電脳筆写『 心超臨界 』

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( ルクレール・ビュフォン )

歴史を裁く愚かさ 《 司馬遼太郎史観への疑問――西尾幹二 》

2024-05-13 | 04-歴史・文化・社会
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司馬は維新を近代革命とみなし、日露戦争を祖国防衛戦争ととらえ、日本人が素朴に国を信じた時代があったことを絵解きした。彼が知識人の世界にではなく大衆的基盤において、戦争の小児的反戦平和主義を破壊する上で強力な役割を果たしたことを認めるに吝(やぶさ)かではない。けれども明治に対する高い評価と余りに著しいコントラストをなす昭和の否定はいったい何であろう?


『歴史を裁く愚かさ』
( 西尾幹二、PHP研究所 (2000/01)、p37 )
第1章 教科書問題を考える前提
2 便利すぎる歴史観

◆司馬遼太郎史観への疑問

この便利すぎる歴史観を今日最も代表的に表現しているのは、周知の通り司馬遼太郎である。

司馬の影響で日本人がかく考えるようになったというより、現在の日本人の置かれた位置、文明の状況がこういう考え方を好み、司馬の史観がそれにフィットしているということであろう。

司馬は維新を近代革命とみなし、日露戦争を祖国防衛戦争ととらえ、日本人が素朴に国を信じた時代があったことを絵解きした。彼が知識人の世界にではなく大衆的基盤において、戦争の小児的反戦平和主義を破壊する上で強力な役割を果たしたことを認めるに吝(やぶさ)かではない。けれども明治に対する高い評価と余りに著しいコントラストをなす昭和の否定はいったい何であろう?

昭和初期から敗戦までの十数年は、「別国の観があり、別の民族だった」とし、この間を「長い日本史のなかでもとくに非連続の時代」とみなす彼の歴史観は、自分のなかの良いものは大好きだと褒(ほ)め讃え、いやなものは括弧にくくって、自分とは無関係なものとして考えないようにするという都合のよい態度である。

しかし、良いものもいやなものも、ともに自分の歴史ではないか。暗黒と失敗と愚劣と逸脱の昭和史も、自分の歴史以外のなにものでもあるまい。人は悲劇を後悔しても始まらない。悲劇に終わった歴史もまた自分のいとおしい肉体の一部なのである。いったい歴史に「非連続」はあり得るのだろうか。

1995年夏に来日したヴァイツゼッカー前ドイツ大統領は、名古屋での講演で、12年にわたるナチ支配はドイツの歴史における「異常な一時期」であり、それらを追い払って清潔な民主国家に生まれ変わった、という前提に立った歴史の「非連続」説を、臆面もなく滔々(とうとう)と述べ立てた。

前大統領に限らない。ドイツ国民が何かというと口にしたがる年来の主張なのである。ドイツは12年間だけ悪魔に支配されたが、それ以前の歴史にもそれ以後の歴史にも悪魔はいない、と。

日本とは比ぶべくもないナチ犯罪を抱えたドイツ国民が、こう考えたいという誘惑に駆られる気持は分かるが、しかしこれは通らない。悪の歴史だけ括弧にくくって、自分とは無関係なものとする、こういう便利な考えは通らない。

ドイツにおいてもやはり歴史は連続している。ナチスにはそこにいたる前史があるはずだ。またナチ協力者約2千万人が裁かれずに社会復帰した戦後史もある。
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