のりこえねっと 反撃はじめたよ
ヘイト・スピーチって知ってるかい。新聞なんかだと薄めて表わされるから、おぞましさ凄さを感じないかもしれない。あるいは反対する人々と同格に扱われて、双方が喧嘩してるかのような映像の報道も。
しかし、現実は二万件以上のネット上の人権侵害。恐怖と憎悪を増幅された動画サイトの数々。笑いながらヘイトしまくる人たち。たとえば「悪い朝鮮人も、良い朝鮮人も殺せ」と。死ね殺せじゃ足りないんだ。悪い奴を殺せでも足りないんだ。良い奴でも人種絶滅ジェノサイド。最初はインターネット掲示板「2ちゃんねる」の書き散らしから始まった。同様にネット参加が売りの「ニコニコ動画」で蔓延し増幅していった。大阪の朝鮮人居住区では、露骨に地名を指定し「鶴橋大虐殺を実行しますよ」とマイクを握って叫んだのは女子中学生。
「ヘイト・スピーチ」という呼び方に対して、本紙の執筆者かつ運営委員でもあり同ネットの共同代表でもある前田朗東京造形大学教授は、スピーチ(話)ではなく犯罪「ヘイト・クライム」だと指摘する。まさに、その域に達しているぞ。
彼らの使う在日認定というのも、うるとらだ。福島みずほ参議院議員などなど勝手に認定し、最近では米国大使キャロライン・ケネディまでをも認定。あのケネディ王朝の白人さんまで在日とは、甚だしく常軌を逸している。さらに在日特権というのも嘘八百。税金を払って永年すんでいても参政権も与えられない人々なのに。あいつら狡いと憂さ晴らしの対象にしている。
この憎悪の洪水に、辛淑玉は殺されると思ったという。そうよ、彼女が、仲間が殺されかねない。攻撃対象は朝鮮人だけではない。女を敵視し、沖縄人、被差別のひと、婚外子、障碍者、性的少数者などの、マイノリティなのだ。
そこで昨年九月、のりこえねっと(ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク)が結成された。設立宣言の末尾は、「人間の涙の歴史を無に帰そうとする挑戦に、私たちは、決して屈しない」。アメーバのように広がった反レイシズムの嵐。思想を超え、組織を超え、民族を超え、性差を超え、年齢を超え、国境を超えて一緒に生きたいという行動が始まっている。
日本の公民権運動だ。共生社会を目指し大久保に事務所を持ち、レイシズムへのカウンター行動、イベント、学習会、書籍も出ている。弁護団は百名だってさ。各地で様々な取り組みが行われている。ニコニコ生放送は嫌いだったが、毎週水曜日のはお薦めもの。