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「日本で働きたい」外国人留学生は僅か2割、単純労働者しか来ない - 自民特命委は「敗者の言い訳」

2016-05-16 | いとすぎから見るこの社会-雇用と労働
自民党の特命委(労働力確保に関する特命委員会)が、末期的な提言を行ったようだ。
末期的な政権に末期的な特命委、滑稽な取り合わせだが
日本経済の行く末を考えると笑ってはいられない。

今、欧州がテロの恐怖に怯えて極右の台頭を抑えられないのは、
無節操に単純労働者を受け入れてきたからである。

しかし欧州の教訓から全く学んでおらず、
「外国人を安くこき使いたい」という歪んだ欲望に満ちて
目先の利益しか見えていない自民党の特命委は、
単純労働力の受け入れを提言したのである。

問題だらけの実習生制度に対する真摯な反省もない、
人権意識の低さは相変わらずであるが、より深刻な問題もある。
世界的な高度人材獲得競争で日本が大敗しつつある現状すら認識できず、
単純労働者なら従順に使い回せるだろうと考える傲慢ぶりは日本の恥だ。

ケアワーカーとして外国人を使いたがるのは、安く済ませたいとのさもしい根性である。
北欧のように正当な対価を支払い、自国民を雇わないから経済が成長しないのだ。

ケアワーカーは北欧式の積極的労働市場政策で公費を投入する、
高度人材は永住権を与えるなどアメリカやシンガポールのように世界中から集める、
これが正しい海外人材獲得政策である。

▽ 高度人材には移民よりもまず永住権、である

『低欲望社会 「大志なき時代」の新・国富論』(大前研一,小学館)


観光でも馬鹿みたいに数だけ追って質の悪い連中を国内に呼び込み、
富裕層の長期滞在という「宝の山」を見過ごしているのだからてんで話にもならない。

特命委の近視眼で愚かな提言は、当ウェブログの指摘通りである。

「グローバル人材育成を能天気に称える安倍首相の軽い言葉に対し、当ウェブログは
 「日本企業は単に「語学が堪能で外国人より従順で使いやすい」人材を求めているだけ」
 だと指摘したが、それを裏付ける報道が出ている」

「日本の電機大手の人事担当者によれば、
 「外国人社員は5年で50%は辞める」そうだ。
 これでは流石に「最近の若者はこらえ性がない」といった類いの低次元の言い訳はできまい。
 まさか「最近の外国人はこらえ性がない」とでも言うのだろうか」

「日本経済の活力を維持したければ、
 まず日本企業自身が外国人を活用できないと話にならない。
 現時点ではその段階でまず失格である」

「企業の言い分など所詮は衆愚的な「組織の論理」に過ぎない。
 真に受けると寧ろ国益を損ないかねない」

「高度人材には逃げられ、単純労働者に関しては負担を社会にツケ回し。
 これまでの「実績」から言えばこうなるのだから、信用する方が間違っている」

「また、日本経済の労働生産性の劣後は、
 無駄な長時間労働を改めない企業経営にも大きな責任がある。
 それが有能な外国人に忌避される要因の一つになっている」

「どうせまた、リーマンショックの時の日系人労働者と同じく
 景況が悪化したら日本人の雇用を守るために容赦なくクビを切り、
 おまけに尻拭いは日本社会にさせるつもりであろう」

「日本企業によくある、安く使える従順な外国人を望む虫の良さを反省しない限り、
 外国人活用など夢のまた夢である」

「円安と露骨な市場操作で日本企業は浮かれており、
 実力で収益を高めた企業がほんの一握りである実態を忘れている」

「自民党政権のこれまでの「実績」から容易に判断できるのは、
 日本企業の経営層の地位を脅かさない程度の人材しか日本には来ず、
 差別的な待遇で外国人をこき使う「移民受け入れ」にしかならないということだ。
 現下の外国人実習生の恥ずべき実態を見れば明白である。
 (献金に熱心な経済団体は、この問題でも自浄力が全くないことを自ら証明している)」

「外国人労働者を受け入れたがる業界は低付加価値・労働集約的・低収益の業界だ。
 日本の経済界は「おとなしく安い賃金で働いてくれる労働者」を求めているのであり、
 外国人を安くこき使って自分達が楽に儲けることを望んでいるのである」

「経済界自身が変わろうとせずに外国人材の活用を図っても、
 結局はお互いに不満を溜めて仲違いするだけに終わるであろう」

「ファーストリテイリングの柳井会長が絶句するような少子化対策を提唱している。
 少し調べれば事実誤認が幾つも含まれると分かるような内容だ」

「周知のように企業経営者は稼いだ金で評価される。
 会長は鋭い見識で社会に評価されているのではなく、
 今までファーストリテイリングという企業を育て上げてきたから評価されている。
 だから、その発言も検証されず必要以上に取り上げられてしまうという弊害もあるのだ」

「会長が主張するのは、移民や難民を受け入れないと国が滅ぶ、
 子育て支援には外国人の家政婦やメイドが不可欠というものである」

「これはまず少子化についての認識が間違っており、
 大前研一氏がかなり前から明言している通り
 日本の少子化は余りにも深刻で減少数が多過ぎ、
 移民受け入れで補うことは不可能に近い」

