千恵子@詠む...................

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多田謡子反権力人権賞に想う

2011年12月10日 | 
八木啓代さんを推薦したひとからの了承を得て、推薦状を転載する。選に漏れたが、多田謡子賞に相応しい活動を続けている。
 
 
第一 背景 インターネットを活用した運動

 チュニジアで革命が始まった。続いてエジプト、リビアでも。さらにシリアやイエメンでも反政府勢力が政府と激しく対立している。いずれもインターネットを利用したといわれている。
 
 また、3月11日の福島第一原力発電所で起きた「事故」が人災であったと気づき始めた人々は、やはりインターネットで情報を知り、さらにインターネット上のツイッターやフェイスブックを通じて情報交換して街頭デモを行なった。
 
 八木啓代は本業は作家・歌手であるが、インターネットが登場以前の1980年代後半から、いわゆるパソコン通信を通じ、会ったこともない人々とコミュニケーション、情報交換を続けてきた、いわばリアルタイムメディアの達人として人々に知られるようになっている。
 
第二 契機 いわゆる検察不祥事事件と陸山会事件

 八木啓代は、いわゆる陸山会事件で小沢一郎に対し、検察が暴走し、マスコミがバッシングをすることについて大きな危惧を感じた。これは八木が住むメキシコで2005年のメキシコ大統領選に出馬したロペス=オブラドールに、メキシコの検察が暴走してメディアが大ネガティブ・キャンペーンを張った事件と構図や展開が酷似していたからであった。メキシコではこれに対して100万人以上の大デモが起きたため、メキシコ大統領は検事総長を罷免することで幕引きしたが、当初、圧倒的な支持率で当選が確実視されていたロペス=オブラドールは、この事件が原因で僅差で落選となった。
 
 また、昨年9月に発覚した障害者郵便制度悪用事件、いわゆる村木事件で前田恒彦検事がフロッピーディスク日付を改竄したとき、報道の不自然さに注目し、検察リークを疑い、また同時に西松建設事件における小沢一郎についての報道と検察の動きにも疑いを向けた。
 
 さらに、小沢一郎に対する検察審査会の動きにも疑いの目を向けることとなった。
 
呪術師の支配する国(八木啓代のひとりごと) 
 「小沢氏の『疑惑』というか『政治とカネ』問題というものが、誤解に基づくまったくの虚構であることは、すでに、元特捜検事でいらした弁護士の郷原氏が、その著作で何度かにわたって喝破しておられます。実際、検察も徹底捜査の挙げ句、結局、起訴を断念している。つまり、どう頑張っても、クロにはできなかった」
検察が暴走するというパターン(八木啓代のひとりごと 2010-09-03)
 ロペス=オブラドールに対するメキシコ検察の暴走、メキシコのマスコミのネガティブ・キャンペーンと、小沢一郎に対する日本の検察、マスコミのネガティブ・キャンペーンとが、酷似していることを指摘
証拠日付改竄事件について、ボソボソと(八木啓代のひとりごと 2010-09-23)
 
第三 「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」発足
 
 前田恒彦元検事が証拠隠滅罪(2年以下の懲役又は20万円以下の罰金)という微罪で立件され、検察がこの事件を、検察の組織的問題ではなく、一検事の個人的な資質による個人犯罪として処理しようとしていることに危機感を感じた八木は、10月25日にインターネットに本会のサイトを設置して会の結成と参加を、ツイッターなどインターネットを通じて呼びかけ、10数日で100名を超える反響をよぶ。そのうち氏名・住所を出せる20数名(ジャーナリスト・写真家・法律事務員・大学教員・小説家など)で「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」を結成、11月1日に会員6名で最高検に出向き、特別公務員職権濫用罪(6ヶ月以上10年以下の懲役)の告発状を手渡す。呼びかけから告発状提出までの期間はインターネットの特性を最大限に駆使し、きわめて短時日であった。 11月4日、時事通信社から告発状が受理されたことを知らされる。最高検からの受理通知は11月11日。最高検は告発人に通知する以前の11月4日に「司法記者クラブ」に対して受理を告知しておりマスコミ各社は告発のことも受理のことも承知しつつ報道しなかったことも明らかとなった。報道したのは『日刊ゲンダイ』のみ、海外メディアではCNNなどが報じたと報告されている。一方、同会サイトの呼びかけ文は英語・スペイン語・フランス語・イタリア語にも翻訳されており、八木の中南米の知人・友人を通じ、メキシコを始め中南米各国の人権団体にこの動きは伝わり、会長の八木はメキシコの翌年2月23日付「ラ・ホルナーダ」紙のインタビューを受け、日本の検察問題を語っている。
 12月24日、最高検は、公務員特別職権濫用罪を不起訴としたため、1月11日に検察審査会に特別公務員職権濫用罪での不起訴処分に対し申立を行なったが、4月29日に、不起訴相当の連絡が届き、法的手続きは終了した。
 
