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池田信夫氏、日刊ゲンダイに大敗「吉田証言のくだりはたった3行」- 歴史修正主義者に論理は通じない

2014-10-22 | いとすぎから見るこの社会-対アジア・世界
現代に生きる我々は、攘夷や鬼畜米英、暴支膺懲といった言葉を
かつての日本人が真剣に信じていたとは到底理解できない。

しかし、世界に大した影響を与えられない朝日報道を「国賊」とか「反日」などと
罵ってしまう輩を見ると、決して過去の歴史を笑えないと気づかされるのである。
言説を売るために意図的に煽っている者は仕方ないとしても、
本気で喚いている者は何をするか分からない人物で、危険である。

満州事変から太平洋戦争に至る歴史が証明しているのは、
同じ国民を「国賊」「反軍」と批判した連中がこの日本を焼け野原にし、
感情的ナショナリズムに洗脳された勢力(特に軍の強硬派)が日本を破滅に突き落としたのである。

真のナショナリストで日本のために身を捧げた救国の英雄、
鈴木貫太郎は「国賊」や「反日」などという下卑た言葉を使わなかった。

本当のナショナリストは行動で十二分に自らを語ることができるので、
底浅い自己正当化の言葉は必要としないのである。

現代でも、日本を代表する真に優秀な人材が
臆面もなく他人を「国賊」「反日」と批判するであろうか?
そういた出過ぎた言葉を使うのは、殆ど全てが言説を売り歩く連中ばかりだ。

更に悪いことに、感情的なナショナリズム勢力は
常に流動する国際情勢を冷静に分析する能力に欠け、
不必要な攻撃的性向を抑制することができず
国益を損ないかねない言動を平気で行う通弊がある。

「NYTだけでなくWSJまでもが「右派の攻撃」と解釈しているのは致命的である。
 事実その通りなのだから仕方がない」

「所詮これは「朝日の不祥事」に過ぎない。
 見苦しいバッシングで騒げば騒ぐほど欧米社会から奇異の目で見られ、
 日本の名誉を傷つけることになる」

と当ウェブログは慰安婦問題での愚行を指摘したが、
耳が遠い者はドグマに洗脳されているからどうしようもない。
戦前に傍若無人な態度で跋扈し日本を破滅に導いた原理主義勢力とよく似ている。
彼らは国際情勢を理解する能力がなく国益を害している。

▽ 国際的影響力が殆どない朝日新聞に責任転嫁すること自体が、国際情報戦に敗北した証拠である

『国際メディア情報戦』(高木徹,講談社)


当ウェブログの指摘した通りの愚劣な道に進んでいる。

「海外メディアに「保守派ブロガー」として紹介された池田氏は
 慰安婦問題が人権問題として扱われていることは理解していたが、
 外国を「説得しなければならない」という噴飯ものの主張を行っていた」

「人権問題への意識が低いことで定評のある日本が、
 (事実、いまだに人身売買に対して甘く、子供の貧困にも著しく冷淡)
 世界を説得できると考えること自体が論外である」

「アメリカではコリアロビーが多額の資金を投じて長年ロビー活動を展開しており、
 日本政府がそれに対抗するのにはカネと労力がかなり必要である。
 保守派は国内で吠えたりせず、自分がカネを出してロビイストを雇ってはどうか。
 そうでもしないとコリアロビーに対抗するのは難しい」

「韓国の慰安婦問題批判を打破するには、韓国側の人権問題を巧みに衝くとともに、
 日本が独自に慰安婦問題の真相を明らかにする二方面作戦が有効だ」

「「アジアの女性人権を擁護する」と称して
 戦時国際法に反するベトナムでの韓国軍の人権侵害の実態を明らかにすること、
 (露骨に前面に出ると意趣返しに見えるので抑制する)
 日本人の従軍慰安婦に(アジア女性基金と同じ)謝罪と補償を行いつつ、
 詳細な実態調査を行って朝鮮人慰安婦の実態を間接的に明らかにすることができる」

日本の近現代史において常に、国益を害し国民を不幸に陥れるのは
勘違いした視野狭窄のナショナリストだ。

 ↓ 参考

「歴史問題で日本に圧力をかけるのは、韓国ロビーが原因ではない」-日本では慰安婦問題が理解されていない
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/c1b1395fc728aeb9de0000bb6bba25c8

朝日誤報問題で「勝ち誇る右寄り勢力」「原発推進派の勝利」- 日本の国際評価を傷つける情動的な保守派
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/0388ff8a547126c4a55cfbeb2ccfa028

