新・徒然煙草の咄嗟日記

つれづれなるまゝに日くらしPCにむかひて心に移りゆくよしなし事をそこはかとなく紫煙に託せばあやしうこそものぐるほしけれ

先週末も博物館・美術館をハシゴ(その6・最終回)

2012-11-25 14:07:33 | 美術館・博物館・アート

「先週末も博物館・美術館をハシゴ(その5)」のつづきは、このシリーズの最終回、先週日曜日(11/18)に東京国立博物館(東博)総合文化展で観た作品のご紹介です。

東博名物(?)のユリノキ真っ黄色紅葉していました。

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ちなみにJR上野駅公園口から道路を渡ったところにあるイチョウは、盛りまであと一歩の状態で、今日あたりは見頃かもしれません。

   

東博の本館2階 高円宮コレクション室では「根付 高円宮コレクション」が公開されていて、根付コレクションを楽しむことができます。
加えて今、高円宮コレクション室に加えて特別4室(2階)で特集陳列「東京国立博物館140周年・高円宮殿下十年式年祭記念特集陳列 根付 高円宮コレクション」が行われています(12月9日まで)。
さらにさらに、本館14室(1階)では特集陳列「根付 郷コレクション」が公開されていて(12月9日まで)、
今、東博では、根付の名品がいったい何個陳列されているだろうか という状況になっています
この「根付 郷コレクション」は、こちらで書いたように明治中期~昭和初期の財界の超大物郷誠之助」さんが収集した根付のコレクションで、普段は本館10室「浮世絵と衣装―江戸(衣装)」で少しずつ公開されています。
ですから、特集陳列「根付 郷コレクション」でも見覚えのある作品がチラホラ…。

そんな「根付 郷コレクション」からこの一品を

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決して吐いている様子ではありませんで、お歯黒をつけているところです
江戸時代(19世紀)の作品だとか。
要するにお化粧の最中を捉えた根付だなんて、どういう趣味をしているが身につけていたんんでしょうねぇ

   

121125_2_08 毎回お楽しみの甲冑コーナー(武士の装い―平安~江戸)には初めて観る(英語では“Helmet”)が展示されていました。

紺糸素懸威置手拭形兜(こんいと すがけおどし おきてぬぐい なりの かぶと)」、さすがは意表を突く甲冑の黄金期「安土桃山~江戸時代・17世紀」のものだけのことはあります

説明板では、

筒型の板の上に中央を高くした板を乗せて鉢を形作る。上に乗せた板が、手拭を乗せた様を連想させることから置手拭形と称される。鋲の座に梅花形を入れ、正面に眉形の切鉄(きりがね)を打つ。この種の鉢を紀州雑賀(さいが)や奈良の甲冑師春田が製作したことが知られている。

だそうです。
珍しい形状の兜ですが、全体のバランスは良くないなぁ…

   

本館1階の正面玄関の真裏にあたるラウンジ(モザイクの壁がステキです)を通り過ぎるとき、ふと時計を見上げると、

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あれっ

この写真のタイムスタンプは「15:53」。
止まっているだけか、はたまた壊れたか…
前回見たとき(今年10月)はきちんと動いていたのだけれど…。

   

次はコチラの埴輪

121125_2_05_2 真岡市・鶏塚古墳こちらでも登場)出土の「挂甲の武人」(古墳時代・6世紀)なんですが、あごひもがないし、腰パンしているみたいで、何ともだらしない

国宝「挂甲の武人」(群馬県太田市飯塚町出土)は随分と見てくれが違いますぞ

121125_2_09 でも、「鶏塚の武人」にも見どころがありまして、全体が市松模様になっています。
それも、彩色だけではなく、色違いのパネルを組み合わせたようになっているんです

121125_2_06 どことなく呪術的な香りが漂っています…

   

次は、座敷でが座り込んでいる不思議なこちらの絵。

121125_2_07 南北朝時代(14世紀)に描かれた「聖徳太子絵伝断簡」で、説明書きには、

伊予藩主・久松家に伝来した太子伝絵巻の残欠の一部。場面は、太子の愛馬の黒駒が、歩行を乱して太子を驚かせたことを悔やみ、食事すらしなかったところ、太子の温情ある言葉を伝え聞いて安心して食事をしたという、心和む説話の一齣(ひとこま)。