「日本は香港やシンガポールのような小さな島ではなく、
 1億人を超える人口を抱えている人口大国である。
 そしてこれから、平均して毎年100万人前後の加速度的な人口減少が起きる。
 毎年100万人規模の移民受け入れが可能と考えるのは正気の沙汰ではない」

「日本より遥かに治安が悪く、殺人事件も日常的に起きているアメリカ、
 日本の倍以上の人口を抱え国土も数倍に及ぶアメリカと同水準か、
 それ以上の数を受け入れなければならないのである」

「また、外国人メイドを活用している代表的な国・地域は香港とシンガポールであるが、
 ともに日本を下回る程の極端な低出生率であるのはあまりにも有名だ。
 どうしてその程度のことにすら考えが及ばないのだろうか」

「外国人を安く使うという発想は企業経営層にとっては常識的であるが、
 少子化対策では全くない。企業経営と国政を完全に混同している」

「日本の出生率が低迷し、女性就労率が低い理由は、完全に政策要因である。
 高齢層に30兆円以上の税金をバラ撒いているのに育児支援にはケチっていて、
 雇用政策にも先進国中で最低水準の予算しか出していないからだ」

「経済界は、リーマンショック後の外国人大量クビ切りの責任を忘れ、
 能天気な移民受け入れを主張する傾向が極めて強い」

「ファーストリテイリング会長の言うような移民受け入れをなし崩し的に進めてきた欧州では、
 労働市場で差別的な扱いを受ける移民とその家族がスラムを形成し、テロの温床となっている。
 考えの浅い人間がただ労働力確保のために移民を受け入れるから、こうなるのだ」

「ジェノサイドの研究者であるグナル・ハインゾーンは、
 受け入れてくれた社会に過剰適応しようとする移民一世と違い、
 移民二世の世代は欧州社会への感謝ではなく不満が強く、
 様々な問題を引き起こしている事実を報告している」

「こうした欧州の実態を全く知らない柳井氏の言うような移民受け入れを実施したら、
 日本国内のあちこちに「日本版モレンベーク」が出現するであろう。
 豪邸に住んでいる人間にとっては、日本の治安悪化など無関心なのだろう」

「少子化問題ばかりではなく、
 移民政策においても、企業経営者の発言は自社の利益増進のためであり、
 日本経済のためのものではないことが愈々明確になってきている」

「日本において近年、難民申請が急増しているが
 申請者は内戦やテロ問題が深刻化している中近東出身者ではなく、アジア系が大多数である。
 政府が難民申請中の就労を許可したこととの因果関係が疑われる。
 このままでは、本当に困窮している外国人にも被害が及ぶであろう」

「事実、入管が不法滞在者を摘発した際に、
 難民申請中の者が違法就労してたことが判明している」

「他には、アジア系研修生が待遇に不満を持って逃亡し、
 難民申請を行って不法就業する事例も確認されている」

「これは、日本の難民受け入れの裏面を暴くものであるばかりではなく、
 日本の移民政策(或いは海外人材受け入れ政策)にも共通した特質だ。
 つまり美辞麗句を掲げてその蔭で「カネ」目当てで動いている訳である」

「論より証拠、最近になってからカネを受け取って
 外国人の不法就業を助けた日本人が次々と逮捕されている」

「不法在留者と難民申請者とが同じ職場で摘発されていることから、
 両者が限りなく近いものとなっているのは明白である」

「日本の経済界の主張する海外人材受け入れも似た性質を持っている。
 違法性ががなくとも、自己の利益のために外国人を利用している点では同じだ」

「このような拝金的な受け入れしかできない国は、
 遠からずはした金と引き換えに国内にスラムを抱えるようになるだろう」

「直近では、安倍政権の実質賃金切り下げ政策により
 低スキルの単純労働者への需要は高まっている。
 言う迄もなくこれは、違法な外国受け入れの温床となるものだ」

「アジア系外国人については、日本人がカネを受け取って
 違法に在留資格を取得させる事件が以前から多かった。
 難民受け入れも、似たような構図になりかねない」

「愚劣な政策のために国内雇用の内実が劣化していることは周知の事実だが、
 近視眼的な外国人受け入れのため更に深刻な問題を抱えることとなろう」

と当ウェブログが警告した通りだ。

▽ 熟慮せず単純労働者を受け入れると、今のヨーロッパのようなスラムができる

『イスラム化するヨーロッパ』(三井美奈,新潮社)


グローバルな人材獲得で惨敗している安倍政権と自民党は、
人材面においても日本経済の停滞の元凶である。

「EUの心臓部であるベルギーで、深刻なテロ事件が起きた。
 はっきり言っておくが、安倍政権や経済団体が誤った外国人受け入れ政策を推進する限り、
 我が国でも同じように深刻な治安悪化が生じる。それは間違いない未来である」

「安倍政権や財界が、労働力不足分野での外国人活用を唱えているが、
 海外の事例を全く研究せず、国内では悪名高い研修生の問題を黙殺した
 二重の意味で無責任極まりない話である」