河野談話検証は「内向き」の下策、アメリカから早速牽制される - なぜ韓国の人権侵害を取り上げないのか
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/145ef1a6b8040767bd8e79629d47d3f3

▽ 韓国の日本批判は、もとはと言えば軍事政権が言論を抑圧した反動による国内要因

『大統領を殺す国 韓国』(辺真一,KADOKAWA/角川書店)


世界に広がった「性奴隷」の誤解をいかに解くか - 池田信夫 エコノMIX異論正論(ニューズウィーク日本版)
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20141015-00136358-newsweek-nb
”朝日新聞の誤報問題は国際的な広がりをみせ、韓国以外のメディアも「朝日の失敗」を取り上げているが、慰安婦問題については論評を避けている。先月のニューズウィークのコラムで冷泉彰彦氏は「朝日の誤報で日本は誤解されていない」と主張しているが、その根拠は何もあげていない。誤解されている証拠は、いくらでもあげられる。
 たとえば世界最大の人権団体、アムネスティ・インターナショナルは、今年6月に日本政府に対して「日本軍性奴隷制の生存者に対する責任を全面的に認めよ」などという要請を出した。同様の国連人権委員会への請願には世界150万人から署名が集まり、27ヶ国で「慰安婦非難決議」が採択されたという。
 こういう誤解の原因は、ほとんどが朝日新聞の誤報にミスリードされた人々が英語で書いた記事だが、彼らのいう性奴隷とは何だろうか。これが慰安婦をさすとすれば、日本政府はその存在を否定したことはなく、1993年に責任を認めてアジア女性基金という形で補償もした。ところが、彼らは「日本政府は責任を全面的に認めていない」という。この場合の性奴隷は、日本軍による強制連行のことだろう。
 このように慰安婦の存在と強制連行を混同して性奴隷というどぎつい言葉で呼ぶのが、彼らの特徴だ。この先例をつくったのが、1996年に出た国連のクマラスワミ委員会の報告書である。ここでは(朝日新聞が誤報と認めた)吉田清治の証言と北朝鮮などの自称元慰安婦の疑わしい話を根拠にして、日本の「軍性奴隷制」を告発している。
 しかし吉田の話が嘘であることは90年代後半には多くの人の知るところとなり、クマラスワミ報告も相手にされなくなった。それをバージョンアップしたのが、2007年にニューヨーク・タイムズのノリミツ・オオニシ記者の書いたインドネシアの慰安婦の記事である。
 この事件の前に第1次安倍政権は「強制連行の証拠はない」という閣議決定を出したが、オランダ人の女性が記者会見を開いて「私が慰安所に強制連行された」と証言したため、「安倍首相の否定した強制連行が見つかった」というスクープが、NYタイムズの1面トップを飾った。
 実はこれは新事実ではなく、1993年の河野談話で問題になった「官憲等が直接これに加担した」という表現は、この「スマラン事件」のことだった。これについては1948年に行なわれた戦犯裁判の記録が残っており、慰安婦を連行した兵士や将校は有罪判決(最高は死刑)を受けている。ジャカルタの第16方面軍司令部は、この事件の報告を受けたとき、慰安所の閉鎖を命じた
 つまりこの事件は、日本軍が慰安婦の強制連行を禁じていたことを示す証拠なのだ。被害者にとっては「軍服を着た人に連行された」とみえただろうが、それは軍司令部の命令ではなく、単なる軍紀違反だった。しかしNYタイムズが「安倍首相は歴史修正主義者だ」というイメージを植えつけたため、彼は「広義の強制はあった」と発言を軌道修正し、発言を封じられてしまった。
 このように「性奴隷」という言葉で問題をごちゃごちゃに語る海外メディアが、誤解を拡散させた元凶である。性奴隷という言葉は、今でも人身売買の意味で使われるが、その意味での性奴隷は戦時中はどこの国でもあり、今でもある。人身売買で刑事責任を問われるのは、売買を行なった業者であって政府ではない。
 しかし「慰安婦はいたが強制連行はなかった」とか「政府は民間の人身売買に責任はない」といっても、海外の大衆は聞く耳をもたない。彼らの脳内には性奴隷という強烈なイメージが焼きついているので、論理では説得できないのだ。アメリカ国務省も強制連行がなかったことは知っているが、「強制の有無を争っても日本に勝ち目はない」という。
 このままでは「日本人は性犯罪者なのに罪を認めない」という国際的な評価が歴史に残ってしまう。
〔中略〕
 政府が何もできないとしても、少なくとも朝日新聞は、過去の慰安婦報道を全面的に撤回し、世界のメディアに謝罪広告を出して誤解を払拭する責任がある。”

