散 歩 B L O G

歩くことが唯一の趣味ですから。

大小山

2022-10-15 | Weblog

夏のあいだ練習(なんのや)を兼ねて都内の高尾山や茨城の筑波山、神奈川の大雄山や千葉の鋸山など、お手軽そうな低山をいくつか登ったら暑くて暑くて堪らないので秋になるまで低山はあきらめ、1500〜2700mぐらいの高山ばかり選んで涼んできたのだけど、10月も半ばになって平地もいくらか涼しくなり、高山のほうは寒くなり、そろそろ低山がちょうどいい時季じゃないかと思ったんです。

ど・れ・に・し・よ・う・か・な・・・JR両毛線にぼんやり乗って車窓から栃木の山々を眺めていたら「小大」と岩肌に書いてある妙な低山が目に入り、あ・れ・に・し・よ・う・か・な・・・というわけで富田駅で下車して「小大」の文字のほうへ、ふらふら歩きました。ハイキングコースの案内板を見ると大小山と書いてあり、あれは「小大」ではなく正しくは「大小」だとわかりました。

なにが大小やねんとボヤキながら歩くと、そこらは修験道の修行場だったらしくて、「この大小山は古くから天狗が住む霊山として広く知られています。赤い大天狗と青い小天狗を合わせて大小天狗と呼ばれています」なんて手書きの怪文書が掲げてあります。そこで私は黄色い中天狗に身をやつして大小山に登ったのです。いくら涼しくなったとはいえ山に登るとそれなりに汗をかく(服やリュックに汗染みができる)とわかりました。暑いし疲れるし、もう山なんか登るの一生やめようかな?

腕に巻いた高度計(気圧の変動に伴い誤差が結構あることをテスト済み)によれば、大小山は標高300mあるかどうかといったところです。それでも見晴らしのいい場所から人の営みを眺めると、ちょっとは登ってきてよかったと思えるもの。カレーパンをリュックから取り出して食べ、おいしく感じるかどうか試したらそうでもありませんでした。ありのままSNSに投稿して、黄色い中天狗は一目散に下山しました。

 

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御釜(おかま)

2022-10-09 | Weblog

新型コロナウイルスが世界をすっかり作り変えてしまう少し前の、2019年のブログを自分で読み返すと山に登る意識まったくなしに蔵王を2度も訪れていた。あれから3年、いよいよ明確な志向をもって蔵王の御釜(おかま)を狙う。

最初に蔵王を訪れたのは2019年の1月、もっぱら樹氷を見るために山形県側からロープウェイで登り、さらに宮城県側から雪上車で登った。順序は逆だったかもしれないが、どちらも乗り物だから登山という感覚ではない。3年ぶりに山形県側のロープウェイに乗ったら、短い間に大量の思い出が蘇った。土地の記憶は重要だ。

冬に樹氷を見た山頂のトドマツが、ものの見事に枯れていた。これでは吹雪いても樹氷にならないのではないか。うわさではキクイムシが穴を開けて1万本ぐらい枯れたという。年に20本とか30本とか、高地では困難とされる植樹を試みているという話だけど、そんなペースで追いつくだろうか。非常にショッキングである。

枯れ林の間を抜けて1時間あまり歩くと、おかまが見えてくるはずなのだが、モヤが出てなんも見えない。樹氷を見た半年後、2019年7月に宮城県側からバスで登ってきたときも、おかまは姿を現さなかった。ミラクルひかる、ホリ、山本高広、原口あきまさのスペシャルものまねライブ「変人」ついでだった前回と異なり、今回おかま狙いでわざわざ来たのに、おかまに振られてばかり。

レストハウスの壁に貼られた写真を見ると、こんな感じらしいのだが、スケール感がまったくわからない。モヤが晴れたら穴の大きさを知ることも可能なんだろうけど、秘密のベールに包まれて実態がまったくわからない。光の加減で水の色が変わることから五色沼と呼ばれるとか、火山活動でしばしば沸騰するとか、なんだそりゃ。

悔しまぎれに御釜茶屋で御釜名物の釜かつ丼をむさぼり、天気が悪化してきたので遭難しないように山形行きの乗合バスを待つ。1日1便しかない。2時間近く乗り続けるのでトイレに行きたくならないか心配だ。悔しまぎれの釜かつ丼など、むさぼるのではなかった。後悔先に立たず、後悔後を絶たず。

バスを待つ間に涙を拭くわ🎶 平浩二の「バスストップ」が脳内ループするに任せながら、御釜ライブカメラを眺めてバスを待つ。チラッと見えないか期待したのだが一向に穴が見えない。ルルルル、ルルルル……あとはもう一目散に帰るだけだった。