「近年、急激に成長率と出生率が低下している台湾では、
 アジアから安い労働力を輸入して家事や介護サービスを担わせている」

「低賃金労働者は海外から調達して安く済ませるが、
 自国の高度人材はより高い賃金を期待できるアメリカなど海外へ出る」

「まさに無能な政府を抱える日本の未来図だと言えよう。
 台湾の経済成長率は低迷し、出生率も日本以上に低い」

「同じく移民を受け入れているが高度人材を重視するシンガポール、
 或いは重税で福祉サービスの雇用を創出し、国民にも企業にも努力を求めるスウェーデン、
 両国はともに台湾よりも成長率が高く、1人当たりGDPも高い」

「日本が何もしなければ、この三国のなかでどのコースを辿るのかは明白だ。
 最も安易で、最も愚かな道を辿ることになろう」

「安い労働力を輸入しようとしている安倍政権と財界は、
 まっしぐらに台湾と同じ道へと向かっているのである。
 (個人的には台湾は好きだが、経済政策としては誤った道に進んでしまっている)」

「シンガポールのように高度人材を招致する能力がなく、
 スウェーデンのような企業にも国民にも厳しい政策を取らない、
 怠惰で無能な政府に財界も諂って献金で利益誘導している始末だから、
 マイナス成長ははっきり言って自業自得である」

「台湾の状況を見れば、低賃金労働力を移民で補うことが
 経済停滞・出生率低迷を招く愚策に他ならないことは明白である」

「昨年の台湾の成長率は2%を割り込み、直近の四半期ではマイナス成長に陥っている。
 出生率に至っては日本より低く、1.2を下回るという惨状だ。
 台湾と同様の政策をとろうとしている安倍政権は、日本経済の害毒である」


「台湾も、インドも、ベトナムも、最優秀の人材はまずアメリカへ向かう。
 米西海岸でインド系の経営人材が急増しているのは、余りにも有名な事実である。

「国益を真に理解しているなら、海外の単純労働力ではなく高度人材を全力で取りに行く筈である」

まさに国益を損なっていると言っても過言ではない。

 ↓ 参考

安倍政権の「外国人受け入れ」は成長率低下・出生率低迷の愚策、台湾を見よ - 高度人材に魅力のない日本
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/276e532c145fec0ee870b1d15290ab58

利用される「難民申請」、就労目的での申請が急増中 - 外国人を食い物にする醜悪な日本人も増加中
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/74f62af3c572f97a3592d0d76a96d334

経済産業省が次元の低い移民政策を提言、恥ずべき研修生問題は完全無視 - 高度人材が来ないのは当然
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/f1656ef4054d182f187041b5f9ef8601

5年で半分が辞める外国人社員、あっさり見捨てられる日本企業 -「優秀な人が集まらない」実態
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/12aad41d2655b0b15690f2678187c1a1

▽ 深刻な問題が起きるのは、移民二世以降である

『自爆する若者たち―人口学が警告する驚愕の未来』(グナル・ハインゾーン,新潮社)


自民特命委:外国人労働者拡大を 提言案まとめる(毎日新聞)
http://mainichi.jp/articles/20160427/k00/00m/010/088000c.html
”自民党の「労働力確保に関する特命委員会」(委員長・木村義雄元副厚生労働相)は26日、人口減に伴う人手不足を解消するため、外国人労働者の受け入れを拡大する提言案をまとめた。従来の政府方針を改め、専門分野以外の「単純労働」への拡大を提案した
〔中略〕
 提言案は「人口減少の中で活力を維持するには、外国人に今以上に活躍してもらうことが必要」と指摘。従来は専門的・技術的分野を中心に受け入れを進めてきたが、介護や農業などの分野も「精査して受け入れを進めるべきだ」とした
 拡大への具体策としては、約91万人(2015年10月末)の外国人労働者が倍増しても雇用などへの影響がないよう、受け入れ枠を設定。日本人と外国人の報酬を同等にするなどの仕組みを提言した。在留期間を当面は「5年間」とすることも盛り込んだ。
 外国人労働者の受け入れ拡大について、自民党内では「移民につながる」との懸念が強い。木村氏は「今回の案は(永住権を認めるわけでなく)移民政策ではない」と説明している。【大久保渉】”

「人口減に伴う人手不足」は、自民党政権の失態によって起きた「人災」だから、
自民党議員やそのOBは貰っている公費を全員、大幅カットすべきである。
ふざけた提言もいい加減にすべきだ。無責任にも程がある。


外国人「日本で働きたい」2割のみ 留学生支援団体調査(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO96460930T20C16A1EE8000/
外国人留学生の就労支援を手がける一般社団法人の日本国際化推進協会が実施した調査で「日本で働くことが魅力的」と答えた外国人は約2割にとどまった。一方で「日本に住むのは魅力的」との回答は8割超に上る。日本文化に対する人気とは対照的に、日本企業は役職や年功による序列が強く、男性優位といった負の印象を持たれていることが分かった。
 調査は留学生などの外国人819人を対象に昨年10~11月に実施した。日本で…〔以下略〕”

これが実態だ。
日本は「単純労働者でないと来ない」情けない国なのだ。
また、単純労働者受け入れよりも富裕層の長期滞在の方が
経済効果として遥かに大きいのも明白なのだが、自民議員はそれすら理解していない。