馬鹿馬鹿しい論で、「誤解されている証拠は、いくらでもあげられる」といいながら
いい加減な憶測(例「この場合の性奴隷は、日本軍による強制連行のことだろう」)しか挙げていない。
軍による強制連行と軍の管轄下の奴隷的労働が別の話であるのがどうして分からないのか。
池田氏は自分が決めつければ「証拠」になるとでも思っているのか。

「人身売買で刑事責任を問われるのは、売買を行なった業者であって政府ではない」という
無責任な発言も同様である。業者を法規制するのは政府であり、
野放しにすると政府が「人身売買を事実上容認した」と見るのが国際常識である。

「政府は民間の人身売買に責任はない」という言辞も笑止千万である。
アメリカ政府が「政府は民間の人身売買に責任はない」と言うだろうか。
池田氏自身の人権意識が著しく低いことを自ら証明しただけに過ぎない。

細かいことを言えば、「日本軍が慰安婦の強制連行を禁じていた」かどうかは
たったこの1件だけで決定される事柄ではない。
現代史研究者がそのような軽挙を行えば嘲笑される。

池田氏が何一つまともな論拠もなく、「海外の大衆」と見下す不遜な態度を示して
「謝罪広告を出して誤解を払拭」すべきとまで称した「朝日新聞の責任」とは何か。
賢い有権者は一介の評論家の偏見を鵜呑みにせず判断するのが良かろう。


世界も仰天 自民党がまとめた「慰安婦虐待」全否定決議(日刊ゲンダイ)
http://news.infoseek.co.jp/article/gendainet_221763
”いやはや、ぶったまげた。国民が知らない間に安倍自民党が歴史修正を推し進め、それを世界に発信しようとしている。
〔中略〕
 問題になっているのは先月19日、自民党の外交・経済連携本部国際情報検討委員会(原田義昭委員長)がまとめた「決議」だ。そこにはこうある。
 <朝日新聞が慰安婦問題などにつき虚偽の報道であったことを認めた><いわゆる慰安婦の「強制連行」の事実は否定され、性的虐待も否定されたので、世界各地で建設が続く慰安婦像の根拠も全く失われた><かかる誤った国際認識には断固として正していかなければならない><国として、そのための積極的政策をしっかりと進めていかなければならない>
 そもそも、この委員会は「攻めの情報発信」「国際情報戦略」などを掲げて、「中間とりまとめ」(今年6月)では<NHKワールドなどの枠内では報道の自由などの基本的制約が多い><新型の国際放送の設立を検討する>などとうたっていた。報道の自由を「制約」とは恐れ入った感覚だが、「決議」の方はもっと驚く。朝日が認めたのは吉田証言の虚偽であって、それをもって、慰安婦の「強制性」や「性的虐待」までが否定されたわけではない。それなのに政権与党が慰安婦問題を全否定し、それを世界に積極広報し、「正していく」などと決議した。まさしく歴史修正主義ではないか。

■「吉田証言」はたった3行
 こうなったのは安倍首相のお友達らが、国連人権委員会が採択した従軍慰安婦についてのリポート「クマラスワミ報告書」を問題視し、「次の主戦場は国連だ!」などと叫んでいることもあるのだろう。菅官房長官も「報告書は朝日記事の内容に影響を受けている」と語り、あたかも朝日報道によって、国連のクマラスワミ報告書がねじ曲げられたかのような世論をつくり出そうとしている。しかし、この報告書に出てくる吉田証言のくだりは、たった3行なのである。報告書は50ページに及ぶものだが、その他は元慰安婦や元兵士からの聞き取り調査であり、そこには慰安婦の被害実態が生々しく出てくるのだ。
 早大客員教授の春名幹男氏が言う。
日本では朝日の報道が慰安婦問題の根拠のすべてと思われていますが、違います。国連の報告書を見ても、吉田証言以外の情報の方がはるかに多いし、韓国も韓国なりに調べている。各国は日本に対して厳しい態度で臨んでいることを踏まえないと、日本は違うイメージ、レッテルを貼られてしまいますよ」〔以下略〕”

日刊ゲンダイは驚いているが、これが彼らの本音である。
「歴史修正主義者」の顕著な特徴は視野狭窄・決めつけ・独善であり、
彼らがまともな論理の通じる輩だと思ってはならない。

あと断っておくが、春名幹男氏は『CIAの対日工作』を表した元ジャーナリストである。
低レヴェルな原理主義者の言うサヨクでも「人権派」でもない。

▽ 旧日本軍の軍人達の対米協力こそ「反日」と言うに相応しい

『秘密のファイル〈上〉―CIAの対日工作』(春名幹男,新潮社)


