国家公務員が出張旅費を不正受給した事例があとを絶たないのは何故だろう。毎年、会計検査院検査で指摘され、その都度、返還処理や処分を繰り返している。去年は財務、厚労省、ことしは7月に法務、国交省、9月には総務省と発覚した。こうなるとモラルの問題ではなく、制度自体の不備を改めるべきだと思う。
出張旅費の支給方法には、実費支給と定額支給の二方法がある。官公庁の場合、大量処理に対応するため定額支給を採用している。宿泊費・日当・運賃の該当する金額を足し算して支払われるので、清算の手間を省くことが出来るし自由度もあるのがメリット。
そこで、格安チケットを利用したり、安いホテルに泊まり宿代を浮かせたりすることになる。ささやかな小遣い稼ぎとして笑ってすませたいところだが、こと公務員の場合、血税を投入しているだけに無視できない。しかも、その金額が発覚したものだけでも大変なものだ。それぞれの発表数字によると、財務省は5年で1108万円、法務省は5年半で1716万円、総務省は4年半で1976万円、国交省は1年で443万円。なんと、4つの省の合計だけで5千万円にものぼる。
他の省庁や地方公務員まで含めると、総額がどれだけになるのか見当もつかない。民間企業を上回る給与や諸手当に加え、高級住宅地で超低家賃等々、メスを入れるべきことが山ほどある。公務員数の削減以前に制度的な見直しが喫緊の課題なのではないだろうか。