告発状(救援連絡センター)
桜田門の検察庁に行って、前田元検事を告発してきました(新・リストラなう日記 たぬきちの首 2010-11-02)
最高検に告発状を出してきました(八木啓代のひとりごと 2010-11-03)
顔の濃い怪しい市民団体はファシズムに対抗できるか(カトラー:katolerのマーケティング言論 2010.12.03)
前田元検事は特別公務員職権濫用罪で裁かれるべきだ(カトラー:katolerのマーケティング言論 2010.12.18)
謎が謎を呼ぶ、この展開(八木啓代のひとりごと 2010-11-05)
 時事通信社から、告発状が受理されたことを知らされた経緯
「国民の皆様に開かれた検察」を目指すそうです(八木啓代のひとりごと 2010-11-12)
 「この件、11月4日のオープン記者会見で、最高検では受理したとお答えになっていたそうでございます。この会見には、岩上さんとか江川さんはご出席ではなかったようですが、他の媒体の方は、すでにこの時点でご存じだったわけですね。プレスリリースも各社に届いていたようです。ということで、べつにメディア各社は、知らなかったわけではなく、全社、告発のことも受理のこともご存じの上で、あえて報道なさっていなかったことも明らかになりました」
検察審査会問題(健全な法治国家のために声をあげる市民の会)
なぜ、前田検事を特別公務員職権濫用罪で告発するのか?(健全な法治国家のために声をあげる市民の会)
 「ラ・ホルナーダ」紙インタビュー
 「何年か前にメキシコで起こったあることと、非常に似たことが日本で起こったのです。現金を入れた紙袋を秘書が受け取るというビデオが流され.....それから検察が暴走して、総理候補になる可能性のあったある有力政治家が、土地の取引疑惑で起訴されようとし....」
不起訴の件について、重要なお知らせ(八木啓代のひとりごと 2010-12-17)
やっと正式に不起訴にしてくれました(笑)(八木啓代のひとりごと 2010-12-24)
ものすごいことが起こっている年末です(八木啓代のひとりごと 2010-12-28)
 公表された最高検「厚労省元局長無罪事件における捜査・公判活動の問題点等について」についての分析と、村木厚元局長の国賠提訴について
 告発状に対し、不起訴相当についての報告
 