とあります。

心和む笑ってしまうかは別にして、面白いお話です。
ただ、聖徳太子の伝記絵にしては装束が平安時代していて、なんだかですな。

   

長々と書き連ねてきたこのシリーズ、こちらの作品で締めましょう

121125_2_10 季節感あふれる展示替えが得意な(収蔵品を大量に持たないと不可能)東博らしく、勝川春潮の錦絵「風流七五三」(江戸時代・18世紀)です。

なんともお父さんの顔が優しい

3歳の男の子(裃姿)7歳の女の子(振り袖姿)は判るのですが(でも7歳にしては大きすぎない?)、5歳児らしき坊主頭の男の子は何なんでしょうか?

ところで、この日、紀尾井町から四谷駅に向かって歩く途中、こんなポスターを見かけました

121125_2_11聖イグナチオ教会「七五三祝福式」ですって

へぇ~、教会でもやってるんだぁ

ポスターには、

 

七五三を迎えるお子さんであれば信者ではなくても参加できます。

とありますが、クリスチャンでない人が、わざわざ七五三のために教会にいくだろうか…

と考えたのですが、ここで言う「信者ではなくても」は、キリスト教の別宗派、例えばプロテスタントの人なんかを意識しているんじゃなかろうか

それにしても、教会で七五三ねぇ~
もっとも、七五三のお参りは神社でもお寺でもOKなわけだから、キリスト教会でも、イスラム教会でもOKなのかもしれません。

ということで、なんとか1週間以内で「先週末も博物館・美術館をハシゴ」シリーズ完結であります。
とっぴんぱらりのぷう

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先週末も博物館・美術館をハシゴ(その5)

2012-11-25 09:26:05 | 美術館・博物館・アート

「先週末も博物館・美術館をハシゴ(その4)」のつづきは、東京国立博物館(東博)のリターンマッチ、総合文化展のお話です。

私が東博の門を入ったのは15:30頃だったのですが、驚いたことに、本館前には特別展「出雲―聖地の至宝―」に入場待ちの行列ができていました(第一会場と第二会場の間にも入場待ちの列が)。先週来たとき(記事はこちら)は楽々だったのに…
さらに、本館正面の池のユリノキちゃんとトーハクくんのボードがある記念撮影スポットに人だかりができています。

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なんじゃ、あれは 千木と勝男木を頭に載せた着ぐるみ
なんでも、「しまねっこ」という名前の島根県のゆるキャラで、

神話博しまねが終わって、初の出張にゃ~!!
今回は初めての東京国立博物館に行って来るにゃ!
今、東京国立博物館で、特別展「出雲―聖地の至宝―」を開催しているにゃ。
しまねっこはそこで、特別展と島根県のPRをするにゃ。
“しまねっこダンス”も踊るから、お友達のみんなも来て一緒に踊ろうにゃ。楽しみにゃ~

だそうな(今週末は羽生市で開催されている「ゆるキャラサミット in 羽生」にご出張だとか)。

   

さて、このシリーズ「先週末も博物館・美術館をハシゴ」、うかうかしていると「先週末」じゃなくなってしまいますので、さっさと仕上げてしまいたいところ。
でも、1本の記事でこの日の東博見聞記をまとめるのはかなりしんどいのも事実です。それほど盛り沢山な東博・総合文化展でした。何度も来てるのにね…
これというのも、菱川師宣の作品「歌舞伎図屏風」と「伝・菱川師宣筆」とされる「浮世人物図鑑 下」が何とも元禄で、楽しくて、見入ってしまったのですよ。

まずは、菱川師宣の代表作のひとつ「歌舞伎図屏風」から。

この作品は六曲一双屏風ですから、私のカメラでは、っつうか、展示室内では全貌を1枚で捉えるのはほぼ無理。なもので、撮ってきた2枚の写真を繋げてみました。

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これじゃ小さくてよく判りませんナ

気を取り直して、右隻の写真を載せましょう。

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この「歌舞伎図屏風」は、説明書きによれば、

右に芝居小屋「中村座」の入口と、役者総出の太平楽の華やかな舞台と観客席、左に楽屋とこれに繋がる茶屋が緻密な描写と構成によって、臨場感をもって表現されている。285人のさまざまな人びとの姿が、活き活きと描き込まれた師宣最晩年の代表作である。

