電脳筆写『 心超臨界 』

歴史とは過去の出来事に対して
人々が合意することにした解釈のことである
( ナポレオン・ボナパルト )

アメリカに来て初めて、深い所での意思の疎通があった――藤原正彦

2024-03-27 | 03-自己・信念・努力
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喜怒哀楽などの感情に関しても、その表現方法に差はあるとしても本質的には同一であるとみてよい。アメリカ人がそういった感情を素直に表現するのに反し、日本人はそれを押し隠す傾向があるというだけの違いだ。


◆アメリカに来て初めて、深い所での意思の疎通(そつう)があった

『若き数学者のアメリカ』
( 藤原正彦、新潮文庫(1981/06)、p324 )

喜怒哀楽などの感情に関しても、その表現方法に差はあるとしても本質的には同一であるとみてよい。アメリカ人がそういった感情を素直に表現するのに反し、日本人はそれを押し隠す傾向があるというだけの違いだ。

私は、大事に持っていた「日本の歌曲」というレコードを中西部の農場の娘パティと一緒に聞いたことがあった。それには、「波浮の港」「城ヶ島の雨」「桜貝の歌」など十数曲が収録されていた。聞いたことのないであろう日本の歌に彼女がどんな反応を見せるのか興味があった。最初は二人とも黙って聞いていた。ところが、しばらくして、歌詞の分かるはずのない彼女が突然、「悲しい!」といったので、私は驚いた。実は内心、アメリカ人に日本の情緒が分かってたまるか、くらいに思っていたからである。

「どうして日本の歌は、どれもこんなに淋しく悲しいの」

と、当惑した私を見つめながら聞いた。言われてみると確かに、明るい恋を謳歌(おうか)した、というものはほとんど見当たらない。適当な理由がすぐに思いうかばなかったので、

「日本人はそういうのが好きなのさ」

と、答えたら、いたずらっぽい目を丸くして、

「悲しくなるために、わざわざお金を出して、レコードを買うの」

と言った。考えてみるとなるほど不思議だったが、そのまま引き下がるのが癪(しゃく)だったので、知りもしない仏教の影響などを持ち出してみたが、理由をうまく説明できなかった。しかし、メロディだけを聞いて、悲しいと感じてくれたことがなぜか大変うれしかった。一通り聞いてから、今度は私がそれぞれの歌詞をレコードに合わせて即興的に翻訳してあげることにした。ところが、一曲目、二曲目と進むうちに、いつの間にか彼女は鼻をすすり始め、遂(つい)には、本当に泣き始めてしまった。純粋に、曲と詩から来る情感に圧倒されたのだろうか、それとも……。彼女の頬を伝う涙を私はじっと見つめていた。そしてこの時、アメリカに来て初めて、深い所での意思の疎通(そつう)があったと思い、私は感動していた。

彼女が日本人と同質の感受性を持っていたことは、他の経験にもかんがみて確かだが、かといって、アメリカ人一般がすべてそうだとただちに断言することは出来ない。しかし、それを支持する証拠はいくつか持っている。そして私は、それを証明は出来ないが信じている。私はこういった同質を彼らの中に、偶然発見するたびに心の底からホッとしたものだ。
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