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マスコミ各社は電気事業連合会(電事連)の代弁を止めよ - 電力業界には排出量削減は不可能である

2008-06-27 | いとすぎの見るこの社会-地球環境を考える
遂に電力料金に原油高が跳ね返ってきました。
「原油は下がる」と大見得をきっていた経産省次官はとんだ恥さらしです。

我々のとるべき道は2つしかありません。
電力業界の言い分を鵜呑みにして高いエネルギー価格に耐えるか、
自ら環境税や排出量取引を受け入れて日本の環境部門を成長させるか。

… どちらが社会にとって有益なのか、答えは自明ではないでしょうか。

東電:原発停止と原油高 二重苦で料金改定決断(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/biz/news/20080627k0000m020100000c.html

” 東京電力が2年ぶりとなる電気料金の「本格改定」に踏み切ることを決め
 たのは、昨年7月の新潟県中越沖地震による柏崎刈羽原子力発電所の運転
 停止に原油価格の急騰が重なり、経営の屋台骨が揺らぎかねないと判断し
 たためだ。改定により原油価格の高騰を電気料金に上乗せしやすくなり、
 燃料費の負担増に苦しむ他の電力各社でも追随する動きが広がりそうだ。
 「燃料価格の高騰は収まる気配が見えず、徹底的な費用削減などの経営努
 力だけでは吸収しきれない。事業経営に極めて大きな影響が出る恐れがあ
 る」。26日に副社長から昇格したばかりの清水正孝・東電新社長は会見
 で強い危機感をにじませた。
 地震の影響で柏崎刈羽原発の原子炉7基はすべて運転を停止したままで、
 復旧の見通しは立っていない。東電は火力発電で原発の停止分を補ってお
 り、燃料費などの負担増は年間6000億円以上になるという。原油価格
 の高騰が続けば負担もさらに膨らむ見通しだ

 原発の復旧費などによる多額の特別損失も加わって、08年3月期連結決
 算は28年ぶりの最終(当期)赤字に転落。燃料高騰の電気料金への転嫁
 は大きな経営課題になっていた。
 東電は4月、燃料価格変動を2四半期後の料金に自動的に反映させる「燃
 料費調整制度」に基づき、今年7~9月分まで4四半期連続で値上げを決
 めていた。しかし、現行制度で料金に上乗せできるのは基準燃料価格の5
 割まで。原油価格は今年に入り4割も上昇するなど上げ足が急ピッチで、
 10~12月には上限を突破するとみられていた。
 このため東電は基準燃料価格自体を見直す本格改定を実施し、燃調制度で
 値上げできる上限を引き上げることにした。新たな基準価格には火力発電
 の比重増を受けて、原油価格の高騰分がより反映される。基準価格は9月
 に見直し、来年1月には従来以上に大幅な値上げとなる公算が大きい
。”

 → おそらく電力業界は、国民に隠れて
   政治家に柏崎刈羽原発の稼働再開を必死に働きかけている筈。

   これまでの原子力発電所の稼働実績を見る限り、
   原発が「不安定電源」であることはもはや明らかであり、
   我々は代替エネルギーを本気で拡大させなければなりません。

   ここまで原油価格・石炭価格ともに上昇し、
   火力発電のコストを急騰させている以上、
   火力発電への依存度を低下させることこそ
   日本のエネルギー政策の基本とせねばなりません。

   我々はエネルギー価格をコントロールできないからです。
   エネルギー高をヘッジできる自然由来エネルギーを
   全力で普及させなければならない理由が、ここにあります。

特集:CO2削減、待ったなし 義務達成へ、産業界の取り組み(毎日新聞)
http://mainichi.jp/life/ecology/news/20080625ddm010040115000c.html

