崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

『境域の人類学』

2017年08月03日 05時18分23秒 | 日記

 縁故主義、友たち内閣と言われている改造への期待が充満している。輪郭が報じられ今日正式に発表される。組閣人事に客観的ルールはあるのか。「人づくり革命」といってもそれはその人の生きている人脈を越えることではない。永田町にはベストの政治家ばかりだろうか、そのベストの中からベスト(one of bests)が登場するのか。ベストの羅列ではチームワークが上手くいかない。小さい集まりでも同様である。ベストなる人物の総網羅式の集まりでは効果的な協力関係は難しい。友情や尊敬による縁故がなければならない。国民は自分を考え、政治を考えるべきであろう。
 私は多くの大学に学縁も多い。韓国や中国などの教え子たちの多くは就職に満足、研究を続けない。日本では教職に就かなくても研究を続ける人もいる。県立広島大学の准教授の上水流久彦氏・村上和弘・西村一之編の『境域の人類学』が届いた。私も小論を投じたがあまりにも出版に時間がかかり放棄、あるいは無関心に近い気分になっていた時、ようやく手にして読み始めた。100年史を持つ人類学は現実社会から離れたところで縁の遠い村での現地調査をしてきた。全般的に植民地を扱ったものがすくない。韓国研究も原始民間信仰や家族親族研究に限られているといえる。世相の表面的な研究ではなく、現実とつながる研究が必要である。本書は今現在を問う研究成果である。