従軍慰安婦問題:米国内はどう受け止めたか 「吉田証言のウソ」歴史修正主義者が利用(毎日新聞)
http://mainichi.jp/shimen/news/20141011ddm007010023000c.html
”戦時中の慰安婦問題をめぐり、米議会の下院は2007年7月に日本政府に謝罪を求める決議を採択した。慰安婦を強制連行したとする吉田清治氏(故人)の証言記事を、朝日新聞が今年8月に取り消したことで、日本では河野洋平官房長官談話(1993年)の見直し論も出ているが、米国はどう受け止めているのか。米議会調査局のスタッフとして下院決議に関わった東アジア専門家のラリー・ニクシュ氏(74)に聞いた。【聞き手・ワシントン及川正也】

--現在の日本の議論をどう思いますか。
 ◆朝日新聞の誤報は非難されてしかるべきだ。取り消しが遅すぎた。ただし、吉田証言が慰安婦問題の国際世論に影響を与えた決定的な要素だったという主張は、ほとんど正当化されない。歴史修正主義者は、河野談話を攻撃し、慰安婦の強制的な募集がなかったと主張するために、吉田証言のウソを利用している。国際世論には、吉田証言をはるかにしのぐ複合的な証拠が影響している。

--下院外交委員会は06年9月にも同様の決議案を可決したものの、本会議に上程されず廃案になりました。委員会可決前の06年4月にあなたが作成した議員用メモは吉田氏に言及しています。その時点で虚偽との認識はなかったのですか。
 ◆あのメモは93年2月の雑誌に掲載されたジョージ・ヒックス氏(豪ジャーナリスト)の記事から引用した。当時、経験豊富な研究者が吉田証言に疑問を持っていることを私は知らなかった。メモは約1カ月と短い期間で作成したが、それでも疑問が示されていることを見つけ出すべきだった。知っていたら引用しなかった。

--証言への問い合わせはありましたか。
 ◆議会調査局に議員の事務所から照会は1件もなかった。07年4月に出した改訂版のメモでは吉田氏の本の記述を削除した。吉田証言に疑問を持ったか、より信頼できる証拠を発見したからだ。
〔中略〕
--慰安婦問題の論点は何ですか。
 ◆私は強制的募集の問題に焦点を絞ることにした。それが日本での議論の核心だったからだ。米国の公文書では、多くの慰安婦が業者にだまされて参加したことを示している。もし看護師とか工場労働者とかの仕事と言われ、慰安所に到着して性的奉仕するためだったと気付いたら、その時に詐欺が強制的な誘拐に変わると私は考えている。

--ビルマ(現ミャンマー)の慰安所で、外出の自由や、兵士と結婚した例を記載した米公文書もあります。
 ◆その記述は他の慰安所での虐待行為に関する慰安婦の証言とかなり対照的だ。慰安所の状況がさまざまだったことは疑いないが、総体的な状況はむごいものだった。

--慰安婦問題の克服は依然として日韓関係の課題です。
 ◆私は07年メモで、河野談話とアジア女性基金について肯定的な見解を示し、アジア女性基金を拒否した韓国政府の対応を批判した。一方で、強制がどこにもないという主張は不正確であり、存在する証拠文書とも一致しない。もし、安倍晋三首相、朴槿恵(パククネ)韓国大統領、オバマ米大統領が「河野談話は歴史的に正しい」と言い合えれば、歴史問題の解決に向かって大きな前進が図れると思う。
==============
◇米下院慰安婦決議
 2007年7月に採択。日本政府に「明白で明確な方法で公式に認め、謝罪」することを求めた。決議作成に関わったアジア・ポリシー・ポイントのミンディ・コトラー所長は毎日新聞に「吉田証言は全く参考にしていない」と語り、当時下院外交委員会上級スタッフだったデニス・ハルピン氏は「吉田証言や朝日報道が審議に影響したことは全くない」としている。”

この毎日報道が池田氏にとどめを刺す形になった。
朝日報道が大きな影響を与えていないのは明白である。

慰安婦問題の最大の責任は業者にあるが、
人身売買と奴隷的労働を事実上看過した軍も責任は免れない。

「歴史問題の解決に向かって大きな前進が図れる」という点は間違いだが、
(慰安婦問題での対日批判が韓国の国内要因であることを理解していない)
他は概ね妥当である。池田氏の偏った見解よりも遥かに参考になる。
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