” 京都議定書の約束期間が今年からスタートした。日本は二酸化炭素(CO2)
 など温室効果ガスの総排出量を2012年までに90年比で6%減らすこと
 を義務づけられている。7月7日からの主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミ
 ット)では、13年以降の「ポスト京都」をにらみ、議定書の批准を見送っ
 た米国や削減目標のない中国など途上国を含めた枠組みづくりが焦点とされ
 ている。議長国・日本がポスト京都を主導するには削減目標の達成は不可欠
 だが、06年度の総排出量は家庭やオフィス・店舗などで増え、90年比6.
 2%増となっている。自主行動計画を掲げる産業界はここ数年、削減に努め
 てきたが、排出規模の大きい電力や鉄鋼業界には更なる削減に期待がかかる
 〔中略〕
 電力10社や電源開発などはCO2の排出原単位を08~12年度の5年平
 均で90年度比20%減の目標を掲げている。排出原単位とは1キロワット
 時の電気を使用する際のCO2 排出量。原単位の目標を定めるのは電気使用
 量が天候や利用者の事情で増減し、電力会社の統制が及ばないためだ。具体
 的には0.417キログラムから0.340キログラムへの低減を目指す。
 石炭や石油など化石燃料による発電は大規模な燃焼を伴い、CO2 を大量に
 排出する。06年度の国内総排出量はCO2 換算で13億4000万トン。
 うち3割が発電所などからとされる
のも、こうした理由がある。このため、
 原子力発電の利点に注目が集まっている。国別の排出原単位を見ると優位性
 は際立つ。原子力比率28%の日本が0.40なのに対し、約80%のフラン
 スは0.09という低さだ。
 電気事業連合会によると、138万キロワットの原子力1基を導入し、石油
 火力と代替した場合(設備利用率を85%と想定)のCO2 削減量は年間約
 700万トン。全国55基の設備利用率を1%上げれば、約300万トン減
 らせ、平均設備利用率が90%になれば、国内の総排出量の3%(約400
 0万トン)を削減できる。太陽光発電で700万トンを削減するには100
 0万キロワット、風力なら600万キロワット分の発電が必要だ。京都議定
 書目標達成計画など政府の諸計画が温暖化対策に原子力推進を掲げるのも、こ
 うした背景がある。
 ただ、原子力発電推進の前提には安全性の確保と信頼の回復が必須条件だ。
 昨年7月の新潟県中越沖地震では東京電力の柏崎刈羽原発が被災し、いまだ
 に稼働できないままだ。また、自主点検作業記録の不正が発覚した東電問題
 (02年)や関西電力美浜原発の配管破損事故(04年)は、全体の年間設
 備利用率を50~60%台にまで低下させた。
 設備利用率は定期検査の期間などで変動するが、トラブルによる計画外停止
 の多さが、欧米などの90%台に対し80%台で頭打ちの状況を生み出して
 いる。一層の保守管理・安全評価の技術向上が求められている。”

 → この記事を読むと、排出二酸化炭素量の削減は
   電事連と電力業界にはまず不可能であるとはっきり分かります。

   フランスの原子力政策は軍事政策や電力輸出政策と表裏一体であり、
   四方を海で囲まれ、核保有への政治的障壁の高い日本とは
   全く事情が違います。

   実態として原発着工には地域住民の抵抗が非常に強く、
   現在建設中であるのは2基だけであることも付言します。

   反対する住民を黙らせるために税金を投入し、
   またしても「補助金漬け」の中毒自治体を生み出す
   つもりなのでしょうか。原発推進そのものが
   政策倫理に反していると考えるのは私だけではないと思います。

” 3月に経済産業省が発表した「クールアース-エネルギー革新技術計画」の
 送電・発電部門で「先進的原子力発電」が重点技術に挙げられた。次世代軽
 水炉開発も今年度から始まっている。政府の新・国家エネルギー戦略は原子
 力を30年以降も電力供給の30~40%以上と位置づけるが、CO2 の削
 減状況次第では比率の見直しを迫られるかもしれない。
 原子力の活用に加え、電力業界は火力発電所の熱効率向上にも取り組んでい
 る。熱効率は消費燃料のうち有効に電気となった割合で、運転が一部で始ま
 ったガスタービンと蒸気タービンによる最新型のコンバインドサイクル発電
 では59%を達成し、既存設備の40%台を大幅に超えた。試算では1%で
 CO2 約160万トンを削減できるという。
 一方、家庭やオフィスなど民生部門への普及を目指すのが超高効率ヒートポ
 ンプだ。大気中の熱を圧縮機で効率良くくみ上げ、空調や給湯に利用するシ
 ステムで、製品開発が進む。東電によれば、年間排出量1.89億トンの家庭
 ・業務用の給湯・空調をヒートポンプ方式に変えれば1.3億トン減の0.58
 億トンになると見込む
。”

 → 噂のヒートポンプです。
   こちらの素晴らしい技術を普及させるのであれば、
   多いに賛成です。これほど削減効果のある技術ですから、
   海外に輸出することも検討すべきです。