というもの。
「中村座」は、江戸東京博物館に一部が実物大で再現されていましたっけ…。

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この再現された江戸博の中村座19世紀初期のものだそうですが、師宣が描いたのは17世紀末、まさに元禄時代の中村座です。

121125_1_05 小屋の外は、呼び込みの声や雑踏のざわめきが聞こえるようですなぁ。

そして、中では観衆がてんで勝手に楽しんでいます。

なぜか客席(土間)の最前列では授乳中のお母さんがいたりして…

121125_1_07_2 ところで、日本絵画の伝統として、屋根や天井をとっぱらって、上空から俯瞰する構図(吹抜屋台(ふきぬきやたい))がありますが、この作品はそうではありません。

実際、劇場(客席)には屋根がなかったらしいのですよ

劇場の入口(木戸)付近をよく見ると、壁というよりが伸びていて、内部では、舞台に屋根がついているし、観客もを被っている人がいたりします。

こちらのサイトによりますと、

元禄初期頃の劇場の様子では、舞台、楽屋、桟敷には屋根が付いているが、後の土間となる一般席部分には屋根がなかったので、雨天には興行ができなかった。享保期(1716-36)に見物席の全体を覆う屋根が許される。

だそうな

不思議なことに、シェイクスピアが活躍したエリザベス朝(16世紀末~17世紀初)のイングランドでも、劇場の一般席は平土間で、屋根がかけられていなかったのだとか。

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上の写真は6年前に撮ったロンドンのグローブ座です。

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発売日:2012-04-13

話が逸れてしまいました

で、桟敷の観客もまた…

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いかにも風流人っぽい格好で、舞台に背を向けて…って、何をしに中村座にやって来たんでしょうかねぇ

前記のように左隻には「楽屋とこれに繋がる茶屋」が描かれています。

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この楽屋の様子がイイ

121125_1_15 鬼(?)の被り物をつけようとしている役者、着付けしてもらっている役者、チューニングしているらしい鳴物方、一仕事終えたのか談笑している人…。

大勢の人たちがエンタテインメント業に携わっていて、老若男女が貧富の差を問わずに着飾ってエンタテインメントを楽しむ様子、見ている方も楽しくなってきます。

時、まさに元禄、楽しむべし、って感じですなぁ

   

もう一つの作品、「浮世人物図鑑 下」もまた華やかで楽しくて、「元禄」を発揮しています。

この作品(巻物)は、「歌舞伎図屏風」と比べてに味が足りませんが、こちらを観るとやはり師宣っぽい…

121125_1_12 「見返り美人」ならぬ「見返り母」です。

それはさておき、「浮世人物図鑑 下」に描かれた川遊びが豪勢

なにも川遊びの最中に囲碁なんかしなくてもよいとは思いつつも、

121125_1_16 三味線の音を聞きながら碁を打つのもまたオツなものってやつかもしれません。

また、こちらの親子

121125_1_17 花火を楽しむために二人きりで川に漕ぎ出した?

こちらのお侍さんは大勢の人が乗り込んだ屋形船から花火を打ち上げています。

121125_1_18 皆さん、楽しんでいらっしゃいますなぁ。

楽しむお客さんを横目に、料理人たちも一所懸命に仕事をしています。

きっと揺れているだろうに刺身を造っている料理人…、

121125_1_08 かと思ったら、この人、腰にを差しています もしかして、お侍さんが趣味の手料理を披露しているのでしょうか?

一方、こちらは何かを焼いています。

121125_1_10 何を焼いているのかよく判りませんが、なんとなく蒲焼きっぽい…。

300年以上前の音や匂いが封じ込まれているようで、楽しい作品です。

ということで、今日中に(その6)をアップして、「先週末も博物館・美術館をハシゴ」シリーズを完結させることにします

つづき:2012/11/25 先週末も博物館・美術館をハシゴ(その6・最終回)

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