労基署が異例の逮捕=賃金未払いの社長ら―岐阜(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016032200829
中国人技能実習生に賃金を適切に支払わず、労基署の調査も妨害したとして、岐阜労働基準監督署は22日、最低賃金法と労働基準法違反容疑で、縫製会社社長粟谷浩司(50)=岐阜県笠松町米野=、技能実習生受け入れ事務コンサルタント伊藤智文(50)=岐阜市中=両容疑者を逮捕した。
〔中略〕
 逮捕容疑は、2014年12月~15年8月、中国人技能実習生の女性4人に最低賃金計約165万円と時間外手当計約310万円を支払わなかった上、虚偽の賃金台帳を提出するなど労基署の調査を妨害した疑い。”

実質的な移民受け入れである実習生制度では、
このような「日本の恥」である連中が跋扈している。
安倍政権や自民党議員は、自らの責任を直視すべきである。


【移民ショック】ドイツ「寛容政策」導入から半年 言語の習得、難民手続きは数カ月待ち… 現実の壁、統合の道のり遠く(産経新聞)
http://www.sankei.com/world/news/160303/wor1603030075-n1.html
”難民・移民流入問題で、ドイツが寛容な受け入れ政策をとって約半年が経過した。難民らは新たな国で将来への希望を描き、ドイツ側は不足する労働力としても歓迎した。ただ、言葉や雇用をめぐる「現実の壁」は予想以上に高く、難民らを社会に溶け込ませる「統合」への道のりは遠い。
難民手続き、結論までは施設暮らし
 「ズボンがほしい」
 独北部ハンブルク。中心部の民間教育施設の1室でアラブ系の若者ら約20人が独語の授業を受けていた。衣料店を想定した会話の練習で若者がたどたどしく独語を話すと、講師が文法や発音をただした。
 授業は国が支援し、シリアやイラクなど出身の難民申請者を対象として昨年11月、各地で始まったコースだ。仕事を含めドイツでの生活に独語は不可欠。「早く自立したい」。生徒のシリア人女性、ラフィフ・ハラフさん(25)もそう語り、独語習得に励む。
 ただ、入国から約4カ月がたち、ハラフさんにいらだちもある。難民申請を行ったが、当局の聴取は6月の予定。結論が出るまでは数百人が集まる受け入れ施設での生活が続く。住民同士のいさかいもしばしばで、「大きなストレス」という。
 連邦移民難民庁によると、昨年1年間と1月末までに入国登録した移民らは約120万人。この間、難民認定の可否の結論が出たのは約33万件で、審査中は約37万件に上る。登録後も難民申請できていない移民らは30万~40万人とされ、同庁は人員を増加して処理を急ぐが、膨大な数に対応が追いつかない状態だ。
〔中略〕
 ハンブルク中心部の職業安定所に2月、シリア人男性(28)が職探しに訪れた。昨年末にドイツに到着し、独語を話せた。母国で金属加工職人だったという。だが、職歴を証明できず、職安側は職業訓練を勧めた。「この年齢では…」とためらう男性に「将来のため」と説いた。
 ハンブルク労働局によると、独語習得や職業訓練よりも早く仕事に就こうとする難民らは少なくないという。家族への仕送りや密航業者への借金返済のために金が必要といった事情もあるとみられる。だが、「それは危険」と労働局の広報担当、クヌート・ベルンゼン氏は警告する。
 資格がない、または資格を証明できない難民らに斡旋(あっせん)するのは非熟練・単純労働者向けの職種だが、求人に占める割合は約10%。失業率が全国平均より高いハンブルクでは競争が激しい上、失業もしやすい。言葉と技能をまず身につけた方が将来的に安定が望める。
就労率低く貧困化、“火種”懸念も
 同庁がシリア人らを中心とした難民に一昨年行った調査によると、6割超が職業訓練や大学教育の経験がなかった。就労者は約37%にとどまり、大半が飲食店や清掃業など中・低程度の技能の仕事だ。調査結果は昨年入った移民らにもあてはまるとみている。
 国内では難民らが労働力を補うとの期待も高まったが、状況が明らかになるにつれ、独メディアは「“あすの労働力”は“あさっての労働力”だった」とも伝える。難民らが貧困層となれば、社会的な“火種”ともなりかねず、社会への統合は大きな課題だ。

 ハンブルク労働局のゼンケ・フォック局長は「期待の後失望もあったが、今は現実に対応しようとの段階になった」と指摘。「難民の多くは意欲が高く、企業の受け入れへの関心も強い。ともに必要なのは忍耐だ」と述べた。(ハンブルク 宮下日出男)”