   原発着工と違って、ヒートポンプの導入には
   政治的抵抗はますありません。寧ろ歓迎されます。

   知らない方も多いですが、これは偉大な発明であり、
   日本が世界に誇れる省エネ技術です。

   火力発電分の電力に環境税を賦課し、
   その分をヒートポンプのインセンティブに廻すべきです。

” 福田康夫首相が今月9日に発表した温暖化対策「福田ビジョン」は、50年
 までの長期目標に温室効果ガス排出量の現状比60~80%削減を掲げ、排
 出量取引の今秋の試験実施を盛り込んだ。
 これに対し、早速、電気事業連合会の勝俣恒久会長は「実効性、投機性の排
 除、企業活力の維持などの観点が重要で、導入には反対である」とコメント
 し、鉄鋼連盟の宗岡正二会長も「海外からの排出権購入で資金が流出し国益
 を損なう。途上国への生産シフトにより排出量が増加するおそれがある」と
 慎重な対応を求めた。排出量取引については、首相直轄の「地球温暖化問題
 に関する懇談会」(座長・奥田碩内閣特別顧問)の政策手法分科会も賛否両
 論があるとし、先の中間報告に導入の是非を明記しなかった経緯がある。
 排出量取引は企業や工場などに排出枠を割り当て、その一部を取引できるよ
 うにする制度。最初に枠を決めるため、排出総量が明確で計画通りのCO2
 削減が達成できるとのメリットが指摘されている。また排出枠を超えた削減
 分は売却できるなど、市場原理の働きでコストを最小化するとの意見もある。
 産業界が排出量取引に反対する理由の一つに排出枠配分への疑問がある。大
 きく二つある配分法のうち、過去の実績に基づく方式については、削減努力
 をしてこなかった企業ほど有利になるとし、政府が公開入札で販売するよう
 なオークション方式についてはコストがかかる上、確保枠も予測できず、経
 営の不安定要因になると指摘する。また一連のコストが省エネ技術の開発原
 資を縮小させたり、削減義務のない途上国への産業移転などを促す結果を招
 けば、地球規模での排出量は逆に増加するという。
 欧州連合(EU)では域内排出量取引制度(EU-ETS)が05年1月か
 ら始まったが、排出枠の取引値が06年4月に30ユーロを超え、翌5月に
 は10ユーロに下落するなど乱高下を繰り返した。また石炭から天然ガスへ
 の燃料転換が進んだ英国、東西統一で削減余地が広がったドイツを除くと、
 エネルギー産業、製造・建設業部門の排出量は増加したとの数字もある。
 〔中略〕
 電力・鉄鋼業界は当初からセクター別アプローチを主張してきた。これは、
 先進国が産業・分野別に技術協力や支援を進めれば、途上国の理解も得られ
 やすいと考えるためで、APP活動は、その一環として力を入れている。”

日本の排出量取引の現状が纏めてあります。
一言で言えば「後ろ向きの環境後進国」です。

排出量取引は、日本がアジアでの排出権(量)取引の中心地となるために
絶対に必要です。欠点は徐々に手直ししてゆけば済む話。

国内しか見ていない視野の狭い経済人が多いのには愕然とします。
日本にできなければ、香港や上海、シンガポールにできるだけの話です。

排出権(量)取引市場は、市場を確立させた国が
デファクトスタンダードになり、他国は追随せざるを得ません。
今後アジアの経済成長が加速することを考えれば、
取引市場の規模は加速度的に拡大する可能性きわめて大です。

絶対に日本がトップを走らなければなりません。
一般の金融取引市場では東京はシンガポールや香港に勝てませんが、
環境分野であれば「先んじれば人を制す」です。

    ◇     ◇     ◇     ◇

当ウェブログをマスコミの方々が御覧になっているようなので、
電事連と電力業界が自然由来エネルギーの普及を妨害している
(原発の優位性を必死に強調している)
理由を明らかにしたいと思います。

「電力自由化」の際の電力業界の動きを見れば、
なぜ彼らに排出二酸化炭素量の削減ができないか、
はっきりと分かります。

彼らにとって重要なのは「自らのテリトリーを侵されないこと」であり、
環境問題がどうなろうとも、自らの業界の収益と雇用が確保されれば
何とも思わないでしょう。

彼らにとって自然由来エネルギーの普及は、

自分たちが持っていた特権を失う
ことと同義です。

自由化後のNTTと同様に、
安定した収益と雇用をじりじり失ってゆくことが
はっきりと運命づけられるからです。

これに反して原子力発電が拡大すれば、
収益の減少は防止でき、自らの楽園を守ることができます。

こうして考えると、電力業界にとって自らのコントロールできない
自然由来エネルギーが「親の仇」であることは明らかです。

「国益」を騙って排出量取引に反対している鉄鋼業界も、
どれほど国内雇用に貢献しているのか、精査する必要があります。
私の知る限りでは、ここも非正規雇用の活用が格段に進んでいる業界です。
(それによって中高年幹部層の高い賃金を守っている)

本当に国益を考えているのなら、
環境技術を途上国に輸出することによって
排出量(権)を獲得するために努力する筈ではないでしょうか。
反対だけではなく、新しい仕組みの提案こそ必要です。

現状では「業界益」以外は眼中にないようにしか見えません。

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