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「安倍政権は危機を迎える」閣僚も認めるアベノミクスの非力 - 賃上げする企業は僅か25%しかない

2013-11-18 | いとすぎから見るこの社会-全般
甘利経済再生担当相が、賃上げが実現できなければ
安倍内閣が危機に陥ることをはっきりと認めた。

現政権の基盤が脆弱であると自覚しているのだけは正しい。
しかしこの認識には決定的な誤りがあり、
「賃金が上がって行かないとアベノミクスは失敗する」ではなく、
「賃金を上げることのできないアベノミクスは失敗するしかない」が正しい。

財界の手先となっているエコノミストが太鼓持ちをつとめるのは分かり切った話だが、
今アベノミクスを囃す浅知恵の論者も、グリーと同じく3年程度で期限切れになる。

なぜなら金融緩和も財政出動も一時的な効果に過ぎず、必ず反動が来るからだ。
ユーロ安で輸出絶好調だったドイツの成長率がその後どうなったか、現実を見よ。
財政出動で経済回復するというなら、なぜ小渕内閣時に停滞が続いたのか説明するがいい。

しかも元々二世議員の多い自民党は、非正規労働者のことなど完全無視している。
「賃上げ」は正規労働者にごく僅かな恩恵を与えるだけで、
非正規労働者(新規採用を除く)には殆ど恩恵はないに等しい。
おまけに輸入物価高の直撃を食らって、不満を強めるだけである。

働かない者に課税して働く者に所得移転する積極的労働市場政策を行えば
容易に労働投入が増えGDPが増加するのだが、
我が国の政権与党にはその程度の知恵も欠けている始末である。
おまけに中途採用を増やす対内投資の低迷を放置しているのだから付ける薬がない。

日本の成長率が2014年、15年と低下するのは確実であり、
3年後には所謂アベノミクスが馬脚を現し、嘲笑の対象となるのは確実だ。
場合によってはTPPによってGM食物表示や軽自動車規格に文句をつけられ、
自民党が世論から袋叩きを受ける事態に陥る可能性もかなりある。

安倍政権の規制改革の「矢」も悉く筋が悪く、
農地集約してオセアニアに勝てる訳がない農業分野のように
規模の小さい市場や成長するかどうか分からないニッチで行うスタンドプレーに過ぎない。

本来の規制改革は電力利権を解体してエネルギー効率を高める投資を促進すること、
成長著しい巨大な育児関連市場を伸ばす制度設計である。
イデオロギーに汚染されて育休や原発再稼働に固執するから投資も雇用も増えないのだ。
次の衆院選で与党が叩き落とされるだろうが自業自得である。

「「企業が稼いでこそ日本が豊かになる」との尤もらしい宣伝が多いが、
 これは完璧な誤りであるばかりではなく明白なプロパガンダである」

「企業収益増加は日本経済の成長の必要条件の一つであっても、
 決して十分条件ではない。これが21世紀の「ニューノーマル」なのだ。
 大企業を保護し健全な競争を妨害する政策や制度が日本経済を沈滞させている」

「真に必要な経済政策は、いかに利害関係を持つ企業が嫌がろうとも
 エネルギー効率を高め、強力な人口政策と積極的労働市場政策を推進することであり、
 大手企業に媚びへつらってその利益に貢献する腐った政策ではない」

「海外で日本企業が収益を伸ばすのは慶賀すべきことだが、
 これは韓国と同じ道を日本が後追いしていることを意味する」

「我が国は韓国同様、税を通じた再配分機能が非常に貧弱である。
 グローバル企業幹部の一族ばかりが儲かって繁栄を謳歌し、
 失敗者は這い上がれない韓国型社会に、日本も進みつつある」

「安倍首相の賃上げ要請はしようもない選挙向けパフォーマンスに過ぎない。
 断言しておくが、あと数年経っても賃金上昇は「苦痛なほど鈍い」ものになる」

と当ウェブログは主張してきた。
今、アベノミクスに便乗して賃上げ騒ぎを煽っている無能なメディアは、
「苦痛なほど鈍い」賃金上昇の現実に完膚なきまで叩きのめされる運命にある。