安く使える労働力と外国人を考えていたドイツ経済界は、
今その愚かさの報いを受けている。

人道的配慮で受け入れたのなら仕方のないことだろうが、
ドイツ経済界は欲得ずくで打算的な判断だった筈だ。
自業自得と言うべきであろう。


独地方選で「反難民」党が躍進 メルケル首相の苦境さらに(産経新聞)
http://www.sankei.com/world/news/160314/wor1603140031-n1.html
”【ベルリン=宮下日出男】ドイツの3州で13日に行われた州議会選挙は即日開票され、メルケル首相の寛容な難民・移民政策に反対する新興右派政党「ドイツのための選択肢」(AfD)が躍進した。寛容な移民政策に反対する勢力が支持を広げたことで、首相の苦境は強まっている。
〔中略〕
 暫定の公式集計では、AfDの得票率は旧東独地域ザクセン・アンハルト州で24.2%に上り、第1党となったメルケル氏の保守系与党「キリスト教民主同盟」に続く2位。旧西独のバーデン・ビュルテンベルク、ラインラント・プファルツの両州でも、AfDは15.1%、12.6%を獲得して第3党となった。
 2013年に単一通貨ユーロの「解体」を掲げて誕生したAfDは昨夏以降、移民らの受け入れ反対に主張の重点を移し、支持を拡大。今回の選挙結果を含め、国内16州・特別市の半数で議会進出を果たした。
 旧東独で人気が高いのは、旧西独に比べて低迷する経済への不安を抱える有権者が票を投じたからだ。ただ、今回は旧西独でも一定の議席を確保。来年の総選挙の前哨戦とされた選挙で、「ポピュリスト政党」(メディア)が台頭したことをふまえ、独誌シュピーゲルは「屈辱的で危険だ」と伝えた。
 一方、キリスト教民主同盟はバーデン・ビュルテンベルク州で2011年の前回選に比べて得票率が10ポイント超下がり、国政野党の「90年連合・緑の党」に第1党の座を奪われたほか、残る2州でも議席を減らした。同盟と国政で連立を組む中道左派の「社会民主党」は3州のうち2州で得票率が約10ポイントも減った。
 移民らの流入問題では同盟の各州代表がメルケル氏の政策と一線を画したのに対し、緑の党と社民党は寛容策を支持。社民党はラインラント・プファルツ州では首位を維持した。
 メルケル氏は14日、記者会見し、難民問題でこれまでの政策を続ける考えを表明した。しかし、国内では受け入れは限界という声が大勢だ。
 欧州連合(EU)と域外との国境管理を強化して流入減少を目指すメルケル氏は、トルコとEUが移民らの送還などで合意した協議も主導したが、実効性にはなお疑問も残り、成果を示せるかは予断を許さない。”

そして欧州では建前と本音の乖離が極大化し、
このように深刻な事態に陥っている。

自民党の特命委は、単純労働力を受け入れることが即ち日本での極右勢力台頭に直結し、
重大な社会的コストを支払うことになるという「すぐそこにある危機」も分からない輩なのだ。
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高コストで無駄だらけ、安倍政権の水素エネルギー政策 - 恒例の官庁への予算バラ撒きで終わる

2016-05-16 | いとすぎの見るこの社会-地球環境を考える
エネルギーの効率性は基本的に、手間とコストに左右される。
離島でもないのに風力発電で水素を生産したり、
燃料電池からの熱を使わずに電力だけ利用するのは、
原理的に無駄の多いエネルギー利用である。
(コストを計算すればすぐに分かる)

送電網があるなら風力発電ではそのまま送電した方が
わざわざ水素に変換して運搬するより低コストであるし、
燃料電池は熱を利用しないとエネルギー効率が落ちる。

しかしこうした馬鹿馬鹿しい政策を促進しようとしているのが安倍政権である。
経済政策でも口だけなのだから、エネルギー政策でも同様である。
たっぷり予算を貰って官庁が喜ぶだけで、国益を損なう愚行でしかない。

実質賃金の水準であの民主党政権にすら負け、
経済成長率でも負けつつある次元の低い安倍政権は、
エネルギー政策でも果てしなく程度が低いと自ら立証した訳である。

水素利用やFCVはあくまでも「実験」「開発」に過ぎず、
政府が合理性を理解していたら北海道のCBM(炭層ガス)開発と
コージェネ促進、地中熱普及に注力する筈だ。
次元の低い安倍政権は、重要なエネルギー政策を何一つ実施していない。


……以前、当ウェブログで指摘した通り、輸入燃料の件でも大嘘をつき、
原子力利権を擁護して国益を忘れるような政権だから何ら不思議ではないのだが。

日本経済新聞に掲載されていた数値に日本経済の成長率とドル円を加えて比較した。
(2015年の成長率はIMF推計値、ドル円平均は想定値である)

 (年度)(燃料費増)(成長率)(ドル円の平均)
  2011年  2.3兆円  -1.3    81円
  2012年  3.1兆円   0.1    81円
  2013年  3.6兆円   1.8    99円
  2014年  3.4兆円  -1.0    107円
  2015年  2.5兆円   0.6    120円ほど?

