「檻の中の詩」綴りたる二人組 布川事件の佐野洋のルポ
「檻の中の詩―ノンフィクション・布川事件」 佐野洋 双葉書店
93年に「小説推理」に連載したものを纏めたもの。
獄中の二人の詩を基に、なぜ彼らが何十年も冤罪を訴えているかを探る。
推理小説作家らしく、小豆の缶詰とか、アリバイ捜査とか鋭い分析も多々ある。
著者はこの4月に逝去された。合掌。
不当裁判の構造を描いたものとして伊佐千尋の「舵のない船 布川事件の不正義」を拙ブログで紹介したことがあるが、本書は彼らの心情を遍く表している。とても心を打つ。
殺したのなら出ていられる程の年月が経っているのに、無罪を訴えたため収監が長引く。
雪冤を晴らすのに40年以上掛かるなんて。
わたしの読んだのは20年前の単行本だが、双葉文庫版は新たな加筆もあるらしい。
布川事件の関連では、映画「ショージとタカオ」の監督の原作本も良いね。