じゃのめで おむかい うれしいな
ピッチピッチ チャップチャップ
ランランラン
音がする
ほーら お池に降っている
金魚はどうしているかしら
お嫁にゆくときゃ 誰とゆく
一人でからかさ さしてゆく
IEとは長い付き合いだった。パソコンのOSがウインドウズMEからXPへ変わろうかという時代からの付き合いで、ネット接続もISDNからLAN回線へと変わる頃。
そのころに私は、IT系サービスの顧客サポートをまかされた。
担当は一人。
私が質問できるのは、なかなか回答のこないメーカーのサポートセンターだけ。
サービス機能の把握、セキュリティー対策、、通信環境の設定、主なエラー事象などを必死に覚えた。
当初よくあった問題は、セキュリティーソフトによるアクセスの遮断。
他には、顧客がIEのセキュリティーレベルを高にしての使用や独自のセッティングをしていることからおこるエラー。
パソコンの経年劣化(昔のパソコンは3年ぐらいしか耐用年数がなかった。)やウインドウズアップデート中のパフォーマンス低下などなど、顧客の操作の様子から想像して判断するようなものまである。
パソコンは自社で提供した専用機器ではないので、お客さんによって使用条件もまちまちとなる。電話のやり取りだけでエラーの原因をさぐるのにはテクニックが必要だ。お客さんのスキル、最近の使用状況など、1、2分の間に得た情報から優先順位をつけ、原因をチェックしていく。
スピードが命だ。
複雑な原因を短時間で解決したときには、さすが俺と優越感に浸ることもある。
半面、苦情や要望などもダイレクトに受けなければならないので、たとえそれが自分の責任によるものではなくとも、誠心誠意で対応しなければならない。
機能や操作のサポートもそうだが、電話をかけてくる顧客は大抵、自分でやってみて解決できないから電話をするわけで、その時点でストレスを感じている。
それで、声にはいく分感情をこめ、相手を気遣う気持ちで対応することが肝心だ。対応が長引くようなら、時間のこと、これからしなければならない作業の内容、期限を聞き、ITサービスにとらわれずに、解決する方法を探る。
というようなことを20年あまりやってきた。
当初のサービスは、インターネットではなく、顧客のパソコンに専用ソフトをセットアップしアナログのNTT回線でデータのやり取りをするというものだった。
このため導入には、顧客の会社へ出向き、プレゼンを行なった上で社内の通信環境を確認した。1.パソコンにアナログモデムがあるか。2.NTTの電話回線は使用できるか等々。接続には電話番号の他、確認コードとIPアドレスを使用した。
データは暗号化してやりとりするので、それなりのセキュリティーは保てたが、難点は、保存データが顧客のパソコンの中にあるので、パソコンが壊れるとデータも飛んでしまうことだった。(むろんバックアップ機能はあったが)
顧客のパソコンが壊れるなどの緊急事態では、あわててお客さんの所へ駆けつけ、別のパソコンへセットアップし直すというようなこともした。
マンツーマンのサービスである。
だから長いお付き合いの顧客も多かった。
とは言え、これは私の本業部分の仕事ではなかった。
本来は財務分析や収益シミュレーション、リスク管理といったミドル部門の仕事をしている。どういうわけか後任になるような適任者がいなかったので、ずるずると仕事を引きずっていた。
理解できないとみな逃げてしまうのである。
こちらだって初めからわかったわけではないのに、めんどくさいものには関わらないという後ろ向きな者が多い。同業他社でも同じような傾向のようだ。
IT技術はもてはやされるが、IT企業でない一般企業ではIT系の業務をこなせる人材が育っていない気がする。
私のような年寄りが対応するようではおしまいなのである。