○燃料費の増加は、円安や原油価格の影響を強く受けている
 (2013年は円安の影響大、2015年は原油急落の影響大)
○原発が稼働しなくとも、原油安や円高で燃料費負担は急減する
○原発稼働数や発電量は、経済成長率と殆ど関係がない
○燃料費負担の増減と経済成長率は殆ど関係がない
 (燃料費負担が最も重かった2013年が最も成長率が高い)

今回の愚劣な水素利用構想にしても、
非効率的で予算だけ湯水のように蕩尽する愚策で時間だけが過ぎ、
原発再稼働で利権勢力だけが潤うという「目くらまし」のためかもしれない。

「原子力は日本経済に有害なのである。
 成長率の低迷が何より雄弁にそれを証明している」

「異次元緩和などと「次元の低い」政策を行っている日本よりも
 明らかに成長率の高いドイツは、コージェネ発電の比率が13%に達している。
 日本経済のために、原子力を撃滅してコージェネに転換するべきなのである」

「ドイツはコージェネ発電の比率を2020年までに25%に引き上げようとしている。
 同じような少子高齢化が進む両国が、成長率で差がついている理由は明白だ。
 日本では原子力利権がのさばって経済成長を抑圧しているからだ」

「賢明でかつ投資も増え、経済成長に繋がる合理的なコージェネが普及すると
 確実に電力大手の売上は減り、原子力の必要性が全くないことがバレるので
 利権勢力としては何としても国民にとっては非常に有益なコージェネを普及させたくないのだ」

「残念ながら自民内の脱原発派は強力な代案を出していない。
 コストの安い風力発電のため送電網を整備するとともに、
 (愚劣なバラ撒きである国土強靭化やリニアの10分の1以下の予算で可能だ)
 経済合理性の高いコージェネ発電の買取制度を創設し、
 地中熱での節電分をネガワット取引で売却できるようにすべきである」

「原発ゼロは可能であるばかりか、日本経済の成長のために必須である。
 原発利権を撃滅しなければ、今の低成長から脱することもできない。
 潜在エネルギー資源を豊富に持つ地方経済の「創生」の成否もそこにかかっている」

「当ウェブログは、原子力比率の高いフランスの成長率が低いこと、
 成長率でドイツに劣るばかりか製造業もドイツに劣っていることから、
 原子力はただのレント(政治利権)に過ぎず、経済成長の妨害要因だと指摘してきた」

「愚劣な安倍内閣の円安誘導による燃料費高騰の現実を無視し、
 電力料金の高騰ばかり強調して国民を「B層」扱いして欺き、
 原発再稼働を狙う醜悪な「第五列」の情報操作の悪質さと欺瞞は、
 報道によっても完璧に証明されつつある」

「省エネと風力に注力する合理的なエネルギー政策を選択できれば日本経済は甦る。
 地中熱と木質バイオマス熱利用を推進すれば地方経済にもポジティブであるが、
 問題は今の自民党が原子力と癒着し、そうした「正しい」政策を妨害していることだ」

「それは同時に、新規雇用を生まない利権勢力に利益誘導し、
 日本経済の成長をも妨害するというより重大な問題を内包している」

「新電力はまだまだ比率が低い。
 需要側(企業・家庭)が省エネと自家発電(コージェネ・太陽光)を進めることで
 電力コストは低下し、投資も増え真の「経済の好循環」が実現するのである」

「日本経済新聞は、首都圏だけで原発13基分・2兆円超の投資計画があると伝えている。
 間違いなくこれは日本の内需を力強く支える成長分野である」

「利権勢力に牛耳られた日本では長らく
 「経済成長率が低いのにエネルギー消費の伸びの方が大きい」という
 どうしようもない病的な状態にあり、利権勢力にカネを上納し続けてきた」

「勿論その元凶は、エネルギーを垂れ流し国内投資を抑圧してきた原子力だ。
 企業も家庭もエネルギー効率化や省エネ投資に邁進し、
 原子力を締め上げることによって日本経済は再び前進する」

「電力自由化で電力利権が打撃を受けるのは間違いない。
 必至に骨抜きを図る利権勢力の策動を打破するために、
 国民はエネルギーコストを引き下げる賢明な企業を支持しなければならない」

「ネガワット取引による省エネ投資促進にも大きな効果がある。
 利権癒着政党・自民を追い込んで正しい政策を実行させなければならない」

「日本経済新聞に興味深い記事が載っている。
 経産省発表によれば、2015年の原発停止での燃料費増加額が2.5兆円で、
 原発再稼働と原油安で2014年よりも大幅に減少したと言う」

「2014年が「原発ゼロ」だったのだから、
 原発稼働より原油安の影響が主因であるのは誰でも分かる話である。
 (その証拠に、大飯原発を稼働させていた2012年の数値の方が遥かに上だ)」

「利権勢力は骨の髄から嘘つきだから、「原油価格はどうなるか分からない」などと言うのだろうが、
 それを言うなら原発の不祥事や過酷事故がいつ起きるか分からないという事実を認めるべきだ。
 自ら二枚舌であると世間に公表しているも同然なのがなぜ分からないのか」

「原発依存度の高かった関西電力と九州電力の賃金水準がいまだに低いことから、
 原子力が利権そのもの、「電力大手の金づる」であるのは完璧に証明されたと言えよう」

「日本国民はさすがにその胡散臭さに気付いてきているので、
 原発再稼働が日本のためのものではなく一部利権勢力のためのものであると
 漸く感付いて反感を強めている」

「但し、利権勢力の情報操作活動はいまだに続いていることにも注意されたい。
 それは少し前迄は、「原発停止で国富流出」という欺瞞の塊のような主張であり、
 原油安で嘘がバレてきたので「地球温暖化対策のため原子力を」にすり替わっている」