第四 シンポジウム活動

 さて、法的手段に、一段落がついたことで、八木会長はシンポジウムなどに精力を注ぐ。手始めに、4月20日、自らのライブ・コンサートへ郷原信郎弁護士を招き、ライブの合間に検察問題について、郷原氏を含め、鼎談を行ないこの間の動きについて論評・議論する。
 次に5月23日、明治大学大学院情報コミュニケーション研究科のシンポジウム「検察、世論、冤罪」にコーディネータおよびパネリストとして参加。このシンポジウムでは、佐賀農協事件において、自ら冤罪を作った経験を持つ元検察官・市川寛弁護士が実名顔出しでゲスト出演し、検察で供述調書の作文がおこなわれていることや人権無視の取り調べを行っていることを告発。ネットだけで5万人以上が視聴し、週刊誌等が後追い記事を出すなど、多大な反響を呼んだ。八木会長が招聘したパネリストは以下の通り。
  • 岩上安身(司会進行、ジャーナリスト)
  • 郷原信郎弁護士(元検察官、弁護士、「検察の在り方検討会議」委員)
  • 山下幸夫弁護士(弁護士、元最高検察庁アドバイザー)
  • 山口一臣(週刊朝日前編集長)
  • 市川寛弁護士(元検察官)
  • 八木啓代(会長。健全な法治国家のために声をあげる市民の会会長)
 さらに、一ヵ月後の6月23日、同じ明治大学大学院情報コミュニケーション研究科の第二弾シンポジウム「検察、世論、冤罪 II」では、コーディネータ兼司会進行役として参加。短時日に検察・マスコミを主題とする人権を語るシンポジウムを立て続けに開催することとなる。パネリストが前回以上に密度の濃い議論を繰り広げた。特に注目を浴びたのは、逆転有罪判決を受けたタレントで未公開株詐欺事件被告羽賀研二氏の公判において「検察が、決定的な証言をした弁護側商人を偽証罪で立件して有罪にする」という禁じ手を使ったことを問題視して、多くの弁護士が集結。この偽証罪適用という点で、元検察官2名(前回好評を呼んだ市川寛弁護士も発言)が、検察が検察側商人に偽証を強要している実態を暴露し、参加者、インターネット視聴者に衝撃を与えた。こちらも数万人の視聴者を獲得する大反響を呼んだ。このシンポジウムで八木会長が選んだパネリストは以下の通り。
  • 八木啓代(会長。司会進行役)
  • 郷原信郎弁護士(元検察官、「検察の在り方検討会議」委員)
  • 山下幸夫弁護士(元最高検察庁アドバイザー)
  • 佐藤博史弁護士(足利事件主任弁護人)
  • 弘中惇一郎弁護士(村木事件主任弁護人)
  • 山口一臣(週刊朝日前編集長)
  • 市川寛弁護士(元検察官)
  • 岩上安身(ジャーナリスト)
  • 羽賀研二(未公開株詐欺事件被告)
 そして、7月10日にはインターネット上の『ニコニコ生放送』の緊急特番「検証!徹底討論:検察調書大量却下は何故起きたか」に出演。出演者は八木会長のほか、石川知裕衆院議員、郷原信郎弁護士、ジャーナリストの江川紹。9月11日には新宿ネイキッドロフトにおいて「トークバトル 郷原信郎×八木啓代」に出演し、いわゆる九州電力やらせメール事件を枕に、縦横に語る。
 
 ほかに9月1日に『リアルタイムメディアが動かす社会 市民運動・世論形成・ジャーナリズムの新たな地平』(東京書籍)を、常岡浩介、上杉隆、岩上安身、すがやみつる、渋井哲也、郷原信郎、津田大介との共著で出版。インターネットが「市民運動」「検察」「震災」「原発事故」「ジャーナリズム」「民主主義」をどのように動かしてゆくのかを検証してもいる。
 
 原発事故とからめながら検察問題を語る
シンポジウム「検察、世論、冤罪」(健全な法治国家のために声をあげる市民の会。動画あり)
シンポジウム「検察、世論、冤罪 Ⅱ」(健全な法治国家のために声をあげる市民の会。動画あり)
検察調書大量却下、その裏側で(八木啓代のひとりごと 2011-07-21)
 『ニコニコ生放送』の緊急特番「検証!徹底討論:検察調書大量却下は何故起きたか」の報告
 
第五 推薦理由

本会はリアルタイムメディア(インターネット)を用いて通常であれば何日もかかる事務作業を、きわめて短時日で行なったこと。
 
それによってリアルタイムメディアによる運動で、社会変革を切り開く実例を具体的に提起したこと。
 
また八木会長がブログで繰り返しているように、前田恒彦元主任検事の個人的責任に終わらせず、検察を根底から変えさせるように的を絞ったこと。
 
さらに、ツイッターやメールを通じて、弁護士などの専門家と密接な情報交換を行ない、的確に自らの立ち位置を定めてきたこと。
 
そして、会の動向とともに、労力と根気が必要となる、行動の報告を常に公表してきたこと、
 
これらリアルタイムメディアの特性を駆使した業績は、まさに前人未到のもので、人権を守る運動に大きな可能性と展望をもたらしたこと。
 
これらの業績を見た時、まさに故・多田が、その晩年に精力的な反権力・人権を守る弁護活動を行なったことを彷彿させるものと言える。
 
以上の理由から健全な法治国家のために声をあげる市民の会を多田反権力人権賞に推薦します。
 
八木啓代(公式サイト)
八木啓代のひとりごと(公式ブログ)
八木啓代(公式ツイッター)
八木啓代(ウィキペディア)

以上
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