可能な学生に絞れば、より確率はアップするでしょう。
 4年後といえば、翌年に2020年の東京オリンピックを控え、日本経済に対しては強気の見通しが多数派です。しかし、今から4年前の2011年を思い出してみましょう。リーマンショックからの回復もままならず、就職氷河期の真っ最中でした。4年間というのは、短いようで長いのです。来年2016年にリオデジャネイロ五輪を控えたブラジル経済が絶不調であることも、オリンピック景気の不確かさを物語っています。
〔中略〕
 もちろん就職の有利不利だけで進路を決める必要はありませんが、「社会に出るタイミングを選択する」という発想も、持ち合わせておいてはいかがでしょうか。(新経営サービス 常務取締役 人事戦略研究所所長 山口俊一=文)”

正規公務員の生涯賃金が高水準であるのは、
このように民間企業の賃金水準が「規模」で決まっているためだ。
(つまり「能力」や「成果」で決まっているのではない)

日本社会では、当人の能力や成果を評価するのではなく、
江戸時代のように一種の「身分」で所得が決まっているのである。

この記事は「高卒で大企業」の確率がその年の景況によって左右される「運」に過ぎないこと、
オリンピック景気が当てにならないことを明言している点でも優れており、高く評価できる。
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