「電力利権と結託した一部企業は、「乾いた雑巾」説を唱えて
 国民を騙そうとしているが、絶対に信じてはならない」

「我が国の大型発電所はエネルギーロスの塊であり、
 日本の省エネが進まない最大の原因となっているのは
 エネルギー転換(発電)部門なのである」

「電力政策・エネルギー政策を考える際には、
 必ずこうした「業界の利害」を頭に置いておく必要がある」

「経済産業省は漸くネガワット取引の検討に入っている。
 しかし、検討会が利権勢力の息のかかったものになる危険性も高く、
 先行きは決して楽観できない」

「しかも市場メカニズムを活用した公平な仕組みでもなさそうで、
 「報奨金」といういかにも国家社会主義的な発想であるのも懸念される」

と当ウェブログが警告したように、
最も合理的で日本のエネルギー効率を大きく引き上げるコージェネは、
安倍政権の利権癒着によって成長を妨害されている。
安倍政権は同時に、日本経済の成長にとっても妨害要因になっているのだ。

▽ 小規模分散のガスコージェネこそ低炭素でエネルギー効率が高く、原子力のような過酷事故もない

『天然ガスが日本を救う 知られざる資源の政治経済学』(石井彰,日経BP社)


電力自由化で少しばかり事態が動きつつあるかもしれないが、まだまだ不充分だ。

「意外にも、中途半端な電力自由化でも
 利権勢力が追い込まれ自滅するシナリオが生まれつつある」

「これまで電力利権勢力は「電力自由化で料金は上がる」
 「安定供給に支障が」と見え透いた大嘘を喚いていたが、
 彼らのとんでもない嘘が白日の下に暴かれる日が近付いてきた」

「何故なら、凄まじい原油安によって電力料金の大幅低下が間違いない上に、
 電力自由化の開始が重なって確実に国民に恩恵が及ぶからだ」

「次元の低い安倍政権も、「原発停止で3.7兆円の国富流出」などと
 国民を馬鹿にした嘘を吐き、大幅円安を招いた己の失態を直視すらできない始末だ」

「日本国民は、電力自由化でコスト低下が実現すること、原発再稼働など不要であること、
 実は円高とエネルギー価格低下こそ生活向上に直結すると理解できるようになる」

「だから今年は、安倍政権がもたらした大幅円安こそが日本国民を貧しくした元凶であること、
 株価や大企業の業績など大多数の国民の生活と殆ど関係がないこと、
 円高とエネルギーコスト低下こそが国民に恩恵をもたらすこと、
 そして原発再稼働が日本経済のためではなく一部利権層のためのものであること、
 これらが全て、誰の目にも明らかになるであろう」

「野党はメガソーラーではなくコストの低いコージェネ発電の買取制度と、
 地中熱促進とネガワット取引でのエネルギーコスト低下と投資増を掲げて
 利権癒着政党を選挙で叩きのめすべきである。
 それでこそ内需が力強く成長し、日本経済が甦るのだから」

「原子力が我が国の経済に貢献しているどころか、
 一部利権企業のカネ儲けにばかり貢献していながら
 日本経済全体を停滞させているのは事実に照らして明らかである」

今回の水素利用構想を見る限り、安倍政権のエネルギー政策は
完全にバラ撒きで、エネルギー効率の概念すら理解していない。

 ↓ 参考

原油安と競争激化で電力料金低下は必至、利権勢力に大打撃 - JXが東電より最大10%割安プラン提示
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/83c06bf7f020ab33bf58cd104ae0ea2f

電力コスト高騰の主因は円安と原油高、経産省の見え透いた「大本営発表」- 原発停止の影響は軽微だった
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/c137ae37313d1e5de7625b6e1d20ee4a‎‎

コージェネレーションの急成長は確実、2030年迄に全電源の7%に -「15%を目指すべき」との声も
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/b8067d44524b710bec11a333716f6b4f‎

日本は既に省エネ「劣等生」、コージェネが不十分でビルの消費エネルギーも多い -「世界トップから脱落」
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/bdbe09d8dd34742ef530ce1011b5cb0c

▽ 日本は、原発などの大型発電所で無駄なエネルギーを垂れ流している

『エネルギーを選びなおす』(小澤祥司,岩波書店)


首相「福島を水素エネ開発拠点に」…五輪で活用(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20160305-567-OYT1T50082.html
”安倍首相は5日、福島県を水素エネルギーの技術開発拠点とする「福島新エネ社会構想」を発表した。
 風力発電などで燃料電池車1万台の年間使用量に相当する水素を毎年製造できるよう、2020年までに体制を整える。福島で製造した水素は20年東京五輪・パラリンピックでも活用する。
〔中略〕
 構想では、同県内の風力発電所などから1万キロ・ワット級の再生可能エネルギーを集め、水を電気分解して水素を製造する。液化水素の効率的な輸送技術なども開発し、東京五輪で選手らを輸送する燃料電池車に水素を充填(じゅうてん)したり、選手村施設の電気エネルギーとして活用したりする。
 水素は燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しない。しかし、水素の製造過程では現在、石油などの化石燃料が使われることが多く、CO2が排出される。風力など再生可能エネルギーで水を電気分解すれば、CO2削減につながる。”

