古い時代を取り上げるほど、大河ドラマの演出は困難さが増すだろう。
当時のものの考え方は今とだいぶ違うだろうし、不明な部分も多い。
そんな中、紫式部と源氏物語にスポットを当てたのはなかなか良いセンスだ。
紫式部の他、清少納言、和泉式部、赤染衛門など層々たる才女も同時代を生きる。
宮廷サロン文化が華やかだった時代、武よりも文化が貴ばれた気風、
しかも女性が少なからず活躍した時代背景も今に求められるものだ。
源氏物語の現代語訳には近年でも田辺聖子さんや瀬戸内寂聴さんのもあるが、申し訳ないが読んでいない。源氏物語は古典として絶賛されるわりには、理解するには、ある程度当時の常識というか、教養が必要となりハードルが高い。
おもいっきり現代風な演出にして、万人にも理解しやすくする大河ドラマとなりそうで期待する。
私が3年前に近江の石山寺へ行った時、紫式部が源氏物語の草稿を練った所がこの寺だと説明書きがあった。京でなくしかもお寺で源氏物語を書き始めたのかと以外に思った。今年は観光の面でも脚光をあびそうだ。
ドラマで主人公の一人となりそうな藤原道長は、史実でも紫式部とつながりがあったようなので演出的にもおもしろそうだ。
道長は、栄華を極めた後年に「この世をば わが世と思うもち月の 欠けたることもなしと思えば」なんて歌も詠んだそうだが、後の平清盛と大きく異なる点は、その後あっさり政治から引退したことだ。
道長は政敵であってもとことん追い詰めて殺戮するのではなく、一定の目的が達成されれば許して復帰させたりする。策略を巡らすわりには、ある意味平和主義者だ。
御堂関白記(道長の日記)を昔「和様の書」という展覧会で見たことがあるが、寛弘元年(1004年)寛弘4年(1008年)
忙しい中、こんな日記を書いていたのは、道長は温厚な性格でありながら、官僚的で、とてもまめな人であった証拠なのかもしれない。