 

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ちのステーションホテル

2022-10-01 | Weblog

近ごろは検索すれば何でもわかる。雑誌ターザンのファッション企画で長野へ泊まりがけロケに行ったのは「06 A/W NAGANO STYLE」だったから2006年のことで、そのとき利用した茅野駅前の「ちのステーションホテル」をまた16年ぶりに利用することになった。

ロケバスでマガジンハウスを早朝に出発して、日中は原村や諏訪湖や茅野などで撮影を行い、翌日も朝駆けで撮影に出るべくスタッフ全員で寝泊まりしたビジネスホテルがどんな感じだったか、16年も経つとほとんど覚えていない。あのときは仕事だったけど今回はプライベートで、北八ヶ岳ロープウェイ行きのバスが1日に数本だけ出る茅野駅前に前乗りして朝イチの便で登山のまねごとをしようと画策したら「06 A/W NAGANO STYLE」のときの宿が16年後の今もなお健在だった。

あのときはシングルルームに人数分の空きがなくてツインを2部屋どうにか確保し、タバコを吸うスタイリストさんとロケバスさんは喫煙室、タバコを吸わないカメラマンさんと編集者は禁煙室で寝泊まりした。覚えているのはそれくらいで、こんな部屋だったかどうか記憶がない。だから懐かしさも特にない。

チェックアウトの手続きを簡略化するため、カードキーを持ち帰ることになっているのは登山客がマイカーで早朝に出発するケースに対応するためだろう。16年前こんなシステムなかったと思う。ロケバスで出発してファミリーレストランで朝食にカレー食べたことは覚えてる。今回は山登りなので朝早く出発したいけど、北八ヶ岳ロープウェイ行きのバスは7:55が最初だからそう急がない。

前乗りでチェックインした後、何もしないのも何だから以前いちど訪ねたことがある尖石縄文考古館をまた見に行く。前回は冬場で、乗合バスに登山客なのかスキー客なのか両方なのか大荷物の乗客がぎっしり積まれた中に1人だけ、土偶や土器が見たくて同乗してる客がすなわち私だったことを思い出した。あのころは縄文遺跡や博物館を集中的に見物していたが、まさか登山ついでに立ち寄るとは。

翌朝、500円の朝食をホテルで食べて北八ヶ岳ロープウェイ乗り場までバスで50分、1300円かけて行く。前日はずっと雨で、予報ではこの日も雨だったので山登りを半ば諦めて茅野で読書でもしてるつもりが、起きたら晴れていたし予報も晴れになっていたから往復2100円のロープウェイで標高2237mまで上がる。

夏の終わりに白山に登ったとき、標高2000mを超えると動作が緩慢になり思考能力も低下したから高山病になりやすいのではないかと思って、前の週に標高1500mぐらいの上高地を歩き回ってみたけど何ともないから、今度は標高2000mを超える北八ヶ岳を歩き回って体調を点検というか人体実験で自分が一体どうなるか確かめるのが目的だ。結果、やはり動きが鈍くなり判断力も低下したので、2000m以上の山行をする際は高地で1泊して体を慣らすのが望ましい。

マチュピチュに行ったとき、標高2000mを超えるクスコに飛行機で降りて町を見物して歩いたら同じような高山病の症状が出た。1泊してマイクロバスでマチュピチュに登るころには高山病が収まっていたから体を慣らすのは大切だ。チベットやヒマラヤでさらに高いところ(5000mを超えた)へ行ったときも、同じように動作が緩慢になって思考力が落ちたから、2000mも5000mも同じかも。

縞枯山の山頂(2403m)と茶臼山の山頂(2384m)を経て大石峠からオトギリ平、出逢の辻と五辻を通って出発点のロープウェイ駅へ登る周回コースをそろりそろりと歩いた。地図で見るかぎりイージーそうなんだけど案外ハードだった。帰りのバスがなくならないうちにロープウェイ山麓駅まで下りて茅野に戻り、当然のことながら、ちのステーションホテルに帰った。縞枯山の周辺は上の写真のように、縞々に木立が枯れる現象が面白かった。

撮影失敗! あくる日も同じコースをたどって北八ヶ岳ロープウェイ山頂駅にアクセスし、北横岳の山頂(2480m)に登って降りてきた。台風が日本海側や太平洋側に強い風雨をもたらしても、山に囲まれているせいか長野は晴れてる場合がある。前の週の上高地は台風14号、この週の北八ヶ岳は台風15号がそれぞれ海沿いにずいぶん雨を降らせたようだけど長野の山地は何ともなかった。意外なことだった。

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