救い難いひどさだ。この水素を運搬するコストを全く考えていない最低の政策である。
液体水素で運搬するということは、すさまじいカネをかけてエネルギーを無駄遣いする訳だ。
税を湯水のように投入して「輸送技術を開発」すれば、高価なおもちゃができるだけである。
(これまでの実績が証明している)


FCV、30年までに販売80万台 水素ステ設置も4倍に 経産省が行程表(sankeibiz)
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/160317/mca1603170500003-n1.htm
”経済産業省は16日、次世代エネルギーに期待される水素の利用拡大に向け行程表を改訂し、燃料電池車(FCV)の累積販売台数を2030年までに現在の1600倍となる80万台に引き上げる長期目標を盛り込んだ。燃料を供給する水素ステーションの設置も進め、25年度までに4倍の320カ所まで増やす。
〔中略〕
 メーカーがトヨタ自動車とホンダに限られるため販売台数は500台程度にとどまる。行程表では自動車メーカーの研究開発を後押しし、25年頃には普及価格帯(200万円程度を想定)モデルを投入して、低価格化で販売を拡大する。
 水素ステーションは今年度内に100カ所まで増やす目標が約80カ所と未達で、普及が遅れている。建設費が1カ所あたり5億円程度と、ガソリンスタンド(1億円程度)に比べ高額なのが最大の障壁だ。政府は安価な海外製資機材も使えるよう規制見直しでコストを削減する。
 このほか、都市ガスなどから水素を取り出し発電する家庭用燃料電池「エネファーム」は、20年頃に補助金に頼らず自立化を実現すると明記した。”

FCVは日本車メーカーの今の優位性が活かせることと、
航続距離が長いのが利点ではあるが、コスト面では話にならない。
走行路線が決まっているバスやトラックを優先しなければ失敗する。

また、エネファームよりも通常のコージェネの方が遥かにコストで優れる。
大幅にコストが下がらなければ技術が確立している地中熱に注力した方が賢い。


国産メタンハイドレート3・3兆円資源 経済産業省が初の試算(産経新聞)
http://www.sankei.com/life/news/160318/lif1603180003-n1.html
”「燃える氷」とも呼ばれ、次世代燃料と期待されるメタンハイドレートを商業化した場合、3兆3千億円程度の売り上げが見込めると経済産業省が試算したことが17日、分かった。政府がメタンハイドレートの販売金額を試算するのは今回が初めて。技術開発などで政府が投じた予算総額の30倍を超える効果があり、平成28年度に最終段階を迎える開発計画の進展にも期待が高まりそうだ。
 試算は政府の実用化計画に基づき、予定通り30年代後半に商業化したとの想定で、市場での販売額を積み上げた。
 日本周辺では愛知県沖の東部南海トラフで10カ所以上の濃集帯(ガス田)が確認され、1カ所当たり1日100万立方メートル程度の生産が期待できる。1カ所の操業期間は15年程度と想定し、仮に10カ所で操業できれば総生産量は547億5千万立方メートルに上るとの前提で試算した。
 商業化時の日本市場の天然ガス価格は、日本エネルギー経済研究所の予想に基づき100万BTU(英国熱量単位)当たり13・45ドルと仮定。その結果、メタンハイドレートの販売により3兆3638億円の売上高が見込めると結論づけた。
 政府は13~30年度の18年計画でメタンハイドレートの開発を進めている。最終段階と位置づけた28~30年度の第3期計画では2回目の海洋産出試験を含む商業化に向けた技術整備や、経済性の検討、環境影響の評価などを実施する。
 終了後は民間主体の開発に移行し、30年代後半に商業化プロジェクトの開始を目指す方針だ。今年度で終了する第2期計画までに計上した予算総額は926億円。
〔中略〕
 ただ、今回の試算は産出施設の整備費や、操業に必要なコストなどを考慮していない。また、メタンハイドレート由来のガスは、通常の天然ガスより割高になる見通しで、想定通りに販売できるかも不透明だ。経産省幹部は「民間主導で利益が出せるよう、試算をもとに計画を詰めていきたい」と述べた。”

このメタンハイドレートも失敗に向けてまっしぐらに進んでいる。
低コストの炭層ガス利用なら大歓迎だが、海底から採掘するメタンの氷は
採掘コストが余りにも高過ぎて話にもならない。


街の電力 水素で発電 大林組・川重、CO2を2割削減(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO00312280S6A500C1MM8000/
”大林組と川崎重工業は2018年に、水素を燃料としてつくった電気を神戸市の一部地域に供給する事業を始める。地域電源として水素発電を導入するのは世界初。主要な温暖化ガスである二酸化炭素(CO2)の排出量を従来の火力発電に比べ2割以上削減できる。水素エネルギーを自動車や家庭にとどまらず、地域で大量利用する取り組みが始まる。
 燃料電池車(FCV)や家庭用燃料電池(エネファーム)など水素を燃料とする製品は…〔以下略〕”

水素利用であれば、民間企業の方が合理的で低コストの利用法を開発している。
エネルギー需要値が近いから、安倍政権の次元の低い政策より遥かに優れている。

ただ残念なことにコージェネ利用ではなさそうだ。
水素のコージェネ利用(トリジェネはまだ開発段階)なら更に実用的で、
若狭湾の老朽化した原発など不要になる。
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