↓ 参考

資金を貯め込む「内向き」日本企業、99兆円もの巨額の内部留保 - 遂に米紙WSJからも批判される
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/8db6931d80e2f0246bd507865d384526

企業の海外進出の主因は「現地の需要が旺盛」- 円高でも人件費でも税負担でも電力料金でもない
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/619b49fe849af09f9a6a4ff93219bf23

▽ 円安誘導は大企業ばかり潤し、中小企業は輸入物価高で苦境に陥る

『日本の景気は賃金が決める』(吉本佳生,講談社)


賃金上がらないと政権危機=デフレ脱却へ企業も覚悟を―甘利担当相(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco&k=2013111100851
”甘利明経済再生兼経済財政担当相は11日、東京都内で開かれた内外情勢調査会で講演した。甘利担当相は「『賃金が上がっていかないと、安倍政権の経済政策アベノミクスは失敗する。そのときに安倍政権は危機を迎える』と安倍晋三首相から強く言われた」と明かし、賃上げが政権の行方を左右しかねない重要な問題との認識を強調した。
 甘利担当相は、検討中の復興特別法人税の前倒し廃止について「批判を浴びてまで(デフレ脱却に向けた)政権の覚悟を示した」と、国として賃上げ原資の確保に努力したことを訴えた。その上で「政府がここまでやっても、企業の皆さんは内部留保としてため込むだけか」と語り、一時金だけでなくベア(ベースアップ)を通した賃金の持続的な引き上げを企業経営者に求めた。
 消費税率に関しては「8%から10%への判断は非常に難しいと思う」と述べ、政権として景気動向などを慎重に見極めて決断する考えを示した。〔以下略〕”

安倍政権が賃上げを可能とする強力な施策を行っておらず、
企業に責任転嫁している実態は、この閣僚の言葉からも明らかである。
しかもこの内容からは、案の定ながら自民党が非正規労働者を無視していることが分かる。

最後の方ではTPPについても言及されているが、
相変わらずその経済効果の小ささを理解していない口調である。

▽ 租税回避のため全力で努力する大企業を信用してはならない

『タックスヘイブンの闇 世界の富は盗まれている!』(ニコラス・シャクソン,朝日新聞出版)


「賃上げする」25.5%…2万社アンケート(読売新聞)
http://zwww.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20131113-OYT1T00193.htmi
”企業向け減税制度を活用した今後の賃上げや設備投資、来年4月の消費税率引き上げへの対応について、読売新聞社は、帝国データバンクと共同で、全国約2万2700社を対象にアンケート調査を行った。
 従業員への給与総額を2012年度より2%以上増やした企業の法人税を減税する制度を活用して「賃上げする(検討中を含む)」と回答した企業は8.5%で、「制度がなくても賃上げする(同)」(17.0%)を合わせると25.5%に上った。規模別では、中小企業が26.2%と大企業の17.1%を上回った。慶応大の樋口美雄教授(労働経済学)は「中小企業は、社長の意向で迅速に意思決定ができることが大きい。この時期に25%の企業が賃上げすると答えたのは、かなり高い数字」と指摘した。読売新聞が上場105社に行った緊急調査では、約3割が賃上げに前向きで、中小企業にも賃上げに乗り出す動きが広がっているようだ。
 一方、設備投資をした企業向けの減税制度に関して、18.4%が「制度を活用して投資を増やす」と答えた。「制度がなくても投資を増やす」(12.2%)を合わせると30.6%となったが、「投資は増やさない」(36.2%)を下回った。日本総合研究所の山田久チーフエコノミストは「景気回復や業績拡大が持続することに、まだ確信を得られず、設備投資を思いとどまっている企業が多いようだ。全体としては慎重姿勢が根強いという印象」と分析した。”

この減税制度は悪いものではないが、効果は限定的だ。
(勿論、零細企業がこの中に集計されていないのは言う迄もない)
来年、再来年と成長率が1%台に低下することが確実であるのに、
企業が大幅に賃上げできよう筈がない。

散々煽った結果が「大山鳴動して鼠一匹」となるのだから、
その時のメディアの反応(言い逃れ)が今から楽しみである。
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