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『週刊エコノミスト』12月13日号 - 年収1000万で「年金保険料が高い」とほざく高所得者の欺瞞

2011-12-09 | 『週刊エコノミスト』より
今週の『週刊エコノミスト』の特集は「あなたの街のギリシャ度」でした。

素晴らしい特集ですが日本の地方自治体は完全な中央政府依存なので
日本が経済破綻すれば一発でお陀仏です。その危険の方が大きい。
…自治体のバランスシートから交付金を外してみるとすぐに分かる。

官庁が厚生年金支給年齢引き上げ騒動の裏でこっそりと
公務員の定年延長を図っていた
との古賀茂明氏の指摘にも愕然としますが、
怒り心頭の事実は他にもあります。

『エコノミスト』2011年 12/13号


P96でのみずほ総研の堀江奈保子研究員の提言によれば、
国民年金保険料の納付率が全年代で下がっていること、
(若者だけではなく壮年層も同程度に払わなくなった!)
高所得世帯でも「年金保険料が高い」として未納であるとのこと。

国民年金保険料を払っていない者も
相当数が生命保険料と個人年金保険料は払っており、
いい加減にしろ! と言いたい。
こうしたメンタリティが日本の財政赤字を拡大させたのだ。
(絶対に「自分さえ良ければいい、人のことなど知るか」と考えている)

欧州諸国のように歳入庁を創設しこうした利己主義者を撃滅すべきだ。
彼らは公的年金がいかに有利か分かっていないから、教育も必要。

厚労省の調査結果が掲載されているが、
500万円以上の所得のある世帯も
「年金保険料が高く、経済的に支払いが困難」と
ぬけぬけと回答して未納のままでいるという状態。
民主主義国の国民として、完全に終わっている。

1000万以上の高所得未納世帯は「年金制度の将来が不安」との回答も多い。
私はその手の連中の思考回路はよく知っている。
何とかして口実をつけて払いたくないというだけだ。
自分達だけの定年延長を図る官僚と同類である。

    ◇     ◇     ◇     ◇

いい記事は他にもあります。

P54で藻谷浩介氏がシンガポール事情を紹介されている。
極めて競争的な社会で、日本が一人当たりGDPで負けるのは当然だ。
日本でも北海道の噴火湾の近辺や沖縄に
シンガポールのコピー特区をつくれば良いのだが。

(ぜひ藻谷氏はシンガポールの政策について本を書いて欲しい)

P46のインタビューはノンフィクションの新鋭、石井光太氏。
世代が近いので、「バブルが嫌い」という心情はとてもよく理解できる。
「今のノンフィクションは知的階級のオモチャ」という言葉が鋭い。
最近異常に売れたアメリカ格差本などまさにその典型だ。

P99には非常に優れた中東情勢の分析がある。
執筆者の吉川氏(ライシャワーセンター)に注目。

    ◇     ◇     ◇     ◇

今週の『週刊ダイヤモンド』は大学のキャリア教育・支援特集。

この分野の不毛さが実によく整理されていて関係者必読。
企業側の代弁をする怪しげなキャリア専門家が
どのように増殖してくるのかがよく分かる。

『週刊ダイヤモンド』2011年 12/10号


    ◇     ◇     ◇     ◇

ところで今週の『週刊東洋経済』では原田泰氏の寄稿に注目。

復興予算において自治体のモラルハザードが生じているとして
分捕り合戦さながらの言動を見せる被災自治体の知事を批判されている。

全くもって正論だと思う。
復興需要による中毒症状で5年後、10年後にもがき苦しむようになるだろう。

『週刊東洋経済』2011年 12/10号


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6 Comments

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Unknown (Unknown)
2011-12-11 16:24:40
僕は結構経済の懸賞論文なんかを見せてもらう機会があります。
そこでもあなたのようにものごとを単純視して、ドヤ顔で解決策を語る方は非常に多いです。
残念ながら、あなたも含めたそれは、基礎的な概念の不足でしかありません。
わかりやすく言うと勉強不足ということになります。
返信する
論拠としては足りませんね。 (いとすぎ)
2011-12-12 00:13:37
私にも当然勉強不足はあります。
認識の誤りがありましたら非を認め謝罪します。

しかしあなたに「概念不足」(←これは日本語として適切ではない)や「勉強不足」を判断する資格があるとは思えませんね。

この場でそれを明証して下さらないと駄目ですね。

例えば具体的にどこがどう勉強不足なのか指摘して下さい。多数の観察者もあなたの主張の真偽を吟味するでしょう。

返信する
Unknown (Unknown)
2011-12-14 22:47:33
あなたの賛美しているシンガポールに代表される自由な競争社会とは、自己の利益を最大化するために、あなたの嫌悪している「自分さえ良ければいい、人のことなど知るか」という社会の事ですよ。
あといとすぎさんの気分を害してしまった様ですみません。僕は何もあなたに喧嘩を売ってるわけではありません。
返信する
警告 (いとすぎ)
2011-12-15 01:59:41
>あなたの賛美しているシンガポールに代表される自由な競争社会

済みません、あなたは勉強不足ではなく日本語理解の段階での問題であるようです。

私は「GDP」と「政策」について言っているだけでシンガポール社会そのものを賞賛したことは一度もありません。

たびたび当ウェブログが北欧の社会政策や仏の家族政策について取り上げている点からも明らかなのですが……

問題外のコメントは今後、公開しないので悪しからずご了承下さい。
返信する
Unknown (Unknown)
2012-01-25 23:53:33
> 1000万以上の高所得未納世帯は「年金制度の将来が不安」との回答も多い。
> 私はその手の連中の思考回路はよく知っている。
> 何とかして口実をつけて払いたくないというだけだ。
> 自分達だけの定年延長を図る官僚と同類である。

自分もこのカテゴリに入りますが、「年金制度の将来が不安」という気持ちは良くわかります。払いたくないわけではなく、現在適切に使われている印象がなく、かつ、将来自分が年金を受けられない可能性が高いという印象を受けていることから、「年金制度の将来が不安」と感じているわけです。
返信する
税制を勉強しましょう。 (いとすぎ)
2012-01-26 02:13:20
率直なご意見ありがとうございます。

しかし公的年金の税優遇に勝てる運用は普通の人には著しく困難です。特に日本版401kは強烈な優遇ぶりで、財政破綻ヘッジもある程度可能です。

あなたが天才的な運用者だとしても、ごく一部の人々を救えるに過ぎません。難破船から逃げ出す鼠とどこが違うのでしょうか。

充分な収入がありつつ年金保険料不払いを行うのは、税制と経済リテラシーに劣る面で愚劣であり、共同体の未来と同胞を見捨てて小銭にしがみつく点で非道徳的です。
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