明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



昨日書いたような出来事があると、雲の上でシナリオを書いている存在があるのではないか?と思いたくもなるが、有頂天にさせておいてあまりなオチである。 その後信じがたいことだが、街宣車に来られても困る、と他のギャラリ一に断られたりした。しかし私にはそもそも三島本人が死ぬ直前に腹に包丁を刺し、魚ぶちまけて死んでいる魚屋に扮し、篠山紀信に撮らせていた、という“後ろ盾”があった。発表を急いだが、それはある筋からの情報で、薔薇十字社版『男の死』が発表される、という情報があったからである。NYでの三島が扮した『聖セバスチャンの殉教』の未公開バ一ジョン発見も私を焦らせた。(しかし出版は誤情報で、出版されない理由を後で知った。)1日でも先に発表しないとただのバッタもんである。 企画者の内藤三津子さんに、出版契約を済ませた帰りの車中、三島は「右翼の奴ら今に見ていろ」といったと伺った。内藤さんは『三島さんは右翼じゃないの?』と思ったそうである。(ちなみに私は三島を右翼だと思ったことは一度もない)それは数日後の自決のことをいっているようだが、私は二の矢となるはずだった『男の死』の出版のことを指している、と考えており、それは自決直後だからこそ“効果”があった。私は「ザマアミロ!ガハハハ」と笑いそびれた三島の無念を思うのである。

アートスケープ 展評『深川の人形作家 石塚公昭の世界』

HP



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )