駅前の図書館で借りた分厚い本、あと20ページぐらいで読み終わる……というタイミングで駅についた。家まで持って帰るには微妙な残りページ数。いっそホームで読み切って、図書館の返却ポスト(時間外)に投げ込んで、身軽になって歩いて帰ろう。そう思って、ホームのベンチに腰掛けた。お腹も空いてるけど、20ページ読めば終わりだから平気さ。
目の前に電車が停まっては走り去る。ベンチの隣に誰か腰掛けては立ち去る。べつに気にしないで本を読んでいると、隣からメンチカツのようなニオイがしてきた。お腹が空いているので「はて何のニオイだろう?」と思って横を見ると、若い女性が大きな白いビニール袋からスナック菓子をのぞかせて、一心不乱に食べている。ちょっと怖い感じがしたので見るのをやめて本に目を落とす。やがて「ガサガサッ」と音がしたので、「食べ終わったのかな?」と思ってチラ見すると、2袋目のスナック菓子(さっきのと違うみたい)を開けて、忙しそうに口に運んでいる。目が合った。
泣きそうな顔をしている。白いビニール袋の中に部厚い女性誌が1冊入っているのも透けて見えたけど、気づかないフリをした。あきらかに帰宅途中なのに、どうして電車を何本も見送ってまで、駅のホームでスナック菓子を2袋も食べるんだろう? 3袋目に手をかけている気配がする(怖くて正視できない)。そんな一気食いしなくたって、家でゆっくり続きを楽しめばいいのに、そうできない事情でもあるのか? スナック菓子を止められているとか、それでも食べたいからベンチで貪り食っているとか……アル中の人が飲酒行動に走るのと、もしかして同じ傾向?
何本目かの電車がホームに入ってきたとき、3袋目のスナック菓子を食べ終わった彼女は、「ガサガサッ」と音をさせて白いビニール袋(月刊の女性誌も入ってる)をコンパクトにまとめ、ベンチから立ち上がった。デニムのパンツがパッツンパッツンになっている。やがてドアが開き、女は混雑した電車に乗り込んで、どこかへ去って行った。なんだろう、この言い表しようもない複雑な気持ちは?
目の前に電車が停まっては走り去る。ベンチの隣に誰か腰掛けては立ち去る。べつに気にしないで本を読んでいると、隣からメンチカツのようなニオイがしてきた。お腹が空いているので「はて何のニオイだろう?」と思って横を見ると、若い女性が大きな白いビニール袋からスナック菓子をのぞかせて、一心不乱に食べている。ちょっと怖い感じがしたので見るのをやめて本に目を落とす。やがて「ガサガサッ」と音がしたので、「食べ終わったのかな?」と思ってチラ見すると、2袋目のスナック菓子(さっきのと違うみたい)を開けて、忙しそうに口に運んでいる。目が合った。
泣きそうな顔をしている。白いビニール袋の中に部厚い女性誌が1冊入っているのも透けて見えたけど、気づかないフリをした。あきらかに帰宅途中なのに、どうして電車を何本も見送ってまで、駅のホームでスナック菓子を2袋も食べるんだろう? 3袋目に手をかけている気配がする(怖くて正視できない)。そんな一気食いしなくたって、家でゆっくり続きを楽しめばいいのに、そうできない事情でもあるのか? スナック菓子を止められているとか、それでも食べたいからベンチで貪り食っているとか……アル中の人が飲酒行動に走るのと、もしかして同じ傾向?
何本目かの電車がホームに入ってきたとき、3袋目のスナック菓子を食べ終わった彼女は、「ガサガサッ」と音をさせて白いビニール袋(月刊の女性誌も入ってる)をコンパクトにまとめ、ベンチから立ち上がった。デニムのパンツがパッツンパッツンになっている。やがてドアが開き、女は混雑した電車に乗り込んで、どこかへ去って行った。なんだろう、この言い表しようもない複雑な気持ちは?